Internal Special Research Projects
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2024
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学習指導要領解説(文部科学省、2017)では、小学校から中学校に移行すると数学の学習に対し肯定的な回答をする生徒の割合が低下する傾向にあると述べており、中学1年生での数学の苦手意識・躓きが課題となっている。算数から数学への飛躍では「概念性」「形式(記号)性」「論理性」が挙げられる(岡崎、1999)が、数学の躓きは数学固有の特質(石川・立花。2019)や数概念形成(依田ら、2017)などが要因とされており、算数から数学へ移行する中学1年生における数学の支援方法の検討が課題と考えられる。また、数学の躓きと認知パターンに関しては、近藤ら(2021)のような学習面での困難を示す児童生徒に対する事例検討や、加藤ら(2015)のような日本版KABC-Ⅱを用いた学習支援については数多く報告されているが、学習の躓きと認知パターンの相関に関する研究は見られない。また、私学における中学生の不登校が増えており、その要因において「学業の不振」が最多となっている(東京都生活文化局、2021・2022)。本研究では、中学1年生の数学(文字式、方程式、関数、図形)での躓きと認知特性の関係をパターン化することにより、小学校から中学校への数学的思考の移行の支援方法を検討することを目的としている。2024年度は、研究協力校において校内の数学の成績が下位10%だった中学1年生に対し、日本版KABC-Ⅱの実施及びその結果と、検査内の「計算」及び研究者が作成した「共通問題(学習指導要領に基づき計算・文章題を作成)」における誤答傾向との関係性を分析した。しかし研究対象者の人数が少なかったことから量的研究として相関関係を導き出すことができなかった。よって、2025年度も継続して同様の研究を実施しすることとした。