特定課題制度(学内資金)
特定課題制度(学内資金)
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日本企業における社内炭素価格の運用および脱炭素効果に関する研究
2023年
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2023年度においては環境管理会計の研究を深めるため、2015年から現在までの期間に主要な会計学の学術誌に掲載されている関連文献を集中的に分析しました。この分析には計量書誌学という方法が用いられています。計量書誌学は、文献の著者、内容、参考文献、雑誌名などの要素を数理的、統計的に分析する学問分野であり、特に学術的なレビューや研究動向の解析に非常に有効な手法とされています。この分析手法の採用は、環境管理会計の分野における先行研究のトレンドや主要な研究テーマ、学術コミュニティ内での知見の共有や議論の方向性を明らかにすることが目的とします。特に、この分野で活発に研究が行われているテーマや、研究が集中している地域、主要な研究者や機関を特定することは、今後の研究の方向性を決定づける上で極めて重要でした。 しかしながら、実際に計量書誌学を採用し、分析を進めた結果、文献の引用数や出版の時期に関する偏りが顕著に見られました。例えば、最近に出版された文献が過小評価される傾向があります。これらの偏りは、分析結果の信頼性に影響を及ぼすだけでなく、研究の客観性や公平性を損なう懸念があります。さらに、計量書誌学の分析プロセス自体が、研究者の意図によって恣意的に操作可能である点も問題として浮かび上がりました。この点について、特定の結論に導くために,文献を意図的に分類することや恣意的に解釈することが可能であり,研究結果の客観性や信頼性を低下するリスクがあります。 上記の問題点を鑑みて、現在、本研究は計量書誌学に基づく分析手法の採用を見直し、より客観的でバイアスの少ない分析手法を模索しています。この新たなアプローチにより、環境管理会計の分野における研究動向や主要な議論をより正確に捉え、今後の研究の発展に貢献することを目指しています。