2024/04/20 更新

所属
附属機関・学校 高等研究所
職名
講師(任期付)
 
 

他学部・他研究科等兼任情報

  • 文学学術院   文化構想学部

特定課題制度(学内資金)

  • 戦後日本の転向言説とその文化表象

    2023年  

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    本研究課題は、戦後日本において展開された転向言説を、冷戦体制の深化に対する文化的反応という観点から考察し、当時の文学テクストにおいて戦前・戦中の転向という社会的体験がどのように表象されていたのかを同時代の転向言説との関係において分析することを目的とするものである。冷戦文化の一部として戦後の転向言説を考察することで、現在定着している転向認識の妥当性を検証するとともに、戦前・戦中の記憶が冷戦期の激変する社会状況との拮抗関係の中でどのように召喚・表象されたのか、その過程の政治性を問い直すことが可能になると考えられる。2023年度には、転向をめぐる1950年代の言説の動向を把握し、転向について書かれた1950年代の主要な論考が同時代に対するどのような問題関心から書かれたのかを検討し、今後の分析対象として取り上げるテクストを選定する作業を行った。その他、西洋の「転向文学」として紹介された書物(アーサー・ケストラー『真昼の暗黒』(1950年訳)、サルトル『汚れた手』(1951年訳)、アンドレ・ジッド、スティーブン・スペンダーらのエッセイ集『神は躓く』(1950年訳)など)がどのような経緯で日本に翻訳され、受容されたのかを検討した。2023年度の研究成果に基づいて、引き続き本研究課題に関する論文の執筆と国際学会での報告を目指す。