2026/04/14 更新

写真a

ムトウ タツキ
武藤 竜樹
所属
理工学術院 先進理工学部
職名
助手
 

特定課題制度(学内資金)

  • 希土類金属化合物中の極小トポロジカル磁気結晶におけるスピン波励起の理論研究

    2025年  

     概要を見る

    中心対称な結晶構造を持つ希土類合金磁性体では、ジャロシンスキー・守谷相互作用が存在しないが、遍歴電子が媒介する長距離のRKKY相互作用により、著しく微細なナノスケールの磁気スキルミオンが形成される。スキルミオン由来の創発磁場は数密度に比例して増大するため、この極小スキルミオン系は巨大な創発電磁気現象の探究において極めて重要なプラットフォームである。本研究では、強磁場下で多彩なトポロジカル磁気相転移を示す GdRu2Ge2 を対象に、その集団磁気励起現象の理論的解明を目的とした。GdRu2Ge2 のトポロジカル磁気構造を記述するため、遍歴電子の磁気感受率に起因する波数空間上のフラストレーションを考慮した有効スピンモデルを構築した。このモデルに対し、線形スピン波理論を用いた数値解析を適用し、①各磁気相(楕円形スキルミオン、メロンーアンチメロン対、円形スキルミオン等)における動的スピン構造因子の算出、②コヒーレント状態を用いたスピン励起の古典的描像の記述、③各スピン波モードにおけるスピンの時間発展と空間フーリエ成分のダイナミクス解析、を実施した。解析の結果、円形スキルミオン相において回転モードやブリージングモードといった典型的な集団励起モードが存在することが明らかになった。特に3つのブリージングモードに着目し、その周波数特性とスピンダイナミクスを詳細に記述することに成功した。さらに、従来のカイラル磁性体におけるスキルミオン励起が単一粒子としての内部自由度に起因するのに対し、本系では複数のスピン螺旋構造(重畳波)の時間的な変調として理解できることを見出した。結論として、RKKY相互作用により安定化されたトポロジカル磁気構造では、基底状態を構成する複数のスピンらせん成分が時間的に振動しながら重ね合わさることで、多様かつ特異なスピン波モードが実現されることが理論的に解明された。