Updated on 2025/06/30

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UCHIDA, Konari
 
Affiliation
Faculty of Commerce, Graduate School of Business and Finance
Job title
Professor
 

Syllabus

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Internal Special Research Projects

  • 多様性の決定要因と効果の解明:社外取締役・M&A・機関投資家を用いた実証研究

    2024   Hyonok Kim, Jungwon Min

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    本プロジェクトでは、4つの研究課題に取り組んだ。第一に、日本企業の経営者業績予想について分析し、当期の直近の業績予想を達成できなかった経営者が,翌期について市場で期待される水準よりも強気な予想を公表する傾向にあることを明らかにした。当期の業績が未達の場合も,強気な経営者予想に対して株価は正の反応を示すことも明らかにしている。ただし、機関投資持株比率と女性取締役が経営者によるこれらの印象マネジメントを弱めることを示している。洗練された投資家や男性に比べて倫理的な行動を重視する女性が経営者予想の情報の質を高めることを示唆している。本論文を Review of Managerial Science に公刊した。第二に、コーポレート・ガバナンス改革と株式価値の関係について実証分析を行い、2014年のスチュワードシップ・コード策定以降、株主還元の大きな銘柄が高い株式リターンを生んでおり、このプレミアムを反映して企業も株主還元を増やす傾向にあることを示した。また機関投資家も高株主還元銘柄へのポートフォリオ・ウェイトを高めていることを明らかにした。一方社外取締役の増加については、株式リターンへの効果が明確には観察されなかった。本研究の一部を現代ファイナンスに投稿し、改訂依頼を受けている。また研究全体を国際学術誌に投稿予定である。第三に、法人企業を筆頭株主とする企業は機関投資家を主要株主とする企業に比べて株主還元、特に自社株買いを少なくすることを明らかにした。Research in International Business and Finance に再投稿中である。最後に、日本企業の取締役会データ、特に社外取締役、女性取締役データを用いて人材の多様性を示す変数を作成した。今後この変数を用いて、多様性の決定要因と効果を分析する予定である。

  • 多様性の決定要因と効果の解明:社外取締役・M&A・機関投資家を用いた実証研究

    2024   Liping Dong, Sadok El Ghoul, Omrane Guedhami, Yuyang Zhang

     View Summary

    本プロジェクトでは、4つの研究課題に取り組んだ。第一に、中国企業について、海外での学習・勤務経験のあるCEOは関係当事者間取引を行う傾向が弱いことを明らかにした。特に法制度の整備が進んだ国での学習経験が関係当事者間取引を減少させる効果を持つことを示している。この結果は、海外の進んだ規範や倫理観を取り入れることが企業の好ましい行動につながることを示しており、多様性の効果に関する一つの重要な発見である。この論文を Journal of Behavioral and Experimental Finance に公刊した。第二に、中国企業のM&Aについて分析を行い、被買収企業の所在地の航空交通ネットワークが買収価額に正の影響を与えることを明らかにした。先行研究では買収・被買収企業の直行便の存在がM&A取引を促進すると主張しているが、本研究では、ネットワーク分析を用いることで買収企業・被買収企業の所在地の交通利便性を別々に計測し、買収企業に新たに加わる被買収企業の交通ネットワークが価値創造の源泉となることを強調している。現在、国際学術誌に投稿中である。第三に、日本企業の経営者交代について実証分析を行い、長期勤続した内部者を経営者に昇任させる企業は経営者交代の頻度が高いことを明らかにした。これらの企業はまた、株主還元が少ないことも明らかにしている。これらの結果は、内部者によるトーナメントが経営者交代の重要な要因になり、企業行動にも影響することを示している。今後国際学術誌に論文を投稿する予定である。最後に、日本企業によるM&Aのデータベースを構築し、買収企業と被買収企業の特性の相違を変数化している。また各M&A発表時の株価反応を計算した。今後、特性の異なる企業を買収する企業の決定要因および株価反応の決定要因を分析することで、多様性の決定要因及び効果に関するエビデンスを論文としてまとめる予定である。