2025/04/18 更新

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エスカンド ジェシ
エスカンド ジェシ
所属
附属機関・学校 高等研究所
職名
講師(任期付)
学位
日本語日本学 学士 ( 2013年01月 エクス=マルセイユ大学 )
美術・文学・言語専門言語学専攻 修士 ( 2017年01月 エクス=マルセイユ大学 )
博士(文学) ( 2022年04月 大阪大学 )
メールアドレス
メールアドレス

経歴

  • 2024年04月
    -
    継続中

    早稲田大学   早稲田大学高等研究所   講師(任期付)

  • 2022年04月
    -
    2024年03月

    大阪大学   大学院人文学研究科テクスト環境論   招へい研究員

  • 2020年09月
    -
    2024年03月

    大阪大学   大学院文学研究科   教務補佐員

  • 2021年04月
    -
    2022年03月

    大阪大学   大学院文学研究科   リサーチ・アシスタント

    「転生と転用ーー文化とメディアの越境による「自己概念」の創造過程についての共同研究」共同研究プロジェクト 橋本順光教授担当

  • 2020年04月
    -
    2021年03月

    大阪大学   大学院文学研究科   リサーチア・シスタント

    「戦略的パートナーシップと海外拠点のアライアンス化による教育研究の世界展開事業」共同研究プロジェクト 好井千代助教担当

  • 2020年04月
    -
    2021年03月

    大阪大学   大学院文学研究科   リサーチ・アシスタント

    「現代日本における人外女性像――国境を超えるジェンダー表象を巡って――」共同研究プロジェクト 橋本 順光教授担当

  • 2019年09月
    -
    2020年03月

    大阪大学   大学院文学研究科   ティーチング・フェロー

    エラスムス・ムンドゥス・マスタープログラム(現代日本文化論特殊講義)田中均准教授担当

  • 2015年09月
    -
    2016年08月

    忠北大学校   フランス語学科   Enseignant stagiaire(教員研修生相当)

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学歴

  • 2017年
    -
    2022年03月

    大阪大学   文学研究科比較文学研究室   博士後期課程  

  • 2014年
    -
    2016年

    エックス・マルセイユ大学院 人文科学研究科   言語学研究科   修士課程  

  • 2014年
    -
    2015年

    エックス・マルセイユ大学院   人文科学研究科 文学翻訳と文化移転   修士課程  

  • 2013年
    -
    2014年

    同志社大学   日文センター   交換留学生  

  • 2010年
    -
    2013年

    エックス・マルセイユ大学   日本学   学士  

委員歴

  • 2024年04月
    -
    継続中

    早稲田大学高等研究所紀要編集委員会  紀要編集委員

所属学協会

  • 2023年12月
    -
    継続中

    社会情報学会

  • 2022年07月
    -
    継続中

    日本デジタルゲーム学会

  • 2020年03月
    -
    継続中

    国際比較文学会(ICLA)

  • 2020年03月
    -
    継続中

    社会文化学会

  • 2020年03月
    -
    継続中

    日本比較文化学会

  • 2020年03月
    -
    継続中

    日本比較文学会

  • 2019年12月
    -
    継続中

    カルチュラル・スタディーズ学会

  • 2019年10月
    -
    継続中

    コンテンツ文化史学会

  • 2019年07月
    -
    継続中

    日本記号学会

  • 2019年06月
    -
    継続中

    表象文化論学会

  • 2019年04月
    -
    継続中

    阪神近代文学会

  • 2017年04月
    -
    2024年03月

    阪大比較文学会

  • 2019年06月
    -
    2020年06月

    美学会

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研究分野

  • 美学、芸術論   感性論、ポップカルチャー, ゲーム研究 / 日本文学   怪奇小説、ファンタジー / 文化人類学、民俗学 / 文学一般   SF、ファンタスティック小説、ゴシック小説 / 外国語教育

研究キーワード

  • ファンタジー研究

  • 比較文化研究

  • ゲーム研究

  • 文化移転論

  • ジャンル論

  • メディア・コンテンツ論

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メディア報道

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論文

  • 再記号過程としての異文化受容:日本におけるデータベース・ファンタジーを事例に

    エスカンド・ジェシ

    早稲田大学高等研究所紀要   ( 17 ) 25 - 41  2025年03月  [査読有り]

  • Compiling, Connecting, Transforming: The Role of Fantasy Bestiaries in the Transmedial Diffusion and Appropriation of Foreign Imaginaries in Japan

    エスカンド・ジェシ

    『REPLAYING JAPAN』   ( 5 ) 65 - 79  2023年03月  [査読有り]

    DOI

  • Foreign Yet Familiar: J. L. Borges’ Book of Imaginary Beings and Other Cultural Ferrymen in Japanese Fantasy Games

    エスカンド・ジェシ

    Games and Culture   18 ( 1 ) 3 - 26  2023年01月  [査読有り]

    DOI

    Scopus

  • 現代日本ファンタジーにおける 〈文化の盗用〉の問題 ―日本の実情に適合した理論構築の必要性について―

    エスカンド・ジェシ

    『待兼山論叢』文学編   ( 56 ) 113 - 132  2022年12月  [査読有り]

  • 現代日本ポップカルチャーにおけるゴーレムについて:ゲームにおけるモンスター化から多メディアへの拡散まで

    エスカンド・ジェシ

    『比較文化研究』   ( 149 ) 107 - 121  2022年10月  [査読有り]

  • 異世界ものにおけるゲーム的世界の考察:テクストに見られる現代日本社会批判を巡って

    エスカンド・ジェシ

    『人文×社会』   ( 7 ) 39 - 53  2022年09月

  • Jingai Characters in Japanese Popular Culture and Their Function as Proxies for Representing and Questioning Otherness

    エスカンド・ジェシ

    Coping with the “New Normal” and the Promotion of International Exchange     31 - 39  2022年07月

    DOI

  • 現代日本ポップカルチャーにおけるデータベースファンタジー:文化移転のネットワーク化に基づくジャンルの成立と機能

    エスカンド・ジェシ

    未刊行博士論文 大阪大学大学院文学研究科     1 - 402  2022年03月

  • グールの放浪:古代アラビアから現代日本への文化移転を追跡して

    エスカンド ジェシ

    『比較文化研究』   ( 146 ) 1 - 14  2022年01月  [査読有り]

  • カトブレパスの変貌 :日本ポップカルチャーにおける文化移転的変容の事例研究として

    エスカンド・ジェシ

    『比較文化研究』   ( 145 ) 1 - 13  2021年10月  [査読有り]

  • 現代日本ファンタジー文芸作品におけるモチーフの文化移転 :テーブルトップ・ロールプレイング・ゲーム(TRPG)の媒体としての役割を中心に

    エスカンド・ジェシ

    『社会文化研究』   ( 23 ) 73 - 95  2021年06月  [査読有り]

  • ジャンル論から見る谷崎潤一郎の怪奇小説「人面疽」 : ファンタスティック小説論を巡って

    エスカンド・ジェシ

    『阪神近代文学研究』   ( 20 ) 14 - 29  2019年05月  [査読有り]

    CiNii

  • Potentiel et limites de l’approche actionnelle en Asie de l’Est, une étude de cas en Corée du Sud: De la question de la place de l’éthique dans la formation initiale en didactique du FLES

    エスカンド・ジェシ

    エックス・マルセイユ大学〔フランス〕人文学研究科 (UFR ALLSH)     1 - 258  2016年08月

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書籍等出版物

  • 転生したらスライムだった件 異世界サバイバルマニュアル

    堀川よしあき, エスカンド ジェシ( 担当: 共著,  担当範囲: 解説;pp. 66, 104, 156, 191.)

    講談社  2024年06月 ISBN: 4065335671

    ASIN

  • Point Gifter【原作:ポイントギフター《経験値分配能力者》の異世界最強ソロライフ ~ブラックギルドから解放された男は万能最強職として無双する~(日野彰 (著), 九十九弐式 (著), すかいふぁーむ (著) )】

    エスカンド ジェシ( 担当: 編訳,  担当範囲: 仏訳(第1巻、第2巻))

    Piccoma Europe  2024年06月

  • アヴァンギャルド狂詩曲〜そこに未来は見えたか? (トーキングヘッズ叢書 No.92)

    ( 担当: 分担執筆,  担当範囲: (書評)谷崎潤一郎「人面疽」:J ホラーを先取りした、映画黎明期の早すぎた傑作)

    書苑新社  2022年10月

  • ナイトランド・クォータリー vol.30 暗黒のメルヘン〜闇が語るもの

    エスカンド ジェシ( 担当: 共著,  担当範囲: 『コララインとボタンの魔女』の〈もう一人の母〉)

    書苑新社  2022年09月 ISBN: 9784883754786

  • 夜、来たるもの〜マジカルな時間のはじまり (トーキングヘッズ叢書 No.91)

    ( 担当: 分担執筆,  担当範囲: (書評)ギ・ド・モーパッサン「夜」:何もかも食い尽くす、恐るべき存在としての「夜」)

    書苑新社  2022年07月

  • 「桜の樹の下には」 : 多言語翻訳 : 梶井基次郎 = Multilingual translation of Kajii Motojiro's "Under the cherry trees"

    大阪大学大学院文学研究科, 年度大阪大学大学院文学研究科日本文学多言語翻訳チーム

    大阪大学大学院文学研究科  2018年03月 ISBN: 9784908326042

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Works(作品等)

  • 『モンセギュール1244』【TRPG】

    Frederik J. Jensen (フレデリック・J・イェンセン) 著/岡和田 晃 訳【エスカンド・ジェシ 言語コンサルティング】  芸術活動 

    2023年06月
    -
     

     概要を見る

    エスカンド:言語コンサルティング

講演・口頭発表等

  • Considering the Social Significance of the Isekai Genre

    Jessy ESCANDE

    2025 ICLA Congress-Seoul, KINTEX, Goyang City / Dongguk University Seoul, Republic of Korea  

    開催年月:
    2025年07月
    -
    2025年08月
  • Games as Cultural Brokers: Tracing the Creolization of the Japanese Fantasy Imaginary

    早稲田大学高等研究所例研究会

    発表年月: 2025年04月

  • Playable Ecologies and Ecocritical Storytelling: Japanese Video Games and their Idiosyncratic Mechanization/Portrayal of Interconnectedness

    Jessy ESCANDE  [招待有り]

    University-Based Institutes for Advanced Study (UBIAS) 2025 Symposium, “Human/Non-human”  

    発表年月: 2025年03月

    開催年月:
    2025年03月
     
     
  • 異世界もの、異文化受容と仏教思想の関係性を探る

    エスカンド・ジェシ  [招待有り]

    大般若法要特別講演、月照山 日光寺  

    発表年月: 2025年01月

  • Flash Talk: Games as Cultural Brokers in Contemporary Japanese Popular Culture

    Jessy ESCANDE

    The Waseda Institute for Advanced Study Homecoming Day 2025  

    発表年月: 2025年01月

  • 現代日本ファンタジー作品に憧れる欧米のオルタナ右翼・急進右翼 :白人中心主義的な日本産作品に共鳴する白人抑圧妄想を巡って

    エスカンド・ジェシ  [招待有り]

    第27回 社会文化学会全国大会:研究課題「ファンタジーと現実――サブカルチャーはどのように包摂/排除につながるか」  

    発表年月: 2024年12月

    開催年月:
    2024年12月
     
     
  • コンテンツ産業における「文化の盗用」と人文学的な産学連携の必要性

    エスカンド・ジェシ  [招待有り]

    早稲田オープン・イノベーション・フォーラム2023 : WOI’23  

    発表年月: 2024年11月

  • 現代日本ファンタジー、新中世主義とRPGの相互関係を再考して:データベース・ファンタジーのジャンル論と記号論を中心に

    エスカンド・ジェシ

    日本比較文化学会 第62回関東支部例会  

    発表年月: 2024年10月

  • 「現代日本ファンタジー作品に憧れる欧米のオルタナ右翼・急進右翼:白人中心主義的日本産作品に共鳴する白人抑圧妄想者達」プレ発表・事前勉強会

    エスカンド・ジェシ  [招待有り]

    社会文化学会 第6回東部部会  

    発表年月: 2024年08月

  • 日本ファンタジーにおける文化仲介者としてのゲームの役割について

    エスカンド・ジェシ  [招待有り]

    Game Research Workshop 2024【主催:東京大学ゲーム研究室(University of Tokyo Game Lab: UTGL)】  

    発表年月: 2024年06月

  • 現代日本ファンタジー研究:アナログ・ヒューマニティーズとデジタル・ヒューマニティーズを架け橋して

    エスカンド・ジェシ

    DH若手の会「デジタル・ヒューマニティーズで“繋がる×広がる”人文学」, 人間文化研究機構DH推進室  

    発表年月: 2024年02月

  • Shades of cultural appropriation in Japanese fantasy, from creative borrowings to commodification of foreign cultures

    Jessy ESCANDE

    Cycle de conférences "Productions et pratiques culturelles du Japon contemporain" / "Cultural productions and practices in contemporary Japan"  

    発表年月: 2024年01月

  • 日本のコンテンツ産業におけるカルチュラル・ブラインドネス:異文化受容関連の問題例を中心に

    エスカンド・ジェシ

    社会文化学会 第26回 全国大会  

    発表年月: 2023年12月

    開催年月:
    2023年12月
     
     
  • 異世界ものにおけるファンタジー・ジャンル的転覆性の歪曲に関して:『ゲート 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり』に見られる〈ポップナショナリズム〉を事例に

    エスカンド・ジェシ

    大阪大学比較文学会シンポジウム ―メディアの戦略と分析:メディアを横断する表象の力学―  

    発表年月: 2023年01月

  • 記号論から見たデータベースファンタジー:記号輸入としての異文化受容

    エスカンド・ジェシ

    日本記号学会第42回大会  

    発表年月: 2022年09月

    開催年月:
    2022年09月
     
     
  • Compiling, Connecting, Transforming: On the Role of Fantasy Bestiaries in the Transmedial Diffusion and Appropriation of Foreign Imaginaries in Japan

    エスカンド・ジェシ

    Replaying Japan 2022  

    発表年月: 2022年08月

    開催年月:
    2022年08月
     
     
  • 現代日本ファンタジーにおける異文化の商品化と文化の盗用の問題について

    エスカンド・ジェシ

    日本比較文化学会第44回全国大会 2022年度国際学術大会  

    発表年月: 2022年05月

    開催年月:
    2022年05月
     
     
  • 書評:山中由里子『驚異と怪異: 想像界の生きものたち』・山中由里子と山田仁史(編)『この世のキワ:〈自然〉の内と外』

    エスカンド・ジェシ  [招待有り]

    日本比較文学会関西支部2022年度4月例会  

    発表年月: 2022年04月

  • ファンタジーを変えたゲームたち:日本におけるゲームの文化的影響に関して

    エスカンド・ジェシ  [招待有り]

    立命館ゲーム研究センター 2021年度 第3回定例研究会:  

    発表年月: 2022年03月

  • 日本ポップカルチャーにおける〈人外〉キャラクター:他者性の描写と問いのためのプロクシー機能に関して

    エスカンド・ジェシ

    若手研究者国際セミナー  

    発表年月: 2022年02月

  • 現代日本ポップカルチャーにおけるデュラハン像の多型性に関して

    エスカンド・ジェシ

    阪大比較文学会シンポジウム『故郷と異郷をめぐる比較文学』  

    発表年月: 2022年01月

  • 現代日本における人外女性像:国境とメディアを越境するジェンダー表象を巡って

    エスカンド・ジェシ, パフチャレク・パヴェウ

    カルチュラル・タイフーン in 金沢  

    発表年月: 2021年06月

    開催年月:
    2021年06月
     
     
  • 日本ファンタジー文芸作品における ユダヤ神秘主義的モチーフとその順化:ゴーレム表象を中心に

    エスカンド ジェシ

    日本比較文学会 第83回全国大会  

    発表年月: 2021年06月

    開催年月:
    2021年06月
     
     
  • 日本のデータベースファンタジーにおけるカトブレパスの文化移転

    エスカンド ジェシ

    大阪大学比較文学会シンポジウム―越境する美術、変容する文化―  

    発表年月: 2021年01月

  • 現代日本ファンタジーにおけるボルヘス『幻獣辞典』の影響に関して:動物寓意譚(ベスチアリ)の文化移転を巡る事例研究

    エスカンド ジェシ

    日本比較文学会第 5 6 回関西大会  

    発表年月: 2020年11月

  • グールの放浪 古代アラビアから現代日本への文化移転を追跡して

    エスカンド ジェシ

    日本比較文化学会関西支部 10 月例会  

    発表年月: 2020年10月

  • 日本ファンタジーの文化移転的ジャンル成立に関して: 西洋由来のモチーフの移転プロセスを中心に

    エスカンド ジェシ

    大阪大学比較文学シンポジウム『恐怖と想像力の行方』  

    発表年月: 2019年11月

  • 日本ファンタジー文芸作品における西洋趣味 : モチーフ導入のクロスメディア性を巡って

    エスカンド ジェシ

    カルチュラルタイフーン2019  

    発表年月: 2019年06月

     概要を見る

    現在日本においてブームとなっているファンタジー作品に見られる西洋的モチーフかつ西洋中世主義的モチーフが注目を集めている。出版環境、創作者、読者層が日本のものであるものの、利用されているモチーフと舞台のほとんどが西洋のものである。最も注目するべき問題点は、鑑賞に必要な先行理解に関する点にある。一般読者の知識の範囲を超える神話的や西洋世界観的な要素に頼るヒントに基づいた作品の鑑賞は何故可能なのか。さらに何故小説、漫画、ビデオゲームのような多くのメデイアを包含する流行となったのか。この問題を理解するためには、今の日本ファンタジーのモチーフ、世界観、決まりなどの先行理解に至るプロセスを起点から現状まで探究する必要がある。Umberto Ecoが述べる<読者の事典>――即ち読書の際に読者が身に着け利用できる知識の合計――から考え、日本のポップカルチャーにおけるファンタジー文芸作品の鑑賞の際に機能する事典は幅広い。その幅広さは歴史上の神話、叙事詩、サガ、古典文学に根差した中世主義に還元できないと主張したい。無論、そういったものは現代の日本ファンタジーものに見られる要素の起点ともなり、影響関係にあるものの、あくまで間接的な関係である。その起点から現状までは、非常に段階的で、クロスメディア性の強い導入が行われた。見落とされながら最も重要であるのは、TRPG(テーブルトーク・ロールプレイングゲーム)である。ファンタジー系の西洋TRPGの影響を受けた80年代の日本ビデオゲーム、特にロールプレイングゲームは次に、漫画などに影響を与えた。とはいえ、多数の中一つの道筋である。これより多数のチャネルを渡ったモチーフとその導入プロセスを巡って、文化の境界線を超越した世界観の発展を文化伝達の視点から問う。

  • 文芸翻訳における間文化的移行の問題性に関して:意味を成す通底ネットワークの崩壊 宮部みゆき「時雨鬼」における<鬼>を事例に

    エスカンド ジェシ

    日本記号学会第39回大会  

    発表年月: 2019年05月

     概要を見る

    概念の文化相対性は、翻訳活動において問題となり、文化によって言葉が示す、また構築する現実が異なることを実感させられる。その中でも、文学の翻訳は特にそうであり、問題となることが多い。本発表において、日本独特の<鬼>について、その翻訳の可能性と問題性に関して紹介する。そのために、<鬼>の問題性を強調する宮部みゆきの「時雨鬼」を具体例にする。本作品において、<鬼>は異文化の読者に伝えなくてはならないモチーフとしての問題性を遥かに超えている。 翻訳の際、「時雨鬼」における<鬼>の特殊な利用は必然的に、アントワーヌ・バーマンが指摘する歪曲の傾向(仏:tendances déformantes、英:deforming tendancies)の一つである意味を成す通底ネットワークの崩壊(仏:destruction des réseaux signifiants sous-jacents、英:destruction of underlying networks of signification)に至るため、忠実な翻訳を不可能にすると断言できよう。「時雨鬼」において、<鬼>というシニフィアンは多様なシニフィエに相当する。この多様性こそ創作手法として利用され、ミステリーである本作品の解釈と理解に欠かせない仕掛けになっている。文脈によって、同じ<鬼>が実物の鬼や人の性格を指したり、または<鬼の霍乱>のような諺などで出現する。異なるシニフィエに対して、作品中<鬼>というシニフィアンの出現の繰り返しは、読者の敏感さ次第で気づきのタイミングと意識している程度は異なるが、作品内に描写されている出来事の解釈へと導く。従って、同じシニフィアンを共通する記号をテキストにうまく織り交ぜる創作手法は物語としての機能に欠かせない要素となる。しかし、英語やフランス語において、テクスト中における<鬼>のシニフィアンの一貫性を原文同様に保つことは不可能である。 非常に問題的な作品における<鬼>の問題性の理解を深めるため、記号論上の<鬼>という概念を分析し、歴代の文芸作品における<鬼>の翻訳を考察し、どのようにこの問題が対処されてきたか、そしてどうして「時雨鬼」の場合不十分であるのかを紹介する。 本研究において、記号論はもちろん、翻訳論や読者反応論で「時雨鬼」の原文、Daniel Huddlestonの英訳Apparitions: Ghosts of old Edoと発表者の仏訳を比較、分析し、この小説に限らず、文化相対的モチーフを中心にする文芸作品の翻訳における間文化的移行の限界と可能性を問う。

  • 怪奇小説鑑賞における不安の機能と手法 :谷崎潤一郎『人面疽』の一例を巡って

    エスカンド ジェシ

    第56回阪神近代文学会2018年度冬季大会  

    発表年月: 2018年12月

     概要を見る

    1918年に発行された『人面疽』は、谷崎潤一郎の作品の中ではさほど研究されておらず、その中でモチーフにされているシネマに焦点を当てた論文しか見られない。その問題点に注目し、本研究は別の観点から行い、怪奇小説としてよく読まれている『人面疽』の新たな再読可能性を確認する。それは、ファンタスティック小説論を用いたものである。 その再読の際、何を指摘できるか。ファンタスティック小説と怪奇小説は共に、読者に不安を感じ取らせることを目標にする。『人面疽』の再読においてファンタスティック小説論が利用された結果、分析できる創作手法はどのようなものであるか、どのように機能するかを指摘し、ファンタスティック小説と怪奇小説の関連性と類似性を論じる。 今までファンタスティック論の中で取り扱われた作品は主に欧米のものであった。東洋の作品が取り扱われたこともあるものの、ファンタスティック扱い自体が疑問視されたことが多く 、日本においてファンタスティック作品の有無と可能性自体さえも疑問点とされてきた 。しかし近頃、長らく停滞してきた現状を疑う声が多くなり、Bozzetto Rogerのような理論家に異文化圏の作品の対応を可能にするほどファンタスティック小説の規定が更新され拡大された。 『人面疽』の再分析以外には、怪奇小説論にファンタスティック論を加えるメリットとして何があるだろうか。怪奇小説とファンタスティック小説は確かに、異なる社会環境で生み出されたジャンルである。しかし、人間に普遍的な感情――ある種の不安―― を目標にする文学として、創作手法も様式も一貫する。本発表で紹介するのは、いまだ議論のさなかにある日本文学において、ファンタスティック小説の有無の判断、怪奇小説の機能の指摘、怪談とファンタスティック小説と怪奇小説の影響関係に関する仮説などについてである。

  • 文学研究における自民族中心主義の悪影響に関して:幻想文学論を中心に

    エスカンド ジェシ

    2018インターナショナル・カルチュラル・タイフーンin Ryukoku, Kyoto  

    発表年月: 2018年06月

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共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 現代日本ファンタジーにおける文化の盗用研究

    JSPS  化研費

    研究期間:

    2023年09月
    -
    2026年03月
     

    エスカンド ジェシ

  • 現代日本ファンタジーにおける文化の盗用研究:ゲームを着眼して

    特定課題研究助成費

    研究期間:

    2024年06月
    -
    2025年03月
     

Misc

  • 現代日本ファンタジーの海外受容の闇:オルタナ右翼・急進右翼が見る西洋趣味的日本ファンタジー

    エスカンド・ジェシ

    『情況』   ( 2月号 ) 128 - 131  2025年02月

    担当区分:筆頭著者

    記事・総説・解説・論説等(商業誌、新聞、ウェブメディア)  

  • 大会に参加して

    エスカンド ジェシ

    『社会文化通信』通巻第75号     34  2023年03月  [招待有り]

    会議報告等  

  • 変容するグール:アラビア伝承、『ガラン版千一夜物語』とクトゥルフ神話

    エスカンド ジェシ

    『ナイトランド・クォータリー・タイムス』   ( 11 ) 7  2021年10月  [招待有り]

    記事・総説・解説・論説等(商業誌、新聞、ウェブメディア)  

 

現在担当している科目

担当経験のある科目(授業)

  • Intensive Studies 31 (Japanese Visual Culture and Media 3)

    早稲田大学  

    2025年04月
    -
    継続中
     

  • 表象・メディア論系演習(ゲームデザインの考現学):キャラクターデザインと世界構築をクリティカルに考える

    早稲田大学  

    2024年04月
    -
    継続中
     

  • フランス語表現A, B

    國學院大學  

    2024年04月
    -
    2024年05月
     

  • フランス語コミュニケーション演習A, B

    國學院大學  

    2024年04月
    -
    2024年05月
     

  • 現代日本文化論特殊講義

    大阪大学  

    2019年09月
    -
    2020年03月
     

  • フランス語演習

    清州大学校  

    2015年09月
    -
    2016年08月
     

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社会貢献活動

  • 現代日本ファンタジー研究の意味:その切っ掛け、現在と先(2)

    KOKOん 

    2023年04月
    -
     

  • 現代日本ファンタジー研究の意味:その切っ掛け、現在と先(1)

    KOKOん 

    2022年03月
    -
     

学術貢献活動

  • 阪大比較文学会シンポジウム ―故郷と異郷をめぐる比較文学―

    橋本 順光  

    2022年01月
    -
     
  • 阪大比較文学会シンポジウム ―越境する美術、変容する文化―

    大会・シンポジウム等

    橋本 順光  

    2021年01月
    -
     

他学部・他研究科等兼任情報

  • 文学学術院   文化構想学部

特定課題制度(学内資金)

  • 現代日本ファンタジーにおける文化の盗用研究:ゲームを着眼して

    2024年  

     概要を見る

    This research grant was applied for with the aim of supplementing existing competitive funding and was used for the corresponding project. Specifically, it was implemented under a policy of examining the position of games within the broader research area of cross-cultural reception in contemporary Japanese fantasy. In addition, this grant played a key role in bridging the existing research project,&nbsp;Research on Cultural Appropriation in Contemporary Japanese Fantasy&nbsp;(Grants-in-Aid for Scientific Research 23K18626), with a newly acquired competitive fund focused on game studies,&nbsp;Research on the Role of Fantasy Games as Cultural Brokers in Japan&nbsp;(Grants-in-Aid for Scientific Research 25K21367), thereby facilitating the exploration of new issues and possibilities for further development.As part of the outcomes partially supported by this grant, one academic paper, one critical essay, and six oral presentations at domestic and international conferences and workshops were produced. The academic article,&nbsp;Cross-Cultural Reception as a Process of Resemiotization, analyzes the reception of database fantasy in Japan through a semiotic framework. It demonstrates that cross-cultural reception is not merely a process of adaptation but a creative process of generating new meanings, and that games played an indispensable role in this process. Furthermore, the article published in the journal&nbsp;Jōkyō&nbsp;discusses how Western-style Japanese fantasy—including games—has been received in white supremacist terms by the Western alt-right and far-right.Additionally, this research was presented in several venues, including the international UBIAS 2025 Symposium, where perspectives that frame games as cultural intermediaries and ecocritical analyses of Japanese games were shared. These activities affirmed the significance of the research across a wide range of academic fields both in Japan and abroad. In sum, this grant made a contribution to the development of a new research area connecting contemporary Japanese fantasy and games.