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Updated on 2025/04/17
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Education Activity
Syllabus
Contribution to Society
Internal Special Research Projects
Basic Seminar of Lifelong Learning C
School of Education
2025 spring semester
中国農村地域の教育する家族の親役割認識とその教育行動 -中国家庭追跡調査(CFPS)による分析-
2024
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本研究では、北京大学中国社会科学調査センターが実施する『中国家庭追跡調査(CFPS)』のデータを用い、農村部の高教育支出家庭の特性を分析した。まず、農村部の高教育支出家庭において、約80%の親が義務教育段階の教育を修了していないことが確認された。しかしながら、子どもを大学に進学させたいと考える親は70%に達し、さらに博士号の取得を希望する親も7%存在する。この結果は、親自身が十分な教育を受けていないにもかかわらず、子どもの学歴に対する期待が極めて高いことを示している。つまり、教育経験の欠如が、かえって教育への過度な期待を生む要因となっている可能性がある。 しかし、ここで親が追求する「教育」は、学校教育の範囲に限定されており、子どもを育てるという教育の本来的価値よりも、将来的な成果を目的とした道具的価値に重点が置かれていると考えられる。そのことを裏付けるように、「教育費を支払うために節約すべき」や「成績の良し悪しは親の責任である」という考えに賛同する農村部の親が90%を超えており、親が自らに過度な責任を課している可能性が示唆された。 さらに、農村部の高教育支出家庭は、収入の約4分の1を教育費に充てており、これは都市部の高教育支出家庭以上の割合に達していることが明らかとなった。しかしながら、その教育投資の内訳を詳しく見ると、授業外学習の選択肢が都市部に比べて極めて限定的であり、教育投資の幅が狭いという問題が浮かび上がる。加えて、多くの親は自身が十分な教育を受けていないため、子どもへの適切な支援方法が明確でないことも課題として挙げられる。その結果、高額な教育投資が必ずしも効果的な学習環境の整備につながらず、どのような成果を生むのかが不透明なまま進められている。 本研究の成果は、早稲田大学教育学会2024年度研究大会にて口頭発表し、論文を投稿した。