2026/04/06 更新

写真a

カトウ サワコ
加藤 佐和子
所属
文学学術院 文学部
職名
助手
 

特定課題制度(学内資金)

  • 現代ファンタジー児童文学における「別世界」描写の変遷

    2025年  

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    【研究成果:投稿論文】「どっちつかず」の世界としてのナルニア —『ライオンと魔女と衣装箪笥』を中心に」   Narnia as a Betwixt and Between World: Focusing on The Lion, the Witch and the Wardrobe『早稲田大学大学院文学研究科紀要』第71輯(掲載見込み)本論文は『ナルニア年代記』がファンタジーという形式の移り変わりの渦中にあった1950年代に出版されたこと、そしてその流れを大きく変えた作品の一つとして、非常に大きな功績を果たしていること、しかしながら『ナルニア年代記』についての研究はそのほとんどが聖書との呼応関係や神学的思想など宗教的意味合いを見出すことを目的としており、ファンタジー児童文学史におけるこの作品の役割という観点からの研究は十分になされてきたとは言えないことを背景とし、キリスト教を基盤とした作者の思想に依拠することなく、『ナルニア年代記』がファンタジー作品としてどのような功績を果たしたのかを考察したものである。また、疎開児童といういわば日常から切り離された子どもたちとの出会いによって書き始められたこの物語で日常からの「別世界」への移動が描かれていることにも注目し、それまでのファンタジー作品等で描かれてきた「別世界」との相違点の分析も行なった。ファンタジー児童文学における「別世界」は、優位性を持つ現実世界に対して、常に幻想や一時的な逃避先など、劣位的空間として扱われてきた。しかし、本論文は、第二次世界大戦後に出版された『ナルニア年代記』に描かれる「別世界」が二項対立的な力関係に取り込まれることなく存在していること、また主人公達は、既存の世界秩序に囚われず自らの体験によって新たな世界を創造し、同時にその世界との相互作用を繰り返し経験しながら変容していることを指摘した。