Updated on 2025/07/01

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SHIINOKI, Masato
 
Affiliation
Faculty of Science and Engineering, School of Fundamental Science and Engineering
Job title
Assistant Professor(non-tenure-track)
 

Syllabus

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Internal Special Research Projects

  • その場濃度分析とICP-OESを組み合わせた液体金属の高精度拡散係数測定

    2024  

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    液体金属の拡散係数は金属の凝固・結晶成長において重要な物性値であり,その高精度測定が求められる.しかし液体Al合金系,特に原子番号がAlと同程度かそれ以下の溶質を含む系の不純物拡散係数測定は液体Alとの密度差が小さく,密度差を用いて自然対流を抑制する安定密度配置をとれない.そこで本研究では液体Al合金中で信頼できる拡散係数の報告があるCuを添加元素として用いて安定密度配置とし,その場濃度分析によるCuの濃度分布から自然対流の抑制を直接確認,溶質の濃度分布を実験後試料の誘導プラズマ発光分析(ICP-OES)から取得して高精度な不純物拡散係数測定を実現することを目的として研究を行った.本研究課題ではICP-OESを用いた測定に向けて,拡散試料として使用するAl-Cu-Si合金の溶解方法検討と,シアーセル法と透過X線分析を用いたAl合金中におけるCuとSiの不純物拡散係数測定を行った.Al-Cu-Si合金とその実験試料は国際共同研究先のドイツ航空宇宙センターより日本に輸送したものを使用した.Al合金の溶解方法はフッ酸を含む混酸と合金試料を高圧下でマイクロ波照射することにより迅速に溶解可能であることを明らかにした.その知見を元にCuとSiの不純物拡散実験の試料を溶解しICP-OESによりCuとSiの濃度を測定した.その結果,透過X線によるその場測定から取得した濃度分布を解析して算出したCuの不純物拡散係数より,安定密度配置によって拡散実験中の自然対流は抑制されていたことを確認した.そしてSiの濃度分布は拡散の理論式に対して良好にフィッティングした.以上より本手法により液体Al合金中におけるCuとSiの不純物拡散係数を高精度に測定可能であることを明らかにした.