Updated on 2025/03/14

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MIYAKE, Shota
 
Affiliation
Faculty of Science and Engineering, School of Creative Science and Engineering
Job title
Assistant Professor(without tenure)
Degree
修士
 

Internal Special Research Projects

  • 低融点金属の溶融凝固現象を利用して自己修復するロボットシステムの開発

    2024  

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    本研究では、これまでに開発してきた、低融点金属の溶融・凝固現象を利用した回転型伝達要素をロボットシステムに導入し、自己修復性能の獲得が可能であることを確認するために、1軸のロボットアームを開発し、自己修復の検証実験を行った。これまでに開発した伝達要素は、低融点金属の金属結合を伝達力として利用しており、小型ながら大きな伝達力を発揮可能である。また、過負荷が発生した際には、低融点金属の部品が破壊して力の伝達性能を失い、それ以上の負荷が発生しないようになっている。その後、伝達要素を加熱・冷却することで、低融点金属を溶融・凝固させ、破壊した部品を自己修復する。ロボットシステムにこの機構を搭載するにあたり、機構が制限なく回転し続けることを可能とするため、非接触で加熱ができる誘導加熱を用いた。誘導加熱を利用することで、加熱の工程は約20秒で完了し、短時間での自己修復が可能である。また、出力を自由に調整できるように、モーターと伝達要素の間に減速機を挿入する構造となっている。アームの角度の制御は、モーターに付属しているエンコーダで行う。実験では、開発したロボットアームを用いて自己修復性能の確認を行った。正常な状態では、ロボットアームは1kgの錘を持ち上げられるが、過負荷を発生させて破壊すると、錘を持ち上げられなくなる。しかし、加熱することで、破壊された低融点金属の部品が自己修復され、再度錘を持ち上げられるようになった。この実験によって、ロボットシステム全体として、自己修復性能を獲得できることが確認された。これらの成果は、国内学会SI2024にて発表を行った。今後は、異常検知アルゴリズムなどを用いることで、自己修復の全自動化を目指す。

  • 溶融凝固現象と毛細管現象を用いて自己修復する金属材料の開発

    2023  

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    本研究では、溶融凝固現象と毛細管現象を利用した金属の自己修復材料の開発を実施した。溶融凝固現象を用いた自己修復は金属に適応でき、複数回の強度回復を可能とする一方で、溶融時に金属が外部に流出してしまい自己修復性能が低下するという課題が知られている。そこで、毛細管現象を用いることで溶融した金属の流出を防止し、高い強度回復率を持ちつつ複数回の自己修復を可能とする材料を提案した。具体的な研究として、本年度は毛細管現象を発生させる金属材料と構造の調査と自己修復材料の簡易的な評価を実施した。毛細管現象に適した金属材料と構造の調査では、複数種類の低融点金属を金属構造に浸透させることで、どのような挙動を示すかを調べた。その結果、一般的に知られている銅とハンダの組み合わせ以外でも、低融点金属が金属構造に浸透することが判明した。また、金属構造の違いによって、溶融した低融点金属の振る舞いが変化することや、自己修復後の様子に差異が発生することも明らかにした。加えて、自己修復前と後を観察すると、材料に発生したクラックが自己修復によって消失することを確認した。一方で、自己修復材料の評価では製作した材料に曲げ試験を実施して性能評価を行った。本研究では複数回の自己修復を提案しているため、試験では0から4回の自己修復を実施した材料を4つずつ準備し、それぞれ最大曲げ強度を調査した。その結果、4回の自己修復後も強度の低下は見られないことを実験的に示した。これらの成果はそれぞれ、国内学会MRS年次大会と国際学会MRM2024にて発表を行った。今後の展望としては、本年度は実施しなかったGa系の低融点金属を用いた自己修復材料の製作を行う。また、曲げ試験法が3点曲げであったため、4点とすることでより安定した材料評価を実施することで、材料の自己修復性能の評価をより詳細に実施する。