本研究は、大規模言語モデル(LLM)を活用し、文法的に制御された外国語教育リソースを低コストかつ大規模に生成する手法の確立を目的とする。一年間の研究期間を通じて、本研究は当初の計画を上回る成果を挙げた。 具体的には、本研究では、自然言語で記述された文法説明をプロンプトとして用いた場合において、文法記述の類型の違いがLLMによる教育用データ生成の品質に与える影響メカニズムを検討した。本成果は、中国語教育国際シンポジウム[1]において発表した後、内容をさらに発展させ、論文として発表した[2]。 さらに、本研究では、上記の成果を基盤として、LLMを言語教育活動の主体として活用する際に求められる基礎的能力を評価するためのベンチマーク設計手法について検討した。本成果は、LLMの言語教育における基礎能力評価ツールの設計に関する研究として、スイスの情報工学分野の学術誌 Informaticsに掲載された[3]。 本研究の意義は、従来多大な人的コストを要していた外国語教育用教材の作成プロセスを、LLMの活用により体系的かつスケーラブルに代替可能であることを示すとともに、生成品質の向上手法を明らかにした点にある。さらに、LLMの言語教育における活用可能性を定量的に評価するベンチマークを提案したことは、今後の教育応用における性能評価の標準化に資するものであり、人工知能を活用した次世代言語教育に向けた基礎研究として、外国語教育学および自然言語処理の双方に対して横断的な貢献を有する。[1]『等級基準』に準拠した大規模言語モデルの生成品質最適化に関する探究:『文法学習ハンドブック』に基づく実証的研究(=《等级标准》对齐的大语言模型生成质量优化路径探索:基于《语法学习手册》的实证研究), 王棟, 『国際中国語教育中国語レベル等級基準』実施四周年・国際中国語教育国際シンポジウム(=《国际中文教育中文水平等级标准》实施四周年暨国际中文教育国际学术研讨会) 2025年6月28日[2] Methods and Quality of Synthetic Chinese Corpora Aligned with the Proficiency Grading Standards: A Teacher Evaluation Study, WANG Dong, Academic Studies and Scientific Research (74) 199-217 2026年3月[3] CPG-EVAL: Evaluating the Readiness of Large Language Models as Assistants and Teammates in Language Teaching, Dong Wang, Informatics 13(2)(29) 2026年2月6日*注:Informatics CiteScoreランク 2024(Elsevier SCOPUSより)Social Sciences – Communication分野Q1レベル(グローバルランク第29位、国際上位6%)Computer Science - Computer Networks and Communications分野Q1レベル(グローバルランク第75位、 上位15%)