2023/12/01 更新

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サイトウ ジュンイチ
齋藤 純一
所属
政治経済学術院 政治経済学部
職名
教授
学位
修士

経歴

  • 2010年
    -
    2011年

    ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)客員研究員

  • 2004年
    -
     

    早稲田大学政治経済学部教授

  • 2000年
    -
     

    横浜国立大学経済学部教授

  • 2000年
    -
     

    横浜国立大学経済学部教授

  • 1994年
    -
    1995年

    プリンストン大学客員研究員

  • 1988年
    -
     

    横浜国立大学経済学部助教授

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所属学協会

  •  
     
     

    社会思想史学会

  •  
     
     

    政治思想学会

  •  
     
     

    日本政治学会

研究分野

  • 政治学

研究キーワード

  • 政治理論、政治思想史

受賞

  • 政治研究櫻田会奨励賞

    2010年02月  

  • 小野梓記念学術賞

    1984年03月  

 

論文

  • 政治的空間における理由と情念

    齋藤純一

    『思想』   1033  2010年04月

  • 書評、吉原直樹著 『モビリティと場所----21世紀都市空間の転回』

    齋藤純一

    社会学研究   86 ( 86 ) 147 - 151  2009年11月

    CiNii

  • 感情に作用する政治について

    齋藤純一

    世界   795   102 - 108  2009年08月

  • 新しい社会保障の理念をめぐって-----プロテクションからプロモーションへ

    齋藤純一

    駒村・菊池編 『希望の社会保障改革』    2009年03月

  • 排除に抗する社会統合の構想

    齋藤純一

    日本政治学会編『年報政治学2007-Ⅰ』    2007年12月

  • ロールズとハーバーマスの政治的統合をめぐって

    齋藤純一

    杉田敦編 『岩波講座憲法(4) ネーションと市民』岩波書店    2007年06月

  • 市民社会を「まもる」二つの道

    齋藤純一

    日本政治学会共通論題「民主主義と安全保障──日本と東アジアから考える」    2006年07月

  • 現代日本における格差/分断と正義

    齋藤純一

    日韓政治思想学会第5回共同学術会議(ソウル大学)    2006年05月

  • 社会の持続可能性について

    齋藤純一

    思想   ( 983 ) 2 - 5  2006年03月

  • 山脇直司『公共哲学とは何か』

    齋藤純一

    公共的良識人   2004年9月1日  2004年09月

  • メディアと公共性をめぐって

    齋藤純一

    放送メディア研究   2  2004年06月

  • シティズンシップの政治学(岡野八代)

    齋藤純一

    インパクション   140  2004年03月

  • 福祉国家/社会的連帯の理由

    齋藤純一編著

    ミネルヴァ書房    2004年03月

  • 坪郷實編『新しい公共空間をつくる——市民活動の営みから』

    齋藤純一

    『地域開発』   473号  2004年02月

  • 共感/憐れみ/連帯──感情と政治の間

    齋藤純一

    思想   958  2004年02月

  • 依存する他者へのケアをめぐって−非対称性における自由と責任

    齋藤純一

    年報政治学2003    2003年12月

  • 公共性と自由/セキュリティ

    齋藤純一

    社会経済システム学会(第22回大会)    2003年11月

  • 「環境運動と新しい公共圏」

    齋藤純一

    環境と公害   33 ( 2 )  2003年10月

  • グローバル化のなかでのセキュリティ/公共性

    齋藤純一

    ピープルズ・プラン   24  2003年09月

  • 愛国心「再定義」の可能性を探る

    齋藤純一

    論座    2003年09月

  • H.アーレント/B.ホーニッグ/A. リッチおよび N.フレイザー/I.M. ヤング/S. ベンハビブ

    齋藤純一

    竹村和子編『"ポスト"フェミニズム』/作品社    2003年08月

  • 親密圏のポリティクス

    齋藤純一

    ナカニシヤ出版    2003年08月

  • 生活のセキュリティに向けて

    齋藤純一

    地方自治——職員研修   35;10  2002年10月

  • アーレント政治思想集成1・2(ハンナ・アーレント)

    齋藤純一

    みすず書房    2002年10月

  • 思考をひらく−分断される世界のなかで

    齋藤純一

    岩波書店    2002年02月

  • 全体主義の起源(ハンナ・アーレント)

    齋藤純一

    ナショナリズムの名著(大澤真幸編)/平凡社    2002年01月

  • 現代日本における公共性の言説をめぐって

    齋藤純一

    日本における公と私(佐々木毅・金泰昌編)/東京大学出版会    2002年01月

  • 「第三の道」と社会の変容−社会民主主義の思想的「危機」をめぐって

    齋藤純一

    年報政治学2001    2002年01月

  • 社会の分断とセキュリティの再編

    齋藤純一

    思想   925  2001年06月

  • 分断化する社会と生の保障(シンポジウム−法と倫理、分科会−生活世界の倫理・市場の倫理)

    齋藤純一

    法社会学会(御茶ノ水女子大学)    2001年05月

  • 公共圏、市民的不服従、積極的抵抗、抵抗・不服従の4項目

    齋藤純一

    政治学事典(猪口孝他編)    2000年11月

  • 偶然性・アイロニー・連帯−リベラル・ユートピアの可能性(リチャード・ローティ)

    齋藤純一

    岩波書店    2000年10月

  • 集団と所有−生の所有から生の保障へ

    齋藤純一

    所有のエチカ(大庭健・鷲田清一編)/ナカニシヤ出版    2000年10月

  • 社会国家の変容をめぐって(シンポジウム−「社会国家」ドイツの21世紀)

    齋藤純一

    ドイツ学会(明治大学)    2000年06月

  • アーレント

    齋藤純一

    経済思想史事典(経済学史学会編)/丸善書店    2000年06月

  • 社会的なものと公共圏(共通論題−アイデンティティ・セクシュアリティ・公共圏)

    早稲田社会学会(早稲田大学)    1999年07月

  • 政治的責任の二つの位相−集合的責任と普遍的責任

    戦争責任と「われわれ」−「歴史主体」論争をめぐって(安彦一恵・魚住洋一・中岡成文編)/ナカニシヤ出版    1999年06月

  • もう一つの共生の次元へ−他者への自由(井上達夫)

    創文    1999年05月

  • 公共性の複数の次元−生の保障/現われ

    現代思想   27;5  1999年05月

  • 政治理論と系譜学的反省の接合−権力の系譜学(杉田敦)

    レヴァイアサン   24  1999年03月

  • 市民社会、アゴーンとアゴラ、規律権力、公と私の4項目

    自由・権力・ユートピア(井上達夫編)/岩波書店    1998年10月

  • アイデンティティ/差異−他者性の政治(ウィリアム・コノリー)

    岩波書店    1998年10月

  • 敗北の二十世紀(市村弘正)

    週刊読書人    1998年05月

  • 民主主義の意味の危機(ディヴィット・トレンド)

    ラディカル・デモクラシー(D・トレンド編、佐藤正志・飯島昇藏・金田耕一訳者代表)/三嶺書房    1998年04月

  • コミュニタリアニズム、全体主義、公共性の3項目

    哲学・思想事典(廣松渉・三島憲一他編)/岩波書店    1998年03月

  • デモクラシーを生きる(宇野重規)

    週刊読書人    1998年03月

  • 丸山眞男における多元化のエートス

    思想   883  1998年01月

  • 死者への哀悼/経験の声−加藤典洋『敗戦後論』に触れて

    みすず   440  1997年11月

  • 多元的デモクラシーの展望

    月刊フォーラム    1997年08月

  • 表象の政治/現われの政治

    現代思想(アーレント特集号)   25;8  1997年07月

  • 現われと聴取の政治−Political Attentionの問題(共通論題−政治的なものをめぐって

    政治思想学会(国際基督教大学)    1997年05月

  • 歓待のユートピア(ルネ・シェレール)

    インパクション   101  1997年02月

  • 現われの政治−アーレントとフーコー

    社会思想史学会(立正大学)    1996年10月

  • [増補]「名づけ」の精神史(市村弘正)

    現代詩手帖    1996年09月

  • 民主主義と複数性

    思想(ラディカル・デモクラシー特集号)   867  1996年09月

  • 政治理論とポスト・モダニズム(スティファン・K・ホワイト)

    週刊読書人    1996年07月

  • 藤田省三小論集1・2(藤田省三)

    週刊読書人    1996年04月

  • いま、ハンナ・アーレントから学ぶ−20世紀的経験の根底から考える

    本の花束    1996年02月

  • ハーバマス−批判理論の転回と討議的民主主義の展望

    西洋政治思想史Ⅱ(藤原保信・飯島昇藏編)/早稲田大学出版部    1995年12月

  • 政治と徳−コンフォーミズムとアゴニズム

    徳倫理学の現代的意義(日本倫理学会編)/慶応通信社    1994年10月

  • 過去と未来の間(ハンナ・アーレント)

    みすず書房    1994年09月

  • 政治理論とモダニティー(ウィリアム・コノリー)

    思想   836  1994年01月

  • 政治と徳−コンフォーミズムとアゴニズム(共通論題−徳倫理学の現代的意義)

    日本倫理学会(広島大学)    1993年10月

  • クジラ・マグロ

    マイクロ・エシックス(川本・須藤・水谷・鷲田編)/昭和堂    1993年09月

  • 自由主義

    現代の政治思想(白鳥令・佐藤正志編)/東海大学出版会    1993年04月

  • 遅ればせの革命(ユルゲン・ハーバマス)

    週刊読書人    1992年10月

  • ナショナリズムの二つの概念(アイザイア・バーリン)

    みすず   376  1992年07月

  • イデオロギー(ディヴィッド・マクレラン)

    週刊読書人    1992年06月

  • 思考することと道徳的であること−ハンナ・アーレントの議論に即して

    道徳規範の妥当根拠の総合的究明(溝口宏平研究代表)/科学研究費研究成果報告書    1992年03月

  • 所有、統治、私的、世論等合計7項目

    ヘーゲル事典(加藤尚武・久保陽一他編)/弘文堂    1992年02月

  • 批判的公共性の可能性をめぐって−親密圏のポテンシャル

    モダーンとポストモダーン−政治思想史の再発見Ⅰ/木鐸社    1992年02月

  • モダーンとポスト・モダーン−政治思想史の再発見Ⅰ

    木鐸社    1992年02月

  • フランス革命への対応と政治思想

    政治思想史講義(藤原保信・白石正樹・渋谷浩編)/早稲田大学出版部    1991年11月

  • 実存哲学とは何か(ハンナ・アーレント)

    みすず   344-345  1989年11月

  • 理想の追求をめぐって(アイザイア・バーリン)

    みすず   330  1988年08月

  • イェーナ期ヘーゲルの政治哲学的課題

    思想   762  1987年12月

  • 政治的公共性の再生をめぐって−アーレントとハーバマス

    ハーバマスと現代(藤原保信・三島憲一・木前利秋編)/新評論    1987年10月

  • アーレント(ロナルド・ベイナー)

    自由論の系譜−政治哲学における自由の観念(飯島昇藏・千葉眞訳者代表)/行人社    1987年05月

  • ヘーゲル

    現代に語りかける政治思想史(芹沢功編)/昭和堂    1987年03月

  • 主観性形而上学の克服−イェーナ初期ヘーゲルのフィヒテ哲学批判

    啓蒙政治思想の克服(藤原保信編著)/成文堂    1986年05月

  • ヘーゲル『人倫の体系』研究(1)

    早稲田政治公法研究   18  1986年01月

  • 近代自然法批判と実践哲学の構想−ヘーゲル「自然法」論文の研究(2)

    早稲田政治公法研究   17  1985年10月

  • 近代自然法批判と実践哲学の構想−ヘーゲル「自然法」論文の研究(1)

    早稲田政治公法研究   16  1985年03月

  • 感情と規範的期待----もう一つの公私区分の脱構築

    齋藤純一

    井上達夫編 『社会/公共性の哲学』  

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書籍等出版物

  • ジョン・ロールズ 『政治哲学史講義』Ⅰ・Ⅱ

    共訳 齋藤, 佐藤, 山岡, 高山, 谷澤, 小田川

    岩波書店  2011年09月

  • 社会保障と国家のゆくえ

    共編著 齋藤純一, 宮本太郎, 近藤康史

    ナカニシヤ出版  2011年05月

  • 政治経済学の規範理論

    共編著, 須賀晃一, 齋藤純一

    勁草書房  2011年03月

  • 講座 人権論の再定義(4) 人権の実現

    齋藤純一

    法律文化社  2011年01月

  • 支える----再分配と承認の政治学

    齋藤純一編

    風行社  2011年01月

  • 公共性をめぐる政治思想

    齋藤純一編

    おうふう  2010年10月

  • 公共性の政治理論

    齋藤純一編

    ナカニシヤ出版  2010年04月

  • 社会統合-----自由の相互承認にむけて

    齋藤純一編

    岩波書店  2009年11月

  • 政治と複数性——民主的な公共性にむけて

    齋藤純一

    岩波書店  2008年08月 ISBN: 9784000236782

  • 「正義」、「平等」、「親密圏」、「人種差別/レイシズム」の四項目、岩波『社会思想事典』

    齋藤純一

    岩波書店  2008年03月

  • ドクサ=意見の複数性──ハンナ・アーレントの政治哲学に寄せて、野家啓一編『哲学の歴史』10所収

    齋藤純一

    中央公論新社  2008年03月

  • セキュリティの再編と平和憲法、千葉眞・小林正弥編『平和憲法と公共哲学』所収

    齋藤純一

    晃洋書房  2007年09月

  • マイケル・フォルツァー著『政治と情念——より平等なリベラリズムへ』

    齋藤純一, 谷澤正嗣, 和田泰一訳

    風行社  2006年12月

  • 民主主義、公と私、共通善、公共性、共同体、ワークシェアリングなど計16項目

    齋藤純一

    現代倫理学事典(大庭健編集代表)、弘文堂  2006年11月

  • 気流の鳴る音

    齋藤純一

    岩崎稔・上野千鶴子・成田龍一編『戦後思想の名著50』, 平凡社  2006年02月

  • 自由

    齋藤純一

    岩波書店  2005年12月

  • 表現の<リミット>

    藤野寛との共編著

    ナカニシヤ出版  2005年06月

  • 表現の<リミット>

    藤野寛との共編著

    ナカニシヤ出版  2005年06月

  • 都市空間の再編と公共性

    齋藤純一

    岩波書店 『都市とは何か』(岩波講座「都市の再生を考える」1)  2005年03月

  • 公共性

    齋藤純一

    岩波書店  2000年05月

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共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 「資本主義と民主主義の両立(不)可能性」の政治理論的研究

    研究期間:

    2019年04月
    -
    2024年03月
     

     概要を見る

    本研究は、資本主義と民主主義は今後も両立可能なのか、もし両立可能だとすればどのような形でなのか、というテーマを探究する。これは大きな問題であり、かつての社会科学あるいは政治学の主題の一つだったが、次第に顧みられなくなった。本研究は、このテーマそのものを今日的状況を踏まえつつ復興するとともに、両立可能性と不可能性のあり得る複数のシナリオを政治理論的に解明する。そして、この作業を通じて、「経験的事象に根差した政治理論」研究の新たなモデルの提示を目指す。初年度である本年度は、まず8月に名古屋大学で2日間にわたってキックオフ研究会を開催し、研究代表者の田村が本研究課題の基本的な構想と今後のプランについて説明するとともに、「自由民主主義の再検討」をテーマとしてゲスト・スピーカーを含めた課題提起を聞き討論することで、研究メンバーの間で問題関心および今後の研究の進め方について共有を図った。その後、本研究のテーマをめぐる基本的認識の共有をさらに深め、このテーマへの接近方法を検討するために、ゲスト・スピーカーを招聘しての研究会を12月と1月に開催した。12月には、板橋拓己氏(成蹊大学)による「ミュラー『試される民主主義(上)(下)』について」および網谷龍介氏(津田塾大学)による「戦後デモクラシーの青写真・現実・『モデル』――政治学による紋切型の創出について」というテーマでの報告を基に議論を行った。1月には、松尾隆佑氏の『ポスト政治の政治理論』についての合評会形式の研究会を開催し、ゲスト・スピーカーの内田智氏(早稲田大学)と早川誠氏(立正大学)による報告をもとに議論を行った。田村は、2019年9月に開催されたEuropean Consortium for Political Research (ECPR) の年次研究大会(ポーランド・ヴロツワフ)に参加し、Selen Ercan (キャンベラ大学)、Nicole Curato (キャンベラ大学)、Rikki Dean (ゲーテ大学)、Andrea Felichetti (当時ルーヴェン・カトリック大学)など、特に熟議民主主義と民主主義的改革に関心を持つ研究者と意見交換を行った。その結果として、2020年度中に、学術誌Journal of Deliberative Democracyへの寄稿、および2020年度ECPR年次大会の分科会での司会(と報告)担当が予定されている。本年度は、本研究の研究組織が政治理論研究者を中心としつつも、比較政治学や国際政治学など多様な分野の研究者から成ることを踏まえ、問題意識や課題への接近方法をメンバーの間で共有することに重点を置くことにしていた。そのために、キックオフの研究会やゲスト・スピーカーを招聘しての研究会を開催したが、こうした活動を通じて次年度以降の研究の方向性が、かなりの程度明確になったと思われる。研究分担者は、こうした問題意識等の共有をベースにして研究を進めることができたと考えている。また、ECPRの常設グループの一つである「Democratic Innovations」に集う研究者たちと交流を深めることができたことも収穫である。このグループには、研究代表者がこれまで交流してきた研究者を含め、自由民主主義体制のより民主主義的な改革に関心を持つ、ヨーロッパやオーストラリアの中堅・若手の研究者たちが多数集っており、本研究の今後の展開のための重要な手がかりとなると考えられる。以上のことから、本研究課題は、おおむね順調に進展していると言える。<BR>今後は、引き続き研究分担者や関連した研究を行っている研究者による報告と議論を通じて、問題関心と研究課題への接近方法の共有を図る。特に、次年度は、マルクス主義的な資本主義国家論・政治理論についての理解を深めることを計画している。また、研究成果は、日本語及び外国語(英語)での公表を目指していく。日本の学会での発表や分科会等の企画のほか、海外学会等での分科会の企画や、海外学術出版社の書籍や学術雑誌での研究成果の公表も目指す

  • 尊厳概念のグローバルスタンダードの構築に向けた理論的・概念史的・比較文化論的研究

    研究期間:

    2018年06月
    -
    2023年03月
     

     概要を見る

    平成30年度の研究計画にもとづき、8月に一橋大学で分担者および協力者(国内)と研究打ち合わせを行い、平成30年度の計画を確認すると同時に、分担者の村上祐子氏が研究発表を行った。また、分担者および協力者の何人かに、『思想』2019年3月号および4月号の特集で研究成果の一部を発表してもらうように再度依頼して確認した。なお、代表者の加藤は8月にWCP北京大会に参加してプレゼンテーションを行った。10月に代表者が渡独してシェーンリッヒ教授(ドレスデン工科大学)らと論文集の編集およびそれに関連した国際ワークショップ企画に関して打ち合わせを行うとともに、11月に一橋大学で網谷壮介氏(立教大学)らを招聘して概念史的研究の一環である「第7回スピノザ・コネクション」を開催した。12月に東京大学で、非欧米圏担当の分担者および協力者と研究打ち合わせを行うと同時に、金光来研究員(東京大学)の講演会を行った。平成31年1月に代表者が、10月に一橋大学で開催予定の国際ワークショップの企画および論文集編集の件で再度渡独し、クヴァンテ教授(ミュンスター大学)・ポルマン教授(ベルリン・AS大学)らと研究打ち合わせを行うと同時に、シェーンリッヒ教授の主催する研究会に参加した。3月に京都大学で、科研費のワークショップを開催し、代表者の加藤と分担者の小島・小倉両氏が研究発表を行い、またニーゼン教授(ハンブルク大学)・マリクス准教授(オスロ大学)・バーデン教授(イリノイ大学)・デルジオルジ教授(エセックス大学)を招聘して一橋大学で国際ワークショップと、さらに手代木陽教授(神戸高専)らを招聘して「第8回スピノザ・コネクション」を開催すると同時に、『ドイツ応用倫理学研究』第8号を刊行するとともに、科研費のHPも完成させた(http://www.soc.hit-u.ac.jp/~kato_yasushi/)。本研究課題の当初研究目的の達成度に関して、おおむね順調に進展しているとした理由としては、(1)当初予定していたワークショップ・国際ワークショップ・概念史的研究の一環である「スピノザ・コネクション」、さらに著名な国内外の研究者の招聘や国際学会への参加などが予定通りに行われ、特に2019年3月に京都大学で開催したワークショップと、同じく3月に一橋大学で開催した国際ワークショップでは日本・ドイツ・アメリカ・イギリス・ノルウェーの研究者の研究発表に学問的に大変触発されて討議内容が深化したことと同時に、(2)論文集編集に関して具体化が進展したこと、さらに(3)第二年度目に向けて国際ワークショップ開催(一つは、ドイツの研究者を中心とした国際ワークショップであり、もう一つは英米の研究者を中心とした国際ワークショップである)や、東方学会でのシンポジウム、さらに日本哲学会への研究者(ドイツおよび台湾の研究者)の招聘などの準備が国際学会参加の準備が具体的に着実に進展しつつあることが挙げられる。今後の研究の推進方策に関しては、平成30年度と同様に、次の二方策を継続して行う。一つは、ワークショップ・研究会などを定期的に開催して内外の研究者を招聘したり(特に、論文集に執筆依頼予定者を中心にして招聘する)、研究代表者・研究分担者・研究協力者・科研費研究員・科研費補助員らが研究発表を行うことによってそれぞれの研究課題を具体的に進展されてゆくと同時に、それらを適宜論文集に編集して中間報告書として刊行した上で、相互に議論内容を共有してゆくものであり、もう一つは、本研究課題の最重要目的でもある英語版の論文集の編集に向けて、やはり特に論文執筆予定者の海外研究者を中心にして招聘して学問的に相互交流を積極的に行うことによって、英語版論文集編集に向けた共同研究をさらに具体的に進展させてゆくものである。これら二方策にもとづく研究成果は、上述の中間報告書としての論文集(日本語)と、英語版論文集の他に、『ドイツ応用倫理学研究』第9号でも公表してゆく予定である

  • 移行期正義論・紛争解決学を応用した東アジア歴史認識問題解決の思想基盤構築

    研究期間:

    2017年06月
    -
    2022年03月
     

  • 日本の尊厳概念史・影響作用史の構築に関する総合的研究--欧米との比較を踏まえて

    研究期間:

    2018年04月
    -
    2019年03月
     

     概要を見る

    日本哲学会と金沢大学の第1回鈴木大拙・西田幾多郎記念金沢大学国際賞の記念講演会に参加した。日本哲学会に研究協力者2名も同行してもらい、研究発表などを行ってもらうと同時に、研究分担者の一部の先生にも紹介してこの研究プロジェクトが円滑に運営できるように指導した。なお、研究分担者の一人であるギブソン松井佳子氏の参加する主体概念の転換に関するワークショップから多くの示唆を得ることができて有益であった。この論点を研究プロジェクトにも組み込むことは有効であると思われた。また、金沢大学国際賞でのロベール氏の講演からも日本哲学が潜在的にもつ可能性を読み取ることができた。それはやはり主体概念に関わる論点であり、日本の尊厳概念史を考える上で、特に「生命の尊厳」を考察する上で重要な論点になりうると確信できた。「生命の尊厳」に関連したこれらの論点は科学研究費基盤研究(S)にとっても重要な意味をもつので、その研究プロジェクトの中でも生かしていきたいと考えている。平成30年度が最終年度であるため、記入しない。平成30年度が最終年度であるため、記入しない

  • 動的均衡としての世界秩序研究――“権力の形態学”による検証

    研究期間:

    2016年04月
    -
    2019年03月
     

     概要を見る

    「動的均衡」という観点から、近年における世界秩序変容の基本的な特徴を、国家、市民社会、そして資本制市場の三つの要素の相互関係に照らして分析した。グローバル化した市場は、先進国において格差を広げ、中間層の没落を引き起こしてきた。富裕層/債権者が各国家に対するコントロールを強めるとともに、没落する社会層は民主主義の手続きをもっぱら「現状への否」を表出する回路として用いてきた。民主的な手続きが、その時々の多数意志を表すだけではなく、国家(国家間の協調)が市場との関係においていかなる役割を果たすべきかについての意見形成の実質をそなえることが、安定した均衡に向けて秩序を回復するためには不可欠となる。本研究では、とりわけ、市場のグローバル化が国家とその民主主義のあり方に深甚な影響を及ぼしてきたことを、富裕層ないし国際的な債権者の政治的影響力の増大、メディアの媒介機能の弱化、市民層と公共圏の分断化といった諸側面において明らかにした。福祉国家のもとでの再分配と成長の「均衡」は、社会保障および雇用保障がともに後退するなかで崩れてきた。本研究は、市場に対する民主的コントロールが可能であるとすればそれはどのようにしてかについて、各国家、地域(EU等)、国家間協調による世界内政の三つの面から検討し、それぞれどのような課題があるかを明らかにした

  • 人口減少・経済縮小社会での空間利活用の整序政策における合意形成システムの研究

    研究期間:

    2015年04月
    -
    2019年03月
     

     概要を見る

    第1に合意形成の原理論を解明した。合意とは、意思決定そのものではなく、非同意の表明がなされていない状態である。既存の合意に対して、非同意が表明されることによって合意形成という過程が始まる。合意形成過程を経て、新しい合意に至ったり、また、合意に至らないまま意思決定に至る。合意形成過程では、利益や力による動機づけだけでなく、理由の交換が重要である。そのうえで、第2に、縮減社会における空間制御の問題を、法的側面と政策的側面に絞って考察をした。縮減社会では、何もしないという消極的合意に至りやすいが、それゆえにこそ、新たな合意に基づく政策決定を目指して、様々な合意形成のための実践が展開されている。空き家・耕作放棄地など、縮減社会では、土地利用を巡る社会的な合意形成が喫緊の課題である。それに失敗すれば、劣悪な空間のもとで暮らすことになる。しかし、それを避けようとすると、性急な決断を求める誘惑が発生する。その結果としてかえって事態を悪くすることが懸念される。そこで、縮減社会のなかで、これまで以上に陥りがちな消極的合意を回避して、適切な土地利用を目指す合意形成の実践のための工夫を積み重ねることが重要になる。合意なるものが、利益の妥協や権力の影をちらつかせた強引なものではなく、対等な対話における「理由」に基づく合意形成の実践に基づくものであることに大きな意義があることを明らかにした

  • 東アジアにおける歴史和解のための総合的研究

    研究期間:

    2015年04月
    -
    2019年03月
     

     概要を見る

    1.国際シンポジウムを4回開催。①6月「移行期正義と和解-『<帝国>の慰安婦』をめぐる事態を考える」提題者浅野豊美、朴裕河(世宗大学)、②7月「東アジアの選挙と民主主義」報告者:張智程(京都大学法学研究科・助教)ベ・ヨンミ(立命館大学コリアセンター・研究員)元山仁士郎(国際基督教大学)上地聡子(早稲田大学)司会:野口真弘、アン・ドヒョン(東京大学)、③ 7月「文化と記憶」William Marotti(UCLA)“Dramatic Politics and Political Space: Shinjuku 1968”Christopher Nelson (University of North Carolina) "Iphigenia in the China Sea: The Politics of Memory in Postwar Japan" ④2017年2月、「光州事件と移行期正義」鄭文永(Jeong Moon-young)(5.18紀念財団研究所 研究員)Social Origins of the May Ceremony: between ritual and rebellion、平井新(早稲田大学)移行期正義概念の再検討、コメンテーター:呉豪人(輔仁大学)。2.定例研究会を2回開催。各研究者ならびに班ごとの研究の進捗状況と研究計画について報告と議論を行ったのち、以下の主題について報告と議論を行った。①6月、田嶋美登里(早稲田大学)「西アフリカ、ベニン共和国における「和解発展プロジェクト」をめぐって」、②2017年1月、土佐弘之(神戸大学)「闘技的デモクラシーとしての移行期正義:集合的記憶の脱/再領域化のアイデンティティ・ポリティクスとの関連」。3.研究成果の一部をワセダアジアレビューを通じて公表。4.国際共同研究の進展(マックス・プランク研究所、UCLA)1.国際シンポジウムを当初の予定以上に開催することができ、国際共同研究が順調に進展した。その際、アジアの研究者との研究交流、アメリカ、ヨーロッパの研究者との研究交流が順調に進展し、グローバルな和解研究のハブとなる準備と環境が整ってきたことが最大の成果である。2.定例研究会を通じ、とりわけ、新しくアフリカにおける移行期正義の問題と、移行期正義と国際関係論の理論的な関係についての研究が進展した。その際、田嶋美登里や平井新など若手の研究者が、中心的な役割を果たし、研究をリードした。3.小林聡明による韓国、アメリカにおける史料調査で大きな進展があった。梅森直之によるUCLAの研究者との共同研究に大きな進展があった。最上敏樹によるマックス・プランク研究所ならびにパリ政治学院における共同研究に大きな進展があった。これらの活動により、それぞれの地域の学術機関との共同研究を相互に連携させて進める環境が整い、国際共同研究の幅と密度が高まった。4.『ワセダアジアレビュー』19号において、特集「選挙とレファレンダム」を企画、東アジアの選挙に関して行ったシンポジウム、調査の結果を公表した。また、シンポジウムの開催にあたっては、基本的に公開の原則で実施し、研究成果を広く社会的に還元することに努めた。1.最終年度の成果報告に向けた研究体制を強化する。とりわけ移行期正義論文データベースに関しては、今年度中の仮公開をめざす。2.定例研究会を開催し、個人と班ごとの研究成果報告に向けた準備を進める。3.これまでの国際シンポジウム等で作り上げた国際共同研究のネットワークを、最終年度の研究成果報告のなかにどのように生かしていくかを検討し、その具体的準備を進める。4.東アジアにおける歴史和解のための具体的な提言の最終版の作成に先立ち、そのパイロット版を準備する

  • 市民のニーズを反映する制度構築と政策形成の政治経済学

    研究期間:

    2013年05月
    -
    2018年03月
     

     概要を見る

    平成29年度には、前年度までに静岡県で実施したMP(Mini Publics)と2度のCASI調査によって得られたデータを三つの班が協力して分析を行い、最終成果をまとめた。特に、「外国人労働者受け入れ」について熟慮を促すCASI調査によって測定した市民の熟慮の効果と、情報提供と討論を組み合わせたMPによる熟議の効果を客観的に測定し、比較分析をした。そこでの知見は以下のとおりである。熟慮の効果と熟議の効果を比較すると、「外国人労働者受け入れ」に関する知識の獲得、受け入れに関する意見変容、他者の視点取得などに関しては、熟慮がそれらを促進するが、熟議が熟慮の上に加えるものはあまりない様に見える。しかしながら、誤った知識を持っている人々に誤りを気づかせるには熟慮は効果が薄く、熟議の効果が高いということが示唆されている。また、熟議が他者視点取得を促し、外国人労働者への排外意識の抑制に効果があることが示唆されている。逆に、熟議は熟慮よりも参加者の意見変容を促すが、外国人労働者受け入れには慎重な態度を醸造する傾向を示唆しており、一概に熟議が常に政策上のリベラルな選択肢を支持する態度を醸造する傾向(いわゆるリベラル・バイアス)があるとは認められない。このように、ここで述べてきた厳密な調査デザインによる実証分析の結果は、一概に熟議が熟慮よりも優れているとは言えないが、同時に熟慮があれば熟議は不要とも言い切れない。ただし、民意の測定の方法としては、ミニ・パブリックスを通してのみ得られる民意の測定の利点と従来から考えられてきた点の多くを、CASI調査による熟慮を通しても十分に実現できるということが、実証的な検証を通して示唆されたといえよう。29年度が最終年度であるため、記入しない。29年度が最終年度であるため、記入しない

  • 尊厳概念のアクチュアリティ――多元主義的社会に適切な概念構築に向けて――

    研究期間:

    2013年04月
    -
    2018年03月
     

     概要を見る

    本研究プロジェクトでこの研究グループは、内外の研究者、特に欧米の研究者と国際ワークショップなどの学術交流を通して、「尊厳」概念が関わる様々な社会問題やそれらをめぐる学問的議論を検討して、「尊厳」概念の生命中心主義的理解が重要な論点になることを示した。この研究グループはこれらの研究成果を、個別論文など以外に、『思想』第1114号(岩波書店、2017年)、『尊厳概念のダイナミズム』(法政大学出版局、2017年)、『ドイツ応用倫理学研究』第4号~第7号(2014年~2017年)として公刊するとともに、一橋大学政策フォーラムを開催して一般市民に対しても研究成果の内容を分かりやすく発信した

  • 多層化する国民国家システムの正統性の動態分析―セキュリティとデモクラシー

    研究期間:

    2013年04月
    -
    2016年03月
     

     概要を見る

    これまでの政治学では、基本的にナショナルな単位での決定が前提とされ、境界線によって区切られた範囲内で、それなりに自律的な決定が行われると想定されていた。しかし、グローバル化の進行に伴い、モノやカネに加えてヒトの移動も進み、また巨大な環境リスクも広まる中、ナショナルなデモクラシーによって対処できる事柄の範囲は縮小している。軍事的な安全保障についても、社会保障を含むセキュリティ確保一般についても、これまではナショナルな単位で追求されてきた。それは、閉じた経済単位としての国民国家を基盤とし、ナショナルなデモクラシーによって支えられてきたが、こうした連関も、グローバル化の中でゆらいでいる

  • 制度構築と政策形成に必要な市民のニーズの把握-政治経済学実験とCASI調査-

    研究期間:

    2013年04月
    -
    2014年03月
     

     概要を見る

    デモクラシーにおいては、制度構築および政策形成には、政治システムの構成員である市民のニーズを反映させる事が必須である。しかし、漠然と市民のニーズを世論調査で聞いただけでは、意味ある形で市民のニーズを反映する制度や政策を作ることはできない。そのためには、政治経済学の理論と実証に基づいた条件の下で、市民のニーズを測定する必要がある。だが、市民のニーズを測定するための従来型の世論調査では、答えている市民がどの程度その問題を熟慮してから答えているのかが判明しないことが多い。そこで、本件研究は市民が熟慮した後に世論調査を行い、市民のニーズを探り出すCASI世論調査を用いた新たな「市民の熟慮反映型CASI世論調査」を提案し、そこで掬い上げた市民のニーズを制度構築および政策形成に実際に反映させるメカニズムをすることを目的とする。その目的で、本研究では本年度は熟慮を促すCASI調査の設計と準備を開始しようとしていた。しかし、その準備が本格的に始まる前に、本研究の研究代表者(田中愛治)が申請していた科学研究費補助金・基盤(S)「市民のニーズを反映する制度構築と政策形成の政治経済学」が採択されたという通知があったために、本研究は平成25年5月30日をもって閉じることとなった。ただし、本研究の採択の内定があってから5月30日までに、若干ながらCASI調査の設計の準備をするために、大学院生を研究補助として使って、下調べのために近年の選挙時の世論調査データの確認作業を行っていた。その下調べの作業は始まったばかりで、終了することとなった。とはいえ、この大学院生に依頼した作業の成果は、新に採択された基盤(S)の研究「市民のニーズを反映する制度構築と政策形成の政治経済学」においても十分に活用できるものであるので、この研究補助者への謝金は無駄にはなっていない。25年度が最終年度であるため、記入しない。25年度が最終年度であるため、記入しない

  • グローバル化の時代における市民社会論の展開-欧州・北米・日本の比較研究-

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    本研究は、「日本政治学会」の国際交流企画の一環として、政治思想史と政治理論の専門領域に携わるわれわれ6名の日本の研究者が、「ヨーロッパ政治学会」(ECPR/European Consortium for Political Research)との連携のもとに、進めてきた共同プロジェクトである。本研究プロジェクトでは、過去3年間にわたり、デンマーク、スウェーデン、京都、東京、箱根などで国際シンポジウムや国際セミナーを開催し、いわゆる「新しい市民社会論」に関して、東欧、西欧、北米、日本を視野に入れた共同研究を行ってきた。とりわけ、何故に20世紀末および21世紀初頭のグローバル化の時代に、「新しい市民社会論」が世界各地で展開されるようになったか、その歴史的事由を究めつつ、その意義と問題点について検討してきた。最終年度にあたる平成12年度には、まず8月初旬にカナダのケベックで開催された国際政治学会(IPSA)において、東洋と西洋の市民社会論とグローバル化のテーマでパネルを開くことができ、日本側からは研究分担者の杉田と飯田がペーパーを発表し、松本がコメンテーターをつとめた。さらに平成13年1月にはヨーロッパから5名の研究者が来日し8日間ほど滞在し、国際基督教大学、立命館大学、東京大学、箱根において、日本人研究者も数多く参加し、4度にわたり国際シンポジウムを開いた。これらの成果の一部は近く雑誌『思想』(2001年5月号刊行予定)やその他の刊行物(英文と邦文の著書)において出版される予定である。一つの重要な共通認識として共有できたものとしては、市民社会の概念の多義性ないし曖昧性がある。それゆえに今日、欧州、北米、日本において多種多様な市民社会論の展開がみられる。しかしながら、第二点として、グローバル化の時代における市民社会の重要性は、市民、NGO、NPOなどの国境を越えた連携によって、市民社会が地球市民の民主主義的参加と協働の場として機能するポテンシャルを包蔵していることである。第三に認識されたのは、市民社会が、それぞれ異なった歴史と文化を有する各国の独自の社会資本および文化資本の貯蔵所として作動する可能性である。こうして21世紀においても、市民社会の概念は、社会諸科学の世界においても枢要な鍵概念の一つであり続けることが確認された

  • 日本製造業の競争優位-その推移・再構築と国際移転

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    われわれは、日本製造業の競争優位を分析するに当って、エレクトロニクス産業を主要対象に選ぶこととした。何故ならこの産業は、1980年代半ばまでは、全体として高い競争優位を国際的に誇示してきたにもかかわらず、1980年代後半から90年代にかけてその優位をかなり低下させたと思われるからである。各種のデータは、その事をあきらかにしている。しかもこの様な状況をもたらした諸要因は、現在あるいは近い将来に他の産業においてもおこりうると推定されるのである。これに対し、日本企業の競争力に差をつけられていたアメリカのエレクトロニクス産業は、80年代後半から90年代にかけて国際的競争優位を復元するにいたった。これには色々な要因があるが、その主要な要因、少なくともその一つとして、エレクトロニクス産業に起こった顕著なモジュール化の動き、そしてこれにともなって生じた企業間水平分業の推進があげられる。すなわちモジュール-構成部品さらにそのサブ部品を統合するデザインルールが明示的に構築され、それが守られるならば、各企業は特定部品の開発・試作・生産に特化した開発・生産を行なうチャンスが生まれる。企業の資源がこのような特定部品の革新に集中し、競争が行なわれるならば、イノベーションの速度と水準は向上する。その一つの成功事例がインテルのMPUである。さらに多くのエレクトロニクス企業の製造活動を受託し、コスト低減を実現するEMS企業も生まれた。IBMは高付加価値半導体の生産を除くと製品開発・基本設計・サービスに専念し、製造の多くを外部に委託している。また台湾の製品設計企業と受託生産企業との柔軟な連繋システム、韓国財閥係企業にみられる戦略的投資と急速な技術力の上昇がめだっている。これに対し日本の大手エレクトニクス企業は、程度の差はあれ、部品生産を含む多分野の事業を営む、垂直統合型構造をつくりあげており、モジュール化の大きな流れと不適合状態を生み出している。またこの様な事業構造の下では、特定の事業に大規模な戦略的投資を適時に行なうことは容易ではない。それは80年代半ばまでの成功によって企業戦略の主要標的を日系企業におき、同型の戦略をいかに他社に遅れずに進めるかといった同調行動の慣性から中々抜け出せないことにもよっている。また製品寿命の短縮、開発スピード加速化、短期納入などの必要に直面しているにもかかわらず、企業組織面では、開発・設計・製造・マーケティング各機能内の連繋の弱さがめだっている。また海外事業拠点が発信している戦略的問題提起を柔軟にうけとめることができないといった、本社中心主義がめだっている。このような分析の上でわれわれは、競争優位再構築の可能性、国際経営の在り方についても一定の検討を加えた

  • 3つの民主主義-自由民主主義・社会民主主義・キリスト教民主主義の一世紀

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    本研究の研究成果は日本政治学会編『年報政治学2001』として公刊され、研究分担者の殆どが寄稿した。その概要は以下の通りである。まず川崎修は、西ヨーロッパの20世紀の歴史的現実から紡ぎ出された「3つの民主主義」のモデルとその展開が政治理論上でどのように位置付けられるかを検討した。次に、モデルのコアとなるい西欧諸国については、まず、西欧の中でも典型中の典型といえるドイツについては、小野耕二がこの国の主要三党を構成した「3つの民主主義」の歴史的展開を跡付け、これに対して何故フランスが例外をなすに至ったかを中山洋平が政治的組織化の視点から説明を試みた。次に、「3つの民主主義」の将来像が検討され、まずキリスト教民主主義について村上信一郎が、次いで宮本太郎が社会民主主義について、それぞれイタリアとスウェーデンをモデルに考察を行った。斎藤純一は社会民主主義の革新と称する「第三の道」を批判的に検討している。(自由民主主義の将来については、前出の川崎が理論的検討を行っている)。個々のモデルの有効性を越えて、ヨーロッパ統合の進展で、「3つの民主主義」が基盤としてきた国民国家が揺らぎ始めている。この構造変動に「3つの民主主義」はどう対応するであろうか。遠藤乾はこの問題に取り組んだ。次いで視野を「3つの民主主義」モデルが輸出された非西欧地域に転じ、仙石学と大串和雄が、それぞれ、東欧の新民主主義国(ポーランド)とイベロ・アメリカの政党配置の分析に「3つの民主主義」モデルがいかなる射程を持つのかを検討した。研究分担者のうち、中北浩爾は別途、日本における自由民主主義の位相の展開を歴史的に展開する論文を一足先に発表済みである。研究代表者の馬場は、以上の研究成果を総括した結論を導き出しつつあるが、その最も簡潔なエッセンスはこの年報の巻頭に掲げられている。(773字

  • アーレント思想が照らし出す20世紀の民族・国家・人種・両性間の暴力問題

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    2年間の研究の中心テーマは、昨今各方面で多用されるアーレント思想について、その本質を各研究者のそれぞれの切り口から追究し、「20世紀」という前例のない戦争と革命の時代と格闘した思想家が21世紀に何を展望していたのかを共同研究で明らかにしていくことであった。一年目は共同研究者の相互理解の仕上げとして、"Identity, Difference, Politics"のテーマで、アーレント思想をフェミニストの視点から再解釈し直し、斬新な方向付けをしているアメリカのフェミニストの一人、ミネソタ大学のリサ・デイッシュ氏を海外からのゲストとして招いて、東京(慶応大学)と京都(立命館大学)で、シンポジウムとセミナーを開催した。国内ゲストの西本郁子、伊藤洋典、山下英愛の3氏も、それぞれの研究分野で自らが直面しているグローバルな問題を提起し、リサ氏の的確なコメントもあって、大きな刺激と示唆を得ることが出来た。二年目は、一年目の成果をもとに、アーレントの著作がアジアの各国でも翻訳され、若い研究者が輩出しているなかで、さらに視野を広げて海外からのゲストを招き、京都(立命館大学)と沖縄(琉球大学)でシンポジウムとセミナーを開催した。先ず、京都では、"Politicizing Arendt's Political Thought : How did we read Arendt in90's?"と題して、韓国慶煕大学の徐裕卿、台湾大学の江宜樺、ベルリン自由大学のW・ホイアー、小玉重夫の各氏の報告があった。更に2日後、会場を琉球大学に移して、"The Divided World and Hannah Arendt"と題して、琉球大学の波平恒男氏、島袋純氏をゲストに招き、増田一夫、千葉眞、志水紀代子が一緒に報告を行った。日本の国民国家のバリアの境界線上に位置する沖縄の視点は、コメンテーターとなった外国人ゲスト3人にとってもインパクトが強く、特殊日本的な国民国家の強固なバリアに風穴を開ける視点であることが、参加者に共有された。この共同研究を通じて、日本におけるアーレント研究者の横のつながりが出来るとともに、さらに「アーレント」をキーワードとして、奇しくも21世紀の幕開けの年に起こった同時多発テロ、報復戦争というグローバルな課題に、今後ともアクテイヴに関わっていくことの必要性を、ヨーロッパやアジアの研究者と共に、この日本で共有できたことの意義は非常に大きかった

  • グローバル化の時代における新しい市民社会論の可能性―欧州・北米・日本の比較研究―

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    本研究においては、第一に、現代市民社会論と戦後日本における市民社会論の比較研究を行った。その結果、(1)全体主義ないし権威主義体制の解体・民主化という文脈と「市民社会」概念への注目における日本の「戦後啓蒙」と1980年代の市民社会論との共通性。(2)日本の市民社会論におけるヘーゲル・マルクス的伝統の重要性。とりわけ、戦前戦中期において、この伝統を隠れた形で引き継いだアダム・スミス研究が第二次大戦直後「市民社会」への関心を準備していたこと(3)1960年代以降の「市民政治論」と現代の市民社会論との類似性といったの視座の重要性が確認された。第二に、現代市民社会論と密接な関係にあるとされる「新しい社会運動」に触発された諸理論の研究も行った。その結果として、市民社会と差異の政治との関係、審議的デモクラシー・ラディカルデモクラシーとの関係、市民社会と平等の問題、市民社会論における公共圏と親密圏の関係、市民社会論と公私二元論との関係、国内政治・国際政治の二元論とグローバルな市民社会モデルとの関係といった課題こそが、今日における市民社会論の理論的課題の中心をなすという認識が得られた。それらは一方では市民社会論の限界に対する挑戦でありつつ、他方では、市民社会論の内部からの新たな理論的展開としても見ることが出来る。さらに、こうした市民社会論の理論的な展開とならんで、「市民社会」概念を用いた実証的研究と市民社会論の理論的研究との交流ないし接合もまた、重要なテーマとなりうるという認識も得られた。その際には、とくに「社会資本」論などが媒介として重要な役割を果たすものと考えられる。これらの成果の一部は、すでに各研究分担者によって論文などの形で発表されている。今後は、そうした成果を引き続き発表するとともに、平成13〜14年度においては公刊できなかった、ECPRとの共同プロジェクトの成果としても発表できるように引き続き努力したいと考えている

  • 分配的正義の経済理論・政治思想、および政策

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    本補助金による3年間の研究活動の成果は、第一に、どのようなアプローチの探求であっても、よりよい現代社会を構想しようとする場合には、分配的正義の問題を避けて通ることが出来ないこと、その為の分析的・理論的追求や政策的提言と同時に、「福祉哲学」や「幸福論」などのあり得べき人間生活に関する何らかの哲学が必要なこと、従って、経済学、倫理学、哲学などの学際的・多面的・総合的な研究が必要なことが改めて明らかとなった。第二に、現代社会を経済的社会と捉えるならば、探求や問題提起に際して賛否を問わず何らかな意味で必ず「功利主義」との対峙を経る必要があるということである。経済分析には社会を構成する経済主体の自然的欲求(desire)や必要(need)が前提となるからである。本研究が、現代功利主義者の祖というべきベンサムに対して特別な位置づけを与えているのは、そうした理由によるものである。第三に、研究の国際化と日本からの研究発信という点では、我々のグループの科学研究費による先行研究課題からの継続として、全10回の研究集会のうち4回を国際研究集会として開催し延べ12人の外国人研究者を招聘したことを成果と考えたい。理工系に比べて国際化が遅れていると言われている人文社会科学分野での積極的取り組みであり、こうした場での討論それ自体が日本からの研究発信の端緒となることに、この方向での今後の発展を見出している。また、これらの研究集会を国際共同出版企画に向けての出発点にすることが出来た点も成果と考えたい。残る問題は、掲げた課題のうち「経済理論」では正統派経済学の分配理論の評価が欠落したこと、「政策」にあたる部分で、具体的な分配政策の探求と、現実的提言に労力を割けなかったこと、および先行科研費研究から継続していた当該分野の若手研究者への研究援助が十分でなかったこと等があげらる。今後の改善課題としたい

  • 排除と包摂の政治学-越境、アイデンティティ、そして希望

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    本共同研究「排除と包摂の政治学-越境、アイデンティティ、そして希望」の研究目的は、国籍、シティズンシップ、共同体、親密圏、性などをめぐり、国家、法、政治、宗教、人種、階級などによって領域的/機能的/原基的に領属される<排除(exclusion)/包摂(inclusion)>の政治力学を、人の移動(離脱と越境)、本質的アイデンティティの再審、社会的排除(social exclusion)などの論理と実際のなかに探り、あるいは神ではなく「人間」の価値を中心に置く連帯と寛容が はぐくむ《希望》の政治学の可能性を探究するところにある。こうした問題の探究に従事する各研究分担者は、初年度(平成18年度)を通じて蓄積された個別報告をベースに最終年度(平成19年度)の論文完成を目指した。その最終成果は、日本政治学会・年報政治学2007-II『排除と包摂の政治学-越境、アイデンティティ、そして希望』として木鐸社より平成19年12月に上梓した。積み重ねた研究会の帰結である同書には、未来に拓かれた《希望》をめぐる政治学の発展に向けての各研究分担者の強い希望が込められている

  • 市民社会民主主義の理念と政策に関する総合的考察

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    本研究はグローバル化した金融資本主義の矛盾が明らかになる一方、民主政治による政策決定が円滑に進まないという困難な状況において、民主政治をどう再生させるかという問いに取り組んだ。基礎的な再分配政策に加えて、雇用、生活支援などのサービスを市民社会の自発性を引き出す形で展開することで、新たな福祉国家モデルを追求するというのが21世紀的な危機に対する処方箋となることを明らかにした

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現在担当している科目

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他学部・他研究科等兼任情報

  • 政治経済学術院   大学院政治学研究科

  • 政治経済学術院   大学院経済学研究科

学内研究所・附属機関兼任歴

  • 2022年
    -
    2024年

    カーボンニュートラル社会研究教育センター   兼任センター員

特定課題制度(学内資金)

  • 市場の統治をめぐる理論的・思想史的研究

    2020年  

     概要を見る

    市場の統治をめぐる諸問題について主に政治理論の面からいくつかの検討をおこなった。より具体的には、1)ジョン・ロールズによる"welfare state capitalism"に対する批判および"property owning democracy"の構想とそれをめぐる近年の研究の検討、2)「再分配」と対比される「当初分配」(pre-distribution)に関する議論の検討、3)企業ガバナンスに関する「ステークホルダー・デモクラシー」論の検討、4)「私的統治」における支配‐被支配の問題についての検討をおこなった。全体としては、時間・空間的に「内部最適化」をはかる「合理性」が、その合理的行動をも持続的に成り立たせる「道理性」(reasonableness)とどのように接合しうるのかに関して論点を整理することができ、リベラリズムの立場をとった上での「共通善」の構想について展望を得ることができた。

  • 自由主義および共和主義の自由概念の再検討

    2004年  

     概要を見る

    1)都市空間における自由をセキュリティとの関係において論じた(成果1)。2)表現の自由を「憎悪表現」と「フィルタリング」との関係において論じた(成果2)。3)自由概念についての包括的な検討を行った(成果3)。