Updated on 2026/04/14

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MINATO, Minto
 
Affiliation
Faculty of Science and Engineering, School of Creative Science and Engineering
Job title
Research Associate
 

Internal Special Research Projects

  • 第二次世界大戦後世界におけるアトリエ ル・コルビュジエを中心とした建築家の活動研究

    2025  

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    これまでの研究では、第二次世界大戦後世界における建築家の職能変化と知の生成過程を明らかにすることを目的として、アトリエ・ル・コルビュジエを中心に活動した建築家たち、とりわけ1950~52年にフランスへ留学した吉阪隆正の在仏期に注目してきた。まず、早稲田大学所蔵の在仏日記4冊と挿入資料の悉皆的な解読・活字化を行い、記述内容を思索、学習、旅、交友、ル・コルビュジエ、アトリエ従事者、計画進行などの項目に分類・整理した。その結果、従来のようにル・コルビュジエ個人からの影響を中心に在仏期を理解するだけでは不十分であり、多国籍な従事者同士の協働や議論、在仏日本人や各国知識人との交流、民家調査や各地への旅などを含む留学全体が、吉阪の思想形成に深く関与していたことを明らかにした。特に、アトリエ・ル・コルビュジエにおける弟子たちの協働については、吉阪日記と従事者名簿との照合により、ドーシ、クセナキス、サンペールら多国籍な従事者が日常的に議論し、互いの出身地の住居や都市、構法、社会状況を持ち込みながら設計を進めていた実態を検討した。こうした協働は単なる作業分担ではなく、個々の計画案や判断に相互の知識と経験が入り込み、アトリエの設計そのものに影響を与える創発的な関係であったと考えられる。また、スケッチブック約1400点、ネガフィルム約200点の整理と分析を進め、日記と横断的に読むことで、建築、都市、民家、人物、風景に向けられた吉阪の視線と記録行為の特質も把握してきた。今後は、これら四種の資料を同日単位で統合的に読み解き、アトリエ、旅、民家調査、書簡交流が相互に連関する総合的学習体験としての留学像を再構成するとともに、そこから戦後世界において建築家の知がいかに協働的かつ越境的に生成されたのかを、より普遍的な視点から論じていく予定である。

  • 第二次世界大戦後世界における廉価住宅生産の研究

    2024  

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    <研究の目的>20世紀初頭から現在に至るまで、住宅の大量生産、価格の低廉化という問題は、常に議論され続けている。中でも第二次世界大戦後には、戦災等の影響を受けて、住宅機能の需要が急増し、近代化の波を受けて世界各所で廉価な住宅生産が散見される。この歴史を研究する事で、現代のスラム問題とその解決につながり得る方策を獲得することを本研究の目的とする。<研究の方法>2022年度から早稲田大学の建築家・吉阪隆正(1917-1980)の日記解読を発端として、第二次世界大戦後世界における建築家たちの研究を進めてきた。その中から、ル・コルビュジエ(1887-1965)のアトリエに吉阪と同時期に在籍した建築家たちの活動に着目した。すると、彼らに共通する問題意識として、住宅価格の問題があり、この問題意識を元にして、それぞれが自国で建築活動を展開していた事が明らかになる。この活動を記録した文献を対象として設計活動を調査し、比較分析する事で、アトリエ ル・コルビュジエでの経験を共有する彼らの活動の差異を明らかにする事を試みた。<成果の概要と展望>本年度は吉阪隆正を始めとして、B.V.Doshi(1927-2023、インド)、Georges Candilis(1913-1995、ギリシャ)を対象として、文献調査を行った。吉阪は1955年に「吉阪自邸」を設計している。住宅金融公庫の融資を受け、廉価に鉄筋コンクリートの「人工土地」を造り、その大地の上に住環境を設計した。B.V.Doshiの代表的な事例に”Aranya Low Cost Housing”がある。ここでは生活インフラなどの最小限の機能のみを設計し、住民自身が生産者となって生環境を構築する手法をデザインしている。Georges Candilisはモロッコのカサブランカにおいて、”carrières centrales housing”を計画している。この計画では市松模様のグリッドの積層によって計画されている。以上のように同じ経験を持つ建築家たちの間でも住宅価格の問題に対する活動には大きな差異が見られた。来年度以降も本研究を継続し、ル・コルビュジエの影響下にない建築家にも展開していく計画である。