Updated on 2026/02/19

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WANG, Jinyun
 
Affiliation
Faculty of Human Sciences, School of Human Sciences
Job title
Assistant Professor(without tenure)
 

Internal Special Research Projects

  • WDR6制御による肥満抑制効果を用いたmiRNA治療法の探索

    2025  

     View Summary

    本年度は、Wdr6遺伝子の機能解明を目的として、脂肪細胞モデルを用いた基礎的解析を実施した。まず、マウス由来前駆脂肪細胞である3T3-L1細胞を用い、CRISPR/Cas9システムによりWdr6欠損(Wdr6 KO)細胞株を新規に樹立した。樹立した細胞系については、RNAレベル発現解析を通じてWdr6の欠失を確認し、実験に使用可能な安定ノックアウト細胞株であることを検証した。Wdr6欠損に伴う分子基盤の変化を包括的に解析するため、網羅的なプロテオーム解析を実施した。その結果、エネルギー代謝、ミトコンドリア機能、脂質代謝関連経路に関与する複数のタンパク質に発現変動が認められた。これらの結果は、乳酸およびATP解析の結果と整合的であり、Wdr6が脂肪細胞におけるエネルギー代謝制御ネットワークの一部として機能する可能性を支持するものである。 次に、Wdr6欠損が脂肪細胞分化過程に及ぼす影響を検討した。分化誘導後の形態学的観察および脂質蓄積の評価の結果、Wdr6 KO細胞では野生型細胞と比較して脂肪滴形成が著しく抑制され、Wdr6 KO細胞では野生型細胞と比較して分化の進行が遅延する傾向が認められた。脂肪細胞分化関連遺伝子の発現変化について、qPCR解析およびタンパク質レベルでの検証を行った。その結果、Wdr6 KO細胞では、PPARγ、C/EBPα、FABP4 などの主要な脂肪細胞分化マーカー遺伝子のmRNA発現が有意に低下しており、対応するタンパク質発現についても同様の低下傾向が認められた。これらの結果は、Wdr6欠損が脂肪細胞分化の転写制御ネットワークに影響を及ぼす可能性を示唆するものである。今後は、これらの細胞実験で得られた知見を基盤として、Wdr6欠損が個体レベルの代謝調節に及ぼす影響を明らかにするため、小鼠モデルを用いた解析を進める予定である。特に、高糖質あるいは高脂肪食負荷条件下における糖代謝変化に着目し、耐糖能やインスリン応答などの指標を用いて、Wdr6の生理的役割を包括的に検証することを計画している。以上より、本研究はWdr6の脂肪細胞分化およびエネルギー代謝制御への関与を示す基盤的知見を提供する成果である。

  • インスリンシグナル分子WDR6を介するオートファジー経路調節とその機能解析

    2024  

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    WD repeatprotein 6 (WDR6) は、N末端にグリシン-ヒスチジン、C末端にトリプトファン-アスパラギン酸を配置し、約40~60 アミノ酸のモチーフが4回以上存在する配列であるWDリピートを持つタンパク質である。In vitroにおいてWDR6のノックダウンが、脂質の蓄積を抑制することを⾒出している。しかし、⽣体内においてWDR6 ⽋損が脂肪蓄積に及ぼす影響は、まだ不明な点が多い。本研究では、Hela細胞(ヒト子宮頸がん)、HepG2細胞(ヒト肝がん)、および3T3-L1細胞(マウス前駆脂肪細胞)を用いてCRISPR-Cas9技術によりWdr6をノックアウトし、細胞増殖・脂肪分化・オートファジー関連経路への影響を解析することを目的とする。【⽅法】細胞培養:Hela,HepG2,3T3-L1細胞は、それぞれ適切な条件下(DMEM+10% FBS、37℃、5% CO₂)で培養した。CRISPR-Cas9によるWdr6ノックアウト: Wdr6の特定エクソンに対するgRNAを設計し、Cas9とともに発現ベクターに導入。リポフェクション法を用いて各細胞にトランスフェクションを行い、プルオマイシンで選別することでWdr6遺伝子ノックアウト細胞株を確立した。ノックアウト効率の検証: qPCRを用いてWdr6のmRNA発現を評価して、Wdr6の発現低下を確認した。【細胞増殖能の評価】: CCK-8法により細胞の増殖率を測定。【脂肪分化能の解析(3T3-L1)】: 誘導培地により脂肪分化を誘導し、Oil Red O染色により脂肪滴の形成を観察。【結論】Wdr6をノックアウトした細胞では、いずれの細胞種でも細胞の増殖速度が低下し、3T3-L1細胞では脂肪分化能の著しい低下が確認された。また、ULK1およびp70 S6Kのリン酸化レベルに変化が見られ、Wdr6がオートファジー関連シグナルに関与する可能性が示唆された。ただし、これらの変化の程度や傾向は細胞種によって異なっており、Wdr6の機能が細胞環境に依存する複雑なメカニズムによって制御されている可能性がある。