2024/04/19 更新

写真a

マサオカ カンジ
正岡 寛司
所属
文学学術院
職名
名誉教授

研究キーワード

  • 社会学(含社会福祉関係)

 

共同研究・競争的資金等の研究課題

  • その他の研究制度

  • -

    The Other Research Programs

 

特定課題制度(学内資金)

  • 元炭砿労働者の閉山離職後におけるキャリア再形成の研究

    2000年  

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     本研究の目的は、福島県常磐炭砿磐城砿業所を昭和46年4月に閉山離職した4700名余の男性砿員を追跡調査し、閉山後の人生史を記述し、新たな職業生活への移行の難易を決めた要因を明らかにすることにある。そのために閉山時の社内資料の収集と分析、現住所の追跡作業、面接調査の実施を平行して行った。われわれは閉山時離職者リストを,主として福島大学に所蔵されている社内資料を手がかりに再構成し、男性砿員についてはほぼその全数に及ぶ氏名や属性のリストを確定するにいたった。同時に彼らの所在を電話帳などによって確認し、現時点までに9割を越える離職者の住所を確認した(死亡者を含む)。このうちいわき市に在住する大正10年から昭和10年に生まれた者に対して、対象者に面接調査を実施し、約600名から回答を得た。平成11年および同12年度には、離職後に全国に離散した元炭砿労働者に対して郵送による調査を実施した。その結果は現在解析中である。 本研究の現時点における、最新の成果は報告書「炭砿労働者の閉山離職と職業キャリアの再形成III」にまとめられている。以下は面接調査から得た知見の一部である。・ 再就職先は、閉山から1以内に9割の者が決まっており、臨時職など不安定な地位の職に就いた者はわずかに過ぎない。・ 再就職先での収入は、閉山時に得ていた収入と比較して減った者が多い。・閉山後再就職先での勤続年数は、常磐興産株式会社の関連会社(西部炭砿を除く)や出資会社に就職した者の方が比較的長い。・新会社、西部炭砿に就職した者は短期間に新たな仕事に就いたが、同社の閉山による(昭和50年)離職者には再就職までに比較的長い時間を要した者が多い。・閉山後1職ないし2職の仕事に就いた者が全体の8割を占めるが、職数の多い者には比較的後に就いた仕事で就業期間が長い傾向がある。・職業キャリアからの離脱年齢の分布には、閉山時年齢や再就職先による違いはみとめられない。・閉山後の職業キャリアを通じて、臨時・日雇い職を経験しない者が6割に及ぶ。

  • 社会的成熟過程の分析―30歳の現代的意味

    1998年   大久保孝治, 池岡義孝, 加藤彰彦

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    本研究は、青年たちがいかなる出来事を経験し、またいつの時点で「大人」になっていき、そして彼らが大人になるということにいかなる意味付与をしているかをライフコース分析を通して実証的に解明することを目的としている。まず1997年度には、本研究の代表者および研究分担者の研究グループがすでに8年間にわたって蓄積した大学卒業生のパネルデータを整備し、大学卒業後の6年間の離・転職行動と結婚の経験を確認した。「職業経歴研究」がすでに示している知見と同じく、本研究の大学卒業者でも初就職後5年のうちに約50%が離職を経験することが確かめられた。加えて、そうした離職行動は、初就職直前と直後の状態から十分に予測可能であること、なかでも就職直後における組織へのコミットメントが重要であることが明らかになった。大学卒業後数年のうちに行われた結婚についても、そのタイミングを確認するとともに、相対的に早く結婚する者の条件を探索的に明らかにした。つづいて1998年度には、30歳を目前にしている彼らを対象に追跡調査を実施した。当初の計画では対象者の卒業年度に応じて2年間にわたって調査を実施する予定であったが、予算などの理由によって調査デザインに変更を行い、1991年から93年までに卒業した者1142名を同時に対象にすることにした。調査は1999年10月に郵送で行い、556名から回答を得た(有効回収率49%)。調査票は構造化されたものを作成し、質問項目としては離転職の経験をはじめとする職業経歴の形成にかかわる変数、勤め先での就業状況、職場への適応状況、結婚と出産(親なり)の経験、生活の時間・空間の構造、心理的福利状態などを含めた。以前のパネル調査で使用した質問をできる限り採用し、以前のデータとの縦断分析が可能な変数を収集できる構成になっている。また、調査票末尾に欄を設け、30歳を迎える心境を自由に記述してもらうなどの工夫も加えた。現在、データの入力とクリーニングを終えて基礎的な分析を始めたところであり、その後の離転職や生殖家族の形成過程なども含めて、このデータを活かした分析を進めている。

  • 新規就職後の転職を含む進路変更過程の分析

    1995年   山本 多喜司, 春木 豊, 和田 修一, 池岡 義孝, 西野 理子

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    本研究は,新卒者の就職後の進路変更過程をパネル法による追跡調査で収集されたデータを用いて明らかにすることを目的としている。早稲田大学人間科学部第1回~3回卒業生に対する卒業後2年目までの追跡データに加え,本研究では2年目以降の進路変更データを収集した(94年度)。また95年度には,結婚および出産経験者に詳細な調査を実施した。 卒業後の進路としては大多数の者(男性91%,女性85%)が正規従業員として就職し,その後も継続している。そうしたなかで,約1割の者は卒業15ヵ月時点までに進路を大きく変更している。こうした職業経歴初期における離職率は高卒者のそれよりも低い(日本労働研究機構〔1990〕によれば高卒9ヵ月時点で離職率は10%に達する)。しかし卒業39ヵ月を経過した第1回卒業生では,26%におよぶ。実に3分の1の者は,就職後約3年内に進路の変更をしていることになる。あらためて職業キャリアの初期における不安定性が確認された。 進路変更の内容は就職先の移動,職業領域からの退職,学校へ戻るなど種々であり,男性よりも女性にその変更率,変更内容の多様性が高い。彼女たちの退職・転職の過程を詳細に検討すると,当初の仮説のとおり,女性の職業キャリアの展開が生殖家族キャリアの開始・初期の展開と強い共時性をもつことを支持する結果であった。 今後の課題としては,そうした共時性のメカニズムの説明をより深化させるべく分析を進めることである。