Updated on 2026/04/04

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SHIINOKI, Masato
 
Affiliation
Faculty of Science and Engineering, School of Fundamental Science and Engineering
Job title
Assistant Professor(non-tenure-track)
 

Syllabus

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Internal Special Research Projects

  • 液体金属の構造と熱物性の相関に基づく合金拡散モデルの構築

    2025  

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    液体金属の相互拡散係数は金属の凝固・結晶成長において重要な物性値である.ここで相互拡散係数の濃度依存性は,その理論式であるDarkenの式で表されると考えられるが,液体金属においてその関係が成り立つかは明らかではない.一方で相互拡散係数の濃度依存性の解析は,Boltzmann-Matano法を改良して,合金のモル体積を考慮した解析を可能としたSauer-Freise(SF)が有効と考えられる.しかし相互拡散係数測定において,試料濃度測定時の不確かさにより合金の濃度分布がばらつくため,SF法の適用が困難であった.そこで本研究は,不確かさの小さな相互拡散係数を取得するために,得られた濃度分布の中からSF法の解析に適した濃度分布を判定する方法を明らかにすることを目的とした.シアーセル法と安定密度配置を用いて,液体Sn-Pb合金の相互拡散実験を行った.拡散試料として上部にSn5-Pb95合金,中間セルをSn10-Pb90合金,下部にSn15-Pb85合金からなるf1.5×60 mmの拡散対を用いた.拡散温度および拡散時間はそれぞれ773 K,9000 sとし,4組の試料を同時に拡散させた.また試料配置は重力方向に密度が単調増加する安定密度配置とした.はじめに加熱炉を真空雰囲気にしたのち,拡散温度まで保持し試料の均質化を行った.その後,中間セルを挿入して拡散を開始した.拡散時間経過後,試料を20個に分断し,冷却した.そして取得した拡散試料を混酸によって溶解し,ICP-OESを用いてSnおよびPbの濃度分布を取得した.ここで相互拡散による濃度分布の理論式はFickの第2法則から導出される誤差関数で表されるが,濃度分布の勾配はガウス分布となる.よって中心濃度付近の濃度勾配がただひとつのピークをもつ結果のみを採用するという基準によりSn-Pb合金の濃度分布を判定し,SF法を用いた解析を行った.その結果,中心濃度における相互拡散係数の不確かさが低減し,判定した相互拡散係数が先行研究に対して低減した不確かさの範囲内で一致した.以上より,中心濃度付近の濃度勾配により濃度分布を判定することで,相互拡散係数の濃度依存性を評価できることを明らかにした.

  • その場濃度分析とICP-OESを組み合わせた液体金属の高精度拡散係数測定

    2024  

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    液体金属の拡散係数は金属の凝固・結晶成長において重要な物性値であり,その高精度測定が求められる.しかし液体Al合金系,特に原子番号がAlと同程度かそれ以下の溶質を含む系の不純物拡散係数測定は液体Alとの密度差が小さく,密度差を用いて自然対流を抑制する安定密度配置をとれない.そこで本研究では液体Al合金中で信頼できる拡散係数の報告があるCuを添加元素として用いて安定密度配置とし,その場濃度分析によるCuの濃度分布から自然対流の抑制を直接確認,溶質の濃度分布を実験後試料の誘導プラズマ発光分析(ICP-OES)から取得して高精度な不純物拡散係数測定を実現することを目的として研究を行った.本研究課題ではICP-OESを用いた測定に向けて,拡散試料として使用するAl-Cu-Si合金の溶解方法検討と,シアーセル法と透過X線分析を用いたAl合金中におけるCuとSiの不純物拡散係数測定を行った.Al-Cu-Si合金とその実験試料は国際共同研究先のドイツ航空宇宙センターより日本に輸送したものを使用した.Al合金の溶解方法はフッ酸を含む混酸と合金試料を高圧下でマイクロ波照射することにより迅速に溶解可能であることを明らかにした.その知見を元にCuとSiの不純物拡散実験の試料を溶解しICP-OESによりCuとSiの濃度を測定した.その結果,透過X線によるその場測定から取得した濃度分布を解析して算出したCuの不純物拡散係数より,安定密度配置によって拡散実験中の自然対流は抑制されていたことを確認した.そしてSiの濃度分布は拡散の理論式に対して良好にフィッティングした.以上より本手法により液体Al合金中におけるCuとSiの不純物拡散係数を高精度に測定可能であることを明らかにした.