Internal Special Research Projects
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2025
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本研究では,溶液紡糸法による高強度CNT糸の創製を目的として,クロロスルホン酸(CSA)を用いた溶液紡糸プロセスの最適化を検討した.まず,結晶性やアスペクト比の異なる複数の原料CNTを比較した.高結晶性を有するCNTはCSA中でネマティック液晶相を発現したが,そのうち炭素不純物を多く含む原料では未溶解残留物が紡糸時に繊維内部の欠陥となり,連続紡糸が困難であった.すなわち,液晶性の発現に加えて不純物の除去が紡糸性を左右する重要因子であることが示された.次に,ドープの分散状態が繊維特性を大きく左右することを見出し,スターラーによる長時間攪拌で均一なネマティックドープを調製することで,高配向化に有利な成形条件を実現した.さらに,吐出流量および延伸比を系統的に検討した結果,過大な流量では配向が不十分となり,過小な流量では凝固浴の逆流による不安定化が生じることから,これらの成形パラメーターには最適条件が存在することが示された.ドープ濃度の比較では1 vol%条件が最も優れ,配向係数0.93,引張強度1.9±0.15 GPa,弾性率199±19 GPaを示した.得られたCNT糸の微細構造解析から,高配向・高緻密充填・低空隙な内部構造が形成されていることを確認した一方で,繊維内部に残留スルホン化物が欠陥として存在し,強度発現を阻害していることが示唆された.そこで,CSA浸漬下での軽微延伸とNMP洗浄を組み合わせた欠陥除去処理を導入した結果,残留スルホン化物が除去され,断面形状の均質化とともに機械特性がさらに向上し,引張強度2.3±0.2 GPa,弾性率232±38 GPaのCNT糸を達成した.今後は,HSLモデルによる成形条件の理論設計,より高アスペクト比のCNTの適用,およびドープ段階における複合化処理の導入により,さらなる高強度化を図る.