2024/10/10 更新

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ヤマサキ シンジ
山崎 眞次
所属
政治経済学術院
職名
名誉教授
学位
政治学博士号 ( 早稲田大学(日本) )
修士 ( メキシコ国立自治大学 )
ホームページ

所属学協会

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    日本政治学会

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    日本ラテンアメリカ学会

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    国際文化学会

研究分野

  • ヨーロッパ史、アメリカ史

研究キーワード

  • ラテンアメリカ史

 

論文

  • メキシコ政府の新移民政策ー想像の共同体構想

    山崎眞次

    教養諸学研究   ( 141 ) 87 - 109  2016年12月

    CiNii

  • ラテンアメリカにおける移行期の正義ーチリのピノチェット裁判の検証

    山﨑眞次

    ワセダアジアレビュー   ( 2016年18号 ) p.38 - p.43  2016年02月

  • ヤキ族の反乱

    山﨑眞次

    京都ラテンアメリカ研究所   ( 13 ) 1 - 18  2013年12月

  • フィデル・カストロ自伝ー勝利のための戦略:書評

    フィデル・カストロ。訳者, 山岡加奈子, 田中高, 工藤多香子, 富田君子

    早稲田学報   58  2013年01月

  • チャルコ農民、フリオ・ロペスの反乱

    山﨑眞次

    京都ラテンアメリカ研究所   ( 12 ) 79 - 99  2012年12月

  • チャルコの農民、フリオ・ロペスの反乱

    山崎 眞次

    京都ラテンアメリカ研究所紀要   12   79 - 99  2012年

    CiNii

  • アリカの虎、マヌエル・ロサダの反乱2

    山﨑眞次

    早稲田大学政治経済学部「教養諸学研究」131号   ( 131 ) 1 - 19  2011年12月

  • アリカの虎、マヌエル・ロサダの反乱1

    山﨑眞次

    早稲田大学政治経済学部「教養諸学研究」130号   ( 130 ) 105 - 127  2011年03月

  • ハシント・カネックの反乱

    山﨑眞次

    早稲田大学政治経済学部「教養諸学研究」129号   ( 129 ) 89 - 110  2010年12月

  • ユカタン半島のカスタ戦争

    山崎眞次

    ラテンアメリカ時報   1388   24 - 34  2009年10月

  • 中南米における反米主義と左派政権

    山崎眞次

    早稲田政治経済学雑誌   ( 366 ) 14 - 23  2007年01月

    CiNii

  • クアウテモク銅像の移転問題

    山崎眞次

    早稲田教養諸学研究   ( 121 ) 29 - 60  2006年12月

  • 中南米における反米主義と左派政権

    山崎眞次

    改革者9(政策研究フォーラム)   47巻 ( 9 ) 26 - 29  2006年09月

  • 高山智博著メキシコ多文化思索の旅

    週間読書人   9月26日号  2003年09月

  • Los Ninos Heroes:realidad o leyenda

    ラテンアメリカ・カリブ国際学会(民族学博物館、大阪大学)    2003年09月

  • Imagenes sobre los Ninos heroes de Chapultepec III:a traves de los libros de textos de Historia

    政治経済学部教養諸学   113  2002年12月

  • 英雄幼年兵の神話と現実

    日本ラテンアメリカ学会   慶応大学  2002年06月

  • Images of heroic cadets

    Journal of Liberal Arts of Waseda University   / , 113  2002年

  • Images of heroic cadets

    Journal of Liberal Arts of Waseda University   / , 113  2002年

  • 英雄幼年兵のイメージⅢ

    早稲田大学教養諸学   / , 113  2002年

  • Images on the Heroic Cadets of Chapultepec II

    Jounal of Liberal Arts of Waseda University   111  2001年12月

  • Imagenes sobre los Ninos Heroes de Chapultepec II

    早稲田大学政治経済学部「教養諸学研究」   111  2001年12月

  • Images on the heroic cadets of Chapultepec I

    Journal of Liberal Arts of Waseda University   110  2001年03月

  • Imagenes sobre los Ninos Heroes de Chapultepec I

    政経学部教養諸学   110  2001年03月

  • -

    Journal of Liberal Arts of Waseda University   110, 111  2001年

  • 英雄幼年兵のイメージⅠ-Ⅱ

    早稲田大学政治学部教養諸学   110, 111  2001年

  • The Sermon of Father Mier about the apparition of the Virgin Guadalupe

    Journal of Liberal Arts of Waseda University   108  2000年03月

  • 聖母グアダルーペ顕現に関するミエル師の説教

    政経教養諸学   108  2000年03月

  • Images of heroic cadets (]G0001[)

    Journal of Liberal Arts of Waseda University   /110  2000年

  • 英雄幼年兵のイメージ(]G0001[)

    早稲田大学政治経済学部教養諸学研究   /110  2000年

  • Spanish for travellers

    Shougakkan    1999年05月

  • 困ったときのスペイン語ひとこと会話

    小学館    1999年05月

  • Private lesson of Spanish

    Hakusuisha    1999年04月

  • スペイン語個人レッスン

    白水社    1999年04月

  • The American Mexican War and the Heroic Cadets

    Jounal of Liberal Arts of Waseda University   106  1999年03月

  • 米墨戦争と英雄幼年兵

    政経教養諸学    1999年03月

  • The Sermon of Brother Teresa de Mier about Apparition of the Virgin of Guadalupe

    Journal of Liberal Arts of Waseda University   /108  1999年

  • The War between United States and Mexico, and heroic cadets

    Journal of Liberal Arts of Waseda University   /106  1999年

  • 聖母グアダルーペ顕現に関するミエル師の説教

    早稲田大学政治経済学部教養諸学研究   /108  1999年

  • 米墨戦争と英雄幼年兵

    教養諸学研究(早稲田大学政治経済学部)   /106  1999年

  • The History of Chile

    Jounral of Waseda University    1998年11月

  • チリの歴史(ハイメ・エイサギレ著/山本雅俊訳 日本経済評論社)

    早稲田学報    1998年11月

  • The American Mexican War and the Heroic Cadets

    Japan Association for Latin America    1998年06月

  • The Politics of Spain

    Waseda University Press    1998年06月

  • メキシコの歴史教科書論争

    ラテンアメリカ学会    1998年06月

  • スペインの政治

    早稲田大学出版部    1998年06月

  • Practical Spanish

    NHK Publisher    1998年04月

  • NHK話せるスペイン語

    NHK出版    1998年04月

  • The Controversy over History Textbooks in Mexico

    Journal of Liberal Arts of Waseda University   102  1997年03月

  • メキシコの歴史教科書論争

    教養諸学研究/政治経済学部   102  1997年03月

  • The controversy over history textbooks in Mexico

    Journal of Liberal Arts of Waseda University   /102  1997年

  • メキシコの歴史教科書論争

    教養諸学研究(早稲田大学政治経済学部)   /102  1997年

  • The Discovery of the Remains of Cuauhtemoc

    Japan Association of Hispanists   101  1996年12月

  • クアウテモクの遺骨発見の顛末

    教養諸学研究/政治経済学部   101  1996年12月

  • The Discovery of the Remains of Cuauhtemoc

    Japan Association of Hispanists    1996年10月

  • クアウテモクの遺骨発見の顛末

    第42回イスパニア学会    1996年10月

  • エルナン・コルテスの遺骨発見の顛末

    教養諸学研究/政治経済学部教養諸学研究会   100  1996年03月

  • The discovery of the remains of Cuauht(]J1117[)moc

    Journal of Liberal Arts of Waseda University   /101  1996年

  • The discovery of the remains of Hernan Corte's

    Journal of Liberal Arts of Waseda University   /100,  1996年

  • クアウテモクの遺骨発見の顛末

    教養諸学研究(早稲田大学政治経済学部)   /101  1996年

  • エルナン・コルテスの遺骨発見

    教養諸学研究(早稲田大学政治経済学部)   /100,  1996年

  • The Discovery of the Remains of Hernan Cortes

    Japan Association of Hispanists    1995年10月

  • エルナン・コルテスの遺骨発見の顛末

    第41回イスパニア学会    1995年10月

  • Conflictos entre Hern(]E85EB[)n Cort(]E85EE[)s y Diego Vel(]E85EB[)zquez

    Journal of Liberal Arts of Waseda University   /97.98合併,  1994年

  • エルナン・コルテスとディエゴ・ベラスケスの葛藤

    早稲田大学政治経済学部教養諸学研究   /97.98合併,  1994年

  • Antonio de Carvajal, un encomendero de Zacatl(]J1101[)n Puebla

    Journal of Liberal Arts of Waseda University   93  1992年

  • El Sistema de Abasto de Carnes en el Siglo XVI

    The Journal of Konda University of International Studies   1  1989年

  • A Study of "Historia Eclesi(]J1101[)stica Indiana" by fray Ger(]J1149[)nimo de Menedieta

    The South European Culture   10  1984年

  • ヘロニモ・デ・メンディエータの「インディアス宗門史」に関する一考察

    南欧文化   10  1984年

  • Japanese education in Mexico. -its actual condition and problem

    The Journal of World Affairs of Takushoku University    1982年

  • Education to the indion Children of New Spain in the 16th century

    The South European Culture   8  1982年

  • History on qualifications of mexican notary

    The Journal of Notarial law   11  1982年

  • メキシコにおける日本語教育-その実態と問題点

    拓殖大学海外事情研究所(12月号)    1982年

  • 十六世紀のヌエバ・エスパーニャのインディオ児童教育

    南欧文化   8  1982年

  • メキシコ公証人資格変遷史

    日本公証法学   11  1982年

  • The Discovery of the Remains of Hernan Cortes

    Jounal of Liberal Arts of Waseda University   100  1966年03月

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書籍等出版物

  • メキシコ先住民の反乱—敗れ去りし者たちの記録

    山崎眞次

    成文堂  2015年01月

  • ラテンアメリカ世界のことばと文化

    編著者, 畑恵子, 山﨑眞次

    成文堂  2009年07月

  • Mexico, a struggle and pride of a nation

    Shinji Yamasaki

    Sinhyoron  2004年09月

  • メキシコ 民族の誇りと闘い

    山崎真次

    新評論  2004年09月

  • Spanish private lesson

    Hakusui-sha  1999年

  • スペイン語個人レッスン

    白水社  1999年

  • Practical Spanish

    NHK  1998年

  • The Politics of Spain Spainism and Indianism

    1998年

  • 話せるスペイン語

    NHK出版  1998年

  • スペインの政治:スペイン主義とインディオ主義

    早稲田大学出版部  1998年

  • Visi(]E85F6[)n de los Vencidos

    Seibundo  1994年

  • インディオの挽歌 (翻訳)

    成文堂  1994年

  • A trip to L(]J1101[)tin Am(]J1117[)rica

    Geirin-Shobo  1992年

  • ラテンアメリカ散歩

    芸林書房  1992年

  • Ancient Mexicans

    Publishing Department of Waseda University  1985年

  • 古代のメキシコ人(翻訳)

    早稲田大学出版部  1985年

  • Los tlaxcaltecas durante la conquista espa(]E87C6[)ola

    Universidad National Aut(]J1149[)noma de M(]J1117[)xico  1981年

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Works(作品等)

  • NHKラジオスペイン語講座

    2005年04月
    -
    2005年06月

  • NHKラジオスペイン語講座

    1998年
    -
     

  • NHKテレビスペイン語会話講師

    1994年
    -
     

  • NHKテレビスペイン語会話講師

    1993年
    -
     

  • NHKテレビスペイン語会話講師

    1990年
    -
    1992年

講演・口頭発表等

  • 先住民はなぜ反乱するのか—19世紀メキシコの事例研究

    早稲田ラテンアメリカ研究所  

    発表年月: 2015年02月

  • ヤキ族の反乱

    日本ラテンアメリカ学会  

    発表年月: 2014年06月

  • アリカの虎、マヌエル・ロサダの再考

    日本ラテンアメリカ学会  

    発表年月: 2012年06月

  • メキシコの先住民問題、チマラパス村の土地紛争

    日本国際文化学会第7会全国大会  

    発表年月: 2008年07月

  • クアウテモク銅像の移転問題

    日本国際文化学会第6回臨時全国大会  

    発表年月: 2007年09月

共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 「想像の共同体」MexAmericaの構築をめぐる米墨の相克

    研究期間:

    2017年04月
    -
    2021年03月
     

  • 19世紀メキシコの先住民農民反乱の原因究明

    研究期間:

    2016年04月
    -
    2019年03月
     

     概要を見る

    19世紀に農民反乱が勃発したシエラゴルダの反乱について、メキシコ国立公文書館、国立図書館、国立定期刊行物資料館、エル・コレヒオ・デ・メヒコ図書館、ケレタロ公文書館、グアナフアト公文書館にて史料の収集し、整理・分析した。その成果を早稲田大学政治経済学部教養諸学研究第142号に「シエラゴルダの農民反乱(1847-1849)」に論文として刊行した。また、2018年1月に同論文についてラテンアメリカ学会東支部研究会において学会発表した。先行研究は先住民農民反乱の発生原因を①先住民農民からの土地の強奪。②先住民農民人口の増加による土地不足。③「レルド法」公布による先住民の農民共同体の解体。④富裕な白人アセンダドと貧しい先住民農民の土地をめぐるエスニックな闘争。申請者は上記4点の反乱原因を肯定しながらも、私的アクターと共同体的アクターに政府という公的アクターを加えて、3アクター間の関係の変化が反乱を生み出すという独自の理論を展開

  • 東アジアにおける歴史和解のための総合的研究

    研究期間:

    2015年04月
    -
    2019年03月
     

     概要を見る

    1.国際シンポジウムを4回開催。①6月「移行期正義と和解-『<帝国>の慰安婦』をめぐる事態を考える」提題者浅野豊美、朴裕河(世宗大学)、②7月「東アジアの選挙と民主主義」報告者:張智程(京都大学法学研究科・助教)ベ・ヨンミ(立命館大学コリアセンター・研究員)元山仁士郎(国際基督教大学)上地聡子(早稲田大学)司会:野口真弘、アン・ドヒョン(東京大学)、③ 7月「文化と記憶」William Marotti(UCLA)“Dramatic Politics and Political Space: Shinjuku 1968”Christopher Nelson (University of North Carolina) "Iphigenia in the China Sea: The Politics of Memory in Postwar Japan" ④2017年2月、「光州事件と移行期正義」鄭文永(Jeong Moon-young)(5.18紀念財団研究所 研究員)Social Origins of the May Ceremony: between ritual and rebellion、平井新(早稲田大学)移行期正義概念の再検討、コメンテーター:呉豪人(輔仁大学)。2.定例研究会を2回開催。各研究者ならびに班ごとの研究の進捗状況と研究計画について報告と議論を行っ

 

特定課題制度(学内資金)

  • 19世紀メキシコにおけるシエラ・ゴルダの先住民農民の反乱研究

    2016年  

     概要を見る

    シエラゴルダの農民反乱発生原因の一つはアセンダド(大農園主)が山岳農民たちに対して山林の使用を制限するばかりか、利用代金を要求するようになったからである。キロスが率いる反乱が2年近く継続した原因のもう一つは、シエラゴルダ地域の有力なエリートたちが反乱を利用して、自己の利益を拡大しようとしたからである。領袖たちは時には連合し、時には反目した。要するに機を見るに敏で、己の利益を最優先に考える日和見主義者たちであった。農民再生軍と政府軍の二つのアクター間の争いに第三者である地域の領袖たちが介入したために、反乱の構図が複雑化し、地域の混迷が深まり、反乱が長期化した。農民反乱軍は状況を改善できるという期待から、寡頭勢力と一時的に同盟し、彼らを支持する社会的勢力を形成した。社会的不正義に苦しんだキロスは非合法的手段に訴え、盗賊となったが、彼の活動は徐々に社会性を帯び、最終的に大衆的運動のリーダーとなった。筆者の仮説である「政府の調停能力の低下」について触れておく。植民地時代には先住民農民はスペイン王室の臣下として家父長的な庇護を受けてきた。アセンダドが違法に先住民農民の土地を強奪した場合は、先住民政府は植民地政府にアセンダドの不正を直訴し、あるいは裁判所に訴状を提出し、アセンダドの違法性を告発した。だが、スペインから独立して樹立されたメキシコ政府は先住民を保護すべき特別な存在とは考えず、新共和国の通常の市民と見なし、彼らに付与されていた農民共同体を基盤とする自治権と経済権を奪った。クリオージョたちは果てしない権力闘争に明け暮れ、新国家体制は安定せず、農牧業と鉱業も相次ぐ戦乱で衰退した。政府がキロスの反乱で介入したことといえば、反乱者に恩赦を提案するぐらいで、農民が要求する土地所有権と労働条件の改善には真摯に取り組まなかったために「政治的極めて社会的計画」は実施されることはなかった。

  • 19世紀におけるメキシコ先住民農民の反乱の原因究明:「ヤキ族の反乱」の事例研究

    2013年  

     概要を見る

    19世紀のメキシコは反乱の時代である。1821年にスペインから独立したものの、党派間の権力闘争は果てしなく続き、経済は停滞し、社会は大混乱に陥った。先住民はそのような社会や経済の混乱と権力の空白を利用して自部族の権利回復運動を展開した。先住民からの土地と自治権要求は南のユカタン半島から北のソノラ州まで全国各地に及んだ。 19世紀のメキシコにおける農民反乱の激増は、植民地時代から続くアセンダド(大農園主)による土地強奪や搾取、人口増加による土地不足、連邦政府が1865年に公布した「永代所有財産解体法」(レルド法)による土地喪失、白人と先住民間の人種対立の4つが主要因であると主張されてきた。だがそれら4要因に加え、土地所有権に関して政府、アセンダド、農民の3者間の均衡が崩れたことも紛争激増の一因であろう。安定した三角関係が歪な2極間関係へ変質したのである。これまで3者間の関係変質についてメキシコの他地域での調査研究を行ってきたが、本稿では、保守派と自由主義派による国内の権力闘争やアメリカ合衆国やフランスの侵略に苦悩する新国家メキシコにおいて、その混乱に乗じて自分たちの土地所有権や政治的自治権を要求した北部ソノラ州のヤキ族の反乱について述べるものである。 本稿は、植民地時代にアセンダドと先住民の調停役を果たしていた政府が、独立以降、アセンダドと結託したことが農民の反乱を誘発したという仮説について実証研究を行った。他地域と異なり、ヤキ地域では植民地時代に政府に代わり白人植民者からヤキを庇護したのはイエズス会であった。他地域の修道会の先住民庇護は16世紀には効力を発揮したが、17世紀以降は植民地政府の先住民平定政策と在俗教会の進出によって修道会は徐々に勢力を失った。だが、北部辺境地帯のソノラでは、植民化の遅滞と先住民の過疎によって広大で強大なアシエンダの形成が遅れ、イエズス会が活動する余地が十分にあった。植民地時代、ソノラのヤキ領域では、イエズス会が政府の代替機構として調停機能を担い、伝道村を介してスペイン人入植者と先住民の軋轢を緩和した。独立以降はヤキ族、マヨ族、ピマ族、オパタ族が白人の土地強奪に対して断続的に反乱を起こし、部外者の侵入を食い止め、特にヤキ族は土地と自治権を維持できた。バンデラス、カヘメ、テタビアテ等の先住民指導者が率いた頑強な抵抗が、白人の侵入を阻止した点がソノラの特徴であろう。だが、これらインディオ領袖の抵抗にもかかわらず、フアレス自由主義政権の誕生とともにインディオ共有地の土地自由化政策が強化され、ディアス政権では米国の経済圏に組み込まれた資本主義的近代農業が推し進められた。連邦政府と州政府は土地の拡張を望むアセンダドの要望に応え、敵対するヤキの反乱をすべて鎮圧して、ヤキから奪った土地を国内のアセンダドや外国人投資家に付与した。またこれらの押収された土地は政府要人と軍人にも分配され、新たなアセンダドを生み出した。近代化政策によって国家の統一を進める政府と経済的発展を欲するアセンダドの利害がインディオの排除という点で一致した。アセンダドとインディオ間の土地係争に関して調停役を果たすべき政府はアセンダドに与し、ヤキに対する苛烈な戦闘をしかけたので、紛争解決の手段を失ったヤキは武装蜂起せざるを得なかった。 しかし、ソノラでは中央政府が展開する米国を視野に入れたグローバルな経済圏構想と資本主義的近代農業に賛同できないマイトレナのような一部のアセンダドとヤキ間の協調関係が見られた。その原因は北部乾燥地帯における労働力不足である。伝統的な集約的農業に執着するアセンダドは貴重な労働力であるヤキと敵対することは許されず、むしろ彼らの後ろ盾となり連邦・州政府のヤキ殲滅作戦に抵抗した。ヤキ地域では労働力不足という特殊な事情によって伝統的アセンダドとインディオの対立関係は成立しなかった。

  • メキシコにおける先住民権と先住民運動

    2007年  

     概要を見る

     第2次世界大戦後、相次ぎ新興独立国家が誕生するなか、新しい国際秩序形成過程において国家とエスニック集団の対立抗争はさらに頻発・激化し、国際連合はそれらの紛争解決に追われるとともに、エスニック集団の権利関係を国際法的に定義する必要に迫られた。国連の総会では、国家内の少数民族の存在を認め、彼らに自決権の使用を認めようとする積極的動きもあったが、結局、主権国家が難色を示し、エスニック集団の文化的独自性は認めるものの、彼らに自決権や集団権を付与するまでには至っていない。つまり、主権国家から構成される国連は「民族」の定義をしておらず、国家内外に居住するエスニック・マイノリティ集団の言語、宗教、習慣、歴史、神話等は認めるが、広義の政治的自治権は容認しないというのがその見解である。 本研究では、メキシコに太古から居住し、現在も全人口のおよそ10%を占める1000万人強の人口を誇る先住民集団について、コミュニタリアンの見地から考察した。その際、先住民の権利に関して世界で最も進歩的理念を掲げ、法制度を整備・確立し、多文化主義を国策に掲げるカナダの研究者の考え方を参考に論考を進めた。カナダの積極的先住民保護と比較して、メキシコの連邦政府と州政府が先住民保護に法的にどのように対応しているかを検証した。そして次回の論文2では、メキシコのオアハカ州で先史から共同体生活を営む先住民ソケ族の生き方を介してメキシコの先住民が抱える貧困、土地問題、森林保護と開発について検証する。 効率的利益至上主義が闊歩する現代において、経済的効率性は低いが、協働と融和に基づく集団的合議を通して、共同体の成員の善を図る先住民の生き方は、21世紀が抱えるエスニック問題を解決するためにわれわれにひとつの視座を提供してくれるかもしれない。

  • 英雄少年兵像からみたメキシコのナショナリズム

    1997年  

     概要を見る

    1847年の米墨戦争に関する論文は従来、アメリカ人研究者により執筆されたものが多かったが、最近、メキシコ人研究者による論文が相次いで発表されている。その理由は二つ挙げられる。一つは米軍によって完膚なきまでに打ちのめされた忌まわしい過去に正面から取り組むことを拒否し、できれば忘却の彼方に留めてこようとしてきたメキシコ人に、ようやく冷静に過去に向かい合える精神的余裕が生まれたことである。もう一つは1997年が戦没後150年に当たり、政府と研究機関が財政援助を与え、記念論文集の発行を試みたためである。 従来のアメリカ側の見解は、「マニフェスト・デスティニー」に基づく大陸西進運動はアメリカ人の民主主義と経済的繁栄を約束する正義であり、その結果勃発した米墨戦争の原因は傲慢で平和的解決を拒否した非民主的なメキシコ政府にあるとしたものが主流であった。しかし、メキシコ人歴史学者たちの論文には米側の見方に反発するものがあり、彼らの間にもようやく失った自信を取り戻し、隣国の研究者に反駁できるだけの学問的幅と厚みが生まれてきたようである。今回の訪墨によってこのようなメキシコ人の論文を収集できたことは大きな収穫であった。 英雄幼年兵像に関しては、19世紀末以降、陸軍学校関係者によって9月13日の記念日を国家的祭礼とすることによって徐々に英雄視して、神格化していく過程が明らかになった。幼年兵がこれほど称賛の対象になるのは、国土の過半を割譲させられた唾棄すべき敗戦の傷を忘れ、国民の精神的統一を計り、ナショナリズムを高揚するためであったが、穿った見方をすれば、他の職業軍人が己の義務を遂行せずに総攻撃を前にして、脱走したと考えられ、当時のメキシコ軍の士気の低さの証左とも言える。6名の幼年兵は軍人の義務と祖国愛から英雄的行為を果たしたのではなく、若気の衝動から圧倒的優勢な敵軍への抵抗を試みた可能性がある。研究成果の発表1998年3月 政経学部教養諸学