2024/03/19 更新

写真a

アライ ヒトシ
新井 仁之
所属
教育・総合科学学術院 教育学部
職名
教授
学位
理学博士 ( 早稲田大学 )
プロフィール

【NEWS】NHK総合「世界!オモシロ学者 スゴ動画祭5」(2023年3月16日放映)にビデオ出演しました.研究成果の一つであるオリジナル錯視も紹介されました.

過去約10年間に取得した特許群と産業活用について
取得した国内外の特許(抜粋):筆頭発明者 新井仁之
特許(米国,EP)
特許US Patent 10943338 発行日:2021年3月9日
Edge-induced visual illusion generation apparatus, method of generating edge-induced visual illusion, edge-induced visual illusion generation program, printing medium, and recording medium.

特許EP Patent EP2624212B1 発行日:2019年9月18日
OPTICAL ILLUSION IMAGE GENERATING DEVICE, MEDIUM, IMAGE DATA, OPTICAL ILLUSION IMAGE GENERATING METHOD, PRINT MEDIUM MANUFACTURING METHOD, AND PROGRAM

特許US Patent 9721331 発行日:2017年8月1日
Digital filter, and image generating, superhybrid image generating, electronic medium manufacturing, and letter-row tilt illusion generating apparatus, method and program

特許US Patent 9418452 発行日:2016年8月16日
PRINT MEDIUM DISPLAYING ILLUSION IMAGE AND NON-TRANSITORY COMPUTER-READABLE RECORDING MEDIUM HOLDING ILLUSION IMAGE DATA

特許US Patent 9292910 発行日:2016年3月22日
IMAGE PROCESSING APPARATUS, IMAGE PROCESSING METHOD, PROGRAM, PRINTING MEDIUM, AND RECORDING MEDIUM

特許US Patent 9426333  発行日:2016年8月23日
ILLUSION ANALYZING APPARATUS, APPARATUS FOR GENERATING ILLUSION-CONSIDERED IMAGE FOR WHICH ILLUSION IS TAKEN INTO CONSIDERATION TO ALLOW PERCEPTION ACCORDING TO ORIGNIAL IMAGE, ILLUSION ANALZING METHOD, METHOD OF GENERATING ILLUSION-CONSIDERED IMAGE FOR WHICH ILLUSION IS TAKEN INTO CONSIDERATION TO ALLOW PERCEPTION ACCORDING TO ORIGINAL IMAGE, AND PROGRAM

特許US Patent 9418452  発行日:2016年8月16日
PRINT MEDIUM DISPLAYING ILLUSION IMAGE AND NON-TRANSITORY COMPUTER-READABLE RECORDING MEDIUM HOLDING ILLUSION IMAGE DATA

特許US Patent 8873879  発行日:2014年10月28日
 Illusion image generating apparatus, medium, image data, illusion image generating method, printing medium manufacturing method, and program

 

特許(国内)
特許616283 発行日:2017年6月23日
画像処理装置、画像処理方法、および、画像処理プログラム

特許第5622971号  発行日: 2014年10月3日
錯視の分析装置、原画像のとおり知覚させるように錯視を加味した錯視加味画像生成装置、錯視の分析方法、原画像のとおり知覚させるように錯視を加味した錯視加味画像生成方法、および、プログラム,

特許第5456929号 発行日:2014年1月17日
画像処理用ディジタルフィルタ、画像生成装置、画像生成方法、ディジタルフィルタ作成方法、および、プログラム

特許第5622971号 発行日:2014年10月3日
錯視の分析装置、原画像のとおり知覚させるように錯視を加味した錯視加味画像生成装置、錯視の分析方法、原画像のとおり知覚させるように錯視を加味した錯視加味画像生成方法、および、プログラム

特許第5456931号 発行日:2014年1月17日
文字列傾斜錯視生成装置、文字列傾斜錯視生成方法、印刷媒体製造方法、電子媒体製造方法、および、プログラム

特許第5385487号 発行日:2013年10月11日
スーパーハイブリッド画像生成装置、スーパーハイブリッド画像生成方法、印刷媒体製造方法、電子媒体製造方法、および、プログラム 

特許5276739号 発行日:2013年5月24日
印刷媒体、および、記録媒体

特許第5038547号 発行日:2012年7月13日
錯視画像生成装置、錯視画像生成方法、印刷媒体製造方法、および、プログラム 

上記特許活用に関しては次のサイト参照:
視知覚の数理科学とその産業応用、特に各種画像処理技術、錯視、商用アートへの展開

 

著書】(いずれも単著)

新井仁之「フーリエ解析とウェーブレット」(朝倉書店,2022年)総頁数 250+x
新井仁之「これからの微分積分」(日本評論社,2019年)総頁数 362 +v
新井仁之「有理型関数」(共立出版,2018年)総頁数 170+ix
新井仁之「正則関数」(共立出版,2018年)総頁数 183+ix
新井仁之「錯視のひみつにせまる本」第3巻「錯視と科学」(ミネルヴァ書房,2013年)(中国語訳あり)
新井仁之「ウェーブレット」(共立出版,2010),総頁数 463+xi
新井仁之「新・フーリエ解析と関数解析学」(培風館,2010),総頁数 339+viii
新井仁之「線形代数 基礎と応用」(日本評論社,2006),総頁数 537+x
新井仁之「微分積分の世界」(日本評論社,2006),197+x
新井仁之「フーリエ解析学」(朝倉書店,2003),総頁数 277+vi
新井仁之「ルベーグ積分講義 - ルベーグ積分と面積0の不思議な図形たち」(日本評論社,2003),総頁数 333+viii
 

 NEWS
第10回 Waseda e-Teaching Award を受賞しました(2022/2).詳しくはこちら

 

朝日新聞(2018年11月24日朝刊)で錯視と画像処理の研究成果が取り上げられました。詳しくはこちら。

第7回藤原洋数理科学賞大賞(2018年9月)を受賞しました。詳しくはこちら。

米国科学雑誌 『Nautilus』 のサイトで視覚・錯視と画像処理の研究成果が取り上げられ紹介されました.詳しくはこちら.

これまでの新聞報道等はこちらをご覧ください.

  

【主な受賞歴(受賞年順)】

2018年9月
藤原洋数理科学賞大賞
授賞理由:数理視覚科学と非線形画像処理の新展開
受賞者:新井仁之
受賞のことば(日本数学会編『数学通信』2019年2月号より)

 

2013年9月
日本応用数理学会 日本応用数理学会論文賞 (JJIAM部門)
論文名「Framelet analysis of some geometrical illusions.」
受賞者:新井仁之、新井しのぶ
詳しくはこちら(日本応用数理学会HPより)

 

2008年4月
文部科学省 文部科学大臣表彰科学技術賞(研究部門)
受賞理由:視覚と錯視の数学的新理論の研究
受賞者:新井仁之
新井仁之氏の受賞によせて(日本数学会編『数学通信』13巻3号より)

 

1997年3月
日本数学会 日本数学会賞春季賞
受賞理由:複素解析と調和解析の研究
受賞者:新井仁之
詳しくはこちら(数学(岩波書店))

 

1995年8月
Featured Reviews
タイトル:Hitoshi Arai, Degenerate elliptic operators, Hardy spaces
and diffusions on strongly pseudoconvex domains, Tohoku Math. J. (1994),
pp.469-498. (95h:46034)
【説明】Featured Review は,Mathematical Reviews誌(アメリカ数学会)により世界中の数理系学術誌に掲載された論文からoutstanding paper として選ばれたものです.
詳しくはこちら.

その他の受賞もあります。 

 


 自己紹介(履歴・研究歴)

 

新井仁之 (Arai Hitoshi)
早稲田大学教育・総合科学学術院 教授

東京大学名誉教授
 1959年横浜生まれ

 [中高時代]

 1972年に獨協中学・高等学校のドイツ語組に入学。中学1年からドイツ語を第一外国語として学びました。ここでドイツ語を初めて学び、とりわけドイツ語の文法の仕組みの美しさに感動し、ドイツ語文法を熱心に勉強していました。

  しかし、中学2年の秋に獨協を退学、ドイツのボンにある Nicolaus Cusanus Gymnasium という中高一貫校に入学しました。そして約1年そこでドイツ語による教育を受けました。ドイツでは哲学、特に認識論に興味をもち、独学で哲学を学び始めました。

  帰国後、再び獨協に中学3年の秋から編入学しました。中学3年のときにカントの『純粋理性批判』を読み始め、すっかり取憑かれてしまい、この哲学書に没頭しました。『純粋理性批判』は中学生の私にとって、人の認識を論理的に解き明かそうとする新しい壮大な世界でした。こういったこともあって中学・高校時代は、名誉校長で著名な哲学者の天野貞祐先生、そしてとりわけ校長でかつて東京大学教授だったドイツ文学者の小池辰雄先生から薫陶を受け、哲学・認識論の勉学に専念しました。高校のときには認識論に関する論文を書いたりしていました(未発表)。

  このほか、中学3年のときに数学担当の原田恒久先生のご指導の下、遠山啓著『微分と積分 その思想と方法』(日本評論社)を読みました。原田先生が数名の中学・高校生に対し放課後講義をされ,私もそれに加わっていました。講義は本の前半で終わりましたので,続きは一人で読みました。もともと数学そのものにはそれほど興味があった訳ではありませんでしたが、大学の数学を学んでみると、中学の数学とは全くの別物で、それ自身新鮮で面白く、『微分と積分 その思想と方法』は大学レベルの数学への扉を開いてくれました。ただ当時は哲学・認識論への興味が強く、高校に進級すると結局哲学・認識論の勉学に専心しました。

 それから数十年後、『微分と積分 その思想と方法』の新版がでるとき、出版社から解説を依頼され、新版には私の解説が載りました。中学生の頃、まさか将来、読んでいるテキストの巻末に自分の解説が載ることになろうとは想像もしていませんでした。

 

【余談 - ギフテッド教育】

 ところで、近年、日本でもギフテッドと呼ばれる生徒に対するギフテッド教育が注目されつつあります。文部科学省がギフテッドの教育の支援に乗り出したとの報道もありました。今から思えば、45年以上前に中学・高校で哲学や数学のギフテッド教育の一種かそれに類するものを受けていたと言えるのかもしれません(ただし私にはギフテッドと言われるような特別な才能はなく、ギフテッドではありません)。普通の教育も通常どおり受けていたので、ギフテッド教育との折衷型でした。

 もちろん当時のことですから学校にギフテッド教育のシステムがあったわけではありません。それはきっちりとシステム化されたものではなく、教員が好意的に行なってくれた、柔軟性のあるカスタムメードのギフテッド教育であったと言えるでしょう。45年以上前の日本に於ける中学校・高等学校のギフテッド教育の一つの事例ではないかとも考えられます。

 

 [大学時代]

 高校のときは哲学・認識論の勉強に明け暮れていましたが、大学では哲学を研究するために、まず数学を軸に自然系・人文系の勉強をし,それから哲学科に行き、哲学を専攻しようと思っていました。1978年に高校を卒業し、早稲田大学教育学部に進学しました。大学では数学者の和田淳藏先生の研究室で純粋数学(主に多変数複素解析の関数環への応用)を学びました。卒業論文はこの方面の最先端のことまでをまとめ、ささやかながらいくつかのオリジナルな結果も得ました。数学を勉強するうちに哲学から数学に興味が移り、1982 年に早稲田大学大学院理工学研究科数学専攻の修士課程に進学し、1984年に同博士課程に進みました。大学院では主にブラウン運動と調和解析の交錯領域の研究を行いました。

 そして翌1985年には教育学部に数学の助手として戻ることになり、教育学部では教員として、理工学研究科では大学院生として過ごしました。


[大学教員時代] 

 1986 年に東北大学理学部の数学科の助手に招かれ、早稲田は中退。仙台に移住し、確率論と微分幾何学と多様体上の解析学の融合領域の研究を行いました。東北大学では猪狩惺教授の実解析セミナーに参加しました。その間、プリンストン大学数学科客員研究員(受け入れ教授はエリアス・スタイン先生)、東北大学理学部講師、東北大学大学院助教授を経て、37歳のとき
 1996 年に東北大学大学院理学研究科の数学の教授となりました。

  1999年に東京大学大学院数理科学研究科の教授に招かれ異動しました。
東京大学ではある切っ掛けで、脳内で行われる視知覚の情報処理のメカニズムや視覚が起こす錯覚(錯視)の研究を始めました。そして視知覚や錯覚を先端的数学、脳科学、神経科学、知覚心理学、コンピュータ・ビジョンなどを使って総合的に研究し、さらにその成果を実用的な技術に結晶化する新分野『数理視覚科学』を提唱、以来その研究を進めています。
 数理視覚科学の研究により、これまでに世界で初めて


*幾何学的錯視の錯視量の自由な制御(新井・新井 2005)
*任意の画像の浮遊錯視画像への変換(新井・新井、特許取得 2012, 米国等特許取得)、*スーパーハイブリッド画像関連(新井・新井、特許取得 2013, JST,米国特許取得)
*文字列傾斜錯視の自動生成(新井・新井、特許取得、2014, JST
*色の錯視の分析装置(新井・新井、特許取得、2014, JST、米国特許取得)
*新しい画像処理方法(新井・新井、特許取得、2014, JST、米国特許取得)
*ディジタル・フィルタ群の新しい設計方法等(新井・新井、特許取得、2014, JST、米国特許取得)
(他にも新井・新井による国内外の特許あり)

 などに成功しました。 

 2018年に母校の早稲田大学教育・総合科学学術院に移籍し、現在に至っております。

 

プロフィールは新井仁之のホームページから移植.


関連サイト

ルベーグ積分講義 講義動画集
新井仁之『ルベーグ積分講義(改訂版) 』(日本評論社,2023年)と連動した講義動画サイトです。

 

経歴

  • 2020年06月
    -
    継続中

    東京大学 名誉教授   名誉教授

  • 2018年04月
    -
    継続中

    早稲田大学   教育・総合科学学術院   教授

  • 1999年
    -
    2018年03月

    東京大学大学院数理科学研究科   教授

  • 1996年
    -
    1999年

    東北大学大学院理学研究科   教授

  • 1992年
    -
    1996年

    東北大学理学部   助教授

  • 1989年
    -
    1992年

    東北大学理学部   講師

  • 1988年
    -
    1989年

    プリンストン大学数学科   客員研究員

  • 1986年
    -
    1989年

    東北大学理学部   助手

  • 1985年
    -
    1986年

    早稲田大学教育学部   助手

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所属学協会

  •  
     
     

    盛和スカラーズソサエティ (稲盛財団)

  •  
     
     

    日本応用数理学会

  •  
     
     

    日本神経科学学会

  •  
     
     

    日本視覚学会

  •  
     
     

    アメリカ数学会

  •  
     
     

    日本数学会

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研究分野

  • 数理解析学 / 応用数学、統計数学   数理視覚科学 / 基礎解析学   実解析・調和解析 / 知覚情報処理   視覚情報処理,視知覚の数理モデル

研究キーワード

  • 応用・計算調和解析

  • 数理視覚科学

  • 数理モデル

  • 画像処理

  • 人工知能

  • イノベーション

  • 応用数学

  • 視知覚の数理モデル

  • 視覚芸術

  • 色知覚

  • 深層学習

  • 脳科学

  • 確率論的方法による解析学

  • 大学教育のデジタル化 (数学教育)

  • ギフテッド教育

  • 計算機シミュレーション

  • 錯視科学

  • 視覚情報処理

  • ウェーブレット

  • 錯視

  • 視覚

  • 視知覚

  • 視覚科学

  • 錯覚

  • 数学教育(デジタル時代の大学数学教育)

  • STEM教育

  • STEAM教育

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受賞

  • 第7回藤原洋数理科学賞大賞

    2018年09月   数理視覚科学と非線形画像処理の新展開  

    受賞者: 新井 仁之

  • 第8回科学技術の「美」パネル展 優秀賞

    2014年04月   科学技術団体連合   花が動いて見える錯視 - 数学が産み出す錯視アート  

    受賞者: 新井仁之, 新井しのぶ

  • 日本応用数理学会論文賞 (JJIAM部門)

    2013年09月   日本応用数理学会   Framelet analysis of some geometrical illusions  

    受賞者: 新井仁之, 新井しのぶ

  • 文部科学大臣表彰科学技術賞(研究部門)

    2008年04月   文部科学省   視覚と錯視の数学的新理論の研究  

    受賞者: 新井仁之

  • 日本数学会賞春季賞

    1997年03月   日本数学会   複素解析と調和解析の研究  

    受賞者: 新井仁之

  • Featured Review in "Mathematical Reviews" (American Mathematical Society)に選出.

    1995年   対象論文:"Degenerate elliptic operators, Hardy spaces and diffusions on strongly pseudoconvex domains", Hitoshi Arai, Tohoku Math. J. (1994), pp. 469-498  

    受賞者: 新井 仁之

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論文

  • 数学的方法による視知覚の研究と画像処理、アートへの応用

    新井 仁之

    早稲田大学数学教育学会誌   37 ( 1 ) 3 - 17  2019年  [招待有り]

    担当区分:筆頭著者

  • 人の視知覚に切り込む数学とその応用 - 調和解析,錯視,画像処理,アート -

    新井 仁之

    数学通信   23 ( 2 ) 5 - 22  2018年08月  [招待有り]

  • 錯視アートの新技術とその販促グッズ,パッケージへの利用

    新井 仁之

    包装技術   54 ( 1 ) 58 - 62  2016年01月  [招待有り]

    CiNii

  • 視覚と錯視の数理における非線形性

    新井 仁之

    電子情報通信学会誌   98 ( 11 ) 1012 - 1016  2015年11月  [招待有り]

    CiNii

  • From mathematical study of visual information processing in the brain to image processing

    新井 仁之

    Mathematical Progress in Expressive Image Synthesis II     105 - 110  2015年  [招待有り]

  • Mathematical models of visual information processing in the human brain and applications to visual illusions and image processing

    新井 仁之

    Mathematical Progress in Expressive Image Synthesis I, Mathematics for Industry 4     7 - 12  2014年  [招待有り]

  • 視覚の数理モデルと錯視図形の構造解析

    新井 仁之, 新井しのぶ

    心理学評論   56 ( 3 ) 309 - 333  2012年  [査読有り]  [招待有り]

    CiNii

  • Frame let analysis of some geometrical illusions

    Hitoshi Arai, Shinobu Arai

    JAPAN JOURNAL OF INDUSTRIAL AND APPLIED MATHEMATICS   27 ( 1 ) 23 - 46  2010年06月  [査読有り]

     概要を見る

    In this paper we study a spiral illusion generated by fractal islands. Furthermore, by a neuro-scientific consideration we present a new class of geometrical illusions. In order to analyse these illusions, we propose a new mathematical method.

    DOI CiNii

    Scopus

    1
    被引用数
    (Scopus)
  • ウェーブレットとその錯視研究への応用

    新井 仁之

    可視化情報学会誌   29 ( 115 ) 10 - 17  2009年10月  [招待有り]

  • 視覚と錯視の数学的研究

    新井 仁之

    応用数理   19 ( 1 ) 39 - 41  2009年

    DOI CiNii

  • 2D tight framelets with orientation selectivity suggested by vision science

    新井仁之, 新井しのぶ

    JSIAM Letters   1   9 - 12  2009年  [査読有り]  [招待有り]

     概要を見る

    In this paper we will construct compactly supported tight framelets with orientation selectivity and Gaussian derivative like filters. These features are similar to one of simple cells in V1 revealed by recent vision science. In order to see the orientation selectivity, we also give a simple example of image processing of a test image.

    DOI CiNii

  • Finite discrete, shift-invariant, directional filterbanks for visual information processing, I: Construction

    新井仁之, 新井しのぶ

    Interdisciplinary Information Sciences   13 ( 2 ) 255 - 273  2007年  [査読有り]

     概要を見る

    As is well known in neuroscience, simple cells of the mammalian's striate cortex possess both orientation and spatial-frequency selectivity, and are similar to the Gabor filters or Gaussian derivative filters in shape. The purpose of this paper is to propose a method of designing perfect reconstruction 2D filterbanks which act on finite dimensional linear spaces consisting of 2D signals of a certain size, and have several analogous features to simple cells: (1) the filterbanks consist of several spatial-frequency channels with orientation selectivity, (2) the filterbanks have shift-invariant multiresolution (multiscale) structures, (3) filters contained in them are FIR, and are similar in appearance to not only Gaussian derivatives of 1st and 2nd order, but also ones of higher order. Moreover, they are constructed by finite linear combinations of separable filters. As is described in the text, by virtue of these properties, our 2D filterbanks can become bases of constructing computational nonlinear models of visual information processing. In this paper we construct the 2D filterbanks, and discuss them from the viewpoint of vision science. For example we disclose a possible role of "Gaussian-derivative-like" filters of higher order in our filterbanks. Practical applications of our 2D filterbanks to vision science and image processing will be given in our subsequent papers.

    DOI CiNii

  • Achromatic and chromatic visual information processing and discrete wavelets

    Hitoshi Arai

    Frontiers of Computational Science     83 - 89  2007年  [査読有り]  [招待有り]

     概要を見る

    In this paper we propose a general scheme of discrete wavelet analysis for studying visual information processing. After surveying our mathematical models of the early vision, we give a computer simulation of the occurrence of an achromatic visual illusion and a chromatic one.

  • ウェーブレット分解で見る,ある種の傾き錯視における類似性

    新井仁之, 新井しのぶ

    VISION, J. of Vision Soc. Japan   17   259 - 265  2005年

    CiNii

  • A nonlinear model of visual information processing based on discrete maximal overlap wavelets

    新井仁之

    Interdisciplinary Information Sciences   11 ( 2 ) 177 - 190  2005年  [査読有り]

     概要を見る

    The purpose of this paper is to give a new computational model of early visual information processing, and to simulate by using the model the occurrence of visual illusions. The model proposed in this paper is constructed as a maximal overlap biorthogonal wavelet filter bank equipped with a nonlinear processing modeled after "contrast induction" effect (for the definition, see Section 3). This model provides good computer simulations of the occurrence of many lightness illusions such as the Mach band, the Hermann grid, the Chevreul illusion, and other related illusions. Moreover, also the cafe wall illusion is studied by using the model.

    DOI CiNii

  • Hardy spaces, Carleson measures and a gradient estimate for harmonic functions on negatively curved manifolds

    新井仁之

    Advanced Studies in Pure Mathematics   21   1 - 49  2001年  [査読有り]  [招待有り]

  • Harmonic analysis on negatively curved manifolds—Carleson measure, Brownian motion and a gradient estimate for harmonic functions.

    新井 仁之

    Infinite Dimensional Harmonic Analysis, Graebner, Altendorf     55 - 69  2000年  [招待有り]

  • Bergman-Carleson measueres and Bloch functions on strongly pseudoconvex domains

    新井仁之

    Reproducing Kernels and Their Applications (Kluwer Acad. Publ.)     21 - 31  1999年  [査読有り]  [招待有り]

    CiNii

  • Singular elliptic operators related to harmonic analysis and complex analysis of several variables

    新井仁之

    Trends in Probablity and Related Analysis (World Sci. Publ.)     1 - 34  1999年  [招待有り]

  • 実解析学の発展とその解析学への応用

    新井 仁之

    数学, 岩波書店   50 ( 1 ) 29 - 55  1998年  [査読有り]

  • 多変数複素解析と調和解析

    新井 仁之

    数学, 岩波書店   49 ( 4 ) 337 - 349  1997年  [査読有り]

  • Morrey spaces on spaces of homogeneous type and estimates for $\Box_b$ and the Cauchy-Szegö projection

    新井仁之, 水原昴広

    Mathematiche Nachrichten   185   5 - 20  1997年  [査読有り]

  • Generalized Dirichlet growth theorem and applications to hypoelliptic and (partial derivative(b))over-bar equations

    H Arai

    COMMUNICATIONS IN PARTIAL DIFFERENTIAL EQUATIONS   22 ( 11-12 ) 2061 - 2088  1997年  [査読有り]

     概要を見る

    In this paper we give a suitable generalization of Morrey's Dirichlet growth theorem for studying higher order pseudodifferential equations on a stratified Lie group G (Theorem 1). Our generalization also improves the original one even if G is the Euclidean group. Further, we prove Morrey-Lipschitz type estimate for higher order hypoelliptic pseudodifferential equations (Theorem 3), and for the partial derivative(b) equation on a strongly pseudoconvex CR manifold (Theorem 5).

  • Degenerate elliptic operators, $H^1$ spaces and diffusions on strongly pseudoconvex domains

    新井 仁之

    Geometric Complex Analysis     35 - 42  1996年

    CiNii

  • DEGENERATE ELLIPTIC-OPERATORS, HARDY-SPACES AND DIFFUSIONS ON STRONGLY PSEUDOCONVEX DOMAINS

    H ARAI

    TOHOKU MATHEMATICAL JOURNAL   46 ( 4 ) 469 - 498  1994年12月  [査読有り]

     概要を見る

    We will study some linear topological properties of Hardy space H-1 associated to solutions of the Laplace-Beltrami operator or more general elliptic operators on a smoothly bounded strongly pseudoconvex domain endowed with the Bergman metric. In particular, we characterize such Hardy spaces in terms of diffusions and non-isotropic atoms. Consequently we see that the dual space of H-1 is equivalent to the non-isotropic BMO space and that H-1 is isomorphic to the classical Hardy space on the open unit disc in the plane. As a corollary we also prove that the Hardy space H-1 of holomorphic functions on a strongly pseudoconvex domain is isomorphic to the classical one on the open unit disc, as conjectured by P. Wojtaszczyk.

  • Some characterizations of bloch functions on strongly pseudoconvex domains

    Hitoshi Arai

    Tokyo Journal of Mathematics   17 ( 2 ) 373 - 383  1994年  [査読有り]

    DOI

    Scopus

  • Kähler diffusions, Carleson measures and BMOA functions of several complex variables

    新井仁之

    Complex Variables, Theory and Applications   22   255 - 266  1993年  [査読有り]

    CiNii

  • AREA INTEGRALS FOR RIESZ MEASURES ON THE SIEGEL UPPER HALF-SPACE OF TYPE-II

    H ARAI

    TOHOKU MATHEMATICAL JOURNAL   44 ( 4 ) 613 - 622  1992年12月  [査読有り]

     概要を見る

    The area integrals of harmonic functions on the Siegel upper half space of type II are important tools for studying Hardy spaces and boundary behavior of harmonic functions. In this paper we will extend the area integrals to subharmonic functions on the Siegel upper half space of type II, and prove their L(p)-estimates by the admissible maximal functions for all 0 < p < infinity. The extended area integrals are analogues of the area integrals which were introduced by T. McConell in the case of the Euclidean upper half space.

  • Harmonic analysis with respect to degenerate Laplacians on strictly pseudoconvex domains

    新井 仁之

    Harmonic Analysis (ICM-90, Satell. Conf.) ,Springer     15 - 29  1991年  [査読有り]  [招待有り]

  • ESTIMATES OF HARMONIC-MEASURES ASSOCIATED WITH DEGENERATE LAPLACIAN ON STRICTLY PSEUDOCONVEX DOMAINS

    H ARAI

    PROCEEDINGS OF THE JAPAN ACADEMY SERIES A-MATHEMATICAL SCIENCES   66 ( 1 ) 13 - 15  1990年01月  [査読有り]

  • BOUNDARY-BEHAVIOR OF FUNCTIONS ON COMPLETE MANIFOLDS OF NEGATIVE CURVATURE

    H ARAI

    TOHOKU MATHEMATICAL JOURNAL   41 ( 2 ) 307 - 319  1989年06月  [査読有り]

  • BOUNDED PROJECTIONS ONTO HOLOMORPHIC HARDY-SPACES ON PLANAR DOMAINS

    H ARAI

    TOHOKU MATHEMATICAL JOURNAL   39 ( 4 ) 533 - 542  1987年12月  [査読有り]

  • HARMONIC-ANALYSIS ON NEGATIVELY CURVED MANIFOLDS .1.

    H ARAI

    PROCEEDINGS OF THE JAPAN ACADEMY SERIES A-MATHEMATICAL SCIENCES   63 ( 7 ) 239 - 242  1987年09月  [査読有り]

  • A NOTE ON FUNCTIONS OF VANISHING MEAN-OSCILLATION ON THE BIDISK

    H ARAI

    BULLETIN OF THE LONDON MATHEMATICAL SOCIETY   18   595 - 598  1986年11月  [査読有り]

  • ON THE ALGEBRA OF BOUNDED HOLOMORPHIC MARTINGALES

    H ARAI

    PROCEEDINGS OF THE AMERICAN MATHEMATICAL SOCIETY   97 ( 4 ) 616 - 620  1986年08月  [査読有り]

  • MEASURES OF CARLESON TYPE ON FILTRATED PROBABILITY SPACES AND THE CORONA THEOREM ON COMPLEX BROWNIAN SPACES

    H ARAI

    PROCEEDINGS OF THE AMERICAN MATHEMATICAL SOCIETY   96 ( 4 ) 643 - 647  1986年04月  [査読有り]

  • On an inequality of varopoulos for 2-parameter brownian martingales

    Hitoshi Arai

    Tokyo Journal of Mathematics   9 ( 2 ) 373 - 382  1986年  [査読有り]

    DOI

    Scopus

  • CARLESON MEASURES ON PRODUCT DOMAINS AND 2-PARAMETER BROWNIAN MARTINGALES

    H ARAI

    ARCHIV DER MATHEMATIK   46 ( 4 ) 343 - 352  1986年  [査読有り]

  • Hardy spaces of 2-parameter Brownian Martingales

    Hitoshi Arai

    Tokyo Journal of Mathematics   8 ( 2 ) 355 - 375  1985年  [査読有り]

    DOI

    Scopus

    1
    被引用数
    (Scopus)

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書籍等出版物

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講演・口頭発表等

  • 錯視の数理およびその応用と実用性について

    新井仁之  [招待有り]

    電子情報技術産業協会 感性のセンシング・インタラクション技術分科会  

    発表年月: 2023年12月

  • 画像処理技術の活用によるコンクリートのひび割れ検出技術の精度向上について

    萬寳徹郎, 高畠正治, 呉辰光, 西澤祥一, 新井仁之

    土木学会全国大会  

    発表年月: 2020年09月

  • 数理視覚科学と非線形画像処理の新展開

    新井 仁之  [招待有り]

    第7回藤原洋数理科学賞大賞受賞講演  

    発表年月: 2018年09月

  • 脳内の視覚情報処理の数理モデルと錯視アート

    新井 仁之  [招待有り]

    数学と芸術の交流シンポジウム  

    発表年月: 2018年08月

  • 人の視知覚に切り込む数学とその応用 ― 調和解析,錯視,画像処理,アート ―

    新井 仁之  [招待有り]

    日本数学会市民講演会  

    発表年月: 2018年03月

  • 視知覚の数理科学

    新井 仁之  [招待有り]

    東京大学数理科学研究科談話会・数理科学講演会  

    発表年月: 2018年02月

  • 数学でせまる錯視のなぞ

    新井 仁之  [招待有り]

    数学の魅力6 -女子中高生のために  

    発表年月: 2017年03月

  • 錯視の科学と錯視を応用したパッケージ技術について

    新井 仁之  [招待有り]

    第7回パッケージイノベーションセンター  

    発表年月: 2017年03月

  • 錯視と視覚の数学的研究とその画像処理への応用

    新井 仁之  [招待有り]

    錯視のシステム視覚科学シンポジウム  

    発表年月: 2017年03月

  • 視覚情報処理の数理モデルとその錯視、画像処理への応用、そして展望

    新井 仁之  [招待有り]

    第70回日本臨床眼科学会イブニングセミナー「視覚情報と自動運転」  

    発表年月: 2016年11月

  • 視覚・錯視の数理科学とそのアート,画像処理への応用

    新井 仁之  [招待有り]

    ロボット工学セミナー  

    発表年月: 2015年10月

  • 数理視覚科学からのイノベーション - 錯視と画像処理 -

    新井 仁之  [招待有り]

    JST フェア 2015 -科学技術による未来の産業創造展-  

    発表年月: 2015年08月

  • 視覚の錯覚から画像処理へ

    新井 仁之  [招待有り]

    第74回日本医学放射線学会総会   (パシフィコ横浜) 

    発表年月: 2015年04月

  • From Mathematical Study of Visual Information Processing in the Brain to Image Processing

    新井 仁之  [招待有り]

    Mathematical Progress in Expressive Image Synthesis (於 九州大学西新プラザ)  

    発表年月: 2014年11月

  • 数理視覚科学におけるウェーブレット・フレームとその応用

    新井 仁之  [招待有り]

    数理解析研究所短期共同研究「ウェーブレットとサンプリング理論」  

    発表年月: 2014年11月

  • 錯視の数理とその応用

    新井 仁之  [招待有り]

    視知覚の現象・機能・メカニズム―生理学的、心理物理学的、計算論的アプローチ―(於自然科学研究機構)  

    発表年月: 2014年06月

  • 数学を用いた錯視の研究とその応用

    新井 仁之  [招待有り]

    第22回 Future of Radiology - 先端技術と放射線医学の接点を探る  

    発表年月: 2013年06月

  • 数学的方法による視知覚と錯覚の研究とその応用

    新井 仁之  [招待有り]

    東京大学大学院数理科学研究科創立20周年記念講演・式典  

    発表年月: 2012年09月

  • Mathematical models of visual information processing and applications to visual illusions

    新井 仁之  [招待有り]

    The 8th Conference of East Asia Section of SIAM  

    発表年月: 2012年06月

  • 視覚と錯視の数理解析 - 数理科学と知覚心理学の融合を目指して -

    新井 仁之  [招待有り]

    日本心理学会第75回大会  

    発表年月: 2011年09月

  • 視覚の数理モデルによる錯視の解析と生成

    新井 仁之  [招待有り]

    映像情報メディア学会「画像・映像エンジニアのための視覚メカニズム・錯視講習会」  

    発表年月: 2011年02月

  • ウェーブレット・フレームによる視覚の数理モデルと明暗及び幾何的錯視への応用

    新井 仁之  [招待有り]

    脳と心のメカニズム 第11回冬のワークショップ 人の知性の起源と進化  

    発表年月: 2011年01月

  • 方位選択性をもつ2次元フレームレットと視覚科学

    新井 仁之  [招待有り]

    日本応用数理学会 2009年度年会 特別講演  

    発表年月: 2009年09月

  • 視覚と錯視の数学的研究

    新井仁之  [招待有り]

    日本応用数理学会2008年度年会 総合講演  

    発表年月: 2008年

     概要を見る

    筆者の数学的方法を用いた視覚と錯視の研究に関する総合講演.概要は『応用数理』(岩波書店,19巻1号, 2009)に掲載されている.

  • ウェーブレット・フレームを用いた視知覚の数理モデルと錯視の研究

    新井仁之  [招待有り]

    日本応用数理学会2007年度年会 特別講演  

    発表年月: 2007年

  • 色と明暗の錯視のウェーブレットによる解析

     [招待有り]

    第64回色のディベート・カンファレンス,ロレアル アーツ アンド サイエンス ファンデーション  

    発表年月: 2006年

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共同研究・競争的資金等の研究課題

  • AIの導入による総合的錯視研究の新展開

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2021年04月
    -
    2026年03月
     

    北岡 明佳, 櫻井 研三, 新井 仁之, 渡辺 英治, 栗木 一郎, 蘆田 宏, 村上 郁也, 辻村 誠一, 小池 千恵子

  • 調和解析的方法によるディジタル・フィルタと非線形画像処理の研究及びその応用

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)

    研究期間:

    2019年04月
    -
    2024年03月
     

    新井 仁之

  • 調和解析的方法による視覚・錯視の研究の機械学習への応用

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 挑戦的研究(萌芽)

    研究期間:

    2018年06月
    -
    2024年03月
     

    新井 仁之

  • 微分幾何的擬等角拡張と調和解析的普遍タイヒミュラー空間論

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2018年04月
    -
    2023年03月
     

    松崎 克彦, 新井 仁之, 須川 敏幸, 佐官 謙一, 小森 洋平, 柳下 剛広

     概要を見る

    タイヒミュラー空間上の計量としてはタイヒミュラー計量やヴェイユ・ピーターソン計量が代表的であるが,これらはどのようなバナッハ空間をモデルとする複素構造を導入するかにより自然に定義されるフィンスラー計量である.本研究で扱う BMOタイヒミュラー空間は,単位円板および単位円周上で定義されるBMO関数に関連した擬等角写像のなす空間である.この空間にはある方法で Carleson 測度を構成するような正則2次微分からなるバナッハ空間をモデルとした複素構造が入り,したがって自然にCarleson 計量と名付けた計量が定義できる.この計量の性質を考察することが当初の研究計画であった.しかし,実軸という非コンパクトな定義域上で漸近的等角写像のタイヒミュラー空間およびVMOタイヒミュラー空間を考察するという問題に遭遇し,その研究に関して以下のような成果が得られた.擬等角写像(擬対称写像)を限定して普遍タイヒミュラー空間の部分空間を考える場合には,その条件をコンパクト集合(単位円周)上で置くか非コンパクト集合(実軸)上で置くかで理論が大きく異なる場合がある.
    (1)実軸上のVMOタイヒミュラー空間を構成する強対称写像について,それ自身および逆写像の一様連続性を仮定すればその全体は群構造をもち,また退化Carleson 測度を誘導するような上半平面上の擬等角写像に拡張することが証明された.
    (2)実軸上の漸近的等角写像のタイヒミュラー空間の概念を一般化し,区分的な対称写像による空間を普遍タイヒミュラー空間の閉部分空間として定式化した.これらの空間の増大列による普遍タイヒミュラー空間を補間する結果および商空間の構成を得た.計量については,商空間の複素構造を定義し,商フィンスラー計量を与えた.また,小林計量とタイヒミュラー計量の比較について,先行研究の方法では解決しない問題点を提示した.

  • 錯視の多面的研究 ―実験心理学・脳機能画像・数理解析・生物学の手法を用いて―

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2015年04月
    -
    2019年03月
     

    北岡 明佳, 新井 仁之, 栗木 一郎, 蘆田 宏, 村上 郁也, 小池 千恵子, 辻村 誠一

     概要を見る

    本研究においては、心理学の初心に立ち返り、視覚そのものを知るツールとしての錯視の地位を確立するため、いろいろなアプローチで総合的に研究することを目的とした。実験心理学的研究によって、新しい錯視がいくつか発見あるいは同定された。今回の研究において特筆されることは、色の錯視の研究が革新的に進歩したことである。並置混色には2種類あることの発見、それに伴う「白と黒の錯視」(同じ色の縞模様が白に見えたり黒に見えたりする錯視デモ)の開発、強力な色の錯視であるムンカー錯視と並置混色の連続性、加算的色変換による色の錯視の位置づけの確立などである。その他のアプローチにおいても、一定の研究の進展が見られた。

  • フレームレットを用いた視覚の数理解析的研究とその画像処理への応用

    日本学術振興会  科学研究費補助金 基盤(B)

    研究期間:

    2015年04月
    -
    2019年03月
     

    新井 仁之

  • 数学と知覚心理学の協働による視覚・錯視のメカニズムの解明

    科学技術振興機構  JST戦略的創造研究推進制度(研究チーム型) (戦略的基礎研究推進事業:CREST)

    研究期間:

    2011年10月
    -
    2016年03月
     

     概要を見る

    人の知覚の数理モデルによる研究と,知覚に関連する科学,技術,産業への応用.

  • 新しい錯視群の多面的研究 ―実験心理学・脳機能画像・数理解析の手法を用いて―

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2010年04月
    -
    2014年03月
     

    北岡 明佳, 新井 仁之, 栗木 一郎, 蘆田 宏, 村上 郁也, 村上 郁也

     概要を見る

    錯視を総合的に研究した。脳機能画像法研究においては、fMRI順応法を用いて「蛇の回転」錯視の神経基盤を検討した。その結果、これまではMT野のみであった錯視運動への応答を、V1野においても明らかにした。数理解析研究においては、歪同心円錯視を単純かざぐるまフレームレットを用いて解析し、その錯視の構造を明らかにした。実験心理学的研究としては、新しい錯視を数多く報告した。中でも、色に依存した静止画が動いて見える錯視は、刺激の明るさに依存して錯視の方向が変わることがわかった。

  • フレームレットの調和解析とその画像処理への応用

    日本学術振興会  科学研究費補助金 基盤研究(C)

    研究期間:

    2011年
    -
    2013年
     

    新井仁之

     概要を見る

    ウェーブレット・フレームの数学的研究とそのディジタル画像処理への応用研究.

  • 視覚の数理モデルと錯視の研究

    JST戦略的創造研究推進制度(個人研究型) (個人研究推進事業:さきがけ研究21‐PRESTO)

    研究期間:

    2007年
    -
    2012年03月
     

     概要を見る

    視覚系の新しい数理モデルを構成し,それを用いて視覚の情報処理のメカニズムを研究する.そのため,視覚機能のモデリングに適した新しいフレームレットの開発も行う.また視覚の数理モデルを用いて錯視発生の計算機シミュレーションを行い,錯視が脳内のどのような視覚情報処理の結果現れるのかを明らかにしていく.上記研究で開発するフレームレットは人間の視覚系をモデルにしているので,その画像工学への応用も新たな可能性を含んでいる.この方面の実用研究も行う.

  • Mathematical models of visual perception by means of wavelet frames

    JST Basic Research Programs (Precursory Research for Embryonic Science and Technology :PRESTO)

    研究期間:

    2007年10月
    -
    2011年03月
     

  • 直交関数展開における調和解析の研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2009年
    -
    2011年
     

    勘甚 裕一, 佐藤 秀一, 藤解 和也, 新井 仁之, 宮地 晶彦

     概要を見る

    古典的なハーディの不等式を,エルミート展開,ラゲール展開およびメーラー変換に対して考察し類似の不等式を得た.顕著なことは,エルミート展開とラゲール展開に対して得られた不等式が,古典的な場合とは異なり,可積分関数の空間で成り立つことである.また,ハンケル変換に対して,古典的なペーリーの不等式が成り立つことを示した.さらに,正のラゲール展開係数を持つ関数は,原点付近の局所2乗可積分性があれば,全域的に2乗可積分であることを示した.

  • ランダム性を通して見る離散空間の幾何学

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2008年
    -
    2011年
     

    小谷 元子, 塩谷 隆, 新井 仁之, 熊谷 隆, 井関 裕靖, 納谷 信, 楯 辰哉, 石渡 聡

     概要を見る

    幾何学と確率論の異なる分野の関わりを通じて、これまで扱えなかった特異性のある空間や離散的な空間の幾何学の新たな研究方法を開拓することを目的とし、ランダムウォークの量子版である量子ウォークや、非対称ランダムウォークの長時間挙動の幾何学的理解、ランダム群の固定点性質、Alexandrov空間のBishop-Gromov型の不等式、ランダムグラフの収束性などに関する結果を得て、発表した。

  • 巨大な群上の調和解析に向けた確率論と表現論の融合的研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2007年
    -
    2010年
     

    洞 彰人, 岡田 聡一, 楯 辰哉, 平井 武, 尾畑 伸明, 下村 宏彰, 河添 健, 山田 裕史, 新井 仁之, 西山 享, 伊師 英之, 松本 詔, 稲浜 譲

     概要を見る

    巨大な群上での調和解析の展開に向けて、確率論と表現論の融合的な研究を推進した。調和解析とは、事物の対称性に着目することによって深い数学的構造を見出し、それに立脚した解析を行う学問分野である。本研究では、無限自由度をもつ大規模な対象を扱うため、その対称性を記述する群として巨大な群が現れる。得られた成果の中で最も主要なものは、(i)調和解析の素子となる指標と呼ばれる関数の分類と具体形を与える公式、および(ii)群の表現の漸近挙動と確率論の極限定理をつなぐ一連の結果である。

  • 調和解析の研究及びその多次元信号処理への応用

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2007年
    -
    2009年
     

    新井 仁之, 勘甚 裕一, 洞 彰人, 立澤 一哉

     概要を見る

    本研究では調和解析学,及びその多次元信号処理への応用について研究を行った.研究代表者の新井仁之の主な成果は次のものである.方位選択性をもち,完全再構成性をみたし,低階から高階のガウス導関数と類似の形状を有する新しいフレームレットを構成し,さらにそれを用いた円形的幾何的フィルタリングを考案して,研究代表者らが発見したフラクタル螺旋錯視のフレームレット解析を行った.これによりフラクタル螺旋錯視の錯視成分を特定し,それを抽出することに成功した.円形的幾何的フィルタリングは大脳皮質V4野の視覚情報処理と関連していると考えられる.なお以上の成果は新井しのぶとの共同研究による.また,この他にも研究代表者はフレームの理論的研究を行い,多次元かつ一般のサンプリング行列に関するポリフェーズ行列とフレーム作用素に関する結果も得た.なおフラクタル螺旋錯視の錯視成分の抽出に関する結果は,科研費NEWS(2009年1号)でも取り上げられた:http://www.jsps.go.jp/j-grantsinaid/31_result/rikou/37_arai.html

  • 複素構造と解析的・幾何的不変量の統合的研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2005年
    -
    2009年
     

    野口 潤次郎, 平地 健吾, 大澤 健夫, 満渕 俊樹, 新井 仁之, 片岡 清臣, 大島 利雄, 吉川 謙一, 高山 茂晴, 宮岡 洋一, 森田 茂之, 坪井 俊, 辻 元, 山ノ井 克俊, 新井 仁之, 大島 利雄, 片岡 清臣, 森田 茂之, 坪井 俊

     概要を見る

    基礎解析、解析幾何学、代数幾何学の中で複素構造が本質的役割を果たす数学分野を統合的に研究した。関連する研究分野は広く、小林計量、高次元値分布理論や強擬凸境界のCR構造と複素構造の普遍量をベルグマン計量から求める研究ににおいて顕著な成果を挙げ、理論の本質的進展を得た。またベルグマン計量を用いて代数多様体を研究する新しい解析的手法が開発された。これらの成果は複素構造の統合的研究により可能になった。

  • 直交関数展開に関する調和解析の研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2007年
    -
    2008年
     

    勘甚 裕一, 佐藤 秀一, 藤解 和也, 新井 仁之, 宮地 晶彦, 新井 仁之, 宮地 晶彦

     概要を見る

    古典的なハーディの不等式を, エルミート展開とラゲール展開に対して考察し類似の不等式を得ることに成功した.特筆すべき点は,得られた不等式が,古典的な場合とは異なり,可積分関数の空間で成り立つことである. もう1つの成果は, 積分変換に関するペーリーの不等式を得たことである. これは, 特殊な場合としてフーリエ変換を含む有用な積分変換であるハンケル変換に対して, 古典的なペーリーの不等式が成り立つことを示したものである

  • 各種の直交関数展開に関連した調和解析の研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2005年
    -
    2006年
     

    勘甚 裕一, 佐藤 秀一, 藤解 和也, 新井 仁之, 宮地 昌彦

     概要を見る

    研究課題に関する当該研究期間(平成17年〜18年)における,主要な研究成果の概要は,以下の通りであり,学術雑誌等で発表された.
    研究成果のひとつは,ハンケル変換に関する移植定理が実バーディ空間において成り立つことを証明したことである.移植定理とは,二つの直交関数系に対するそれぞれのフーリエ展開を考えた時,展開係数が同じであれば,それぞれのフーリエ展開が与える2つの関数のノルムが同値であることを主張する定理である.これは直交関数展開の調和解析における有効な道具である.ハンケル変換とは,その特殊な場合としてフーリエ変換を含む有用な積分変換である.実バーディ空間における作用素の評価は,補間によって,ルベーグ空間における対応する評価を導く.我々は,これら有用な枠組みにおいて,移植定理を得たものである.
    また,移植定理とは移植作用素の有界性を主張する定理と言える.この作用素は,ヒルベルト変換の一般化とも捕らえることが出来る.ヒルベルト変換は,ある条件を持つ関数を可積分関数に写すことが知られている.これをハンケル変換の移植作用素に対して示すことが出来た.さらに,この結果を用いてハンケル変換に関するチェザロ作用素の可積分関数の空間及び実バーディ空間における有界性を導くことが出来た.
    さらに,積分変換に関してバーディ空間で成り立つ古典的なペーリーの不等式に類似な不等式を得たことである.古典的なペーリーの不等式とは,実バーディ空間に属する関数のフーリエ級数展開を考えたとき,第n番目のフーリエ係数の絶対値の2乗をアダマールの間隙をもつnに渡って総和したものは収束し,その和は元の関数の実バーディ空間のノルムの2乗で押さえられると言うものである.我々は,この古典的なペーリーの不等式が,ハンケル変換に関して類似の形で成り立つことを示した.

  • マルチウェーブレット・フレームとその調和解析への応用

    科学研究費補助金 基盤(B)

    研究期間:

    2004年
    -
    2006年
     

    新井 仁之

  • 未踏数学の開拓と情報発信の高度化

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2003年
    -
    2006年
     

    西川 青季, 坂内 英一, 河野 俊丈, 谷崎 俊之, 新井 仁之, マーティン ゲスト, 野口 潤次郎, 橋本 喜一朗

     概要を見る

    本研究課題は,現在世界の第一線で指導的立場にある研究者を,個々の専門分野の境界を越えて有機的に結集し,共同研究や研究情報の交換を集約的に行うことにより,「未踏数学」(すなわち二十世紀後半に残された未解決問題や,二十一世紀の諸科学を結びつける要となる新理論)の研究の基盤を築くことを目的に遂行された.
    とくに,Advanced Studies in Pure Mathematicsのシリーズの刊行を軸に,わが国で得られたこのような未踏数学に関する研究成果を,高度な研究情報として迅速に世界に発信し,基礎科学としての数学の新しい展開に向けて,問題提起を継続的に行うことを目指した.
    この目的のために,本研究課題で行った主要なプロジェクトは次の通りである.
    1.未踏数学の開拓に関して
    (a)4つの国際研究集会の開催
    (b)4つの国内研究集会の支援
    (c)「$21$世紀の数学-幾何学の未踏峰-」の出版
    2.情報発信の高度化に関して
    (a)12の国際研究集会のプロシーディングスの刊行
    (b)数学ジャーナルの電子化を推進するためのワークショップの開催
    (c)Advanced Studies in Pure Mathematicsのホームページの整備
    (d)Advanced Studies in Pure Mathematicsのオンライン編集システムの整備
    (e)Advanced Studies in Pure Mathematricsの既刊分のデジタル化
    (f)Advanced Studies in Pure Mathematricsのクラスファイルの作成
    (g)幾何学分科会のホームページの整備とサーバーの更新

  • 多様体上の群の作用と無限次元調和解析

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2005年
     
     
     

    西山 享, 洞 彰人, 新井 仁之, 河上 哲, 河添 健, 内藤 聡

     概要を見る

    本研究は多様体上の群の作用とその上の調和解析について周辺分野および応用分野を含めた研究者間の交流を図り、共同研究の下地となるように企画された。特にドイツとの交流に力点をおいたのが特徴である。
    本年は若手研究者2名(A.オールドブリッジおよびT.ヨハンセン研究員)および中堅の研究者3名(M.シュトルツ、M.フォイト、M.レースラーの各準教授)そしてハイパー群の専門家であるH.ハイヤー教授の合計6名をドイツより招聘し、分担者の属する様々な大学で多くの日本人研究者との交流を果たした。また日本からは、洞助教授、河上教授、河添教授、示野助教授の4名をドイツに派遣した。洞・河添の両名はこの企画調査によって2007年度に国際研究集会を日独間で開催するための調査と準備を綿密に行った。河上・示野の両名はそれぞれハイパー群およびダンクル作用素に関する共同研究について研究連絡を行った。これらはいずれも実り多い結果をもたらしたが、それを以下少し詳しく報告する。
    まず2007年9月に日独間で国際研究集会を開き、研究者の更なる交流を深めることで、研究分担者および協力者の合意を得た。この集会は分担者の研究分野にとらわれることなく、「無限次元調和解析」という学際的な分野において相互理解と更なる共同研究を模索するために企画された。まだ資金的な裏付けは得られていないものの、招待講演者の選定など既に具体的な集会の運営に向けて動き出している。次に、河上教授はハイヤー教授と共にハイパー群の拡張理論に作用素環の理論を応用し、有限ハイパー群の具体的な構成を目指して共同研究を開始した。また、示野助教授はリーマン対称空間の調和解析とダンクル作用素および球関数の理論との関連を研究していたが、ドイツ側の招きで連続講義を行うなど日独双方の研究状況についての意見交換を行った。このダンクル作用素の理論についてはフォイト・レースラーも多変数ベッセル関数の観点からシュティーフェル多様体上のダンクル理論を取り扱っているが、日本における研究連絡において菊地助手(京都大学)の研究しているゲルファント対との関連性を議論するなど活発な意見交換が行われた。

  • ウェーブレットによる視覚情報処理と錯視の研究

    文部科学省  科学研究費補助金 萌芽研究

    研究期間:

    2004年
    -
    2005年
     

    新井 仁之

  • 異方性と拡散による形態変化の数理解析

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2002年
    -
    2005年
     

    儀我 美一, 新井 仁之, 利根川 吉廣, 古川 義純, 中路 貴彦, 津田谷 公利, 松井 伸也, 佐藤 元彦, 小林 亮

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    構造の異方性を反映した非線形拡散型偏微分方程式の解の形状が異方性や拡散効果によってどのように変化していくかを解明するための数学的基礎をいくつかのテーマにわたって築いた。以下、代表的な結果についてのみ述べる。
    (i)結晶表面の運動を記述する方程式:雪結晶のように表面エネルギーの異方性が強い場合、その平衡形にファセットと呼ばれる平らな面が現れることがある。駆動力は結晶の外の拡散場になって定まり、拡散場は結晶の形状によって定まる自由境界問題であるが本研究では、(a)ファセットが維持できるとした場合の初期値問題の時間局所可解性;(b)ファセット上での拡散場の大小を主張するベルグ効果の証明;(c)ファセットが曲がってしまうための必要十分条件;(d)自己相似解の存在する十分条件と自己相似解について、その大きさによるファセットが曲がってしまう条件の記述;(e)平衡形の近くではファセットは維持できることの厳密な証明。といったさまざまな重要な結果を得た。なお、結晶形は円柱としている。ベルグ効果では円柱外でのラプラス方程式ノイマン問題の解についての基本的結果を得た。変分法や常微分方程式の結果を巧みに応用することによって上述の結果を得た。今後、ファセットが折れ曲がってからの解の追跡が求められる。
    (ii)流体力学の方程式:非粘性バーガーズ方程式では、不連続性を許したエントロピー解の概念を用いれば、時間大域的に一意に解ける非線形項が発散型でかけるということが大前提であり、他の問題に適用できなかった。本計画の直前に代表により導入された適正粘性解の概念は有効である。本計画ではそれを数値計算する上で重要な解のグラフ空間での特異垂直拡散の概念を確立し、適正粘性解を等高面法で数値計算することに成功した。

  • 可換及び非可換ブロツホ理論

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2001年
    -
    2004年
     

    砂田 利一, 森本 浩子, 増田 久弥, 対馬 龍司, 佐藤 篤之, 阿原 一志, 小谷 元子, 新井 仁之, 中村 周, 中野 史彦, 斉藤 和之, 藤原 耕二

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    本研究では、グラフ上のランダム・ウォークに関する研究をブロッホ理論の応用として行い、結晶格子の場合に大偏差理論を応用することにより周期的ランダム・ウォークに対するいくつかの結果を確立した(小谷、砂田)。ただし、これまでの各辺の両側に正確率を持つランダム・ウォークを一般化し、片側に歩行が制限される場合を含めて考察した。結晶格子上の一般の周期的ランダム・ウォークについては、その既約性が問題になる。すなわち、有限グラフ上のランダム・ウォークが既約と仮定しても、一般にはそのリフトとして得られる結晶格子上のランダム・ウォークが既約とは限らない。この場合、エントロピーの有限値領域は次元的に退化した凸多面体になる。この凸多面体が原点を内部に含むことが既約性に条件となることを見出した(砂田)さらに、結晶格子のグロモフ・ハウスドルフ極限は大偏差理論と密接に関係することを見出し、極限空間の距離関数を明示的に表現した。この距離関数の単位球は凸多面体であり、その特徴づけを行うために、有限グラフの組合せ論を展開し、すべての面の組合せ論的特徴づけに成功した。ここで考察する有限グラフは、結晶格子を格子群で割って得られるグラフである。その結果、頂点はグラフの単純閉曲線に対応することが分かった。さらに、大偏差原理に登場するエントロピー関数を調べ、その有限値領域が上記の凸多面体と一致することを確かめた。そして、凸多面体の境界上でのエントロピー関数の値を明示的に与えることに成功した(小谷)。これは、グリーン関数の漸近挙動の研究に応用されることが期待される。

  • 多様体上のウェーブレット類似基底とその調和解析への応用

    科学研究費補助金 基盤(B)

    研究期間:

    2002年
    -
    2003年
     

    新井 仁之

  • 調和解析の研究及びその偏微分方程式への応用

    科学研究費補助金 基盤研究(B)

    研究期間:

    1999年
    -
    2001年
     

    新井 仁之

  • 離散幾何解析学の基礎的研究と応用

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    1998年
    -
    2000年
     

    砂田 利一, 長谷川 浩司, 斉藤 和之, 小谷 元子, 浦川 肇, 黒木 玄, 藤原 耕二, 中野 史彦, 新井 仁之

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    数理科学の様々な分野に登場するグラフ上の離散的ラプラシアンについて、幾何学および解析学の両面から研究を行ない、理論の基礎づけと応用を行った。中でも結晶格子上の乱歩について、その推移確率の時間無限大における漸近挙動、特に局所中心極限定理と漸近展開の幾何学的表示を得た。この研究において、元は代数幾何学に由来するアルバネーゼトーラスとアルバネーゼ写像の概念をグラフ理論において定式化した。さらに、これらの概念といくつかのグラフ不変量との関係を明らかにした。結晶格子上のランダム・ウォークに磁場をかけることにより、離散的磁場付シュレディンガー作用素が得られるが、これに対する中心極限定理を確立し、そのスペクトル構造への応用を行った。これに関連して、C^*-群環の構造を研究し、非可変トーラスの一般化として、将来の問題として提起した。

  • シュレディンガー作用素のスペクトル・散乱理論

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    1997年
    -
    2000年
     

    中村 周, 加藤 圭一, 小川 卓克, 谷島 賢二, 堤 誉志雄, 新井 仁之, 小薗 英雄

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    この研究計画の目的は,広く言えば,過去のシュレディンガー方程式の数学的研究の成果をふまえてさらに理論を発展させ,既存の問題に関してより深い理解を得るとともに,新しい領域に関わる問題,方程式についても,数学的に厳密な形で,解の構造の研究を進めることにある.この研究期間中に,研究代表者及び研究分担者によって得られたシュレディンガー方程式及びその関連分野に関する研究成果は多岐に及ぶが,この概要においては研究代表者を中心とした研究で得られた成果の一部を述べる.
    1.相空間でのトンネル効果の手法を用いて,磁場中のシュレディンガー作用素の固有関数の半古典極限における指数的減衰の速さが,定磁場の存在によって増大することを証明した.
    2.散乱の半古典極限での挙動を研究した.散乱作用素の位相変位に対応するスペクトルシフト関数が,量子力学的共鳴の近くで急激に変化し,2πの整数倍のジャンプをする事を一般的な状況の下で示した.
    3.相空間で交わらないふたつのエネルギー曲面の相互作用に対応する散乱行列の成分が,半古典極限で指数的に小さくなることを,相空間でのトンネル効果の手法を用いて証明した(A.Martinez,V.Sordoniとの共同研究).
    4.2次元の離散的なシュレディンガー作用素および一般次元のシュレディンガー作用素について,アンダーソン型のランダムな磁場の下で,状態密度がスペクトルの下端でリフシッツ特異性を示すことを証明した.
    5.アンダーソン局在の証明で重要な役割を果たす,状態密度に関するウェグナー評価の,スペクトルシフト関数の理論を用いた新しい証明を開発した(J.M.Combes,P.D.Hislopとの共同研究).

  • 複素多様体の上への群作用の研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    1997年
    -
    1998年
     

    清水 悟, 児玉 秋雄, 竹内 茂, 中川 泰宏, 尾形 庄悦, 新井 仁之, 長澤 壯之

     概要を見る

    本研究では、複素多様体の上への群作用の研究を中心に、研究代表者および各研究分担者の専門分野において主として、つぎのような研究成果を得た。
    1. 複素多様体の上への群作用の研究の成果として、非有界なラインハルト領域の上へのトーラス作用の標準化について、基本的な結果を得た。具体的には、与えられたラインハルト領域が擬凸で、座標超平面を含まない場合を考察した。その際、ラインハルト領域の対数像が含む極大なアフィン部分空間の次元をラインハルト領域の非有界性の尺度とし、それが正であるときトーラス作用の共役性を示した。また同時に、この場合に正則同値問題へ解答を与えた。2. 複素領域の上への群作用の研究に関連して、境界が滑らかとは限らない一般複素楕円体の、正則自己同型群の観点からの特徴付け問題を研究した。そしてある種の楕円体に対しては、ウェブスターのCR-不変量が応用できることがわかった。3. 複素領域の境界の上への群作用の研究に関連して、CR構造の研究を行った。そしてCRベクトル空間のカテゴリーにおけるテンソル積、双対空間の概念が、計量に関するエルミット性等の一定の付加的条件の下に定式化できることを示した。4. トーラス作用の研究の一環として、二木指標の一般化にあたる板東・カラビ・二木指標を研究した。またアーベル多様体の退化に関して、その符号数不足指数を計算した。5. 複素領域の上への群作用を研究する際に必要となる、複素領域の境界での解析学に関連して、強擬凸CR多様体上の接コーシー・リーマン方程式に対する新しいモリイ・ヘルダー評価を証明した。また、群作用をより広い数学的枠組みの中で調べるため、同変調和写像の研究を発展させた。とくにアダマール多様体間の調和写像の研究として、ある条件下で全射調和写像の非存在を示した。

  • 調和解析,偏微分方程式,複素解析の総合的研究

    科学研究費補助金 基盤研究(A)

    研究期間:

    1996年
    -
    1998年
     

    新井 仁之

  • 調和解析とその応用

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    1996年
    -
    1998年
     

    猪狩 惺, 斎藤 和之, 高木 泉, 増田 久弥, 立沢 一哉, 新井 仁之

     概要を見る

    調和解析の問題は、平行移動不変作用素の問題に帰着されることが多い。それを扱う効果的な実解析的理論として、特異積分の理論があるが、近年その理論の範疇に収まらない作用素が注目されている.そこでは掛谷の極大関数は補助関数として重要な役割を果たすのであるが、精密な評価が得られていない。猪狩は特殊な基を持つ掛谷の極大関数に対し完全な評価を与えた。それは、動径関数に対して精密な評価を与えJ.Bourgainなどの結果の一部をも与える。
    新井は、境界のすべての点で楕円性が退化するような楕円型偏微分作用素を調和解析の視点から研究した。シュタイン多様体の強擬凸領域やデータ構造を持つ多様体、有限型領域等の境界で退化する楕円型偏微分作用素に関する調和解析の理論の基礎をつくり、論文を準備中である。また、多変数正則関数の各点ファトウ問題解決への十分可能性のある糸口を見出した。
    ナヴィエ・ストークス方程式の解の一意性は古くから研究されているが,未解決の重要問題である。増田は、一意性について、実解析的な,まったく新しい方法を導入して,従来のとは異なる手法で、この問題の解決の糸口をみつけた。この結果は、イタリアのヴェローナで開催した国際会議で報告された。また、2次元複素空間形内の実2次元定曲率極小曲面の分類に関する予想を剱持勝衛氏との共同研究で解決した。
    斎藤は非可換調和解析の研究を続けた。 Ara,Goldstein 等によって示されたRickart C*-環のσ-正規性について新しい初等的証明を与えることによって C*-環の単調完備性の研究にとって重要な道具を開発した。また、C*-環の研究でσ-正規性、完全加法的量子測度について新しい知見を得た。

  • 多様体に関する数理科学的諸問題

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    1995年
    -
    1998年
     

    小田 忠雄, 高木 泉, 石田 正典, 西川 青季, 砂田 利一, 森田 康夫, 板東 重稔, 新井 仁之, 堀田 良之

     概要を見る

    本研究の目的および実施計画に沿って,研究代表者,研究分担者および研究協力者は,多様体に関する数理科学的諸問題を次のように研究した.
    1. トーリック多様体を代数幾何・代数解析・微分幾何の見地から研究し,交差コホモロジー,トーリック多様体への正則写像,トーリック・ファノ多様体の分類および複素微分幾何学的計量に関して新知見を得た.
    2. 多様体を数論・数論的幾何の見地から研究し,アーベル曲面等の有理点の分布,2次元エタール・コホモロジーに関するテート予想,クリスタル基本群・p進ホッジ理論に関して新知見を得た.
    3. 非アルキメデス的多様体の代数幾何学的研究を行い,剛性に関する新知見を得た.
    4. 可微分多様体,リーマン多様体,共形平坦多様体の大域解析的性質,双曲幾何学的性質,基本群の離散群論的性質を研究して数々の新知見を得た.
    5. 多様体上のラプラシアンやシュレーディンガー作用素のスペクトルの,量子論・準古典解析的研究および数理物理的研究を行うとともに,グラフに関する類似として離散スペクトル幾何に関しても興味深い数々の結果を得た.
    6. 生物等の形態形成を支配すると考えられる反応拡散方程式等の非線形偏微分方程式系を多様体上で大域的に研究し,安定性に関する新知見を得た.
    7. ケーラー多様体上のベクトル束の代数的安定性とアインシュタイン・エルミート計量に関する複素幾何学的研究を行い,いくつかの新知見を得た.
    8. 擬微分作用素・極大作用素・有界線形作用素・作用素環等を実解析・複素解析・フーリエ解析的側面から研究し,数々の新知見を得た.

  • 多様体上の退化楕円型擬微分方程式と多変数複素解析

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    1996年
     
     
     

    新井 仁之, 斎藤 和之, 高木 泉, 島倉 紀夫, 西川 青季, 猪狩 惺

     概要を見る

    ベキ零リー群G上の擬微分方程式の研究を行った.良く知られているように,G上の準楕円型偏微分方程式の解析は,Folland, Stein, Christ, Rothchild 等々によりL^p空間に関連して深く研究されてきた.しかし,L^pの指数pが,Gの斉次次元Q以下の場合,L^p解析が破綻をきたすことがある.そこで,非等方的モレ-空間を使いp【less than or equal】Qの場合の解析をすすめた.具体的には,モレ-のDirichlet増大定理に対してモレ-の証明とは全く異なる方法による証明を与え、さらにそのアイデアに基づき,Dirichlet増大定理をベキ零リー群上に一般化した.この結果はモレ-の定理そのものの精密化も与え,さらに今までの増大定理では扱うことのできなかった退化楕円型擬微分方程式の解のlocal regularityを証明した.その応用として強擬凸CR多様体上の<∂b>^^^-方程式や□_b方程式の解のlocal regularityに関する結果を証明した.これはFolland-Steinの評価を改良するものである.この研究に関連して,等質型空間上にモレ-空間を定義し,それに対してextrapolation型の定理を証明した.この定理はR^n上の古典的なモレ-空間の場合でも新しい定理である.実際それを用いることにより,調和解析に現れる種々のclassical operatorsのがモレ-空間で有界になることが証明できた.
    以上の他,境界で退化する楕円型偏微分作用素の調和解析を研究した.例えばシュタイン多様体の強擬凸領域やΘ-構造を持つ多様体,有限型領域等の境界で退化する楕円型偏微分作用素に関する調和解析の理論の基礎をつくり,退化楕円型調和測度の精密な評価をはじめ,退化楕円型H^l空間のマルチンゲ-ル空間への埋め込み定理などを証明した.

  • 幾何学における非線形問題の研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    1995年
    -
    1996年
     

    西川 青季, 新井 仁之, 堀畑 和弘, 納谷 信, 中川 泰宏, 板東 重稔, 高木 泉, 石田 正典

     概要を見る

    本研究は,各種の幾何構造の変形やモデュライの研究に現れる非線形問題を,大域的変分問題の立場から,系統的に研究することを目的とし,つぎの研究成果を得た.
    (1)西川は,負曲率等質リーマン多様体とその理想境界に関する調和写像の無限遠境界値問題を研究し,一般のk-term Carnot空間(Carnot巾零リー群の可換拡大としてえられる負曲率等質空間)の間の固有かつ非退化な調和写像に対し,無限遠境界値問題の境界値に対する必要条件,解の存在と一意性を証明した.
    (2)板東は,コンパクト・ケーラー多様体上の安定正則ベクトル束上のアインシュタイン・エルミート計量の退化について研究し,このような束のモヂュライ空間が反射的層を境界につけ加えることによりコンパクト化できることを証明した.
    (3)中川は,アインシュタイン・ケーラー計量の存在問題に対して,トーリックFano軌道体上の二木指標と一般化されたキリング形式を,対応する凸体のデータで記述する組み合せ論的公式を証明し,2次元トーリックFano軌道体および3・4次元非特異トーリックFano多様体の場合に,それらを具体的に求めた.
    (4)納谷は,階数1の局所対称空間の理想境界上の擬共形構造と両立する擬リーマン計量の標準的構成法を見いだし,複素双曲型空間形の理想境界に対して,この計量に対する田中・ウェブスター接続の曲率を計算し,その符号が対応する複素クライン群の極限集合のハウスドルフ次元によって決定されることを証明した.
    (5)堀畑,調和写像に付随した非線形放物型偏微分方程式に対して,空間3次元の場合に弱解がmonotonicityをみたすことを見いだし,解の部分正則性を証明した.
    (6)新井は,巾零群上の擬微分方程式の解の最適な評価を得ることに成功し,その応用として強擬凸CR多様体上の接コ-シ-・リーマン方程式の解の最適な評価も証明した.

  • 作用素環と諸種の解析学

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    1995年
     
     
     

    斎藤 和之, 新井 仁之, 吉野 崇, 増田 久弥, 猪狩 惺

     概要を見る

    ノイマン環及テンソル積の構造について研究した。正方形[0,1]×[0,1]の,Lebesgue測度が零でないどんな部分矩形A×BともLebesgue測度が零でない交わりをもつ,二つ以上の可測集合への分割がOxtoby,Maharam達によって与えられた。Lazanovskiはその分割を使用し次の結果を得た。
    B_1,B_2を孤立点をもたないコンパクト集合とすれば,B_1×B_2上には何如何なる自明でない正規測度も存在しない。
    この結果を詳細に考察すれば,L^∞[0,1]【cross product】L^∞[0,1]はL^∞[0,1]【cross product】L^∞[0,1]に於いて順序稠密にはならないことがわかる。本研究に於いて,この結果の非可換版を考察した。
    予想:Mをσ-有限なノイマン因子環とすれば,ノイマン・テンソル積M【cross product】Mに於いて,代数的テンソル積M【cross product】Mが順序稠密になるのはMが原始的な時に限るであろう。
    この問題を解決すべく,Oxtoby達の結果の非可換版として次の結果を得た。
    定理Mを原始的直和因子をもたないノイマン環とすれば,M【cross product】Mはp≠0,はp≠1であってxp≠0且つx(1-p)≠0(∀x∈M【cross product】M)となる射影作用素を含む。
    この結果を使用して予想を解決すべく目下研究中である。
    また古典調和解析に於ける種々の作用素のうち特に平行移動不変作用素及びそれに帰着される作用素の解析と代数的構造の研究を行い,特にフーリエ。マルチプライヤー上の作用関数について,またH^2-空間上で定義されるテープリッツ作用素,ハンケル作用素の代数的性質の解明に関して,それぞれ興味ある結果が得られた。
    さらに古典調和解析学てき手法によって境界で退化する楕円型偏微分作用素の研究及び強擬凸領域上のテープリッツ作用素の研究に関して,またナヴィアー・ストークス方程式へのH^2収束に関する近似スキーム理論に関して,それぞれ興味ある結果が得られた。

  • 退化楕円型境界値問題の調和解析とその多変数複素解析への応用

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    1995年
     
     
     

    新井 仁之, 板東 重稔, 斉藤 和之, 高木 泉, 西川 青季, 猪狩 惺

     概要を見る

    本科学研究費の補助によって下記のような研究実績をあげることができた。
    1.研究代表者である新井は境界を持つリーマン多様体の境界で退化する楕円微分方程式の調和解析的研究を行い、その調和測度と調和関数の境界挙動を解明した。退化の仕方により調和測度の境界挙動が大きく変化するという奇妙な現象を発見し、それを定量的に評価することができた。また、その応用として、種々の関数空間やカ-ルソン測度に関する結果を得た。そしてヴォイタシュチ-ク・ミュラーの問題を一般化した形で肯定的に解決した。詳しくは裏面の新井の発表論文に書かれてある。
    2.以上の他、新井はnilpotentリー群上の退化楕円型疑微分方程式の解のMorrey-Holder評価を証明した。この結果はL^p-Holder評価をより精密にしたものである。新井の結果はしたがって古典的な楕円型疑微分方程式の解のL^p-Holder評価をリー群上の退化楕円型疑微分方程式に拡張したものと見ることができる。応用として多変数複素解析に現れる強擬凸CR多様体上の接Cauchy-Rimann方程式の解の精密な評価も得ることができた。この結果は現在論文を投稿中である。
    3.分担者はそれぞれ次のような成果を得た。西川は負曲率等質空間上の調和写像の無限遠境界値問題を解くことに成功した。これは本研究にとって大きな進展であった。高木は活性因子一抑制因子の反応拡散方程式について多くの結果を得た。猪狩は掛谷の極大関数に関する調和解析の古典的問題の部分的解答を証明した。この問題は、もし完全に解ければ固有関数展開に大きな貢献が可能となるものである。斎藤の作用素環を使って得た結果、藤家の偏微分方程式的手法を用いた研究、板東の安定正則ベクトル束のEinstein-Hermitian metricsの退化の研究も本研究に寄与した。
    以上のように研究成果は期待以上に満足できるものであった。

  • 複素解析と調和解析の総合的研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    1994年
    -
    1995年
     

    宮地 晶彦, 新井 仁之, 佐藤 圓治, 勘甚 裕一, 薮田 公三

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    この総合研究の補助金のほとんどは平成6,7の両年待つに「調和解析セミナー」と題して開催した研究集会のために使った.この調和解析セミナーは過去10年以上にわたって継続されているもので,今回の総合研究も調和解析セミナーに関わっている多くの研究者たちの共同によるものである.Euclid空間上の調和解析や実解析,多変数複素解析関数,偏微分方程式,まどの分野にわたって,多くの研究成果が得られた.以下,主な成果のみを簡単に記す.
    Euclid空間上の調和解析:critical indexのBochner-Riesz平均作用素の種々の評価(佐藤秀一);Fourier multiplierの作る空間のBanach代数的性質(猪狩惺,佐藤圓治,勘甚裕一);非負のFourier変換をもつ関数の性質(立沢一哉,他)特異振動積分やLittlewood-Paley型関数の評価(藪田公三,他).実解析:掛谷最大関数の評価(猪狩惺,田中仁).関数空間:Euclid空間や一般にCoifman-Weissの意味の等質型空間(space of homogeneous type)上の種々の関数空間の性質,それらの関数空間での様々な作用素の評価,及びその応用(宮地晶彦,水原昴廣,中井英一,館岡淳,他).Wavelet理論:超局所的なwavelet理論とその応用(森藤紳哉);半単純Lie群の表現に関わる一般的なwavelet理論(河添健).多変数複素解析関数:複素多変数Bloch関数の特徴付け,強疑凸領域の境界で退化する2階楕円型作用素の調和解析,接Cauchy-Riemann方程式,Cauchy-Sego射影の評価,など(新井仁之).偏微分方程式:Euclid空間上の調和解析や実解析の結果や方法を応用した様々の偏微分方程式の研究(新井仁之,倉田和浩).その他:古典的な直交関数系の性質(勘甚裕一,他);フラクタルに関する研究)坂光一, 塩田安信, 他).

  • 境界で退化する楕円型偏微分作用素の調和解析とその多変数複素解析への応用

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    1994年
     
     
     

    新井 仁之

     概要を見る

    本年度は、境界で退化する楕円型偏微分方程式の解の境界挙動及び解のなす関数空間の構造に関していくかの成果を得ることができた。成果は次のものである:(1)強擬凸領域上のベルグマン・ラプラシアンをモデルとするある種の楕円型偏微分作用素に関するラプラス方程式の解の境界挙動を解明することができた。(2)強擬凸領域上の解析関数からなるハ-ディー空間に関するヴォイタシュチ-クの予想をより一般化した形で肯定的に解決することができた。この解決のため、(1)の研究成果を本質的に用いた。(3)強擬凸領域上の解析的ブロック関数の種々の特徴付けを発見し、その関数の境界挙動を解明した。ここでも(1)の研究成果を利用した。(4)ベルグマン・ラプラシアンをモデルに境界付きコンパクト多様体の内部にリーマン計量のあるクラスを導入し、その上の楕円型偏微分作用素について次の結果を得た:(a)マルチン境界と位相境界の関連、(b)調和測度の評価、(c)ハ-ディー空間、BMO空間の構造の解明。
    以上の結果のほかに、実解析学的手法によるアインシュタイン方程式の解の特異点の解析について研究した。
    また、論文は現在準備中であるが、ブロック関数のカ-ルソン測度による特徴付けをテープリッツ作用素を使う全く新しい手法で証明した。この方法の発見により、ブロック関数のみならず消滅的ブロック関数と解析的なp-ベゾフ関数の作用素論的な新しい特徴付けが得られるに至った。
    今回の研究成果により不変調和解析に新たな視点が加わったと考えられる。

  • 偏微分方程式の研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    1994年
     
     
     

    島倉 紀夫, 立澤 一哉, 新井 仁之, 板東 重稔, 高木 泉, 加藤 順二

     概要を見る

    この研究課題のもとで,楕円型方程式および放物型方程式を中心とする研究を行なった。
    まず,代表者 島倉は,行列空間上のベッセルの偏微分作用素を研究し,ボッホナ-のベッセル函数が行列の固有値に関して対称な整函数であり,1変数のベッセル函数を用いて具体的に書き下せることを証明した。これは近々発表の予定である.また,これとは別に,楕円型偏微分方程式の理論が19世紀の初頭以来どのように発展し,それが解析学および数学全般にどのように貢献して来たかを歴史的にまとめた論説を発表した.
    分担者 高木 泉は,数理生物学における形態形成の過程を記述する,活性因子と抑制因子からなる反応拡散方程式系を研究し,軸対称な領域において,活性因子の拡散が十分遅く,抑制因子の拡散が十分早いならば,幾つかの点の小さな近傍に活性因子が集中するような定常解が存在することを証明した.
    板東重稔は,複素解析多様体を研究し,ドナルドソン,ウーレンベック,ヤオの結果に基づいて,ベクトル束の連接層の安定性とアインシュタイン.エルミート計量の存在とが同値であることを証明した.
    新井仁之は,ブロック函数を用いて調和測度を研究し,複素多変数の擬凸領域におけるブロック函数をベルグマン計量の幾何と拡散過程を用いて特徴づけ,境界におけるその発散の早さを詳細に記述することによって,マカロフの定理を多変数化した.
    同じく分担者立澤一哉は,遠方で増大するポテンシャルをもつシュレ-ディンガー作用素の固有値の漸近分布法則を研究し,分布法則の上からと下からの不等式を,この作用素の表象から得られる量を用いて書き表した.

  • 退化楕円型境界値問題に関する調和解析とウェーブレット解析

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    1993年
     
     
     

    新井 仁之

     概要を見る

    本研究では、次の3つのタイプの新しい成果を得た:
    (1)強擬凸領域上のベルグマン・ラプラシアンを例とするような境界で退化するある種の2階楕円形作用素Lの調和解析に関する基本的な結果を証明し、それを用いて、Lu=0の解からなるHardy空間のアトム及び拡散過程による特徴付けを得た。さらに、強擬凸領域上の解析関数からなるHardy空間に関するWojtaszczykの予想の解決も含むような結果も、応用として証明した。
    (2)C^nの単位球上のBMOA関数のCarleson測度と拡散過程による特徴付けを証明した。これにより、BMOA関数の確率論的取扱いが可能になった。応用として、Littlewood-Paley型の等式ならびに、BMOA関数のCarleson測度による特徴付けの確率論的な別証を与え、Garnett-Jones型の定理を単位球上の不変調和関数に対して確率論的手法で証明した。
    (3)複素一変数のBloch関数はFourier級数、作用素論、等角写像論において重要な役割をはたす。このBloch関数の多変数への一般化が最近、Krantz,Timoneyなどにより得られた。われわれは、多変数Bloh関数をベルグマン計量の幾何と拡散過程を用いて特徴付け、その応用として、Bloh関数のBergman-Carleson測度による特徴付けを証明し、また、境界での発散のオーダーを詳細に記述した。後者は、一変数のMakarovの定理の多変数化である。

  • ユークリッド空間,多様体上の調和解析とその応用

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    1993年
     
     
     

    猪狩 惺, 堀畑 和弘, 立澤 一哉, 高木 泉, 斎藤 和之, 新井 仁之

     概要を見る

    研究は共同または各分担者を中心とするセミナーを核として進められた。
    1.平行移動に関して不変な作用素のつくる代数の研究には作用関数を決定することが有効である。考える空間が非コムパクトの場合はある解決をみているが、コムパクトの場合もほぼ解決することができた。これによりフーリエ・マルチプライヤーのスペクトラムの状況がほぼ解明された(猪狩惺)。
    2.ウエーヴレットの研究から特にウイルソン基が、遠方で増大するポテンシアルをもつシュレデインガー作用素の固有値の漸近挙動の研究に効果的であること示した。また、この基を用いてある準楕円型偏微分方程式の有界性を示すことができた(立沢一哉)。
    3.強擬凸領域上のベルグマン・ラプラシアンを例とするような境界で退化する2階楕円型作用素Lの調和解析に関する基本的な結果を得た。それを用いて、Lu=Oの解からなるハーデイ空間のアトムおよび拡散過程による特徴付けを証明し、さらにボイタシュチークの予想を含むような一般的な結果を得た。また退化楕円型作用素に関するメルローズ理論を通して、新たな調和解析の研究の可能性に着目しその準備に着手した(新井仁之)。
    4.非可換単調完備C^*-力学系の研究をおこない、可換離散群が自由にかつエルゴード的に作用する非可換単調C^*-力学系は存在することを構成的に示した、またその同値性にかんする研究をおこなった(斉藤和之)。
    5.反応拡散方程式が活性因子と抑制因子からなる2成分からなる場合、ある定常解を構成しその安定性について研究した(高木泉)。

  • 幾何構造の変形と大域的変分問題

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    1993年
     
     
     

    西川 青季, 中島 啓, 板東 重稔, 高木 泉, 堀畑 和弘, 新井 仁之

     概要を見る

    本研究は,幾何構造の変形に関連する種々の非線型方程式を,非コンパクト多様体上の大域的変分問題の立場から研究することを目的とし,次の成果を得た.
    1.研究代表者・西川は,双曲型空間内の非有界凸多面体間の調和写像のディリクレ境界値問題について研究し,m次元およびn次元双曲型空間内に与えられた非有界凸多面体に対し,それらの境界間の区分的にC^1級な連続写像で適切な境界条件をみたすものは,凸多面体内部へ調和写像として拡張できることを証明した.
    2.研究分担者・堀畑は,相対論に関係した問題である,境界つきミンコフスキー空間から球面への調和写像の存在について研究し,ガレルキン法を用いてその弱解を構成した.
    3.研究分担者・新井は,強擬凸領域上のベルグマン・ラプラシアンを一般化した,境界で退化する2階楕円型偏微分作用素Lについて研究し,Lu=0の解からなるHardy空間をアトムおよび拡散過程によって特徴付け,その応用として強擬凸領域上の解析関数からなるHardy空間に関するボイタシュチーク(Wojtaszczyk)予想を解決した.
    4.研究分担者・高木は,活性因子と抑制因子からなる2成分の反応拡散方程式系を軸対称な領域において研究し,活性因子の拡散係数が非常に小さく,抑制因子の拡散係数が十分大きい場合に,活性因子の分布が領域の対称軸と境界の交点のごく小さい近傍に集中するような定常解の存在を証明した.
    5.研究分担者・板東は,開ケーラー多様体上のアインシュタイン・エルミート束について研究し,2次元複素ユークリッド空間上のアインシュタイン・エルミート束が2次元複素射影空間上の無限遠直線上で自明なベクトル束に対応するというDonaldsonの定理を,より一般の開ケーラー多様体の場合へ拡張した.

  • 微分方程式の摂動問題

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    1992年
     
     
     

    高木 泉, 藤家 雪朗, 堀畑 和弘, 新井 仁之, 西川 青季, 加藤 順二

     概要を見る

    本研究は微分方程式の解あるいは解のなす集合に何らかの特異性が生じるような状況に着目し,その特異性を手掛りにして解の性質を詳しく調べようというものである。最高階の偏導函数の係数が非常に小さい楕円型偏微分方程式は解に境界層や内部遷移層が生じ得る特異摂動問題とみなすことができる。高木は巾型非線型項をもつ半線型楕円型方程式のノイマン問題を特異摂動の観点から研究し、次の結果を得た。(1)ソボレフの埋込み定理から規定される臨界増大度よりも小さい非線型性について,最小エネルギー解は領域の境界上のただ一点のみにおいて最大値をとり,しかも拡散係数が0に近づくときこの最大点は境界の平均曲率を最大ならしめる点に近づくことを示した。(2)活性因子ー抑制因子型のある反応拡散方程式系に対し、軸対称領域において複数個の点に鋭いピークをもつような定常解を構成した。(以上W.-M.Niとの共同研究による。)これらは生物の形態形成の数理モデルとそれを最も単純化したものであり,解の存在という観点からは第一段階を越えることが云えるが,解の安定性という重要な問題は依然未解決である。
    解の特異性について,堀畑は変分問題の解の特異点の集合の大きさを測った。また,藤家は複素領域におけるある二階のフックス型偏微分方程式について調べ,解の特異性が超幾何函数によって記述できることを示した。加藤は遅れをもつ微分方程式を様々な角度から研究し,終局有界性と同等終局有界性の間の関係を明らかにするなどの結果を得た。新井は強擬凸領域上の解析函数からつくられるハーディ空間が単位円板上の古典的ハーディ空間と同型であることを証明した。

  • 非コンパクト・リーマン多様体上の調和解析とその多変数関数論への応用

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    1991年
     
     
     

    新井 仁之

  • 微分方程式と摂動問題

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    1991年
     
     
     

    高木 泉, 堀畑 和弘, 藤家 雪朗, 伊藤 秀一, 新井 仁之, 島倉 紀夫

     概要を見る

    (A)典型的な特異摂動問題として、巾型非線型項を持つある半線型楕円型偏微分方程式のノイマン問題を考察した。この方程式は発生生物学の形態形成をモデル化した反応拡散方程式系の定常問題を研究する上で本質的な役割を果たす、Niを高木の共同研究では、拡散係数が十分小さいときの解の形状を領域の境界の幾何学的量と関連づけて表現することに成功した。得られた結果は以下のとおり:まず、非線型項がソボレフの埋蔵定理から決まる臨界増大度よりも小さい場合には、(1)解のうちで最もエネルギ-が小さいものは拡散係数が十分小さいときはつねにただひとつの極大値を持ち、従ってそれは最大値であるが、領域の境界上のただ一点で達成される。更に(2)最小エネルギ-解が最大値をとる点における境界の平均曲率は、拡散係数が0に近づくとき、境界の平均曲率の最大値に近づく、また、非線型項が臨界増大度に等しいときについて、(1)が成立することを示した。
    (B)特異性を持った解の近傍における解の挙動の研究として、藤家は有理函数を初期値とするコ-シ-問題の解の特異性を調べた、フックス型作用素の場合、あり種の二階の作用素については解の特異性が知られていたが、これを高階の作用素に拡張した。また、堀畑は微分幾何学における調和写像に付随した非線型の放物型偏微分方程式系の部分的正則性を調べるために時間の差分化を工夫し、差分解をある汎函数の最小値函数として構成することに成功した。
    (C)解集合の構造と特異点との関係の研究として、伊藤は解析的なハミルトン系の平衡点の近傍において系が完全積分可能系であることと解析的な正準変換でハミルトン函数をバ-コフ標準型に写すものが存在することとがある条件では同値であることを示した。

  • 作用素環と諸種の解析学

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    1991年
     
     
     

    斎藤 和之, 藤家 雪朗, 会田 茂樹, 新井 仁之, 伊藤 秀一, 高木 泉

     概要を見る

    1.作用素環の順序構造(斎藤)。可算鎖条件を満すノイマン因子環が与えられた時それと可分C^*ー環の正則完備化とのテンソル積が可算稠密集合を持つ必要十分条件はそのノイマン因子環がI型となる事を示し系として可算鎖条件を満すがδー∝分配律を満さぬスト-ン空間で位相同型でないものが少くとも2つある事を示した。2.調和解析学(新井)。狭義擬凸領域上のポテンシャル論における未解決問題(テ-ラ-)を肯定的に解決した。即ち狭義擬凸領域のバ-グマン計量に関するマルチンコンパクト化が位相的コンパクト化と位相同型となる事を示した。3.偏微分方程式と関数解析学関係(高木)。ソボレフの埋蔵定理に関係した臨界増大度を持つ半線形楕円型偏微分方程式に対するノイマン問題を考察し正値解の中でエネルギ-が最小のものは唯一つの極大値を持ちそれが領域の境界上の一点で実現される事を示した。4.力学系(伊藤)解析的ハミルトン系の平衡点の近傍で線形化ベクトル場の固有値が共鳴度1であれば解析的正準変換でハミルトン関数をバ-ユフ標準形に移するものが存在する事と系が完全可積分な事とが同値である事を示した。
    さらに常微分方程式の解の安定性(加藤),ウィ-ナ-空間の部分多様体上の微分作用素(会田),ベルグマン核の漸近展開とそのアルゴリズム(中澤)非古典的ペテンシャルをもつシュ-レデンガ-作用素の固有値の漸近分布(立沢),有理関数を初期値とするユ-シ-問題の解の特異性(藤家),調和写象に件随した非線形放物型偏微分方程式系の正則性(堀畑)等の重要な研究がなされた。

  • 調和解析と函数空間の研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    1990年
     
     
     

    猪狩 惺, 伊藤 秀一, 加藤 順二, 斎藤 和之, 立沢 一哉, 新井 仁之

     概要を見る

    本研究の目的は、ユ-クリッド空間上の調和解析を様々な角度から研究すると共に、その応用、多様体の上への調和解析の発展を期するものであった。
    ユ-クリッド空間上のフ-リエ解析において、重要な問題は、しばしば平行移動不変な作用素の研究、特にその有界性に帰着される。その非自明な最も単純な例は、円盤マルチプライヤ-であるが、そのルベ-グ空間における有界性は、特種な場合しかしられていない。ある種の混合ノルム空間については、特別な場合になりたつ事を既に示したが、極座標についての混合ノルム空間について、ルビオ・デ・フランシア-コルドバが得た円盤マルチプライヤ-についての結果を一般化すこと試みた(猪狩)。その結果は、n次調和関数で定義される空間でのノルム評価を下げる事ができたものの、十分ではなく今後の研究によらねばならない。
    立沢は、正のポテンシャルをもつシュレジンガ-作用素の固有値の漸近分布について、C.フェファ-マンが用いた調和解析的な手法ー関数の分解と荷重の応用ーを発展させ、固有値の変分原理とジリクレ-ノイマン法を用いて、研究した。その結果、非常に一般的なポテンシャルについて、すなわち非古典的な場合の一部も込めて固有値の漸近分布を記述することができた。
    新井は、C^n内の滑らかな有界狭義擬凸領域Dをバ-グマン計量gによる完備ケ-ラ-多様体とみなし、この多様体上の調和解析を試みた。主な結果は、L_gのマルチン境界は、Dの位相的境界と同相であり、極小マルチン境界点からなる。これはテイラ-の問題の肯定的解答を与えるものである。また、L_g調和測度と境界上のルベ-グ測度は互いに連続であることを示した。この結果の今後の応用が期待される。

  • 大域解析における諸問題

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    1989年
    -
    1990年
     

    小竹 武, 新井 仁之, 板東 重稔, 伊藤 秀一, 高木 泉, 加藤 順二, 小野 薫

     概要を見る

    多様体上の解析学としての大域解析が包括する研究対象は多岐にわたる。本研究では、種々の偏微分方程式の解構造の研究、力学系、関数微分方程式の摂動と安定性の研究、非線型解析の微分幾何学、数理物理学への応用等、解析学と幾何学、数理物理学との境界領域での研究の進展をはかるとともに、これら研究における解折手段として重要な調和解析および作用素の理論等の深化につとめた。以下、本研究において得られた新たな知見、成果の概要を記す。
    1. 偏微分方程式論に関するものとして、一般な正値ポテンシャルをもつシュレディンガ-作用素に対する固有値の漸近分布についての結果、およびリ-マン多様体上の熱方程式に対するヴィダ-型一意性定理の証明、更に、楕円型作円用素論の幾何学への対用として、ディラック作用素族の芸変指数についての研究、正則ベクトル束の除去可能特異点についての研究等が挙げられる。
    2. 力学系の分野では、可積分なハミルトン正準方程式系の特異点近傍での標準型への還元に関する研究、一方、遅れをともなう関数微分方程式に対する大域解の存在、安定性についての研究等がある。
    3. 非線型解析に関しては、拡散・反応方程式系について解の詳しい幾何学的研究がなされ、パタ-ン形成や将異点発生等について興味ある結界が得られた。
    4. 調和解析では、強擬凸領域上の〓〓調和関数の境界挙動に関するファトゥ型定理の証明がある。 2、作用素環の順序構造と正則完備化の構造との関係について新しい知見が得られた。
    5. バ-クマン核の研究では、領域がラインハルト領域のとき、核のトレ-スと境界のチャ-ン・モ-ザ-不変多項式との関係が明確化され、その応用として、複素球の大域的特徴づけが示された。

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Misc

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産業財産権

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その他

  • 「見る」の真理を追い求めて

    2019年09月
    -
     

     概要を見る

    雑誌「someone」vol. 46 で研究成果が特集された.

  • 朝日新聞朝刊:産業界が活用する「錯視」

    2018年11月
     
     

     概要を見る

    朝日新聞朝刊(2018年11月24日,be report)で新井の錯視研究と画像処理研究の成果が画像と共に紹介されました.

  • 米国科学雑誌 『Nautilus』 のサイト:How Japanese Floating Illusions Reverse-Engineer What We See

    2017年06月
     
     

     概要を見る

    視覚・錯視と画像処理の研究成果が米国科学雑誌 『Nautilus』 のサイトで取り上げられ紹介されました
    http://nautil.us/blog/how-japanese-floating-illusions-reverse_engineer-what-we-see

  • 医歯協mate:「錯視」はなぜ起こる?数学で視覚の仕組みに迫る

    2017年03月
     
     

     概要を見る

    『医歯協mate』(2017, No.299, pp24-27)に新井の視覚と錯視の数学的研究、及び画像処理への応用が取り上げられた。その取材協力をした。

  • 朝日新聞朝刊(2016年8月28日)の「科学の扉」で新井の視覚の情報処理の数理モデル,錯視,画像処理への応用の研究成果の一部が紹介されました.

    2016年08月
     
     
  • 『週刊ダイヤモンド』(2016年1月23日号)で脳内の視覚情報処理の数理モデル研究の一部と錯視アート作品の一つが紹介されました.

    2016年01月
     
     
  • ワールドビジネストレンド(TV東京)トレンドたまご:目の錯覚をビジネスに

    2015年08月
     
     

     概要を見る

    特許技術(発明者:新井仁之・新井しのぶ、特許権者:JST)による商業企画『ゆらりえ/YURARIE』(楽プリ株式会社)がワールドビジネストレンド(TV東京)のトレンドたまごで特集。2015年8月27日放映。

  • 『朝日新聞・日曜版』(2014年3月16日) GLOBE の特集『脳のふしぎ』に,新井・新井の研究,及び朝日新聞からの依頼により作成した作品『朝日新聞GLOBEの浮遊錯視』が掲載されました.

    2014年03月
     
     
  • 『読売新聞』(2014年2月28日)朝刊に新井・新井の研究と錯視アート(六花亭バレンタインラウンドハート,Flower Garden Illusion)がカラーで紹介されました.

    2014年02月
     
     
  • JST News で研究成果が特集

    2013年04月
     
     

     概要を見る

    『JST news 4月号 (2013)』に新井の研究に関する特集.『脳をだます「錯視」を数学的に解明』
    http://www.jst.go.jp/pr/jst-news/pdf/2012/2013_04_p08.pdf

  • 『読売新聞』(2012/9/16)で、視覚の数理モデルに関する成果が「錯視 高機能ゆえの「誤り」」というタイトルで報道されました.この記事は読売新聞の医療サイト YomiDr. でも Web公開されました.

    2012年09月
     
     
  • 『日本経済新聞』朝刊(2012/8/9)に,カラー紙面をほぼ全面使って私の数理視覚科学に関する研究成果が特集されました.『ハートが鼓動する 数学で読み解く「錯視」』

    2012年08月
     
     
  • 『日経パソコン』(2012年5月28日号)の巻頭「クローズアップ」に『「傾く文字列」の自動生成に成功 目の錯覚を数学的に解明する』という題で新井の研究の一部が特集されました。

    2012年05月
     
     
  • 『日本経済新聞Web刊』に新井の研究成果のうち、文字列傾斜錯視に関する成果が特集されました(全5ページ)。『平行なのに傾いてみえる?不思議な文字列』(2012年5月18日刊)

    2012年05月
     
     
  • ニュース等で研究成果が報道

    2012年03月
     
     

     概要を見る

    新井・新井の文字列傾斜錯視自動生成アルゴリズムが、次のメディアでニュースになりました:『MSN産経ニュース』,『47News』他 (2012/3/22),『東京中日スポーツ』の紙面,他 (2012/3/23) (共同通信社配信), 『とくダネ!』(フジテレビ),『ひるおび!』(TBS),『ITmediaニュース』(2012/3/23).

  • 『日本経済新聞』朝刊(2009/2/16)で,錯視に関する新井の最新の研究成果が「目の錯覚 取り除け」というタイトルで報道されました.

    2009年02月
     
     
  • 『論座』(朝日新聞社刊)で,視覚・錯視に関する私の研究が 特集されました.(2006年7月号, 最新!J科学『錯覚の数式』)

    2006年07月
     
     
  • 『神奈川新聞』 (2005/10/16) の 「知の遊歩道」 で視覚に関する私の研究が 『視覚に潜む数理を探る』 として特集されました.

    2005年10月
     
     
  • 朝日新聞の科学誌 SCIaS (1997年5月2日、p.78)で、私の調和解析に関する研究成果が報じられました。タイトルは『混沌から脱出した「調和」』。

    1997年05月
     
     

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現在担当している科目

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他学部・他研究科等兼任情報

  • 教育・総合科学学術院   大学院教育学研究科