特定課題制度(学内資金)
特定課題制度(学内資金)
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少年院に在院する外国にルーツのある少年に対するアウトリーチ型日本語教育研究
2024年 宮崎里司
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本研究は、少年院における外国につながりのある少年の在院状況・教育状況の調査および少年院に在院する外国につながりのある少年の課題・社会復帰後の意識に関する調査を行い、少年院に在院する外国につながりのある少年が持つ特有の背景および課題を明らかにし、矯正教育に日本語教育の視点を含めた協働的実践モデルを構築することを目的とする。 全国の少年院に在院する外国につながりのある少年、ならびに当該少年を指導する法務教官に対するアンケート調査およびインタビュー調査から明らかになった課題から、「市民リテラシー」(宮崎 2011、宮崎 2016、永岡他 2023)の意義を検証し、少年院に在院する外国につながりのある少年とその周囲にいる市民に必要な市民リテラシーの3要素「知識」「能力」「姿勢」について考察した。 調査を基に、モデル少年院の法務教官の協力のもと開発をしたワークショップ形式の『多文化共生プログラム』を、モデル少年院にて約7ヶ月を通して試行した。参加した少年(日本人少年を含む)には事前アンケートおよび事後アンケートを実施し、少年の状況、少年が持つ価値観、社会に対する意識を把握するとともに当プログラムの効果を検証した。加えて試行期間に2度の参与観察を行い、当プログラムに参加する少年および担当法務教官の行動を観察した。プログラムが終了した後には、担当法務教官との意見交換を実施し、当プログラムの改善点を検討した。 少年院に在院する外国につながりのある少年に教育、指導を行う法務教官が少年たちの言語運用能力を総合的に見立て、指導計画目標を立てる指標を開発することを目的とし、該当少年及び法務教官に対し、インタビュー、アンケートを行い、言語運用能力把握プレツールを作成した。プレツールを用い、4名の少年の言語運用能力を把握した。言語運用能力の実態把握、法務教官同士の共有、実践、実戦の振り返りや支援体制のあり方に関する活用を検討した。