Updated on 2026/03/25

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DU, Xuewen
 
Affiliation
Faculty of Law, Institute of Comparative Law
Job title
Research Associate
 

Internal Special Research Projects

  • 国際私法の視点から見る代理出産と法的親子関係の安定化:ハーグ国際私法会議「親子関係・代理出産プロジェクト」を素材として

    2025  

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     本研究は、代理出産によって生じる親子関係の国際私法上の課題を明らかにし、各国の法制度が異なる状況の下で、子の法的地位の安定化を図るための方策を検討することを目的とするものである。特に、ハーグ国際私法会議(HCCH)が進める「親子関係・代理出産プロジェクト(Parentage / Surrogacy Project)」に関する公開資料を素材として、国際的な議論の動向を踏まえた分析を行った。 本年度はまず、各国における代理出産に関する親子関係認定の基準について基礎的な比較検討を行い、その差異が国際的な法の抵触を生じさせる構造を整理した。具体的には、出産した女性を母とする原則を採用する国と、遺伝的要素や意思を重視する国との間において、親子関係の承認に齟齬が生じる点を明らかにした。また、このような齟齬が、子の国籍取得、在留資格、相続関係などに影響を及ぼし得ることを確認した。 さらに、HCCHの親子関係・代理出産ワーキンググループ(Working Group on Parentage / Surrogacy)による最終報告書(Final Report on the Feasibility of a possible Convention on the Recognition of Judgments on Legal Parentage)を対象として、その内容の翻訳・整理を行い、国際的な制度構想の検討動向を把握した。この作業を通じて、各国判決の相互承認を軸とする調整モデルの意義と課題を検討し、国際私法の観点からの分析に資する基礎資料を整備した。 これらの検討を踏まえ、実体法の統一を前提とするのではなく、準拠法の指定や外国判決の承認といった国際私法上の手法によって調整を図る可能性について考察を行った。その結果、各国の価値判断の相違を前提としつつも、一定の基準に基づいて親子関係の承認を調整することにより、子の法的地位の不安定化を緩和し得る可能性が示された。 以上の成果により、代理出産をめぐる国際的課題に対し、国際私法の観点から実務的に機能し得る調整枠組みの必要性とその方向性を提示することができた。現在、これらの研究成果については論文として公表すべく準備を進めている。