Updated on 2025/03/13

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KUBOTA, Harusuke
 
Affiliation
Faculty of Letters, Arts and Sciences, School of Culture, Media and Society
Job title
Professor
 

Syllabus

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Internal Special Research Projects

  • 戦後黎明期における高齢者教育の地域実践の記録と高齢者教育思想の構造

    2024  

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    第二次世界大戦後、地域公民館では民主化教育とともに青年や婦人教育が全国的に行われていった。公民館の目的として社会福祉の普及も掲げられていたが、高齢者に関する社会教育の学習実践の普及は1965年以降となっている。その理由として、民主化教育の主体が若者であり、高齢者は戦争体験者としての慰安を目的としたものが中心であったためである。長野県伊那市の小林文成の起こした楽生学園や、愛知県犬山市の松浦浅吉が起こした犬山としより学校など、高齢者の社会教育実践が行われていたにも関わらず、社会教育の歴史的系譜に高齢者教育実践が位置付けられていない。また、戦後高齢者への啓発活動として教育映像も多数制作されているが、教育映像に関する歴史的研究も進んでいないという現状がある。このような状況にもかかわらず、当時の高齢者教育の実践資料や、16ミリフィルムでした現存していない高齢者教育映画などの資料の保管・保存について検討を行うことは、これからの高齢者教育研究の体系化を行う上でも重要である。本研究では、戦後の全国で行われていた高齢者教育実践についての調査と資料の収集保存、同時代の教育映画のアーカイブス化を行う。この調査研究をもとに高齢者教育の思想や理論と実践の歴史的構造について、日本や海外を含めて研究発表を行うことで、世界的な超高齢社会の到来に向けた高齢者の主体的な学習の視座を提供することが目的である。結果として、以下の2点が明らかとなった。1つ目は、戦後直後の先駆的高齢者教育実践である楽生学園の設立経緯には、戦後民主化としての宮原誠一を中心とした社会教育実践との関係が深く、高齢期の学習に社会科学の要素が関わっていること。2つ目は、教育映画の保存状況が全国的に廃棄や劣化が進んでおり、研究発展のためにも重要だが、保存のための予算確保が困難な状況にあることである。

  • 高齢者の戦中戦後体験に関する経験知継承のための自分史アーカイブスによる学習プログラム構築

    2023  

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    第二次世界大戦中の戦争記録については、これまで報道や研究機関において作成されてきた。その戦争記録の方法としては、書籍による証言の記述や、当事者や遺族による証言の映像記録である。今日ではIT技術の促進により、人々がインターネットを介してYouTubeなど動画映像を簡単に利用することができる時代となっており、活字による理解する手段も学校教育においても少なくなってきている。また、これまでの戦争記録は、当事者の体験が個々に記録や記述がされており、証言の関係については、家族や当事者の直接的な関係者がほとんどであった。そのため、戦後70年以上がたった現在では、「自分事」として戦争記憶に関して理解がしにくい状況となっている。くわえて、時間経過とともに証言者が証言をする機会や状況が困難になってきている。そこで、高齢者の戦中・戦後の戦争記憶について、現代の人々や学校教育実践において「自分事」として理解することができるように、映像記録の作成と、地域の図書館や公民館などにおいて映像資料の保存や活用などができるようにするアーカイブスを行う。特に、(1)地域資源として高齢者の経験知を地域社会全体で共有するための「語りの映像化」のために、当事者の映像記録だけでなく、同時代の地域全体の様子が分かるような証言を複合して映像を作成する、(2)高齢者の自分史アーカイブス資料を作成し、地域の図書館や公民館、学校において、ワークショップや授業を行う、以上の2点を行った。研究計画としては、1.戦争記憶として先進的事例において、報道や研究機関によるこれまでの映像資料の制作、収集、活用方法についてのヒアリング調査(先進的事例調査地域)、2.戦中と戦後を連続して高齢者の自分史としてヒアリングを行い、映像資料を作成、3.高齢者の自分史映像資料を地域の学校や図書館、公民館において学習のワークショップを行い、学習効果の分析とモデル化を行った。

  • 高齢者の戦後復興下での地域活性に関する経験知の継承のための語りのアーカイブス化

    2022  

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    戦後復興のなかで当時の人々は、地域や社会への貢献活動は盛んであった。その地域復興活動が現代において、高齢者が主体的に地域づくりを行うための手法としての経験知となるように、高齢者の語りを映像化して、アーカイブ化し、地域の魅力を発信することと、地域の歴史を後世に継承することを行う学習の構造化を行うことを目指したものである。特に、(1)地域資源として高齢者の経験知を地域社会全体で共有するための「語りの映像化」の作成と、この(2)アーカイブスを利用した語りの共有と継承としてのワークショップの開催と、そのうえで、(3)地域住民と行政、NPО、大学が連携を取って、高齢者の経験知としての地域資源の構築を図った。