Updated on 2026/05/30

写真a

 
NISHINAGA, Jiro
 
Affiliation
Faculty of Science and Engineering, School of Advanced Science and Engineering
Job title
Professor
 

Syllabus

▼display all

 

Sub-affiliation

  • Faculty of Science and Engineering   Graduate School of Advanced Science and Engineering

Internal Special Research Projects

  • 有機・無機半導体ヘテロ構造を用いた高感度光検出器の研究

    2013  

     View Summary

    フラーレンC60は1985年の発見以降、ナノ材料として多くの期待を集め、超伝導や太陽電池などの特異な物性が報告されてきた。C60分子はサッカーボール構造の対称性の高い分子であり、炭素原子間は共有結合で形成された極めて安定な分子といえる。そのためC60結晶薄膜は気相成長によって得ることができ、結晶基板上のエピタキシャル成長が報告されている。そこで、このC60分子に無機半導体で培われた半導体結晶成長・評価技術を応用することで、有機・無機半導体ヘテロ構造の作製および新規電子デバイスの提案ができると考えた。無機半導体と有機半導体は同じ半導体でありながらも、両者を組み合わせたヘテロ界面についての基礎的理解やデバイス応用に関する報告は少なく、厳密な制御技術の確立とその電子構造の理解を深めることは、新たな研究分野の開拓に大いに寄与するものと考えられる。そこで本研究の目的は、分子線エピタキシー (MBE) 法により、C60添加 GaAs薄膜を作製し、その光学的特性を評価し、高感度赤外線検出器を作製することである。MBE法によりC60 doped GaAs薄膜を作製したところ、GaAs結晶に欠陥なくC60分子の添加に成功した。電気的特性より添加されたC60分子はGaAs結晶中にて電子トラップとして機能し、電界を印加、もしくは赤外線を照射することで、トラップされていた電子が放出されることがわかった。これはC60分子が無機半導体中にてサイズが均一な量子ドットとして機能していることを示唆している。次にAlGaAs/GaAs界面に発生する2次元電子ガス近傍にC60分子を添加し、電気的特性がどのように変調されるかを検証したところ、AlGaAs/GaAs界面から離れたところにC60分子を添加することにより、2次元電子ガスの移動度を下げることなく電子濃度を減少させることに成功した。このC60添加HEMTデバイスに赤外光を入射したところ、C60分子にトラップされていた電子が励起され、AlGaAs/GaAs界面に移動し、高移動度のチャネルとして機能することを確認した。この現象は、少ない光で抵抗率を大きく変化させることが可能であることを示しており、高感度赤外光検出器として機能することがわかった。極低温において、HEMT構造に光照射すると、AlGaAs中のDXセンターから電子が励起され、2次元電子ガスを形成し、永年光伝導を示すが、このC60トラップは光照射を止めると再度電子をトラップすることで絶縁化させ、光照射することで2次元電子ガスを再度形成することがわかった。これらの結果は、C60トラップの大きな特徴といえる。

  • 有機・無機半導体界面制御による新規デバイスの創製

    2009   堀越佳治

     View Summary

    フラーレンC60は炭素60個からなる対称性の高い分子であり、有機TFTや太陽電池への応用が検討されている。我々は今までにGaAs基板上にC60結晶を成長させ、得られたC60薄膜の結晶性は非常に良いこと、フラーレン成長初期層の構造がGaAs表面再構成によって影響を受けることを示してきた。しかし、この得られたC60薄膜は結合力がvan der Waals力であるため、機械的強度が非常に弱く、熱や化学的プロセスに対して脆弱であり、実用的なデバイス応用は大変困難であることがわかった。C60分子はC60分子間よりも金属原子との間に強い結合を形成すると報告されており、多価金属を添加することにより多価金属が架橋の役割をして、C60分子間の結合力を強くすると予想できる。そこで、C60結晶の結合力を上げることを目標に、分子線エピタキシー(MBE)法により多価金属Al, Ga, GeをC60と同時蒸着させ、多価金属・C60複合体薄膜を製作した。この得られた薄膜の機械的強度をVickers硬度測定によって調べたところ、機械的強度が飛躍的に増大し、有機溶媒にも不溶となることがわかった。また、Ge・C60複合体薄膜の電気的特性は大気下においても高い導電率を示すことがわかった。今回、このGe・C60複合体と銅フタロシアニン(CuPc)のヘテロ構造をITO基板上に作製し、疑似太陽光を照射したところ、大気下において光起電力を確認した。この発電効率はバルクヘテロ構造を用いないCuPcとC60薄膜のヘテロ構造による太陽電池のトップデータに近い値であり、機械的・化学的強度が高く、大気下でおいても安定に動作することが特徴といえる。これはGe・C60複合体薄膜が、大気中の酸素や水に対する保護膜としても機能していることを示唆している。今後、発電効率を飛躍的に高めることが可能であるバルクヘテロ構造を、この系に採用することによって、多価金属・C60複合体薄膜を用いた機械的強度の高い高効率有機薄膜太陽電池の作製を図る。

  • 有機半導体結晶成長の動的観察とその応用

    2008   堀越 佳治

     View Summary

    有機半導体薄膜を用いた光電子機能材料が世界的に研究開発されている。フラーレンC60は対称性の高い安定な分子であり、その結晶は一般的な有機半導体と同様に分子間力によって結合している。このフラーレンC60薄膜は格子不整合の大きいGaAs基板上であっても良好なエピタキシャル成長することが知られており、このメカニズムを明らかにするため様々な面方位のGaAs基板を用いてC60薄膜を成長し、RHEED強度振動解析とX線回折によって、C60核形成に対する基板の表面周期構造の影響を調査した。MBE法を用いてGaAs(111)B基板上にC60薄膜を成長させたところ、成長初期にRHEED強度振動が観察され、その振動周期が一分子層成長時間と一致した。これはC60結晶成長が核形成とステップフロー成長の繰り返しによって起こることを示している。また、成長初期過程に注目すると、(111)B (2x2)構造上において、As三量体によってC60分子の吸着サイトが制限され、最密構造の50%の密度で第一分子層が完成されることがわかった。次にGaAs(113)A、(113)B基板上にC60薄膜を成長させ、X線回折測定を行った。XRD 2theta/omega scanの結果は、両試料共に(111)回折のみが確認され、C60薄膜は [111]配向して成長することがわかる。次に結晶構造の対称性を測定するため、XRD極点測定を行った。(113)A面基板上の結果は、回折ピークが鋭く面内配向性は優れていることがわかる。一方、(113)B面基板上の結果は回折ピークが非常にブロードであり、回転ドメインが大量に発生していることがわかった。これらの結果はA面基板表面に存在するGa原子がC60分子と強く結合するため、C60結晶核の面内配向が一意に決まり、回転ドメインの発生を抑制できたためと考えられる。この結果は有機半導体エピタキシャル成長においても、結晶核の形成過程が重要であることを示している。

  • RHEED 強度振動解析を用いた有機半導体結晶成長の解析

    2007  

     View Summary

    有機半導体薄膜は、発光素子(EL、LED)、薄膜トランジスタ(TFT)、薄膜太陽電池などのデバイスに応用され、その高品質化を目指して活発な研究が進められている。有機薄膜は軽量、大面積化が容易、低コスト性などの多くの利点をもち、今後ますます発展の兆しがある。デバイス性能をさらに向上させるためには、その基盤となる有機薄膜の品質向上が不可欠であり、このため、様々な有機薄膜の成長の研究が行われている。本研究の目的は、無機半導体で培われた結晶成長技術、その場観察技術等を有機薄膜材料に応用し、有機半導体高品質化の研究に役立てること、有機材料としてフラーレンC60を用い、この材料の有効な応用技術を開発することである。そこで、申請者はC60結晶薄膜のRHEED強度振動について行い、RHEED強度振動の観察に成功し、その強度振動周期と一分子層成長時間が一致することを明らかにした。これはC60結晶成長が核形成とステップフロー成長の繰り返しによって進行していることを初めて示したものである。C60成長初期過程に注目すると、GaAs(111)B (2×2)構造上のC60結晶薄膜では、0.5分子層(ML)および1.5ML成長したところに肩またはピークが現れることを発見した。この現象はC60結晶の第1分子層が0.5MLで完成していることを示しており、この理由として砒素三量体によってC60分子の吸着サイトが制限されるモデルを提案した。このC60成長初期層の配列がC60分子と基板表面構造の相関によって決まるというモデルは、走査トンネル顕微鏡による結果からも確認され、モデルの正しさが証明された。この成果は有機半導体で初めてのものであり、学術的に大きな意味を持つ。これによってRHEED強度振動が有機薄膜成長の動的過程観察に有効であることが示された。今後の課題として、他の有機半導体(ポリアセン系化合物等)にも、RHEED強度振動が有効であることを示す。