メリカは、1924年船荷証券統一条約を摂取して1936年海上物品運送法を制定したものの、海上運送人の責任制度においては、アメリカ州際鉄道運送人の責任制限に関する「公平な機会」法理が適用されている。しかし、この法理をめぐるアメリカ裁判所の解釈は一致しておらず、とくに第9巡回区控訴裁判所は荷送人にもっとも有利な解釈を行なった。ところが、1989年Carman Tool & Abrasives,Inc. v. Evergreen Lines事件をもって公平な機会法理をめぐる要件が緩和された。すなわち、船荷証券の通告価額欄は、公平な機会の付与有無を判断する基準ではない。また、荷送人の貨物保険の締結に関する新しい解釈基準は、海上物品運送法の責任制限制度における荷送人の知識(荷送人の専門性)認めているといえる。とりわけ、1993年のMori Seiki USA, Inc. v. M/V Alligator Triumph事件では、船荷証券における価額通告欄がその判断基準から外されており、このような判示の展開は、1994年Travelers Indemnity Co. v. Vessel Sam Houston事件を経て確立されている。