2026/03/25 更新

写真a

ウエノ カズキ
上野 一喜
所属
人間科学学術院 人間科学部
職名
助手
 

特定課題制度(学内資金)

  • 所沢キャンパス周辺で発生する冷気湖現象の微気象観測

    2025年  

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    本研究では、所沢キャンパスが位置する狭山丘陵北部の窪地地形に着目し、中山間地における冷気湖現象の実態解明を目的として観測および解析を行った。一般に冷気湖は大規模な盆地地形で形成される現象として知られるが、本地域のように高低差約30 m程度の小規模な窪地での発生事例はこれまで十分に報告されていない。昨年度は既存観測点の再整備を進めるとともに、長期観測に対応したデータの一元管理体制を構築し、観測網の高度化を図った。その結果、冬季の晴天・弱風条件下において冷気湖が顕著に発達し、強風時や曇天・降雨時、さらに夏季にはほとんど形成されないという典型的な特徴を有する高精度データを取得することに成功した。現在、これらの成果を体系的に整理し、論文として取りまとめている。さらに、局地気象と生物応答の関係性を解明するため、媒介蚊の個体群動態を推定するプロセスベースモデル(PCMP)の改良を行い、局地スケールでの適用性を強化した。所沢キャンパスは複雑な地形条件に加え、舗装面、草地、森林(常緑樹・落葉樹)など多様な土地被覆が混在しており、微気象の空間的不均一性が顕著である。本研究では、このような局地環境の異質性を明示的に考慮することで、気象条件と生物応答の結合過程をより精緻に再現する枠組みを提示した。これを国内学会だけでなく国際学会でも発表を行った。

  • 中山間地に小さな凹地に発生する冷気湖現象の解明

    2024年   太田俊二

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    所沢キャンパスが位置する狭山丘陵北部一帯には窪地が形成されている。一般的に冷気湖現象は大きな盆地といった山間部で形成されるものであるが、中山間地の高低差約30mの小さな窪地でも発生していることはあまり報告されていない。2016年から数年間所沢キャンパス内に数十地点の観測ポイントを設けて密にこの冷気湖現象を捉える観測を行っていたが、コロナなどの影響で観測がストップしていた。それもだんだんと終息に向かっている今、もう一度観測点を復活させ、所沢キャンパス内に発生している冷気湖現象の季節変化を再び観測しなおしている途中である。以前の観測同様冬季の晴天弱風時に冷気湖が発達し、強風時や曇天・雨天時、また夏にはほとんど起こらないという冷気湖現象の特徴を示すデータが取れているので、それらをまとめた論文を執筆している。並行して、明治中期の地形図によると埼玉県南部から東京都北西部にかけて広がる武蔵野台地と多摩丘陵一帯には桑畑や茶畑といった樹木畑が広がっていた。その中で、埼玉県南部に位置する狭山丘陵の北部にあたる地域では、現在では中心的な桑や茶といった樹木畑ではなく、作物畑が分布していた。この一帯は丘と谷が入り組んだ複雑な地形となっている。一般的に谷地形の低地部分は冷気流が堆積し冷気湖が形成され、霜害が発生しやすいとされている。そこで本研究課題では、移動気温観測によって、明治期に桑や茶が栽培されていなかった地域と冷気湖が発達する場所が一致するのかを確かめた。その結果、明治期の記録による桑や茶が栽培されていなかった地域と今回の観測による冷気湖が発達する場所はよく一致していた。冷気流が集積しやすい地点は桑や茶の生産に重要な影響を及ぼす霜害かが出現しやすく、これを反映した土地利用を先人たちは行なっていたのだろう。このことは、過去の土地利用形態から微気象の特徴を推定できる可能性を示唆している。