2025/05/01 更新

写真a

クドウ シュウヘイ
工藤 秀平
所属
教育・総合科学学術院 教育学部
職名
助手
 

特定課題制度(学内資金)

  • EAP科目を受講する日本人大学生の英語の知覚と産出の変化に関する縦断的研究

    2024年  

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    近年の高等教育における傾向として、大学の国際化や国際的に活躍する人材の育成を目的として、英語による専門科目授業(English-mediuminstruction (EMI))を開講する大学が増加しており(Bradford & Brown,2017; Morizumi, 2015)、それに伴い英語による内容重視の指導(content-basedinstruction (CBI))を基盤としたEAPコースの開設をカリキュラム改革の一環として実施している大学も増えてきている(Harada, 2017)。CBIは内容指導と言語指導の目的を統合した言語教育アプローチの包括的用語であり、EMIやEAPもその形態の一つであるとされており(Brinton & Snow, 2017)、これらの授業は全てL2(英語)が教授言語となるため、学習者の英語に触れる機会は伝統的な英語学習クラスよりも大きく増加することから、英語学習に良い影響を与える事が期待されている(Fitzsimmons-Doolan etal, 2017; Harada, 2017)。しかしながら、EAPを経験する学習者の英語発音の産出・知覚に焦点を当てた縦断的研究は依然として限られている。同時に、専門内容を英語で学ぶ学習者の英語のパフォーマンスだけでなく、発音に対する意識調査も近年注目されている(Murata et al., 2019; Sugimoto,2021)。そのため本研究では、専門内容を英語で学ぶ授業(EMI, EAP)を受講する学習者が英語発音に対しどのような意識を持ち、彼らの発音の産出・知覚パフォーマンスと発音に対する意識がどのように変化するのかを調査する。 本研究は継続中であるが、今年度はEMIにおける学習者の英語発音に対する意識についてインタビュー調査を行った。分析の結果、学生たちは英語発音の訛りの許容を含め明瞭性(伝わりやすさ)志向を持つ一方で、 ネイティブスピーカー発音への志向性も根強く残っており、EMIにおいて相反する志向性が混在していることが明らかになった。この研究結果は2025年度中に学術誌に投稿予定である。発音の産出・知覚の変化に関する調査については、2025年度の発音データ分析の基礎とするため、最新の音声研究手法に関する専門書(Derwing, Munro &Thomson, 2022; Levis, Derwing, Munro, 2022; Levis, Derwing,Sonsaat-Hegelheimer, 2022; Nagle, 2024)を精査し、第二言語の発音の知覚・産出データの分析方法の再検討を行った。