特定課題制度(学内資金)
特定課題制度(学内資金)
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2025年
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霊長類の持つような高度な認知機能は、肥大した大脳、そして、大脳新皮質という哺乳類特有の層構造によって生み出されると考えられてきた。しかしながら近年、哺乳類のような発達した層構造を持たない鳥類にも霊長類に匹敵するような高度な認知機能が見られることが示されている。鳥類の大脳には背側脳室稜(DVR)という核構造領域が存在し、この領域が鳥類の複雑な情報処理を担っている。DVR内部の核領域と領域間の神経回路が形成される過程を理解することは、鳥類、哺乳類の脳進化を理解し、生物の知能を生み出すメカニズムを解明することにも貢献すると期待される。申請者は特に鳥類大脳において、外部からの刺激をはじめに受容する脳領域であるEntopalliumという感覚入力核に着目し、その発生メカニズムを探索してきた。その中で、この感覚入力核には、大脳腹側のVentral palliumと、隣接するLateral palliumから産生される細胞が混在していることを発見した。そこで、Entopalliumに限らず鳥類大脳全体において、細胞の産生される空間的起源情報が、最終的な細胞の配置や核領域形成にどのような影響を及ぼすか明らかにするため、起源神経幹細胞とそこから生まれる娘細胞を継続して標識することのできるiOn スイッチシステムを用いた網羅的な細胞系譜解析を行った。その結果、鳥類大脳の神経細胞は尾側脳室表面の神経幹細胞から産生されて吻側に向かって移動すると同時に、一部の細胞は起源幹細胞の位置する領域を越えてより腹側の隣接領域にも配置されることを発見した。これらの結果より、鳥類脳DVRの核領域には多様な起源の細胞が混在していることが示され、核領域ごとの機能や性質決定には細胞産生以後の細胞外的作用が重要であると考えられる。鳥類感覚入力核の細胞性質決定メカニズムをより詳細に解析するため、ニワトリ大脳の網羅的遺伝子発現解析データの解析を進めている。細胞性質決定に関わる分子機構を経時的に解明することで、鳥類や哺乳類の脳構造形成の共通原理の解明に寄与すると期待される。
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