2023/06/06 更新

写真a

カマノ クニキ
鎌野 邦樹
所属
法学学術院 大学院法務研究科
職名
教授
学位
修士
 

共同研究・競争的資金等の研究課題

  • マンション区分所有法制の再構築-マンション法制の国際比較研究の成果を踏まえて-

    研究期間:

    2018年04月
    -
    2021年03月
     

     概要を見る

    本研究は、わが国の多くのマンションが、高経年化し、その居住者が高齢化している背景の下で、現実にどのような問題・課題があるかを把握し、これまでに筆者が国内外の研究者等の協力を得て行ってきた比較法研究の成果を踏まえて、わが国の区分所有法制について、①適正かつ持続可能な管理のための制度、及び②適正かつ円滑な再生のための制度を構築するために、学術的見地から提言を行うことを目的とするものであるが、本年度においては、当初の研究実施計画に従って調査研究を進め、次のような研究実績を得た。(1)課題の設定・整理:本研究全体の課題である前記①、②に関しては、後掲の研究成果(ジュリスト1532号)において整理し発表した。そのほか、以下の(3)で述べるように、前記①については管理に関する第三者との契約に係る管理組合ないし区分所有者の債務や責任の関係が、前記②については団地の財産の帰属に係る区分所有者間の権利関係がそれぞれ課題になることを明らかにした。(2)比較法研究:研究協力者の協力を得て、ひとつは、2019年6月に「比較法学会」(東北大学)において、後掲の研究成果(比較法研究81号)にある報告をし、もうひとつは、後掲の研究成果(マンション管理通信408号)にあるように、ドイツにおいて、マンションの再生に関する立法調査及び現地調査を実施した。また、昨年のギリシャでの調査及び学術交流の成果として、海外の研究者(アテネ大学教授)との後掲の共著論文を発表した。(3)わが国の法制に対する法的提言:前記①、②全般に関しては、後掲の研究成果の2つの単著論文(浅見・齊藤編の共著書と住総研究所編の共著書)で、前記①に係る管理組合の債務・責任については後掲の研究成果(現代消費者法44号)で、前記②に係る団地の財産の帰属をめぐる区分所有者の権利については後掲の研究成果(マンション学65号)で、それぞれ発表した。2019年度においては、特に、上記「研究実績の概要」の前記(2)の「比較法研究」および前記(3)の「わが国の法制に対する法的提言」において、次に述べる外在的な事情により、当初の計画以上の進展をみた(往々にして、大きな研究成果は、外在的な偶然によって得られることが少なくない)。まず、(2)の「比較法研究」においては、2020年8月のドイツの立法調査において、年来のドイツの研究協力者等の照会を通じて、ちょうど調査予定日の直前にドイツ住居所有権法(区分所有法)の連邦法務省「改正作業調査報告書」が公刊され、同報告書の作成担当者からヒアリングをすることができ、さらにその担当者から、「区分所有権の解消」に関して連邦法務省の立場に唯一反対しているNRW州の立法担当者(ケルン裁判所判事)の照会を受け、ヒアリングをすることができた。これにより、わが国の法制が範としたドイツの最先端の議論について調査することができた。そして、NRW州の立場の背景にある同州の荒廃マンションの実情について丸一日かけて現地の自治体担当者等の案内のもとで調査することができた(後掲の「マンション管理通信408号)。さらに、昨年のギリシャでの調査後において、先方の申出に基づいて、日本とギリシャの区分所有法制の比較の論文を共著にて公刊することができた。次に、(3)の「わが国の法制に対する法的提言」については、ひとつは、2019年11月(金沢)に消費者法学会において(後掲の「現代消費者法44号)、もうひとつは、2019年6月に比較法学会において(後掲の「比較法研究81号)、それぞれ日本を代表する法律学の学会において報告の機会を得ることができた。<BR><BR>今後(次年度・最終年度)は、本研究の当初の研究実施計画の各項目(前記「研究実績の概要」の(1)から(3))について、次のように調査研究を推進する予定である。(1)これまでに抽出した課題の整理:これまでに抽出した①適正かつ持続可能なマンションの管理に関する課題と、②適正かつ円滑なマンションの再生に関する課題のそれぞれについて整理し、さらに掘り下げる。これを前提に以下の(2)および(3)の調査・研究を行う。(2)比較法研究:これまでの比較法研究の成果を踏まえつつ、(1)および(3)との関連で特定の外国法制の実態を調査すべく、研究協力者の協力を得て、現地調査を実施する。調査対象国は、ドイツないしフランスを予定しているが、新型コロナウィルス禍の状況で外国調査を中止するか、または、調査対象国を変更することもある。また、実態調査と併せて、または上記の事情により、必要に応じて、ドイツ・フランス等の裁判例の調査も行うこととする。(3)わが国の法制に対する法的提言:本研究の最終年として、本研究をまとめ、わが国のマンション法制に関して、①適正かつ持続可能なマンションの管理、および②適正かつ円滑なマンションの再生について、 学術的観点から、いくつかの具体的な立法提言を行う。その研究成果については、本研究の終了年次またはその後に、マンション学会等の学会において報告することを予定している

  • 東アジア4カ国のマンション法制の比較と課題ー欧米法との比較も踏まえてー

    研究期間:

    2015年04月
    -
    2018年03月
     

     概要を見る

    本研究は、国内外の研究者の協力を得てこれまで行ってきた欧米法の研究成果を踏まえて、東アジア(韓国、中国、台湾及び日本)における区分所有法制及びマンション管理の実態を、同じく国内外の研究者の協力を得て調査研究することにより、比較考察すると共に、日本の喫緊の課題であり、将来の他のアジア各国の課題である「マンションの安全性及び老朽化対策並びにそのための管理の在り方」に関して学術的見地から立法的・政策的提言を行うことを目的とするものである。その研究成果として、韓国で立法上審議がされているリモデリング及び日本で限定的に立法化されている解消制度をマンション法制の基礎とすべきであるとの見解を示した

  • 東アジア4カ国のマンション法制の比較と課題ー欧米法との比較も踏まえてー

    科学研究費助成事業(早稲田大学)  科学研究費助成事業(基盤研究(C))

    研究期間:

    2015年
    -
    2017年
     

  • マンションの老朽化・被災等に関する比較法的考察を基礎とした立法論研究

    研究期間:

    2012年04月
    -
    2015年03月
     

     概要を見る

    本研究は、日本の区分所有法制の喫緊の課題である、マンションの維持・改良(耐震補強を含む)及び老朽化又は被災したマンションの法的措置について、外国の法制を調査し、それを踏まえて日本の法制度の課題を明らかにし、立法上の提言を行うものである。提言の内容は、一方では、建替え又は解消がさらに円滑に進むような法制の整備が必要であるが、他方では、建替え又は解消は現実には費用面等から限定的があると考えられるので、維持・改良の方をより促進するような法整備が必要であるとした。本研究において、調査対象とした外国法制は、ドイツ、フランス、イギリス、アメリカ、オ-ストリア、ベルギ-、スイス、ギリシャ等である

  • マンションの老朽化・被災等に関する比較法的考察を基礎とした立法論研究

    科学研究費助成事業(早稲田大学)  科学研究費助成事業(基盤研究(C))

    研究期間:

    2012年
    -
    2014年
     

     概要を見る

    本研究は、日本の区分所有建物法制の喫緊の課題であるマンションの維持・改良(耐震補強を含む。)並びに老朽化及び被災マンションに対する法的措置について、諸外国の立法例及びその運用状況の調査・研究を踏まえて、解釈論及び立法論を提示することを目的とするところ、本年度においては、前年度の研究成果を踏まえ、また、前年度の調査・研究を継続して、研究実施計画に従って、次の①~③の調査・研究を実施した。
    ①基礎作業(外国法の日本語訳等) 本研究の対象とする外国法のうち、ドイツ、フランス、イギリス、アメリカ、台湾の各法令については、既に前年度までにほぼ全訳を終えていたが、本年度においては、韓国法(2013年改正法)、中国法、オ-ストリア法、スイス法、ベルギ-法等の日本語訳に着手し、このうち、中国法およびベルギ-法については、ほぼそれを完成させた。
    ②研究会の開催と「立法例比較一覧表」の作成 合計8回の研究会を開催し、研究代表者および連携研究者(10名程度)の報告に基づき数カ国の外国の法制に関する理解を深めるとともに、前年度抽出した比較すべき項目について「立法例比較一覧表」を作成していき、50パ-セント程度完成させた。
    ③海外研究協力者との情報・意見交換及び海外調査の実施 9月の研究会においては海外研究協力者である韓国・朝鮮大学のカン教授と(同研究会には中国からの留学生(新潟大学)である高建氏も参加し報告)、12月の研究会においては同じく海外研究協力者であるインスブルック大学のホイブライン教授と情報・意見交換会を行った(同研究会には法務省の立法担当者もオブザ-バ-として参加)。また、2月には、ベルギ-法制等の調査のためリエ-ジュ大学法学部等を訪問しル-コック教授等と情報・意見交換をした。

  • マンションの老朽化・被災等に関する比較法的考察を基礎とした立法論研究

    科学研究費助成事業(早稲田大学)  科学研究費助成事業(基盤研究(C))

    研究期間:

    2012年
    -
    2014年
     

     概要を見る

    本研究は、日本の区分所有建物法制の喫緊の課題であるマンションの維持・改良(耐震補強を含む。)並びに老朽化及び被災マンションに対する法的措置について、諸外国の立法例及びその運用状況の調査・研究を踏まえて、解釈論及び立法論を提示することを目的とするところ、本年度においては、前年度の研究成果を踏まえ、また、前年度の調査・研究を継続して、研究実施計画に従って、次の①~③の調査・研究を実施した。
    ①基礎作業(外国法の日本語訳等) 本研究の対象とする外国法のうち、ドイツ、フランス、イギリス、アメリカ、台湾の各法令については、既に前年度までにほぼ全訳を終えていたが、本年度においては、韓国法(2013年改正法)、中国法、オ-ストリア法、スイス法、ベルギ-法等の日本語訳に着手し、このうち、中国法およびベルギ-法については、ほぼそれを完成させた。
    ②研究会の開催と「立法例比較一覧表」の作成 合計8回の研究会を開催し、研究代表者および連携研究者(10名程度)の報告に基づき数カ国の外国の法制に関する理解を深めるとともに、前年度抽出した比較すべき項目について「立法例比較一覧表」を作成していき、50パ-セント程度完成させた。
    ③海外研究協力者との情報・意見交換及び海外調査の実施 9月の研究会においては海外研究協力者である韓国・朝鮮大学のカン教授と(同研究会には中国からの留学生(新潟大学)である高建氏も参加し報告)、12月の研究会においては同じく海外研究協力者であるインスブルック大学のホイブライン教授と情報・意見交換会を行った(同研究会には法務省の立法担当者もオブザ-バ-として参加)。また、2月には、ベルギ-法制等の調査のためリエ-ジュ大学法学部等を訪問しル-コック教授等と情報・意見交換をした。

  • ホリスティックアプローチによる分譲集合住宅団地の減築・再生技術の開発

    科学研究費助成事業(千葉大学)  科学研究費助成事業(基盤研究(B))

    研究期間:

    2005年
    -
    2008年
     

     概要を見る

    本研究では、高齢化、老朽化が進む郊外分譲集合住宅団地の建物の再生手法、将来の団地の管理の在り方を、ホリスティック・アプローチ(包括的、総合的、全体的)を重視して、課題の整理、提案の作成、検証等を行うことにより示した。建物の再生方法については「修繕」「改修」「建替え」といった再生手法を、区分所有者の希望に合わせて選択可能な「棟別再生」の有用性を示した。将来の団地の管理の在り方について、現状の課題と人口減少時代の郊外居住地を見据え、「経営管理」の概念を提起し、管理を超えたエリアマネジメントの必要性とその可能性を指摘した。

  • ホリスティックアプローチによる分譲集合住宅団地の減築・再生技術の開発

    科学研究費助成事業(千葉大学)  科学研究費助成事業(基盤研究(B))

    研究期間:

    2005年
    -
    2008年
     

     概要を見る

    本研究では、高齢化、老朽化が進む郊外分譲集合住宅団地の建物の再生手法、将来の団地の管理の在り方を、ホリスティック・アプローチ(包括的、総合的、全体的)を重視して、課題の整理、提案の作成、検証等を行うことにより示した。建物の再生方法については「修繕」「改修」「建替え」といった再生手法を、区分所有者の希望に合わせて選択可能な「棟別再生」の有用性を示した。将来の団地の管理の在り方について、現状の課題と人口減少時代の郊外居住地を見据え、「経営管理」の概念を提起し、管理を超えたエリアマネジメントの必要性とその可能性を指摘した

  • 国民が望み納得する民事紛争の法的解決等に関する調査研究

    科学研究費助成事業(千葉大学)  科学研究費助成事業(基盤研究(C))

    研究期間:

    2005年
    -
    2007年
     

     概要を見る

    本研究は、民事上の日常的・基本的な紛争において、《より多くの国民が望み納得する解決》をアンケート調査等を通じて統計的に明らかにし、その結果を踏まえて、わが国の立法、判例、学説を検証することを目的とするものである。以下の1、2に記載の調査・研究を通じて、以下の3のような研究成果をあげた。
    1.アンケート調査項目の選定及びアンケートの実施 不動産の取引、不動産の利用、動産の取引及び不当利得に関する15項目の具体的紛争事例を設定して、千葉大学、早稲田大学、明治学院大学、白鴎大学、平成国際大学、明海大学において、約1500名の学生に対して、望ましい法的紛争解決についての意向・意識調査を実施した。
    2.アンケート調査項目に関する立法・判例・学説及び外国法の調査・研究 上記アンケート項目に関するわが国の立法の経緯、判例、学説等の状況及び外国(ドイツ、フランス、イギリス等)の立法・判例・学説等の状況について文献にて調査・研究をした。また、平成18年9月には、ドイツのベルリン大学及びゲッチンゲン大学にて、本研究に関連するテーマについて、ドイツの研究者及び実務家と意見交換をした。
    3.アンケート調査結果の分析と総合的考察 上記1のアンケート調査を集計・分析し、また、上記2の調査結果を踏まえて、各調査項目に係る法律紛争について、《より多くの国民が望み納得する解決》とは何かという観点から、わが国の立法、判例、学説を検証し、それらの問題点・課題を指摘し、今後のあるべき方向性を明らかにした。ただ、いくつかの点については、本研究の今後に残された課題とした。

  • 国民が望み納得する民事紛争の法的解決等に関する調査研究

    科学研究費助成事業(千葉大学)  科学研究費助成事業(基盤研究(C))

    研究期間:

    2005年
    -
    2007年
     

     概要を見る

    本研究は、民事上の日常的・基本的な紛争において、《より多くの国民が望み納得する解決》をアンケート調査等を通じて統計的に明らかにし、その結果を踏まえて、わが国の立法、判例、学説を検証することを目的とするものである。以下の1、2に記載の調査・研究を通じて、以下の3のような研究成果をあげた。
    1.アンケート調査項目の選定及びアンケートの実施 不動産の取引、不動産の利用、動産の取引及び不当利得に関する15項目の具体的紛争事例を設定して、千葉大学、早稲田大学、明治学院大学、白鴎大学、平成国際大学、明海大学において、約1500名の学生に対して、望ましい法的紛争解決についての意向・意識調査を実施した。
    2.アンケート調査項目に関する立法・判例・学説及び外国法の調査・研究 上記アンケート項目に関するわが国の立法の経緯、判例、学説等の状況及び外国(ドイツ、フランス、イギリス等)の立法・判例・学説等の状況について文献にて調査・研究をした。また、平成18年9月には、ドイツのベルリン大学及びゲッチンゲン大学にて、本研究に関連するテーマについて、ドイツの研究者及び実務家と意見交換をした。
    3.アンケート調査結果の分析と総合的考察 上記1のアンケート調査を集計・分析し、また、上記2の調査結果を踏まえて、各調査項目に係る法律紛争について、《より多くの国民が望み納得する解決》とは何かという観点から、わが国の立法、判例、学説を検証し、それらの問題点・課題を指摘し、今後のあるべき方向性を明らかにした。ただ、いくつかの点については、本研究の今後に残された課題とした。

  • 区分所有法制の国際比較-現行区分所有法の立法的提言のために-

    科学研究費助成事業(千葉大学)  科学研究費助成事業(基盤研究(C))

    研究期間:

    2001年
    -
    2003年
     

     概要を見る

    本研究は、わが国の区分所有法制を国際比較の中で位置づけた上で(特に、わが国の法制が比較法的にみて特異な点を明らかにした上で)、わが国の区分所有法制に関して解釈上および立法上の提案をすることを目的とするものである。国際比較の対象は、ドイツ、フランス、アメリカ、イギリスを中心としつつ、事項(対象項目)によっては、その他の外国の立法例(イタリア、ニュージーランド、ブラジル、韓国、台湾等)にも及んだ。比較の対象とした項目は、区分所有法制のほぼ全般にわたるが、これを大きく、(1)区分所有関係の設定・成立、(2)専有部分・共用部分の範囲、(3)管理の組織(区分所有者の団体、集会、規約、管理者)、(4)修繕、復旧、建替えおよび解消に分けて、順次検討した。本研究の結果、(1)については、諸外国では、分譲者があらかじめ区分所有権を設定し、また、区分所有関係の内容を定めて、その旨を宣言したり(アメリカ等)、公示(登記)したりする(ドイツ等)立法例が多く見られるが、日本法では、そうではなく、個別の分譲契約を通じて区分所有権が設定され、その後に区分所有関係の内容が形成されること、(2)については、諸外国では、分譲者等があらかじめ規約等で専有部分および共用部分の範囲を任意に定め得る立法例が多く見られるが、日本法では、そうではなく、両者の範囲は建物の構造上当然に決まり任意に決められるものではないとしていること、(3)については、立法例として管理者方式(ドイツ、フランス等)と管理組合方式(アメリカ等)とがあるが、日本では、立法は前者の方式をとるが、現実には後者の方式をとっていること、(4)については、諸外国では日本法のような多数決による建替え制度を有している立法例はなく、「再建(復旧と建替えとを含む)」・「解消(終了)」の制度が一般的であること等を明らかにした。これらを踏まえて、わが国の法制に対し若干の解釈上・立法上の提案をした

  • 区分所有法制の国際比較-現行区分所有法の立法的提言のために-

    科学研究費助成事業(千葉大学)  科学研究費助成事業(基盤研究(C))

    研究期間:

    2001年
    -
    2003年
     

     概要を見る

    本研究は、わが国の区分所有法制を国際比較の中で位置づけた上で(特に、わが国の法制が比較法的にみて特異な点を明らかにした上で)、わが国の区分所有法制に関して解釈上および立法上の提案をすることを目的とするものである。国際比較の対象は、ドイツ、フランス、アメリカ、イギリスを中心としつつ、事項(対象項目)によっては、その他の外国の立法例(イタリア、ニュージーランド、ブラジル、韓国、台湾等)にも及んだ。比較の対象とした項目は、区分所有法制のほぼ全般にわたるが、これを大きく、(1)区分所有関係の設定・成立、(2)専有部分・共用部分の範囲、(3)管理の組織(区分所有者の団体、集会、規約、管理者)、(4)修繕、復旧、建替えおよび解消に分けて、順次検討した。
    本研究の結果、(1)については、諸外国では、分譲者があらかじめ区分所有権を設定し、また、区分所有関係の内容を定めて、その旨を宣言したり(アメリカ等)、公示(登記)したりする(ドイツ等)立法例が多く見られるが、日本法では、そうではなく、個別の分譲契約を通じて区分所有権が設定され、その後に区分所有関係の内容が形成されること、(2)については、諸外国では、分譲者等があらかじめ規約等で専有部分および共用部分の範囲を任意に定め得る立法例が多く見られるが、日本法では、そうではなく、両者の範囲は建物の構造上当然に決まり任意に決められるものではないとしていること、(3)については、立法例として管理者方式(ドイツ、フランス等)と管理組合方式(アメリカ等)とがあるが、日本では、立法は前者の方式をとるが、現実には後者の方式をとっていること、(4)については、諸外国では日本法のような多数決による建替え制度を有している立法例はなく、「再建(復旧と建替えとを含む)」・「解消(終了)」の制度が一般的であること等を明らかにした。これらを踏まえて、わが国の法制に対し若干の解釈上・立法上の提案をした。

  • 区分所有建物の部分建替えシステムの開発・整備

    科学研究費助成事業(東北大学)  科学研究費助成事業(基盤研究(B))

    研究期間:

    2000年
    -
    2002年
     

     概要を見る

    本研究は区分所有建物(通常、マンション)の老朽化に伴う建替えの必要性に対して、現実には建替えが困難な建物が大多数を占めると予測される事態に対して、1棟の建物を存置したまま区分所有建物の改造・再生を図る方法を解明するものである。なお平成14年度はマンションの建替えに関わる法律の制定・改正が行われ、これまでの検討結果との整合性や今後の展開等を含む論点整理と現実の調査結果に基づく検証を行った。その結果、(1)2戸1化や3戸2戸化のような床面積増加型改善と無隔壁区分所有の法的考え方を「開放可能隔壁」という概念で扱うことを提案した。また、3戸2戸化に出現する新たな隔壁(新設隔壁)についての法的考え方を提案した。(2)建物の増築可能性の様々なタイプを検証し、法的及び現実の手続きを定式化した。特に、従来の居室増築型の増築が有する耐用年数上の問題を回避するために、別棟増築システムを提案すると共に、EVホール増築のようなバリアフリー型改善増築に対する法的解釈を提案した。(3)事務所ビルをマンションに変える等のコンバージョンを対象として研究した。まず、コンバージョンを建物の支配的用塗の変更と所有形態変更から分類し、建物全体と部分のコンバージョンについて類型化を行い、法的考え方を整理すると共にその可能性を解明した。(4)現実の改造・改修・コンバージョンの事例を分析し、それぞれのシステムが有する部分建替えへの適用可能性と問題を整理した。(5)老朽化し空家の増加したマンションにおいて住戸の閉鎖等による「建物の減築」を行うことによって延命を図る方法について法的可能性を検討した。(6)諸外国における区分所有法制度を調査し、区分所有建物の部分建替えに関わる法制度を整理分析し、我が国の区分所有法制への適用可能性を明らかにした

  • 区分所有建物の部分建替えシステムの開発・整備

    科学研究費助成事業(東北大学)  科学研究費助成事業(基盤研究(B))

    研究期間:

    2000年
    -
    2002年
     

     概要を見る

    本研究は区分所有建物(通常、マンション)の老朽化に伴う建替えの必要性に対して、現実には建替えが困難な建物が大多数を占めると予測される事態に対して、1棟の建物を存置したまま区分所有建物の改造・再生を図る方法を解明するものである。なお平成14年度はマンションの建替えに関わる法律の制定・改正が行われ、これまでの検討結果との整合性や今後の展開等を含む論点整理と現実の調査結果に基づく検証を行った。その結果、(1)2戸1化や3戸2戸化のような床面積増加型改善と無隔壁区分所有の法的考え方を「開放可能隔壁」という概念で扱うことを提案した。また、3戸2戸化に出現する新たな隔壁(新設隔壁)についての法的考え方を提案した。(2)建物の増築可能性の様々なタイプを検証し、法的及び現実の手続きを定式化した。特に、従来の居室増築型の増築が有する耐用年数上の問題を回避するために、別棟増築システムを提案すると共に、EVホール増築のようなバリアフリー型改善増築に対する法的解釈を提案した。(3)事務所ビルをマンションに変える等のコンバージョンを対象として研究した。まず、コンバージョンを建物の支配的用塗の変更と所有形態変更から分類し、建物全体と部分のコンバージョンについて類型化を行い、法的考え方を整理すると共にその可能性を解明した。(4)現実の改造・改修・コンバージョンの事例を分析し、それぞれのシステムが有する部分建替えへの適用可能性と問題を整理した。(5)老朽化し空家の増加したマンションにおいて住戸の閉鎖等による「建物の減築」を行うことによって延命を図る方法について法的可能性を検討した。(6)諸外国における区分所有法制度を調査し、区分所有建物の部分建替えに関わる法制度を整理分析し、我が国の区分所有法制への適用可能性を明らかにした

  • 地域と生態環境

    科学研究費助成事業(愛媛大学)  科学研究費助成事業(重点領域研究)

    研究期間:

    1993年
    -
    1996年
     

     概要を見る

    本年度は、地域を生態諸過程と社会諸過程の相互作用系として総合的にとらえることに命題をおき、生態過程、社会過程の解析的な手法をふまえ、生態、地理、気候など生態諸過程の解明、人類社会、法制など社会諸過程の解明などの研究手法を昇華してえた相互作用系解明の手法による具体的な生態単位抽出をおこなった。
    平成9年2月15日-16日に松山において、「地域と生態環境」最終とりまとめについて研究会を開催した。研究会では、重点領域研究の最終段階のしあげとして、地域解明のための研究手法がどの程度有功であるか、抽出した生態単位によって検証する作業をおこない、またそのような作業を通じて生態および社会の相互規範性を理論化することにとって相互作用系のもつ相互規定規範としての生態倫理確立を試みた。

  • 地域と生態環境

    科学研究費助成事業(愛媛大学)  科学研究費助成事業(重点領域研究)

    研究期間:

    1993年
    -
    1996年
     

     概要を見る

    本年度は、地域を生態諸過程と社会諸過程の相互作用系として総合的にとらえることに命題をおき、生態過程、社会過程の解析的な手法をふまえ、生態、地理、気候など生態諸過程の解明、人類社会、法制など社会諸過程の解明などの研究手法を昇華してえた相互作用系解明の手法による具体的な生態単位抽出をおこなった。平成9年2月15日-16日に松山において、「地域と生態環境」最終とりまとめについて研究会を開催した。研究会では、重点領域研究の最終段階のしあげとして、地域解明のための研究手法がどの程度有功であるか、抽出した生態単位によって検証する作業をおこない、またそのような作業を通じて生態および社会の相互規範性を理論化することにとって相互作用系のもつ相互規定規範としての生態倫理確立を試みた

▼全件表示

 

現在担当している科目

▼全件表示

 

他学部・他研究科等兼任情報

  • 法学学術院   法学部

  • 政治経済学術院   政治経済学部

  • 商学学術院   商学部

  • 法学学術院   大学院法学研究科

特定課題制度(学内資金)

  • 区分所有法の改正提案事項に関する研究

    2022年  

     概要を見る

     本特定課題研究は、国内外の研究者・行政機関・法曹等実務家の協力を得て実施してきた10数年にわたる科学研究費補助研究における諸外国の区分所有法制(ドイツ、フランス、アメリカ、イギリス、スイス、オ-ストリア、ベルギー、ギリシャ、オ-ストラリア、韓国、中国、台湾等)の比較研究の成果に基づき、わが国の区分所有法制のあり方を考察するものである。この点については、2022年10月より、法務省法制審議会にて区分所有法改正の審議がなされており、本研究助成金支給者である鎌野も同審議に加わっている。 本助成に係る調査研究を通じて得られた成果は、次の①~③のとおりである。 ①現行制度による5分の4以上の特別多数決議による建替えについては、これまでの建替えの実績をみると(270件)、その大部分が、余剰容積を活用して新規分譲に係る新たな専有部分を総出し、それを分譲する事業者の参加のもとで、区分所有者の費用負担を低減化することによって、建替えの合意形成が成立したものである。しかし、高経年マンション等では多くの高齢者がいることも考慮すると、今日、十分な余剰容積がある区分所有建物はごく僅かであり、5分の4以上の合意形成を要する建替えは極めて困難であると考えられる。しかし、高経年ないし老朽化のマンション等(現行の耐震基準を充足しない区分所有建物も含む)が増加する状況において、このような建物をそのまま放置することは適切ではなく、円滑な建替えのためには、多数決議要件を現行の5分の4以上から4分の3以上に引き下げるべきであると考える。しかし、賛成区分所有者の側(参加事業者を含む)は、非賛成区分所有者の専有部分等を時価で買い取らなければならないことから、これ以上の引き下げは適切でないと考える。 ②上記の建替えについて、①で述べたように多数決要件を4分の3以上に引き下げた場合でも、実際には相当困難であると思われる。そこで、まずは、現存の区分所有建物を、適切に管理し、また適宜改良(変更)をして、できるだけ長寿命化させることが必要である。そのためには、管理および変更が円滑に進むような集会における多数決議要件を引き下げることが求められる。さらに、現行法制では、全員の合意が必要である「一棟リノベ-ション」(建物の躯体は維持して、共用部分と専有部分を改良する手法)を、建替えと同様の多数決要件で実施できるような法改正が求められる。 ③ただ、上記の長寿命化についても、そのための費用負担との関係で、当該長寿命化が区分所有者にとって過分のものとなることがあり得る。そのような場合には、現行制度では、被災区分所有法とマンション建替え等円滑化法に認められている多数決議による「解消制度」(建物敷地売却等)を導入する必要があると考える。

  • 都市再開発と区分所有法制

    2021年  

     概要を見る

    本特定課題研究は、わが国の都市再開発における区分所有法制のあり方を考察するものである。本研究を通じて得られた成果は、次のとおりである。①今日の都市の在り方は、SDGsでいう「住み続けられるまちづくり」および「持続可能な人間居住」でなければならない。②この点は、わが国の再開発事業についても当てはまる。③再開発事業において再開発後の建物は区分所有建物であり、その用途は、店舗・事務所・住宅等と多岐にわたる。その権利の調整は区分所有法に基づくが、その区分所有者間の管理(共用部分等の変更を含む。)は円滑になされるのか、将来、建物の更新(建替え等)は円滑になされるのか、そのためにはどのような方策が採られるべきかが課題となる。

  • マンション及びマンション法制の持続可能性に関する研究

    2020年  

     概要を見る

      本特定課題研究は、現在、研究助成を受けている科研費(「マンション区分所有法制の再構築-マンション法制の国際比較研究の成果を踏まえて-」(2018年度~2020年度)に関連して、「マンションとマンション法制の持続可能性」を対象にした。その結果、(1)マンションには建物としての寿命があることから、その法制には、建物の建替えと解消の制度を用意する必要があること、(2)現行区分所有法は、前者のみを定め、後者を用意していないから「持続可能な法制」とはいえないこと、(3)都市部の居住用途を含む巨大な再開発区分所有建物は、「管理」、「更新」及び「売却」を円滑になし得る「持続可能な開発」とはいえないのではないかということを明らかにした。 &nbsp;

  • 団地法制の再構築-老朽団地の再生手法の法的考察-

    2019年  

     概要を見る

    &nbsp;&nbsp; 本特定課題研究においては、現在、研究助成を受けている科研費(「マンション区分所有法制の再構築-マンション法制の国際比較研究の成果を踏まえて-」2018年度~2020年度)に関連する課題として、「団地型マンションの老朽化に伴う再生」にテ-マを絞り、(1)日本の現行の団地法制の課題を現行法の解釈上の課題と立法上の課題に分けて整理し、(2)これまでの比較法研究を踏まえて検討を行い、(3)わが国の法制の当面の立法的課題と近い将来の課題とに分けて一定の立法的提言を行った。その提言は、当面は、現行法制の延長線として被災や耐震不足の団地マンションに限定して、「団地敷地の分割」や「団地内建物・敷地売却」の立法措置を講ずることもやむを得ないが、近い将来においては、それらの場合に限定せずに、これらの制度を立法化すべきであるとした。

  • マンション区分所有法制の再構築-マンション法制の国際比較研究の成果を踏まえて-

    2018年   カライスコス・アントニオス

     概要を見る

    本特定課題研究は、科研費による研究を補完する形でこれと一体的に行った。そこにおいては、わが国のマンションの実態を把握するために、各種の統計資料を整理し、また、関連する分野の研究者や実務家に対するヒアリング調査を実施した。同調査により、経年・老朽マンションの建替えは、費用負担等の理由から極めて困難であることから、現行法制下では、当面はマンションの長寿命化に努めざるを得ないが、今後は、長寿命化後のマンション敷地売却を可能とする立法が必要であるとの結論(暫定案)を得た。外国法制の調査としては、ギリシャでのヒアリング調査を行い、ヨ-ロッパ法制の多様性を認識し、また、日本の小規模マンションの問題解決のための示唆を得ることができた。

  • マンション法制の東アジア法と欧米法の比較-ドイツ・ギリシャの管理及び再生との比較-

    2017年   鎌野邦樹

     概要を見る

    &nbsp; 本特定課題研究では、科研費に係る「東アジア4カ国のマンション法制の比較と課題」を補完する目的で、東アジア法と欧米法のマンションの管理システム及び老朽化の対応について、比較検討を行った。東アジア法に関しては、台湾法につき陳苑女教授(台湾清華大学)から、中国法につき権承文教授(浙江工商大学)から、ベルギ-につきルコック教授(リエ-ジュ大学)から、最新の情報を得るとともに、意見交換を行った。それらから、台湾と中国では駐車場の権利関係が大きな問題となっていること、ベルギ-では現在進行中の法改正の議論において「建替え」が議論されていること等が明らかになった。その成果は、一部は論文にてすでに公刊し、一部は近く公刊する予定である。

  • 東アジアと欧米のマンション法制の比較研究-フランス等の再生法制との比較を中心に-

    2016年   寺尾 仁, 岡田康夫, 周藤利一

     概要を見る

     本特定課題研究は、科学研究費助成研究「東アジア4ヵ国のマンション法制の比較と課題ー欧米法との比較を踏まえてー」(申請者が研究代表者)を補完するものとしてして実施した。本特定課題研究では、日本の法制上の課題を考える素材として、欧米法については、連携研究者の協力を得て、フランスとオーストラリアのマンション法制を考察をし、アジア法については、韓国と台湾のマンション法を考察した。2016年度においては、欧米にての現地調査は実施しなかったが、韓国には9月、台湾には3月に、現地調査を実施した。

  • 東アジア4カ国のマンション法制の比較と課題-欧米・日本と韓国との比較を中心に-

    2015年  

     概要を見る

     本特定課題研究は、科学研究費助成研究「東アジア4ヵ国のマンション法制の比較と課題ー欧米法との比較を踏まえてー」(2015年度~2017年度)を補完ないし一体化して実施するものである。本特定課題研究においては、特に、日本と韓国の「都市再生」との関連で日本と韓国のマンション法制の比較を海外研究協力者(カン・ショクシン朝鮮大学法科大学校教授)の協力を得て行った。具体的には、2015年10月31日に韓国・釜山の東義大学校法政大学で開催された「日・韓土地法学術大会」を活用して、特に、「日韓両国の老朽化マンションの再生(維持・改良・リモデリング・建替え・解消=マンション敷地売却)」について調査研究を行い、報告をした(研究成果下掲)。

  • マンション法の欧米・韓国・日本の比較研究―マンション法の国際学術研究拠点の形成のための基礎研究―

    2010年  

     概要を見る

     本研究は、2010年秋に申請を予定していた日本学術振興会・アジア・アフリカ学術基盤形成事業、または同・科学研究費助成・基盤研究(B)の基礎作業として、第1に、わが国におけるマンション法の若手・中堅研究者を組織化してマンション法の比較法研究のネットワ-クを構築すること、第2に、比較研究の対象を欧米(ドイツ、フランス、アメリカ、イギリス等)だけではなく、韓国等のアジアにも拡大することとし、そのためには韓国の研究者との継続的な共同研究態勢を形成することを目的とした。2010年秋には予定どおり、科学研究費助成・基盤(B)に、「マンションの維持・改良・建替え及び管理に関する10カ国の比較法研究」との課題名にて申請をしたが、採用には至らなかった。しかし、本研究の目的のうち、第1の点に関しては、全国の研究機関に属する研究協力者8名の参加を得て期間中に5回の研究会を開催するなどし、第2の点に関しては、韓国・朝鮮大学のカン・ショクシン教授の参加を得て期間中に2回の研究会を開催し、また、インタ-ネットを利用した意見交換を行うなど、当初の本研究の目的を達成したと考えている。その証左として、第1の点に関しては、2011年2月に、法務省より、将来の立法の基礎とするために、本研究組織に属する7名を構成員とする「老朽化区分所有建物に関する外国法制検討会」の開催を依頼され、法務省立法担当者の参加のもとに2回の会合を実施した。第2の点に関しては、韓国法務省集合建物法改正委員会及び韓国民事法学会より、本研究成果(マンション法の比較研究)の報告を、2011年6月にソウル(法務省)および釜山(民事法学会)にて行う旨の依頼を研究代表者が受けた。本研究の成果は複数あるが(下記「研究成果発表」参照)、その最大のものは、マンションの建替え及び解消(一括売却による処分)に関する法制度については、各国各様の制度があり(例えば、建替え制度は日本と韓国にしか存在せず、また、両国でもその内容が異なる。ドイツやフランスでは解消制度はないが、イギリスやアメリカにはこれが存在する。ただ、その内容および実態は各国各様である。)、各国それぞれに課題を抱えているという点を明らかにしたことである。 2011年度の科学研究費助成・基盤(B)が不採用に至った理由は必ずしも明らかではないが、考察の対象を広げすぎたために焦点がぼけたことや、研究組織が大きくなり過ぎたことなどが考えられる。これらの点を検討しつつ、本研究の成果を踏まえて、2011年秋には、再度、同申請を行いたいと考えている。  

  • マンション法の国際比較のための方法論・組織論に関する研究

    2009年  

     概要を見る

    本研究は、2009年10月に申請を予定していた日本学術振興会「アジア・アフリカ学術基盤形成事業」(2010年4月より3年間)のための基礎作業として、マンション法の国際比較研究のための方法論および組織論について調査研究することを目的としていたところ、同申請は2010年度分としては採用されなかったが、本研究の目的はおおかた達成できた。したがって、本研究の成果に基づき、2010年10月に、再度、同申請をおこなうか、または科学研究費・基盤研究(B)の申請を行う予定である(なお、本研究をさらに展開させる研究につき、2010年度においても特定課題研究助成費の交付の決定を受けたところである)。 本研究により得られた成果は、次のとおりである(以下、申請時の「研究目的」の記述にほぼ対応させて述べる)。 (1) マンション法の国際比較研究の対象となる諸国の法令および関連資料の収集および整理については、欧米(イギリス、ドイツ、フランス、アメリカ、イタリア、ギリシャほか約20か国)のほか、アジア・アフリカ地域について約10か国(南アフリカ、韓国、中国、台湾、シンガポ-ル、オ-ストラリア、ニュ-ジ-ランド等)に関して行った。 (2) マンション法の比較についての方法論については、やはり法系・法圏(英米法系と大陸法系、さらに大陸法系でも例えばドイツ法系とフランス法系等)の枠組みを基礎とし、そして、アジア・アフリカ法の理解についても、欧米法の継受という視点が有益であるという点を確認することができた。ただ、制定時のマンション法が改正させた場合には、各国独自の展開があることがいくつかの諸国(日本、韓国等)において明らかとなった。また、このような体系的な法の比較という理論的側面の解明と共に、各国の法制度の性格いかにかかわらず、現実には各国でほぼ共通する法律問題・法律紛争が存在すること(修繕と改良の区別、管理費の滞納、管理の停滞、複合型マンションの管理問題、建替えと解消、簡易迅速な紛争解決の模索等)が明らかになった。今後の比較研究のひとつの柱は、各国に共通する問題・紛争についての機能的な比較および共通に効果的な制度の発見にあることが明らかになった。 (3) マンション法の比較研究の組織・体制の構築に関しては、南アフリカ・ステレンボッシュ大学教授のVan Der Merwe 教授との協議(2009年10月に滞在先のイギリス・アバディ-ン大学を訪問)、およびカン・ヒョクシン教授(韓国)や権承文教授(中国)の訪日の機会において、今後の継続的・組織的な共同研究を約すると共に、すでに上記の点などについて意見交換をし共同研究に着手した。

▼全件表示