2024/10/08 更新

写真a

サトウ タカユキ
佐藤 隆之
所属
教育・総合科学学術院 教育学部
職名
教授
学位
博士(教育学) ( 早稲田大学 )

経歴

  • 2011年
    -
    継続中

    早稲田大学教育・総合科学学術院教授

  • 2016年09月
    -
    2017年02月

    Columbia University, Teachers College, Arts and Humanities, Philosohy and Education   visiting scholar

  • 2008年
    -
    2011年

    早稲田大学教育・総合科学学術院准教授

  • 2005年
    -
    2007年

    玉川大学教育学部准教授

  • 2000年
    -
    2004年

    玉川大学教育学部講師

学歴

  •  
     
     

    早稲田大学教育学部教育学科教育学専修  

  •  
     
     

    University of Chicago, Division of Social Science, Department of Education(M.A.)  

  •  
     
     

    早稲田大学大学院教育学研究科  

委員歴

  • 2023年04月
    -
    継続中

    アメリカ教育学会  理事

  • 2024年04月
    -
    継続中

    第三日野小学校校区教育協働委員長

  • 2022年09月
    -
    継続中

    日本デューイ学会事務局長

  • 2021年09月
    -
    継続中

    教育哲学会  編集委員

  • 2020年01月
    -
    継続中

    荒川区子ども・子育て会議  会長

  • 2013年
    -
    継続中

    日本デューイ学会  理事

  • 2021年09月
    -
    2023年09月

    日本デューイ学会  編集委員

  • 2021年
    -
    2023年

    関東教育学会  編集委員

  • 2020年
    -
    2023年

    関東教育学会  理事

  • 2017年
    -
    2020年

    日本教育学会  編集委員

  • 2017年
    -
    2019年

    教育哲学会  会計監査

  • 2011年
    -
    2017年

    関東教育学会  理事

  • 2015年
    -
    2016年

    日本デューイ学会  編集委員長

  • 2011年
    -
    2015年

    教育哲学会  編集委員

  • 2011年
    -
    2014年

    日本デューイ学会  編集委員

  • 2010年
    -
    2013年

    日本デューイ学会  会計監査

  • 2010年
    -
    2012年

    日本国際教育学会  編集委員

  • 2009年
    -
    2011年

    関東教育学会  編集委員

  • 2009年
    -
    2010年

    日本国際教育学会  選挙管理委員長

  • 2003年
    -
    2007年

    世界新教育学会  編集委員

  • 1999年
    -
    2001年

    教育哲学会  理事会・編集委員会監事

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所属学協会

  •  
     
     

    アメリカ教育学会

  •  
     
     

    世界新教育学会

  •  
     
     

    関東教育学会

  •  
     
     

    日本国際教育学会

  •  
     
     

    教育史学会

  •  
     
     

    教育哲学会

  •  
     
     

    日本デューイ学会

  •  
     
     

    日本教育学会

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研究分野

  • 教育学

研究キーワード

  • プロジェクト・メソッド

  • アメリカ進歩主義教育の思想と実践史

  • 教育思想

受賞

  • 平成13年度日本デューイ学会研究奨励賞

    2001年  

 

論文

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書籍等出版物

  • 教育哲学事典

    教育哲学会編( 担当: 分担執筆,  担当範囲: プロジェクト型学習、進歩主義教育とその批判、キルパトリック、「全人教育」と「田園都市」の思想)

    丸善出版  2023年07月

  • 市民を育てる道徳教育

    佐藤隆之, 上坂保仁( 担当: 共編者(共編著者))

    勁草書房  2023年03月 ISBN: 9784326251704

  • 現代アメリカ教育ハンドブック

    アメリカ教育学会編( 担当: 分担執筆,  担当範囲: コミュニティとしての学校(157-158頁))

    東信堂  2021年10月

  • 森山賢一編著『教育課程編成論 改訂版』

    佐藤隆之( 担当: 分担執筆,  担当範囲: 第6章学習指導要領の歴史的変遷(4)―2008・2017年―(40-47頁)、第11章教科と教科外活動の教育課程(103-112頁))

    学文社  2021年04月

  • 日本デューイ学会編『民主主義と教育の再創造―デューイ研究の未来へ』

    佐藤隆之( 担当: 分担執筆,  担当範囲: 「民主主義と学校の「ミッシングリンク」を読み解く―民主的学校の知識論―」(197-206頁))

    勁草書房  2020年12月

  • 安彦忠彦・石堂 常世編『最新教育原理 第2版』

    佐藤隆之( 担当: 分担執筆,  担当範囲: 「特別活動の原理と方法」(153-159頁))

    勁草書房  2020年05月 ISBN: 9784326251421

  • 木村元・汐見稔幸『アクティベード教育学01 教育原理』

    佐藤隆之( 担当: 分担執筆,  担当範囲: 「西洋における教育の実践」(197-210頁))

    ミネルヴァ書房  2020年03月 ISBN: 9784623088133

  • 田中智志編著『教育哲学のデューイ―連関する二つの経験』

    佐藤隆之( 担当: 分担執筆,  担当範囲: 第1章デューイ思考教育論の実践―ホーレスマン・スクールにおける実験の成果と課題)

    東信堂  2019年10月 ISBN: 9784798915937

  • 佐藤隆之『市民を育てる学校―アメリカ進歩主義教育の実験』

    勁草書房  2018年03月 ISBN: 9784326299287

  • 谷田貝公昭編集代表『新版 保育用語辞典』

    佐藤隆之(ウィネトカ・プラン、オープン・エデュケーション、キルパトリック、コア・カリキュラム、ドルトン・プラン、デューイ、ブルーナー、プロジェクト法、ヘッドスタート計画)( 担当: 分担執筆)

    一藝社  2016年02月 ISBN: 9784863591066

  • 松浦良充編著『現代教育の争点・論点』

    佐藤隆之( 担当: 分担執筆,  担当範囲: 「ゼロトレランスによる「安全で規律ある学習環境」の確立)」(128-139頁))

    一藝社  2015年04月 ISBN: 9784863590915

  • 『カリキュラムと目的─学校教育を考える』(翻訳)

    デッカー・F・ウオーカー、ジョナス・F, ソルティス著, 佐藤隆之, 森山賢一訳

    玉川大学出版部  2015年03月 ISBN: 9784472404948

  • 今野喜清ほか編『第3版 学校教育辞典』教育出版

    佐藤隆之( 担当: 分担執筆,  担当範囲: プロジェクト・メソッド、キルパトリック、ウィネトカ・プラン、潜在的カリキュラム、小原國芳など)

    教育出版  2014年12月

  • 森山賢一編著『教育課程編成論』

    佐藤隆之( 担当: 分担執筆,  担当範囲: (5章2008年の学習指導要領における教育課程の改訂、7章教育課程の評価、8章小学校の教育課程の編成、12章教科の教育課程))

    学文社  2013年04月 ISBN: 9784762023576

  • 『日本のデューイ研究と21世紀の課題』(P・W・ジャクソンによるデューイ道徳教育論の継承と発展 ─「表出的意識」による学力の向上─)

    日本デューイ学会編

    世界思想社  2010年10月

  • 『最新教育原理』(特別活動の原理と方法)

    安彦忠彦, 石堂常世編著

    勁草書房  2010年10月

  • 『おさえておきたい教育法規』(「児童・生徒の福祉・保護に関する規定」)

    朝倉征夫編著

    酒井書店  2009年04月

  • 『学校改革抗争の100年─20世紀アメリカ教育史』(翻訳)及び「解説2 アメリカ教育史の中のラヴィッチ」

    ダイアン・ラヴィッチ著, 末藤美津子, 宮本健市郎, 佐藤隆之訳

    東信堂  2008年07月

  • 谷田貝公昭監『保育用語辞典』

    佐藤隆之( 担当: 分担執筆,  担当範囲: 「子どもの誕生」ほか12項目)

    一藝社  2006年04月

  • 『「総合的な学習の時間」教材研究─素材をどう生かすか─』(アメリカにおけるディシプリンの越境─H.ガードナーの多元的知能論)

    石堂常世編著

    学文社  2006年03月

  • 『キルパトリック教育思想の研究—アメリカにおけるプロジェクト・メソッド論の形成と展開—』

    佐藤隆之

    風間書房  2004年04月

  • 『経験の意味世界をひらく−教育にとって経験とは何か』(「キルパトリックプロジェクト教育論における経験の解釈─キルパトリックとボーダの比較検討─)

    市村尚久, 早川操, 松浦良充, 廣石英記編著

    東信堂  2003年03月

  • 『知の扉を開く─教育における知性の質を問う』(翻訳)

    ダグラス・スローン著, 市村尚久監訳

    玉川大学出版部  2002年09月

  • 『学生と語る教育学』

    丸橋唯郎, 佐藤隆之( 担当: 共著,  担当範囲: 第1部)

    学文社  2002年

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講演・口頭発表等

  • 鶴見和子と女性労働者の生活記録運動―1930年代から1950年代にかけてのジョン・デューイとパール・バックとのトランスナショナルな経験に注目して(「ジェンダーと教育のトランスナショナルヒストリー」セッション)

    佐藤隆之

    比較教育社会史研究会2024年春季例会  

    発表年月: 2024年06月

  • 新教育のなかの探究と「他者」 ―プロジェクトの実践と課題―

    佐藤隆之

    日本教育学会第82回大会 課題研究Ⅱ:探究のなかで「他者」と出会う  

    発表年月: 2023年08月

  • デューイのソーシャルセンターとしての学校とwelfare

    佐藤隆之  [招待有り]

    日本デューイ学会第65回研究大会公開シンポジウム「ポスト・コロナ時代におけるコミュニティと学校」  

    発表年月: 2022年09月

  • Dewey’s Unknown Essays Written during His Stay in Japan and China: The Possibility of the Mutual National Understanding beyond East and West

    Takayuki Sato

    The International Standing Conference for the History of Education (ISCHE)43  

    発表年月: 2022年09月

  • 他者への主体性から実存的プロジェクトへ―学びの協働化と個別化を両立させる原理―

    佐藤隆之  [招待有り]

    関東教育学会第69回大会公開シンポジウム「学びの個別化と協働化をどう両立させるか」  

    発表年月: 2021年11月

  • Revisiting the History of New Education from the viewpoint of Gender and Transnational Perspectives(Symposium: Gender and Transnational Perspectives in the History of Education, discussant)

    Takayuki Sato

    World Education Research Association Focal Meeting  

    発表年月: 2019年08月

  • 進歩主義教育における『良きアメリカ市民』の育成―コミュニティを基盤とする市民性プロジェクトから「民主的愛国主義」へ―(公開シンポジウム「良きアメリカ市民」の育成―第一次世界大戦後から現代まで―)

    佐藤隆之  [招待有り]

    アメリカ教育学会   (東洋学園大学) 

    発表年月: 2018年10月

  • デューイにおける市民性を育成する学校教育─「スクール・コミュニティ」から「よい市民性」の教育哲学へ─

    佐藤 隆之  [招待有り]

    日本デューイ学会第59回大会課題研究  

    発表年月: 2015年10月

  • 第一次世界大戦期のアメリカ進歩主義教育における市民性教育論議─民主的教育をめぐる連続講演に注目して─

    日本デューイ学会第58回大会  

    発表年月: 2014年10月

  • アメリカ進歩主義教育における講堂を活用した集会活動─1910年代のニューヨーク市を中心として─

    日本教育学会第72回大会一般研究発表  

    発表年月: 2013年08月

  • アメリカ教育史研究における学校改革論議─「テストと選択」に対する批判的検討に注目して─

    関東教育学会第60回大会シンポジウム「学校は改革でよくなったか」  

    発表年月: 2012年11月

  • ホーレスマン初等教育研究における市民性尺度の開発過程─プロジェクト・メソッドのための教育測定法作成の実験─

    教育史学会第55回大会  

    発表年月: 2011年10月

  • ライフストーリーによる教育史研究─キルパトリックの日記を用いた「プロジェクト・メソッド」解釈

    教育史学会第54回大会コロキウム  

    発表年月: 2010年10月

  • C.F.チャセルによる市民性尺度の開発と実践─アメリカにおける道徳測定テストの創始

    日本教育学会第69回大会一般研究発表  

    発表年月: 2010年08月

  • 新教育における「子ども中心」のなかの「大人」─デューイ成長教育論にみる大人のなり方─

    2008年度世界新教育学会国際教育フォーラム  

    発表年月: 2008年06月

  • 奈良女子高等師範学校に与えたプロジェクト・メソッドの影響─デューイはどのように受容されたか─

    日本デューイ学会第51回大会課題研究  

    発表年月: 2007年10月

  • 現代アメリカの教育政策の源流を探る─ダイアン・ラヴィッチの教育史観に着目して─

    日本比較教育学会第43回大会ラウンドテーブル  

    発表年月: 2007年06月

  • シートンのウッドクラフト教育論─新教育とエコロジー

    日本教育学会第64回大会一般研究発表  

    発表年月: 2005年08月

  • 「アメリカ新教育運動における環境教育の成立と展開」

    佐藤隆之

    玉川大学全人教育研究施設「玉川学園・玉川大学における環境教育・研究の諸相」  

    発表年月: 2005年06月

  • アメリカ新教育運動における環境教育の成立と展開─ナチュラリストの影響を中心として─

    玉川大学学術研究所「環境教育セミナー2005」  

    発表年月: 2005年06月

  • 教育における経験の解釈−デューイとキルパトリックの比較検討

    比較思想学会東京地区2003年度第4回研究例会  

    発表年月: 2003年12月

  • デューイの自然学習論−カリキュラムの統合と自然

    日本カリキュラム学会第14回大会個人研究発表  

    発表年月: 2003年07月

  • キルパトリックによる「プロジェクト・メソッド」の再構築−「総合的な学習の時間」への示唆

    世界新教育連盟日本支部2001年度定例研究会  

    発表年月: 2001年09月

  • キルパトリック「プロジェクト・メソッド」の再検討−近年の研究動向を中心として−

    日本デューイ学会関東地区研究談話会  

    発表年月: 1998年07月

  • 関東教育学会第65回大会シンポジウム「今日の教育政策の展開と課題―教育学研究の視点から―」報告

    増渕幸男, 佐藤隆之

    『関東教育学会紀要』第45号、2018年、37-39頁。  

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共同研究・競争的資金等の研究課題

  • ジェンダーと「教育の革新」に関するトランスナショナルな教育史の構築ー英米日の循環

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)

    研究期間:

    2021年04月
    -
    2025年03月
     

    香川せつ子, 山﨑洋子, 高橋裕子, 佐久間亜紀, 金澤 周作, 中沢 葉子, 中込さやか, 岩下誠, 佐藤隆之

  • アメリカにおける愛国心を形成する学校行事・儀式の普及とダイバーシティ教育の起源

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)

    研究期間:

    2019年04月
    -
    2022年03月
     

    佐藤 隆之, 宮本 健市郎

     概要を見る

    研究代表者:二つの作業を行った。第一に、19世紀末から1920年代にかけてのアメリカにおける「忠誠の誓い」及びアメリカ国旗運動の史的展開の研究を行った。関連する文献を調査して入手し、読解した。第二に、ホーレスマン・スクールにおける「忠誠の誓い」に関わる教育活動及び、プロジェクトによる愛国心教育の調査を行った。ホーレスマン・スクールでは、劇プロジェクトにおいて国旗への忠誠心が取り入れられていることが明らかになった。そのような活動と学校行事・儀式との関係は今後の課題である。
    当初は、進歩主義教育運動において愛国心教育が民主化されていったと予測していた。しかし、進歩主義教育運動以前からの「忠誠の誓い」に関する取り組みをみると、早くから連邦政府以外の多様な勢力や要因が、愛国心教育に関与していたことが明らかになってきた。19世紀末頃から20世紀初頭にかけての「忠誠の誓い」に、ダイバーシティの萌芽が認められることについては、次年度以降も更に検討を継続する予定である。
    研究分担者:19世紀末からアメリカで強化された愛国心教育の状況と、日本でつくり上げられた教育勅語体制の比較検討を行った。日本では学校が超国家主義にのみこまれるが、アメリカではクラブ活動とか民間のリクリエーショ運動が発展して、学校教育とは離れていったという相違を解明した。その成果を、関西学院大学教育学会において(2020年3月5日)、「革新主義時代における「よきアメリカ市民」の形成」と題して発表した。

  • 20世紀初頭米国のスクール・ソーシャルセンターにおける道徳教育としての市民性教育

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)

    研究期間:

    2016年04月
    -
    2019年03月
     

    佐藤 隆之, 宮本 健市郎

     概要を見る

    第一に、デューイが構想したソーシャルセンターとしての学校の理論と実践を検討した。それは、大人を対象として、貧困や人種といった今ある社会問題を解決できる市民の育成と、子どもを対象として、その解決に将来的に貢献できる市民の育成を、同時に達成しようとする学校であったことを明らかにした。第二に、バージニア州を取り上げ、社会的セツルメント型ソーシャルセンターとしての学校における道徳教育としての市民性教育の実態を解明した。第三に、クラレンス・A・ペリーに着目し、スクール・ソーシャル・センターには、コミュニティセンターとしての学校と、リクリエーションセンターとしての学校があったことを指摘した。

  • アメリカ新教育の市民性教育における「よい市民」育成の思想と実践に関する史的研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)

    研究期間:

    2013年04月
    -
    2016年03月
     

    佐藤 隆之, 宮本 健市郎

     概要を見る

    本研究の目的は、19世紀末から1920年代のアメリカにおいて、新教育運動を背景として推進された市民性教育の思想と実践について、その主たる目的とされた「よい市民(good citizen)」の意味に注目して、その実態や意味(意義)を解明することにある。そのためにここでは、デューイとジョセフ・リーというほぼ同時代を生きた二人が提起した、対照的ともいえる「よい市民(性)」概念やその育成論に注目した。19-20世紀末転換点から1920年代にかけて大きく変容した市民性概念やその教育について、市民性概念の脱政治化という視点からその実態に迫り、民主的市民性教育論の原理的な特質や限界について理解を深めた。

  • 初等・中等教育における教育環境の構成原理に関する研究―「環境を通しての教育」の再構築―

    早稲田大学教育総合研究所  公募研究

    研究期間:

    2012年
    -
    2013年
     

    佐藤隆之、上坂保仁

  • 20世紀初頭のアメリカの小学校における講堂と多目的室の出現過程に関する史的研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)

    研究期間:

    2011年
    -
    2013年
     

    宮本 健市郎, 佐藤 隆之

     概要を見る

    アメリカの小学校の校舎に講堂が設置され始めたのは19世紀末からであった。それ以前は、ほとんどの小学校は、教室がひとつしかなかった。デューイの思想に導かれた進歩主義教育者は、子どもに多様な活動を与えることと、学校と地域を結び付けることを、教育改革の主たる目的として掲げていた。講堂は、その目的を達成するための有効な手段と見なされたのである。20世紀の初頭には、人口の多い都市では、多数の教室をもつ大規模な校舎が建設され、大きな講堂が設置された。
    しかし、20世紀の半ばに、子どもの多様な学習や、集団活動への自由な参加が重視されるようになると、大規模な講堂に代わって、多目的室が利用されるようになった。

  • アメリカにおけるメディアとしてのペーパー・テストの普及に関する社会史的研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 挑戦的萌芽研究

    研究期間:

    2008年
    -
    2010年
     

    宮本 健市郎, 佐藤 隆之

     概要を見る

    3年間にわたる研究をまとめて、報告書を作成した。筆記試験はアメリカでは19世紀半ばに出現した。口頭試問にくらべて、筆記試験は、公正性、正確さ、客観性において優れているという理由であった。1870年代に鉛筆や紙の大量生産が始まったこと、学年制をもった学校が出現し、大量の生徒を対象として進級試験が実施されるようになったこと、などにより、筆記試験は19世紀末には主要な試験の方法になっていた。教師の間では、筆記試験が授業と試験の乖離をもたらすとして、その導入に慎重な意見も強かったが、20世紀初頭には、教育の能率と平等を追求する手段として、筆記試験がさらに普及していった。1910年代から1920年代にかけて流行した教育測定運動のなかでは新型といわれる筆記試験が登場した。それは、能率と客観性を徹底して追求するために、多肢選択式のペーパー・テストであり、教師の判断を極力排除しようとするものであった。
    20世紀初頭の進歩主義の学校では、知識の有無を調べるテストではなく、知識を行動にどのように結び付けようとしているかを問う形のペーパー・テストが開発された。その一つの例は、コロンビア大学ティーチャーズ・カレッジのホーレスマン・スクールで、チャセルが開発した道徳性を測定するためのテストであった。この方法は、道徳性の測定に関心をもっていたソーンダイクの意向を受けて実施されたものであった。ホーレスマン・スクールではプロジェクト・メソッドが実施されていたにも関わらず、実は、道徳性の習得に点数をつけるためのペーパー・テストとも深いつながりを持っていたのである。

  • アメリカ新教育運動における環境教育の成立と展開

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 若手研究(B)

    研究期間:

    2004年
    -
    2005年
     

    佐藤 隆之

     概要を見る

    今年度は、アメリカ新教育運動のなかで形成された環境教育の思想と実践について、自然学習運動におけるナチュラリストによる教育的事業に焦点を絞り調査・研究を進めた。主な研究対象としたのは、昨年度に引き続き、アーネスト・トンプソン・シートンが立ち上げた野外活動組織であるウッドクラフト・インディアンであった。とくに力をいれたのが、前年度終了時に提起された課題である、シートンのようなナチュラリストが確立した「エコロジカルな子ども中心教育」の実践と思想の分析であった。これまで新教育運動とエコロジーの理論的関係について分析した考察は数少ない。この関係を解明することにより、新教育運動の中で創始されていた環境教育思想の特質を、子ども中心主義教育の一系譜に位置づけて明るみに出した。ホールの発生反復説にみられるように、子どもの本性が正常な発達を遂げるためには自然環境が重要とされる。シートンは、この自然環境の意味を、人間と、人間以外の動物との生態学的な関係においてとらえる。その上で、そこに成立している、動物にまで拡張されたコミュニティが、健全な発達の基礎となると主張した。そのコミュニティの一員として子どもは、自然を知り、ひいては、その自然の一部を構成する自己を知る。環境教育思想の先駆に位置づけられる新教育運動期の自然学習論においては、自然の理解を深め大切にすることが、自然保護にとどまらず、人間の形成や発達の基礎とみなされているところに特質が認められたのである。この研究成果の一部は、第64回日本教育学会において発表した。また、本研究をわが国における環境教育プログラムに活かす方向性を探るために、いくつの自然史博物館で調査研究も行った。

  • 都市部における自然教育の実態と思想に関する研究

    守谷育英会第19回(2002年度)研究助成 

    研究期間:

    2003年
    -
    2004年
     

    佐藤隆之

  • 早稲田大学教育総合研究所企画研究(1999-2000年度)「総合的な学習の時間」を生かす複合・学際的テーマと教材作成のプランニングに関する研究

    研究期間:

    1999年
    -
    2000年
     

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Misc

  • 書評:古田雄一『現代アメリカ貧困地域の市民性教育改革―教室・学校・地域の連関の創造―』

    佐藤隆之

    アメリカ教育学会『アメリカ教育研究』   ( 34 ) 116 - 120  2023年12月  [招待有り]

    書評論文,書評,文献紹介等  

  • 書評:斉藤仁一朗『米国社会科成立期におけるシティズンシップ教育の変容―社会科の誕生をめぐる包摂と排除、両義性』

    佐藤隆之

    教育史学会『日本の教育史学』   65   179 - 181  2022年10月  [招待有り]

    書評論文,書評,文献紹介等  

  • 書評:小島律子『デューイのオキュペーション概念に基づく芸術的構成活動』

    佐藤隆之

    日本教育学会『教育学研究』   89 ( 3 ) 447 - 449  2022年09月

  • 図書紹介:大厩諒ほか訳『アメリカ哲学史―1720年から2000年まで』

    佐藤隆之

    教育哲学会『教育哲学研究』   ( 122 ) 106 - 107  2020年11月

    書評論文,書評,文献紹介等  

  • 「はじめに」、「全体討論」

    佐藤隆之

    早稲田大学教育総合研究所監修『教育と映画』早稲田教育ブックレットNo.22     2 - 3  2020年03月

    講演資料等(セミナー,チュートリアル,講習,講義他)  

  • 教育の原点―ALSになった先生と考える―

    佐藤隆之

    早稲田大学教育総合研究所監修『教育の原点―ALS患者が短歌をとおして語りかける人生で一番大切なこと』早稲田教育ブックレットNo.20     4 - 8  2019年03月

    講演資料等(セミナー,チュートリアル,講習,講義他)  

  • 「内向き志向」のグローバル人材育成

    佐藤隆之

    教育学術新聞   ( 2721 )  2018年03月

  • 書評:橋本美保・田中智志編著『大正新教育の思想―生命の躍動―』

    佐藤隆之

    教育哲学会『教育哲学研究』   ( 113 ) 187 - 193  2016年05月

    CiNii

  • 図書紹介:ガート・ビースタ著、上野・藤井・中村(新井)訳『民主主義を学習する─教育・生涯学習・シティズンシップ─』

    佐藤隆之

    『日本デューイ学会紀要』   56   123 - 124  2015年10月

    書評論文,書評,文献紹介等  

  • 書評:遠座知恵著『近代日本におけるプロジェクト・メソッドの受容』

    佐藤隆之

    教育史学会『日本の教育史学』   57   149 - 151  2014年10月

    書評論文,書評,文献紹介等  

    CiNii

  • 図書紹介:大森秀子著『多元的宗教教育の成立過程』

    佐藤隆之

    『日本デューイ学会紀要』   53   175 - 176  2012年10月

    書評論文,書評,文献紹介等  

  • 図書紹介:浜野隆・三輪千明著『発展途上国の保育と国際協力』

    佐藤隆之

    日本国際教育学会『国際教育』   18   78 - 80  2012年09月

    書評論文,書評,文献紹介等  

  • 早稲田大学初等教育実習マニュアル

    佐藤隆之

       2011年04月

    その他  

  • 書評:是澤博昭著『青い目の人形と近代日本─渋沢栄一とL.ギューリックの夢の行方』

    佐藤隆之

    幼児教育史学会『幼児教育史研究』   6   58 - 61  2011年

    書評論文,書評,文献紹介等  

  • 書評:高浦勝義著『デューイの実験学校カリキュラムの研究』

    佐藤隆之

    日本教育学会『教育学研究』   77 ( 3 ) 290 - 292  2010年09月

    書評論文,書評,文献紹介等  

    DOI CiNii

  • 図書紹介:今井康雄編著『教育思想史』

    佐藤隆之

    教育哲学会『教育哲学研究』   101 ( 101 ) 230 - 235  2010年05月

    書評論文,書評,文献紹介等  

    CiNii

  • 書評:宮本健市郎著『アメリカ進歩主義教授理論の形成過程─教育における個性尊重は何を意味してきたか』

    佐藤隆之

    教育哲学会『教育哲学研究』   94 ( 94 ) 114 - 121  2006年11月

    書評論文,書評,文献紹介等  

     概要を見る

    批判も少なくないなか、それでも廃れることなく、いまなお個性教育をめぐる主張や解釈が連綿と繰り出されている。この現状をみるにつけ、「今日、 "個性" という言葉は麻薬のような働きをもっている」 (iii頁) という本書の冒頭を飾る一文に、共感を覚える読者も少なくないだろう。そのような状況において、「教育における個性尊重は何を意味するか」という問いに答えることは容易ではない。<BR>それでは、過去についてはどうか。とくにわが国に直接間接に影響を与えてきたアメリカの進歩主義教育における個性教育の遺産について、私たちはどこまで理解しているのだろうか。過去を清算しきれないままに新たな言説を上積みすることにより、個性教育をめぐる理解や事態をますます混乱させ、生産的な議論を難しくしてはいないか。その遺産から個性教育について示唆をえようとすることそれ自体は目新しい試みではないにせよ、多種多様なその改革の思想、目的、方法、実践、結果などを検討し、それらを総括して進歩主義教育ならではの特徴を解明することは、今なお課題として残されているといってよいだろう。本書の副題に掲げられる「教育における個性尊重は何を意味してきたか」という問いに答えることは、それが個性という「麻薬」に対する解毒剤を手にするうえでの鍵を握ることは重々承知していても、その対象の大きさやとらえ難さゆえに、やはり容易ではないのである。<BR>著者の宮本氏はこれまで、「個性尊重の教育」というテーマに、アメリカ進歩主義教育を主たる対象として一貫して取り組んでこられた。その研究成果の集大成として、二〇〇三年一二月、京都大学に提出された学位論文である本書は、その難問に真正面から挑んだ労作である。<BR>本研究の直接の課題は、「個性概念」の明確化と、「一斉授業の改革としての個別化・個性化の思想と実践の系譜」の解明にある (四頁) 。ここに示されるとおり、浩潮な本書の考察を貫く視点であり対象となっているのは、教育の個別化・個性化である。詳しくいえばそれは、「学年と学級を定め、一人の教師が多数の生徒を対象に、同一の教材を一斉に教授するという一斉教授の方法」 (=「学級一斉教授」) の画一性や受動性を批判し、個々の個人差や自発性に応えることをめざして開発が進められた方法である (五-六頁) 。そのうち、個別化とは、「ひとりひとりの個人差に応ずるために教育方法の画一性を打破する」方法であり、個性化とは、「子どもひとりひとりの能動性を保障する」方法と定義される (七頁) 。<BR>本書の内容やその特徴について解説をくわえる前にまず、課題とされる「個別化・個性化の思想と実践」について簡単にふれておきたい。それは長年の研究の蓄積から導出された著者ならではの着想に支えられており、本書のねらいや意義を体現していると考えられるからである。第一に、この簡にして要を得た独自の視点に考察全体が貫かれていることにより、多彩であるがゆえに錯綜している進歩主義教育における個性教育の理論や展開が、包括的に論じられている。第二に、個別化・個性化の「思想と実践」を考察の対象とするとあるとおり、教授理論の基底にある「思想」にまで踏み込む精緻な検討が展開されている。それにより、個性教育のルーツをひもとき、整理しながら、その原理や特質が照射されている。第三に、その「思想」とならんで重点がおかれている「実践」とは、授業実践ではなく、教育に関わる行政、政策、制度、理論などを包括している (v頁) 。本研究はこの広義の実践に注視した「教育実践学」の成果であり、教育現場を強く意識しながら、個性教育の実態について多面的に切り込む論考となっている。そのため、著者は安易に過去を現代に結びつけることはしないが、現代の教育実践にきわめて示唆的な内容となっている。最後に、その思想と実践の分析にあたっては、著作・論文以外に、統計、報告書、時間割、授業案などを含む膨大な史料が収集されている。それに基づいた実証的考察は、説得力に富んでいる。 (その一端をなす貴重な写真や雑誌は二〇頁にわたって巻末に掲載され、本書の論考を補完するとともに興趣を添えている。本文と併せてご覧いただきたい。) <BR>以上の諸点に特徴が認められる課題について、次のような構成で考察が展開されている。紙幅の関係から節以下は省略して示す。

    DOI CiNii

  • 図書紹介:『教師論』(米山弘編著、玉川大学出版部)

    佐藤隆之

    世界教育連盟日本支部『教育新世界』   52  2004年12月

    書評論文,書評,文献紹介等  

  • 教育実習の手引き─小学校編−(玉川大学副教材・文部科学省認可通信教育補助教材)

    佐藤隆之

       2002年03月

    その他  

  • 書評:ダグラス・M・スローン著『洞察=想像力─知の解放とポストモダンの教育』(東信堂、2000年刊)

    佐藤隆之

    教育哲学会『教育哲学研究』   ( 83 ) 106 - 113  2001年05月

    書評論文,書評,文献紹介等  

    DOI CiNii

  • 早稲田大学教育実習マニュアル

    佐藤隆之

       2001年01月

    その他  

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現在担当している科目

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社会貢献活動

  • 横浜市立桜丘高等学校 教員養成講座講師

    2024年08月
    -
     

  • 早稲田実業学校初等部2022年度授業研究「デジタル・シティズンシップとケアリングから考える情報モラル教育」(情報モラル教育をどう教えるか―現状と展望―)

    2022年12月
    -
     

  • 早稲田実業学校初等部 2021年度授業研究 「主体的に学ぶ態度」をどのように評価するか―プロジェクト型教授(PBT)に注目して―

    2021年11月
    -
     

  • 逗子開成中学校・高等学校 講演会 プロジェクトによる「教科等横断」―教師キルパトリックからの示唆

    2021年03月
    -
     

  • 早稲田実業学校初等部 2020年度第4回授業研究 プロジェクト・メソッドから考える問題解決学習

    2021年03月
    -
     

  • 早稲田実業学校初等部 2019年度第3回授業研究 第4学年国語科「ごんぎつね」コメント

    2019年11月
    -
     

  • 東京都立桜修館中等教育学校進路講演会「子どものイコノロジー─変わる子ども、変わらない子ども」

    2014年03月
    -
     

  • 東京都立桜修館中等教育学校進路講演会「子どものイコノロジー─変わる子ども、変わらない子ども」

    2013年03月
    -
     

  • 神奈川県横浜市立戸塚高校・教員志望者対象講座講師

    2013年03月
    -
     

  • 東京都立桜修館中等教育学校進路講演会「教育学の学びと社会─子どものイコノロジー」

    2012年02月
    -
     

  • 常磐高等学校教養講座「子どもは変わったか─子どもの誕生と消滅」

    2011年08月
    -
     

  • 東京都立桜修館中等教育学校進路講演会「大学で学ぶということ、大学と社会のつながり」

    2011年03月
    -
     

  • 東京都大田区中学校長会研修会、演題「教育はどこまで寛容であるべきか─アメリカのゼロトレランス論争に学ぶ」

    2010年08月
    -
     

  • 松柏・大志万学園(ブラジル・サンパウロ市)講演会:演題「全人教育の歴史と思想」)

    2006年10月
    -
     

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学術貢献活動

  • 日本デューイ学会第61回大会シンポジウム・『デモクラシーと教育』再考―2世紀目を迎えて

    大会・シンポジウム等

    2017年09月
    -
     
  • 教員養成GP「実践的指導力を育てる体験学習プロジェクト─地域連携プログラムの検証と研究」プロジェクト検討委員会及び協議会委員

    その他

特別研究期間制度(学内資金)

  • アメリカ進歩主義教育における市民性・道徳教育の思想と実践

    2016年10月
    -
    2017年03月

    America   Columbia University

他学部・他研究科等兼任情報

  • 教育・総合科学学術院   大学院教育学研究科

  • 附属機関・学校   グローバルエデュケーションセンター

特定課題制度(学内資金)

  • マキシン・グリーン教育思想に基づく文学作品の教材化―カミュ『ペスト』の授業

    2021年  

     概要を見る

    本研究では、マキシン・グリーンの教育思想を授業実践に架橋する原理をすることを大きな目的とした。その原理について、現在求められている「個別最適な学び」と「協働的な学び」の理論的関係の解明という観点から検討し、「主体的・対話的で深い学び」の実践原理を論じた。「主体的な学び」と「対話的な学び」を両立させる方向性を、グリーンによるカミュ『ペスト』を題材とした自由論に注目して考察した。両立のキーワードとして「アクティブな注意active attention」を取り上、両立の原理として「他者への主体性」や、それに基づく「実存的プロジェクト」の教育を提案した。

  • アメリカにおける経験主義教育の継承と発展にみるプラグマティズムと実存主義の再統合

    2020年  

     概要を見る

    アメリカの教育哲学者マキシン・グリーン(Maxine Greene, 1917-2014)が説く「可能性」の教育という理念について、プラグマティズムと実存主義(existentialism)を結びつけながらアートとしての文学と融合させた、独自の教育哲学に注目して再検討した。グリーンにおいて「可能性」は、「苦難」でありながら、あるいは「苦難」であることによって「可能性」である、といいうるような逆説的な関係に置かれている。その関係性を解明することで、グリーンの教育理念を、「苦難」と「可能性」を反転させながら連続的に展開させうる主体の教育をめざす「苦難/可能性」として再提起した。グリーンは、とりわけその芸術教育や美的教育が日本でも知られており、その中核概念である想像力、自由、対話などに着目した研究がある。グリーン研究が日本においても進められているなか、本研究は、芸術・美的教育に特化することなく、グリーンがめざす教育理念を考察の対象とする。そもそもグリーンはどのような教育を志向し、それにはどのような特質が認められるのかを検討した。

  • アメリカの民主主義教育論における愛国心とダイバーシティ教育の思想と実践

    2019年  

     概要を見る

    本研究の目的は、アメリカで実践された忠誠心とダイバーシティを両立させる教育の実態について、革新主義期に焦点化して検討することにある。同時並行で進めている科研の「アメリカにおける愛国心を形成する学校行事・儀式の普及とダイバーシティ教育の起源」との関係から、愛国心教育に関わる学校行事・儀式とそれを取り入れたプロジェクト学習に注目した。前者の学校行事・儀式の検討対象としたのは、国旗に対する忠誠の誓いである。19世紀末から、公立学校において行われることになった国旗に対する「忠誠の誓い」の普及や理念について考察した。後者のプロジェクト学習については、ニューヨーク市にある私立学校ホーレスマン・スクールを取り上げて、国旗を用いた愛国心教育の実践について調査した。

  • デューイ思考教育論に基づく民主的市民育成の実験の成果と課題

    2018年  

     概要を見る

    デューイが『思考の方法』(1910年)で提起した思考論に基づく教育論(以下、「思考教育論」)を実践に移した、コロンビア大学ティーチャーズ・カレッジの附属校ホーレスマン・スクールの実験について検討した。同校では、デューイの思考教育論を応用した幼児教育の改革に取り組んだ。それが後に市民育成の実験へと発展する。本研究では、ホーレスマン・スクールではデューイをどのようにして実践し、いかなる結果となったのかということに焦点化して、デューイの幼児教育論と、それを実践した教師による報告書に分析を加えた。それを通して、成果があがったとされることと、課題として残されたこと、デューイの提案とそれに対する実践者の理解のずれ、デューイがもっとも重要かつ実現困難とした教師に求められる能力などを明らかにした。

  • エシカル・カルチャー・スクールにおける学校全体で取り組む道徳教育の理念と実際

    2017年  

     概要を見る

    本研究は、「文部科学省科研費・基盤研究(C):20世紀初頭米国におけるスクール・ソーシャルセンターにおける道徳教育としての市民性教育、2016-2018年度(研究代表者:佐藤隆之)」の一環として行うものである。20世紀初頭にアメリカで普及したスクール・ソーシャルセンター(school social center)は、子ども中心の理念に立ちつつ、学校が社会の中心に位置して家庭や地域と連携・協力することにより、学校全体で取り組む道徳教育を行った。アメリカでは道徳教育を、教科としてではなく学校生活全体で行ってきた。それにとくに力をいれたのが、スクール・ソーシャルセンターと呼ばれる学校である。そのような学校について理解を深めることは、道徳が「特別の教科」となり、道徳教育に力を入れようとしている日本に示唆を与えることが期待される。本研究は、そのスクール・ソーシャルセンターの一つとして、ニューヨーク市にある私立学校エシカル・カルチャー・スクールに注目する。そのために、上記科研費研究を進める中で新たに発見した同校のアーカイブを用いて、学校全体で取り組む道徳教育の理念と実際について、より実証的に解明した。

  • アメリカ新教育のスクール・ソーシャルセンターにおける道徳教育に関する史的研究

    2016年  

     概要を見る

    本研究の目的は、20世紀初頭のアメリカに出現したスクール・ソーシャルセンターに注目して、学校が社会と一体となって行う道徳教育について、その基底にある理念と、それに基づく実践について解明することにある。スクール・ソーシャルセンターは、ソーシャルセンターとしての学校(school as social center)、コミュニティ中心の学校などとも呼ばれ、社会やコミュニティと密接に結びついた教育を行う学校であった。それは、社会が人的・物的資源を提供することで学校に寄与するとともに、学校が社会の中心に位置して成人向けの公開講座を開いたり、児童生徒のボランティア活動を行ったりする社会貢献に力を入れた。それによりスクール・ソーシャルセンターにおいては、子どもの主体性や自発性を生かしながら、社会の維持発展に貢献できる市民を育てる道徳教育を行った。本研究では、スクール・ソーシャルセンターのモデルとなった、デューイのスクール・コミュニティ論について考察した。デューイは当時の市民性教育に批判的検討をくわえ、学校をコミュニティと緊密な関係におくスクール・コミュニティを代案として提起した。スクール・コミュニティにおいて学校とコミュニティは互恵的な関係におかれる。そのような関係性に基づく民主的市民性教育の理論と特徴について、19世紀末から第一次世界大戦まで、第一次世界大戦から大恐慌まで、大恐慌以降の三期に分けて解明した。

  • 第一次世界大戦期のニューヨーク市における市民性教育論議とその実践

    2014年  

     概要を見る

    本研究の目的は、第一次世界大戦期のアメリカのニューヨーク市における市民性教育をめぐる論争と、それに基づいて行われた市民性教育の実践について検討することにある。市民性教育の論争については、コロンビア大学における連続講演の中で、ドイツ式の国家主義的市民性教育論、アメリカの特異性を強調する反ドイツの民主主義的市民性教育論、ドイツの国家主義とイギリスの自由主義を合わせた折衷案的な市民性教育論などが提起されたことを明らかにした。市民性教育の実践については、ホーレスマン・スクールで主に社会科を担当したハッチを対象として、市民性教育の授業の概要や特徴、全米市民性教育委員会における功績などに考察を加えた。

  • ホーレスマン小学校のプロジェクト・メソッドに基づくシティズンシップ教育の実験

    2011年  

     概要を見る

    ホーレスマン小学校におけるプロジェクト・メソッドに基づくシティズンシップ教育について以下の二点を中心として研究を行った。第一に、同小学校があったニューヨーク市に関する総合的な学習である「ニューヨーク市学習」について分析した。ホーレスマン小学校のカリキュラムは、算数、地理、歴史、音楽、英語、自然学習(理科)、美術、工作、体育、そして、ニューヨーク市学習から構成されていた。このうちニューヨーク市学習は、警察、消防、水道、美術、移民など、ニューヨーク市における子どもの生活に関わることを、各教科のなかで教えることをとおして、有能な市民の育成を目的とするものであった。教科統合的なシティズンシップ教育であったところに、プロジェクト・メソッドの影響が認められる。第二に、6年生全クラス合同で課外活動として行われたシティズンシップ教育の実践について分析をくわえた。週に30分の公民の時間と月に20分の市民連盟(Civics League)を中心とするプログラムであり、①同校で開発された市民性測定法を利用した自己チェック活動、②市民連盟における奉仕活動、③市民連盟の組織運営の三点にとくに力を入れたシティズンシップ教育が行われたことが明らかになった。どちらの取り組みも、プロジェクト・メソッドの理論に基づいて、子どもの生活経験や学習状況と結びついたシティズンシップ教育が行われた。授業計画を予め固定せず、子どもの主体性や自発性を生かしつつ自立的な市民を育成することがめざされている。その一方で、歴史が重視されており、アメリカの建国や発展を振り返りつつ国家や社会を支える規則や組織についての知識をえる学習活動に力が入れられた。ニューヨーク市学習においては「歴史と公民」という学習領域が設定されていたことも、ホーレスマン小学校におけるシティズンシップ教育が歴史を重視するものであったことを示している。このような実践を、アメリカ新教育運動におけるシティズンシップ教育全体に位置づけて相対化して理解を深めることは今後の課題としたい。

  • ホレースマン・スクール初等教育研究における社会構成主義的プロジェクト教育論の開発

    2009年  

     概要を見る

    本研究は、アメリカのコロンビア大学ティチャーズ・カレッジ附属小学校ホレースマン・スクールで行われたプロジェクト・メソッドの実験に注目して、近年注目を集めている社会構成主義の立場に立つ学習がどのように実践に移されていたかを解明することを主たる目的とする。ホレースマン・スクールにおいては、キルパトリックが提起したプロジェクト・メソッドを実践する研究が1910年代後半から1920年代半ばにかけて行われた。そのなかでは、教科の学習と並行して、人格形成に主眼をおいた市民性(citizenship)育成のプログラムが開発されていた。今回の研究により、そのプログラムの原点は、やはりコロンビア大学ティチャーズ・カレッジの研究者が関わっていた教会学校であるユニオン宗教学校(Union School of Religion、以下USRと記す)における教育実践にあることが判明した。USRでは、宗教教育の先駆者コー(George A. Coe)や、心理学を援用した宗教教育論を展開したハーツホーン(Hugh Hartshorne)が中心となって、社会的・協同的経験を重視する宗教教育が行われた。それを実現する手段として、キルパトリックのプロジェクト・メソッドが採用され、各教師によって各種プロジェクトが展開された。教科書を用いながらも、生徒から自発的に出された問い(たとえば、「神の本性とは何か」)について、教師が支援しながらディスカッションして答えを導きだすことが試みられた。教条主義的ではなく進歩主義的な宗教教育がプロジェクト学習において実践されていたわけであるが、そこでは神や聖といった概念すらも、超越的なものとして上から授けられるのではなく、協同的学習において構築され共有されるという立場が貫かれている。この宗教学校における取組にも影響を受けながら、ホレースマン・スクールのプロジェクト・メソッドの実験が推進されていたことが明らかになった。

  • 進歩主義教育運動における活動主義と教科主義の対立と統合

    1997年  

     概要を見る

    研究課題について考察をすすめるうえで、キルパトリックの「プロジェクト・メソッド」と、個別教授法として知られるウォッシュバーンの「ウィネトカ・プラン」とパーカーストの「ドルトン・プラン」を比較検討した。プロジェクト・メソッドは、カリキュラムの構成単位を学習者の目的的活動におく点において活動主義に立つ。一方、個別教授は、最低限習得されるべきことを教科の枠組みにおいて個別的に教授する点において、教科主義の側面が認められる。そのように対照的である両者を比較考察することにより、第一に、それらの理論的相違を明らかにした。第二に、実践への影響という観点から両者を比較した。実践への影響が強かったのは個別教授の方である。これは既存の教科の枠組みに即した教育には、個別教授による改革の導入がより容易であったことを示す。しかし、個別教授による改革においても、望まれる個性教育や協同性は、教科の区分に拘束されるがゆえに十分に達成されなかったキルパトリックのプロジェクト・メソッドは、その短所を修正する方途として実践に影響を与えた。 教科の区分を前提とする個別教授が実践において優勢であったことは、プロジェクト・メソッドにおける活動主義の限界を示している。その一方で、プロジェクト・メソッドが個別教授の短所を修正する役割を果たしたことは、教科主義が優勢であった実践が、活動主義の視点から改善される必要性があったことを示している。そのような史的事実関係に関する考察の一部は、ドルトン・プランとプロジェクト・メソッドの影響関係に焦点をあてた、論文「キルパトリック教育思想における『協同』概念の再検討―個別教授批判をてがかりとして―」(『教育哲学研究』第76号、1997年)においてまとめた。研究成果の発表1997.10 佐藤隆之「キルパトリックの『活動カリキュラム』論再考」日本デューイ学会1997.11 佐藤隆之「キルパトリック教育思想における『協同』概念の再検討―個別教授批判をてがかりとして―」『教育哲学研究』第76号1998(印刷中) 佐藤隆之「W.H.キルパトリックの間接的教育の思想』『家庭教育研究』第3号

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