2024/04/25 更新

所属
理工学術院 先進理工学部
職名
助手
 

特定課題制度(学内資金)

  • Synthesis of High-order Polyazahelicenes via Hypervalent Iodine Reagents-Intermediated Consecutive N–H/C–H Coupling

    2023年   柴田高範

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    本研究の達成目標は、光学分割ができる世界最長の高次キラルアザヘリセンの合成および光基礎物性の評価である。さらにキラルカラムによる光学分割を行い、得られたアザヘリセンもの円二色性と円偏光発光特性を測定し評価することが目標である。最初に、目標アザヘリセンの原料である5環式アミン(dibenzo[c,g]phenanthren-9-amine)は、文献に従い、市販の試薬からWittig 反応とヨウ素を用いた酸化的光環化反応などの反応を用いて合成できた。これを2,9-ジクロロ-1,10-フェナントロリンと芳香族求核置換反応させることにより、高収率で環化前駆体の合成を達成した。最終的に本研究の鍵反応である超原子価ヨウ素試薬を用いた連続的酸化的N-H/C-Hカップリングにより、38%収率で目標の[15]アザヘリセンを得られた。目標化合物のジクロロメタン溶液は356㎚のUVライト照射下で黄色蛍光を示す。蛍光量子収率の測定を行い、0.36という比較的に良い結果を得られた。[15]アザヘリセンの紫外線-可視光スペクトルと蛍光発光スペクトルを測定し、共同研究者による合成した[9] 、 [11] 、 [13]アザヘリセンの測定結果と比較した。結果として、高次アザヘリセンは縮環数の増加に伴い、最大発光波長のレッドシフトおよび蛍光量子収率の向上の傾向が見られた。さらにダイセル社製の中圧キラルカラムを用いて、 [15]アザヘリセンの光学分割を達成した。分けられた鏡像異性体をそれぞれ円二色性分散計により測定し、円二色性スペクトルは鏡像対称であることが確認された。今後の目標は、今まで合成できたアザヘリセンの円偏光発光の測定を行い、その円偏光発光特性を評価することである。さらに高次なアザヘリセンの合成も目指している。