Internal Special Research Projects
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明治大正期における日本の東南アジア美術史観と仏像・神像の収集に関する研究
2025
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本研究は、日本が明治・大正期において東南アジア美術史、特にタイやカンボジアの仏教・ヒンドゥー教美術をどのように受容し、どのような経緯と意識でそれらの仏像・神像が日本へもたらされたのかを明らかにすることを目的とした。当時、山中商会をはじめとする美術商が果たした役割や、それらが日本の収集家や研究者の「東南アジア観」に与えた影響について当時の目録や記事、現存する作品から考察した。 本助成期間中の成果として、東京都立大学南大沢キャンパスで開催された日本タイ学会 2025年度研究大会において研究発表を行った。(太田小雪「三木榮と戦前のタイ仏教美術研究:仏像の蒐集活動とその意義」)発表では、漆工芸家であり、戦前の日タイ文化交流の架け橋として知られる三木榮(1891–1951)の仏教美術研究と仏像蒐集活動に焦点を当て、彼の活動が戦前の日本における仏教美術研究および古美術市場に与えた影響を考察した。特に、彼が蒐集した仏像の背景、意図、文化的価値に注目し、それらが日本国内でどのように活用され、美術史研究や教育に貢献したかを検討した。 また、戦前の東洋美術流通において中心的な役割を果たした山中商会に焦点を当てた論文を執筆した(太田小雪「山中商会が見た東南アジア」『早稲田大学大学院文学研究科紀要 第71輯』、2026年)。山中商会の社長であった山中定次郎(1866-1936)が1925年に東南アジアを周遊し、蒐集したタイ・カンボジア美術の売り立て記録や当時のカタログを分析した結果、美術商による美術史観の形成という側面が浮き彫りとなり、日本における東南アジア美術史研究の形成過程を、市場と蒐集、展観の実態から明らかにすることができた。本研究で得られた知見は、博士論文の基盤となるものである。今後は、さらに個別のコレクションの蔵品調査を進め、近代日本における東南アジア美術受容の全体像を明らかにしていきたい。