2023/12/04 更新

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ウンノ ノリコ
海野 典子
所属
国際学術院 大学院アジア太平洋研究科
職名
講師(任期付)

研究キーワード

  • 中国ムスリム

  • 中央アジア

  • 中国

  • 中央ユーラシア

  • イスラーム

  • 民族学

  • 地域研究

  • エスニシティ

  • マイノリティ

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受賞

  • 第19回アジア太平洋研究賞

    2020年07月   アジア太平洋フォーラム・淡路会議  

 

書籍等出版物

  • 近代日本と中東・イスラーム圏:ヒト・モノ・情報の交錯から見る

    小野亮介との共編著( 担当: 共編者(共編著者),  担当範囲: 第11章 日本人が見た中華民国期北京のムスリム社会:雑誌『回教』と画集『回回風俗図』を手がかりとして)

    東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所  2022年03月 ISBN: 9784863373747

  • 宗教と風紀:<聖なる規範>から読み解く現代

    高尾賢一郎, 後藤恵美, 小柳敦史( 担当: 分担執筆,  担当範囲: 経堂教育と新式教育:20世紀初頭の北京ムスリムの教育改革をめぐる議論と実践)

    岩波書店  2021年01月

  • Encyclopaedia of Islam, THREE

    Fleet, Kate et al. eds.( 担当: 分担執筆,  担当範囲: Ma Zhu)

    Brill  2019年

  • Encyclopaedia of Islam, THREE

    Fleet, Kate et al. eds.( 担当: 分担執筆,  担当範囲: Ma Fulong)

    Brill  2019年

  • 香港を知るための60章

    倉田徹・吉川雅之編( 担当: 分担執筆,  担当範囲: 香港のイスラーム)

    明石書店  2016年

  • 中国のムスリムを知るための60章

    中国ムスリム研究会編( 担当: 分担執筆,  担当範囲: 日本の回教工作)

    明石書店  2012年

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講演・口頭発表等

  • Between the Qing Dynasty and the Russian Empire: Dungans and Uyghurs in Central Asia in the 1910s

    Slavic-Eurasian Research Center 2015 Summer International Symposium, Sapporo  

    発表年月: 2015年07月

  • From Geographical Borders to Ethnic Boundaries: Chinese Muslims’ Imagination of Arabia/China and Hui/Han

    Association for Asian Studies, AAS-in-Asia 2017 confernce  

    発表年月: 2017年06月

  • Chinese Muslims and the Global Muslim Network: Interactions with Ottoman and Russian Muslims in the Early 20th Century

    Oxford International History of East Asia Seminar  

    発表年月: 2017年03月

  • 中国のムスリムとユーラシアの近代:20世紀初頭の華北地域における「民族」「宗教」と日常生活

    北海道中央ユーラシア研究会第123回例会  

    発表年月: 2016年07月

  • Ottoman Muslims in China: Travelers and Teachers in Beijing in the Early Twentieth Century

     [招待有り]

    China Beyond East & West Workshop  

    発表年月: 2016年04月

  • Jadidists in Beijing: Chinese Muslims’ Educational Reform in the Early Twentieth Century and Japanese Pan-Asianists

    Association for Asian Studies, Annual Conference  

    発表年月: 2016年04月

  • Under Crescent and Full Moons: The Routes and Routines of Chinese-speaking Muslims in the Early Twentieth Century

     [招待有り]

    The East Asian Archaeology Forum  

    発表年月: 2016年03月

  • From ‘Western Regions’ to ‘Eastern Lands’: Chinese Muslim Folklore and Memories of Migration in the Early Twentieth Century

    Columbia University Graduate Conference on East Asia  

    発表年月: 2016年02月

  • 20世紀初頭における中国ムスリムの移動の記憶と「西来」意識:民間伝承の伝播にみる

    中国ムスリム研究会特別研究会  

    発表年月: 2015年08月

  • 信仰と愛国主義のはざまで―日中戦争期における中国ムスリムのマッカ巡礼について

    科学研究費補助金基盤研究(C)「日本の回教工作とムスリム・コミュニティに関する歴史人類学的研究」(2013年度~2015年度、研究代表:澤井充生)研究会  

    発表年月: 2014年12月

  • 清く食べ、真に生きる:近代中国におけるハラール問題と「回漢」関係

    国際シンポジウム「20世紀初、中国周縁エスニシティの覚醒に関する比較研究」  

    発表年月: 2014年12月

  • 従民間伝説看近代穆斯林的国家観:以『回回原来』為中心

    第六届晩清史研究国際学術研討会  

    発表年月: 2014年07月

  • Abdürreşid İbrahim’s Journey to China: Muslim Communities in the Late Qing as Seen by a Russian-Tatar Intellectual

    International Symposium on the Life and Times of Abdürreşid İbrahim: Central Eurasian Space between Turkey and Japan  

    発表年月: 2014年05月

  • マイノリティから見た世界史:近代中国ムスリムのアイデンティティ探求

    大阪大学歴史教育研究会第76回例会  

    発表年月: 2014年03月

  • アブデュルレシト・イブラヒムの中国旅行:ロシアのタタール人ウラマーが見た清末ムスリム社会

    イスラーム地域研究・若手研究者の会2月例会  

    発表年月: 2014年02月

  • Japan’s Islamic Campaigns and Their Global Network: Focusing on the Relationship between Abdürreşid İbrahim and Chinese Muslims

    German Oriental Studies, 32nd conference  

    発表年月: 2013年09月

  • 近代中国における「漢人回教徒」説の展開:「民族」を志向しなかったムスリム・エリートたち

    エスニック・マイノリティ研究会  

    発表年月: 2013年07月

  • 近代中国における「漢人回教徒」説の展開:1930年代のムスリム・エリートによる言説を手がかりに

    中国社会文化学会2013年度年次大会  

    発表年月: 2013年07月

  • Between a Religious Group and an Ethnic Group: “Hui” in the Chinese Muslim Elite in the Early Twentieth Century

    Association for the Study of Nationalities, 20th annual convention  

    発表年月: 2013年04月

  • 中国のムスリムとユーラシアの近代―20世紀前半の「回」概念を手がかりとして

    東文研・ASNET共催セミナー第62回セミナー  

    発表年月: 2012年12月

  • 中国ムスリム・エリートにおける「回」:清末民初の時期を中心に

    日本中央アジア学会第14回年次大会  

    発表年月: 2012年03月

  • 清末民初の中国における「回族」の創出と変容:ムスリム・エリートと国家の関係を中心に

    北海道中央ユーラシア研究会第93回例会  

    発表年月: 2011年07月

  • 日中戦争期の中国ムスリム社会における「親日派」ムスリム:中国回教総連合会の唐易塵を中心に

    イスラム人口研究懇談会  

    発表年月: 2011年04月

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共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 近代中国ムスリムの起源説話とアイデンティティ形成:民族政策への影響を中心に

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 若手研究

    研究期間:

    2018年04月
    -
    2022年03月
     

    海野 典子

     概要を見る

    本研究は、近代中国の漢語を話すムスリム(中華人民共和国のイスラーム系少数民族、回族にほぼ相当)の起源説話が、彼らのアイデンティティ形成過程、及び中国共産党の民族政策において果たした役割を明らかにする。漢語を日常的に話し容貌も漢人に相似しているため、漢語を話すムスリムは歴代政権によって宗教集団と見なされてきた。しかし、20世紀前半のムスリム知識人は、7世紀中葉に預言者ムハンマドが唐朝に派遣した3人のアラブ人ムスリムの末裔であるという民間伝承を根拠に、漢人とは異なる独自のアイデンティティを強調した。この起源説話に注目してムスリムを単一の「民族」と認定し自治権を与えた、1940年代の中国共産党の民族政策は、現代中国の民族政策の基礎を作ったとされる。そこで、本研究は、ムスリムの起源説話の宗教的・文化的・政治的役割を解明することによって、近現代中国の民族・宗教問題の実態や民族政策の展開について新たな知見をもたらすことを目標とする。
    研究一年目でなる平成30年度は、漢語を話すムスリムの起源説話の政治的役割を解明するための時代的背景、すなわち起源説話が歴史叙述に利用され始めた20世紀前半の中国のムスリム社会の様相や、彼らを取り巻く政治状況を整理した。その結果、以下2点がわかった。第一に、当時、中国のムスリム社会は、辛亥革命や二度の世界大戦といった政治変動、国家の近代化政策、中東のイスラーム改革運動の影響を受け、大きく揺れていた。第二に、「民族」を意味する単語(漢語で民族minzu)に関する活発な議論が行われていた中国のムスリムのなかには、国家の民族・宗教政策に積極的に関与することでムスリムの社会的地位を向上させようとする者もいた。

  • 「イスラームと酒:シャリーア・国家・伝統文化の緊張関係を読み解く」

    サントリー文化財団  2019-2020年度サントリー文化財団助成「学問の未来を拓く」

    研究期間:

    2019年08月
    -
    2020年07月
     

    坂井弘紀, 宮下遼, 小澤一郎, 西川慧, Tariq Sheikh

  • 近代中国領出身ムスリムの知的交流と歴史・地理認識の変容

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 特別研究員奨励費

    研究期間:

    2017年04月
    -
    2020年03月
     

    海野 典子

     概要を見る

    採用2年目となる2018年度は、前年度に整理した中国領出身のムスリム知識人の思想的背景やネットワークの実態を踏まえながら、彼らの歴史・地理認識の変容過程を調べた。具体的には、ドゥンガン知識人がチャガタイ語で書いた歴史書『トゥンガンの歴史』、ウイグル人知識人がチャガタイ語で書いた『ハミード史』『タランチの歴史』などの史料を精読することによって、19世紀後半と20世紀前半における、中国領出身ムスリム知識人の歴史・地理認識の特徴、及びその違いを考察した。また、地域・言語・エスニシティ・宗派を超えたムスリムの知的交流や、当時のユーラシアの国際情勢に注目して、19世紀後半から20世紀前半に彼らの歴史・地理認識が変容した理由・経緯を検討した。その結果、以下2点が明らかになった。
    第一に、中国領出身のムスリム知識人は直接の面識があったわけではなかったが、それぞれの著作や民間伝承を相互に参照し合っていた。たとえば、ドゥンガン人は、テュルク系ムスリムの民間伝承を「史実」として引用して、ドゥンガン人はウイグル人の末裔であると主張した。一方のテュルク系ムスリムも、17世紀以降中国領内の回民のあいだで語られてきた回民の起源説話を引用して、回民とテュルク系ムスリムの関係を論じた。第二に、1910~20年代に中国領出身のムスリム知識人が書いた歴史・地理書の多くは、1917年のロシア革命や1920年代初めに中央アジアで行われた民族共和国境界画定工作を背景として、ドゥンガン人とウイグル人の民族的共通性や差異、ドゥンガン人を東トルキスタン出身者と見なすか中国内地出身者と見なすか否かについて議論を展開していた。つまり、中国領出身のムスリム知識人は、ロシア(後にソ連)領においてウイグル人としての政治的権利を主張するために、ドゥンガン人とウイグル人の歴史・地理的共通性を示そうとしたのだと考えられる。

  • 「中国ムスリムの移動とエスニシティに関する歴史人類学的研究:19–20世紀中央アジアへの移民」

    りそなアジア・オセアニア財団  2016年度りそなアジア・オセアニア財団調査研究費

    研究期間:

    2016年04月
    -
    2017年03月
     

  • 「中国のムスリムとユーラシアの近代:20世紀初頭のイスラーム文化運動におけるエスニシティ」

    ハーバード・イェンチン研究所 

    研究期間:

    2015年08月
    -
    2016年12月
     

  • 「清朝とイスラーム:17–20世紀の中国ムスリム・ネットワークの動態と国家との多元的関係」

    三島海雲記念財団  2015年度三島海雲記念財団調査研究費

    研究期間:

    2015年07月
    -
    2016年06月
     

  • 近代中国における「イスラーム民族」の創出と変容-ムスリム社会と国家の関係を中心に

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 特別研究員奨励費

    研究期間:

    2012年04月
    -
    2015年03月
     

    山﨑 典子, 山崎 典子

     概要を見る

    民族・宗教問題が世界各地で深刻さを増している今日、ネイションやエスニシティ、信仰に関する議論がいたるところで行われている。本研究は、歴代政権によって漢人の宗教集団と見なされてきた中国の漢語を話すムスリム(現在の回族にほぼ相当)という新たな研究視角から、エスニシティと信仰の動的関係を解明することを目的とする。このことによって、多元的価値観を持つ人間同士が共存する方法を考えることが、本研究の意義であり目標でもある。
    これまでは、20世紀初頭に「民族」「宗教」について興味深い議論を行っていたムスリム・エリート(宗教指導者、知識人、教育家、軍人、ジャーナリストなど)の言説を分析の主な対象としてきた。本年度は言説のみならず、ムスリム・エリートの政治行動やムスリム民衆の日常生活におけるアイデンティティ表出の問題を複眼的に論じるために、ムスリムの(a)移動(b)教育(c)食(d)民間伝承について調べた。具体的には、第一に、漢語やテュルク語で書かれた各種史料を精読した。また、中国社会科学院民族学与人類学研究所に訪問研究者として滞在し、各図書館・文書館での史料収集やモスクでの調査を行った。第二に、(a)~(d)のテーマについて、日本国内では3回(うち一回は英語を使用)、中国国内で1回(中国語)研究成果を発表し、複数の言語で論文を書いた。
    これらの研究活動によって、20世紀初頭の中国ムスリムの教育改革においてオスマン帝国やロシア帝国出身のムスリムが重要な役割を果たしたこと、中国ムスリムと国外のイスラーム世界の関係がマッカ巡礼によって深化したこと、非ムスリムとの食習慣を巡る争いを背景とするムスリムの強烈な「清真」(ハラール)意識や祖先が「西域」から来たという「西来」意識が「回」「漢」のアイデンティティ・マーカーとして機能していたことを、明らかにした。

  • 現代新疆における少数民族の文化動態に関する研究:民族言語出版物からの検討

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)

    研究期間:

    2020年04月
    -
    2024年03月
     

    梅村 坦, 新免 康, 小沼 孝博, 熊倉 潤

  • 中国のムスリムとオスマン帝国:信仰・インテリジェンス・近代化

    公益財団法人JFE21世紀財団  アジア歴史研究助成

    研究期間:

    2022年01月
    -
    2024年01月
     

  • 国際会議"Sects and Sectarianism in Chinese Islam"

    公益財団法人りそなアジア・オセアニア財団  国際学術交流助成

    研究期間:

    2022年04月
    -
    2023年03月
     

  • 近現代中央ユーラシアにおけるタタール人ディアスポラと社会・文化変容

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)

    研究期間:

    2019年04月
    -
    2023年03月
     

    新免 康, 濱本 真実, 塩谷 哲史, 熊倉 潤

  • 19~20世紀中央ユーラシアにおける越境と新疆ムスリム社会の文化変容に関する研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)

    研究期間:

    2015年04月
    -
    2018年03月
     

    新免 康, 濱本 真実, 小沼 孝博, 河原 弥生, 秋山 徹, 塩谷 哲史, 田中 周, 野田 仁, 熊倉 潤, 植田 暁, 海野 典子

     概要を見る

    本研究は、中国・中央アジア・ロシアなどでの海外調査による新史料の取得と、それらデータの分析を通して、19~20世紀における中国新疆とロシア帝国領・ソ連領ムスリム地域の間の人的な移動と文化交流の実態を明らかにした上で、新疆のムスリム社会における文化変容の様態を究明した。それにより、政治的な条件に規定されつつ日常的なレベルで移動・移住が行われ、そのことが近代化を初めとする新疆の社会・文化変容に大きな作用を与えていたことを明らかにした。

  • 「近代東トルキスタンのムスリム知識人の地理的世界認識と自然環境」

    サントリー文化財団  2016年度サントリー文化財団若手研究者のためのチャレンジ研究助成

    研究期間:

    2016年04月
    -
    2017年03月
     

  • 1920年代から1930年代中国周縁エスニシティの民族覚醒と教育に関する比較研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)

    研究期間:

    2012年04月
    -
    2015年03月
     

    松本 ますみ, 権 寧俊, 吉開 将人

     概要を見る

    本研究は中国の周縁エスニシティの20世紀前半覚醒運動の比較を行った。いずれも近代教育とメディアの発達が大きな影響を与えていたことが明らかになった。1)回民は中東・インド発のイスラーム覚醒の影響を強く受け、ムスリム意識・近代教育・メディア発行熱、国民意識が高まったが、その結果ペルシャ語を使う伝統的経堂教育が斜陽に向かったこと。2)独立を画策していたモンゴル人は日本式の軍事教育を受けそれを逆利用して民族運動への情熱を燃やしたこと。3)朝鮮人は韓国式の教育を中国東北部において展開し、反日意識を高めることで民族意識を高揚させたこと。4)西南諸民族エリートは旧来の土司制度を利用して権利要求を行ったこと。

  • ドゥンガンの歴史と現在:中央アジアに住む中国系ムスリムの末裔

    司馬遼太郎記念財団  第14回司馬遼太郎フェローシップ

    研究期間:

    2011年04月
    -
    2012年03月
     

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その他

  • パネル企画 “Russia and the USSR as Destinations for Mobile Muslim Intellectuals in the First Half of the Twentieth Century,” Junior Scholars’ Session, Slavic-Eurasian Research Center 2015 Summer International Symposium, Sapporo

    2015年07月
    -
     
  • フィールドネット・ラウンジ企画シンポジウム「ロシア・中国におけるムスリム・マイノリティと国家:20世紀政治変動期における多文化共生の実践とその課題」、共催:イスラーム地域研究・若手研究者の会、中国ムスリム研究会、科学研究費補助金若手研究(B)「19世紀後半ロシア帝国統治下ムスリム社会の家族社会史的研究」(課題番号:24720327、研究代表者:磯貝真澄)、東京都府中市、2016年1月、副代表者

 

現在担当している科目

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他学部・他研究科等兼任情報

  • 文学学術院   大学院文学研究科

特定課題制度(学内資金)

  • 清朝とオスマン帝国:ムスリム・ネットワークの形成と近代化への模索

    2022年  

     概要を見る

    2022年度は、清朝・オスマン帝国間のムスリム・ネットワークが、両帝国の近代化に与えた影響を検討した。王寛をはじめとする華北地域の回民は、1907年にオスマン帝国から産業スパイとして派遣されたイスラーム学者のHafısHasanやAli Rıza、及び新疆・甘粛に集住するムスリムに対して宣撫工作を展開していたオスマン帝国のムスリムの活動を支援する見返りとして、回民の教育改革への金銭・人的支援をオスマン帝国に申し出た。また、王寛らは、オスマン帝国の軍事改革や青年トルコの立憲運動を参考にして変法自強運動を推進しようとした、康有為ら清朝の非ムスリム知識人とオスマン帝国の間の仲介役を務めたとされる。回民を介した非公式的交流が、両帝国の軍隊・外交・経済・教育の近代化や政治改革(1908年の青年トルコ革命、1911年の辛亥革命)に与えた直接的・間接的影響を明らかにすることができた。 

  • 清朝とオスマン帝国:ムスリム・ネットワークの形成と近代化への模索

    2022年  

     概要を見る

    2022年度は、清朝・オスマン帝国間のムスリム・ネットワークが、両帝国の近代化に与えた影響を検討した。王寛をはじめとする華北地域の回民は、1907年にオスマン帝国から産業スパイとして派遣されたイスラーム学者のHafıs HasanやAli Rıza、及び新疆・甘粛に集住するムスリムに対して宣撫工作を展開していたオスマン帝国のムスリムの活動を支援する見返りとして、回民の教育改革への金銭・人的支援をオスマン帝国に申し出た。また、王寛らは、オスマン帝国の軍事改革や青年トルコの立憲運動を参考にして変法自強運動を推進しようとした、康有為ら清朝の非ムスリム知識人とオスマン帝国の間の仲介役を務めたとされる。回民を介した非公式的交流が、両帝国の軍隊・外交・経済・教育の近代化や政治改革(1908年の青年トルコ革命、1911年の辛亥革命)に与えた直接的・間接的影響を明らかにすることができた。

  • 清朝とオスマン帝国:ムスリム・ネットワークの形成と近代化への模索

    2021年  

     概要を見る

     今年度は、19世紀以前の清朝・オスマン帝国間の関係や相互認識を整理するとともに、19世紀後半以降、交通網や通信技術の発達を背景として、両帝国間のムスリム・ネットワークが形成された過程を調べた。具体的には、マッカ巡礼のためにイスタンブルを訪れた回民知識人、及び第34代オスマン帝国皇帝のアブデュルハミト2世の命で中国沿海部の経済・軍事状況を視察した官僚や軍人の旅行記を分析し、オスマン帝国が清朝との外交・通商関係構築を望み、回民を仲介役にしようとしていたこと、清朝がオスマン帝国の近代化に興味を抱きながらも、中国西北地域の回民やテュルク系ムスリムとオスマン帝国の接近に不信感を抱いていたことを明らかにした。