2024/04/18 更新

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ホリグチ ケンジ
堀口 健治
所属
政治経済学術院
職名
名誉教授
学位
農学博士 ( 東京大学 )
ホームページ
プロフィール
農業経済、及び農業政策の研究者
再生可能エネルギー、外国人労働者、高齢者の健康問題、農業の担い手問題等、研究テーマとして、学会誌、雑誌等以外に、社会的にも自分のサイトで発信。

経歴

  •  
     
     

    早稲田大学 政治経済学術院   名誉教授

学歴

  •  
    -
    1968年

    東京大学   農学系研究科   農業経済学  

  •  
    -
    1968年

    University of Tokyo   Graduate School, Division of Agricultural Science   Agricultural Economics  

  •  
    -
    1965年

    早稲田大学   政治経済学部   政治学科  

  •  
    -
    1965年

    早稲田大学  

委員歴

  • 2001年
    -
    2005年

    食料・農業・農村政策審議会 臨時委員 2001 - 2005

  • 2003年
    -
    2004年

    日本学術会議農業経済学研究連絡委員会 委員 2003 - 2004

  • 2002年
    -
    2004年

    日本農業経済学会  会長

  • 2002年
    -
    2004年

    Agricultural Economics Society of Japan  President

  • 1998年
    -
     

    日本フードシステム学会  理事、常任理事

  • 1996年
    -
    1998年

    日本農業経済学会  常務理事(企画担当)

  • 1996年
    -
    1998年

    Agricultural Economics Society of Japan  Regular Director(Planning)

  • 1993年
    -
    1996年

    土地制度史学会  理事・研究委員

  • 1992年
    -
    1996年

    農業市場学会  編集委員

  • 1992年
    -
    1993年

    土地制度史学会  編集委員

  • 1991年
    -
    1992年

    日本農業経営学会  理事

  • 1991年
    -
     

    漁業経済学会  理事,編集委員

  • 1986年
    -
    1988年

    日本農業経済学会  理事

  • 1986年
    -
    1988年

    Agricultural Economics Society of Japan  Director

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所属学協会

  •  
     
     

    棚田学会

  •  
     
     

    環境経済・政策学会

  •  
     
     

    日本協同組合学会

  •  
     
     

    日本フードシステム学会

  •  
     
     

    経済政策学会

  •  
     
     

    漁業経済学会

  •  
     
     

    農業市場学会

  •  
     
     

    国際農業経済学会

  •  
     
     

    日本農業経営学会

  •  
     
     

    土地制度史学会

  •  
     
     

    日本農業経済学会

  •  
     
     

    Agricultural Economics Society of Japan

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研究分野

  • 農業社会構造 / 食料農業経済

研究キーワード

  • 経済理論

  • 経済政策(含経済事情)

  • 土地政策

  • 農政

  • 農業経済学

  • General Theory of Economics

  • Land Policy

  • Agricultural Policy

  • Agricultural Economics

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受賞

  • 第10回 NIRA政策研究・東畑記念賞

    1994年  

  • K. Horiguchi et al. (1993), “Issues for a Country dependent on Imported Foodstuff to Consider,” Nohbunkyo, pp. 1-263, which was awarded the 1994 NIRA Policy Research Tohata Memorial Award

    1994年  

 

書籍等出版物

  • 山本武彦編著『国際関係論のニュー・フロンテイア』

    成文堂  2010年 ISBN: 9784792332761

  • 熊谷、堀口等共著『わが国農業・農村の再起』

    農林統計協会  2009年 ISBN: 9784541036575

  • 第2部「日本の農地法制と現下の課題ー優良農地の確保と担い手確保」

    大浜啓吉編『公共政策と法』早稲田大学出版部  2005年

  • 序章「世界のフードシステム」、第14章「日本の食品産業とその国際化」

    フードシステム学全集、第8巻、堀口健治・下渡敏治編集『世界のフードシステム』農林統計協会  2005年

  • 第11章第1節「水産物貿易」

    漁業経済学会編『漁業経済研究の成果と展望』成山堂書店  2005年

  • Symbiotic mechanisms and agricultural policies

    Symbiosis of Government and Market-The private, the public and the bureaucracy, Routledge Curzon  2004年

  • Ⅱ〔2〕〔Ⅱ〕「優良農地確保と担い手確保の2課題の達成」

    梶井功、矢口芳生編『日本農業年報51 食料・農業・農村基本計画ー変更の論点と方向ー』  2004年

  • 「共通農業政策(CAP)の効果と社会的負担ー統合困難化の農業構造の差異を包摂するCAPと政策コスト」

    『EU政治経済統合の新展開』/早稲田大学出版部  2004年

  • 現代のアメリカ

    大修館書店  2004年 ISBN: 4469012742

  • Symbiotic mechanisms and agricultural policies

    Symbiosis of Government and Market-The private, the public and the bureaucracy, Routledge Curzon  2004年

  • 第3部「線引き政策の意義と優良農地の確保」

    大浜啓吉編『都市と土地政策』早稲田大学出版部  2002年

  • 食料輸入大国としての日本の課題

    食料主権/農文協  2000年

  • 土地市場への公的介入とその意義-農地保有合理化法人・北海道農業開発公社の活動と北海道の農地市場-

    御茶の水書房 現代資本主義と農業再編の課題(共著)  1999年

  • 第3章土地利用の現状と優良農地の確保 第11章条件不利地域政策

    21世紀日本農政の課題/農林統計協会  1998年

  • 第3章「土地利用の現状と優良農地の確保」、第11章「条件不利地域政策」

    農林行政を考える会・代表近藤康男編『21世紀日本農政の課題ー日本農業の現段階と新基本法』農林統計協会  1998年

  • 日本の農業、農民と農村

    上海財経大学出版社/復旦大学日本研究センター  1997年

  • 食料安全保障と新農業基本法

    新農基法への視座(大内・今村編)/農林統計協会  1997年

  • WTO体制下の米輸入と国際米市場

    激変する食糧法下の米市場(三島・滝澤編)/筑波書房  1997年

  • 日本の食糧問題

    農業問題その外延と内包(梶井功編)/農山漁村文化協会  1997年

  • 水稲直播による経営革新

    農林統計協会  1996年

  • 農地の洪水調整機能と公的補償-一関遊水地計画と地役権の設定

    高地価地域での土地利用調整と担い手-農業の基本問題に関する調査研究報告書/農政調査委員会  1995年

  • 開放中国・国際化のゆくえ

    有信堂  1995年

  • The Political Economy of Trade Conflicts (jointly anthored)

    Springer-Verlag  1994年

  • 農政改革の世界史的帰趨(共著)

    農文協  1994年

  • 水田農業の経営革新をはかる(共著)

    同文館  1994年

  • 現代日本の法的論点(共著)

    勁草書房  1994年

  • The Political Economy of Trade Conflicts (jointly anthored)

    Springer-Verlag  1994年

  • 第3章「土地問題」

    農林行政を考える会・代表近藤康男編『日本農業 21世紀への課題』農林統計協会  1993年

  • 食料輸入大国への警鐘(共著)

    農文協  1993年

  • 農業の基本法制(共著)

    家の光協会  1992年

  • 日本漁業の経済分析(共著)

    農林統計協会  1992年

  • 食品産業経済論(共著)

    農林統計協会  1990年

  • 自由化にゆらぐ米と食管制度(共著)

    筑波書房  1990年

  • 転換期の加工食品産業(共著)

    御茶の水書房  1987年

  • 土地資本論

    農林統計協会  1984年

  • 畑地潅漑-経営の規模拡大と産地形成-

    農政調査委員会  1975年

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Works(作品等)

  • 中国の土地市場の調査

    1995年
    -
    1996年

  • Survey on Chinese Land Market

    1995年
    -
    1996年

  • 土地改良と農地市場に関する調査

    1991年
    -
    1992年

  • Survey on Farm Land Market after Land Improvement

    1991年
    -
    1992年

  • 米国産輸出穀物の品質変化に関する米国イリノイ州立大学との共同研究

    1985年
    -
    1991年

  • Joint Research with University of Illinois on Quality Change of Exported US Grain

    1985年
    -
    1991年

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共同研究・競争的資金等の研究課題

  • アグリビジネスの産業組織論的研究

  • 日本農政の枠組みとその原理

  • WTO体制と農産物貿易

  • 土地改良及び土地資本

  • 地代理論及び地価形成メカニズム

  • 日本及び米国、西欧、ハンガリー、中国の土地市場、土地政策

  • 日本及び世界の農政改革

  • 多国籍企業と食品産業

  • 農業政策と食料管理制度

  • 土地問題と土地政策

  • Multinational Companies in Food Industry

  • Agricultural Policy and Japanese Food Managing System

  • Land issues and land policy

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Misc

  • 力を入れるべきはWTOの枠組み

    堀口健治

    改革者・政策研究フォーラム   607   40 - 43  2011年

  • 八割弱の参加率に支えられた戸別補償

    堀口健治

    AFCフォーラム・日本政策金融公庫農林水産事業   725   2 - 2  2011年

  • 民主党農政シナリオを握る戸別所得補償制度の成否

    堀口健治

    週刊エコノミスト(毎日新聞社)   2010/3/9 ( 14 ) 86 - 88  2010年

    CiNii

  • 効率化対策を盛り込みバラマキから戦略的農政を目指せ

    堀口健治

    週刊エコノミスト(毎日新聞社)   2010/9/14   76 - 79  2010年

  • コメ60キロに3000円交付 戸別所得補償制度の中身

    堀口健治

    週刊エコノミスト(毎日新聞社)   2009/11/17 ( 62 ) 82 - 84  2009年

    CiNii

  • 民意を踏まえたうえでの農業政策の課題と論点-政党が提起する公約を検証する-

    堀口健治

    改革者/政策研究フォーラム   ( 566 ) 26 - 29  2007年

    CiNii

  • 巻頭言:「農業・食料にかかわる政策と外交」

    堀口健治

    『農林水産政策研究所レビュー』/農林水産省・農林水産政策研究所   ( 11 ) 1 - 2  2004年

  • 会長所信表明

    堀口健治

    農業経済研究/岩波書店   75 ( 2 ) 31 - 33  2003年

  • 韓日共同シンポジウム/WTO体制と韓・日の米産業の将来/兼業農家主体の日本の「強固な」稲作構造と生産調整政策・構造政策の困難さ

    堀口健治

    農村と都市をむすぶ/全農林労働組合   52 ( 12 ) 23 - 26  2002年

  • 「骨太」予算に振り回される農業・農村関係予算

    堀口健治

    農村と都市をむすぶ/全農林労働組合   52 ( 4 ) 36 - 43  2002年

  • 食の安全・安心を保証するシステムと私たちの対応

    堀口健治

    栄養と料理/女子栄養大学出版部   68 ( 4 ) 77 - 79  2002年

  • セーフガードの意味と背景

    堀口健治

    農業と経済/昭和堂   67 ( 13 ) 50 - 60  2001年

  • WTO交渉で日本はアジアと連携できるか

    堀口健治

    農業と経済/富民協会   66;16   5 - 14  2000年

  • 食料・農業・農村基本法下の期待される経営像

    堀口健治

    第2回全国認定農業者サミット in いわて報告書     17 - 26  2000年

  • 中山間地域等直接支払い制度とは

    堀口健治

    農家の友/北海道農業改良普及協会   52 ( 2 ) 12 - 15  2000年

  • 21世紀の食と農をどう展望するか

    堀口健治

    農業と経済/富民協会   66 ( 1 ) 5 - 36  2000年

  • 世界のアグリビジネス

    堀口健治

    農業と経済   66 ( 8 ) 20 - 25  2000年

  • WTO交渉で日本はアジアと連携できるか

    堀口健治

    農業と経済   66 ( 16 ) 5 - 14  2000年

    CiNii

  • 土地の公的保有政策と農地問題

    堀口健治

    立教経済学研究   54 ( 1 ) 21 - 45  2000年

    DOI CiNii

  • 21世紀日本農政の選択/1999年度大会討論会報告

    堀口健治

    農業経済研究/岩波書店   71 ( 3 ) 106 - 167  1999年

  • 農政体系における直接支払制度の位置と役割

    堀口健治

    農業と経済/富民協会   65 ( 13 ) 13 - 21  1999年

  • 多くの政策課題を具体化することが要請される,新たな基本法

    堀口健治

    農政運動ジャーナル/全国農政協   24   8 - 9  1999年

  • 多くの課題を先送りにした最終答申―政策の具体化はこれから

    堀口健治

    食料・農業・農村基本問題調査会答申についての見解・提言等/衆議院調査局農林水産調査室     85 - 89  1999年

  • 土地所有をめぐる諸相

    堀口健治

    Tradepia/日商岩井   329   20 - 23  1998年

  • 混明のなかの政策選択―枠組みはたしかか

    堀口健治

    協同組合経営研究月報/協同組合経営研究所   535   8 - 19  1998年

  • 条件不利地域下の農業・農村の現状と課題

    堀口健治

    日本社会における農村地域の役割と発展方向に関する研究/早稲田大学農村地域研究会     3 - 20  1998年

  • 混迷のなかの政策選択~枠組みはたしかか

    堀口健治

    「新たな米政策」をめぐる諸問題/協同組合経営研究所     15 - 24  1998年

  • 集落請負型宿泊施設が過疎地に与えた影響と宿泊利用者のうけとめ方

    農林統計調査/農林統計協会   97 ( 9 ) 4 - 15  1997年

  • 新食糧法2年目の試練-食料政策の基本課題を問う

    堀口健治

    農業と経済/富民協会・毎日新聞社   2月号  1997年

  • 生産調整の実態と今後の在り方

    堀口健治

    農業構造問題研究/(財)食料・農業政策研究センター    1997年

  • 新農業法に至る農作物市場の動向とアメリカの国際農産物戦略

    堀口健治

    農業と経済/富民協会・毎日新聞社   9月号  1996年

  • 東畑精一「エコノミストを知る事典」(西川潤編)

    エコノミストを知る事典(西川潤編)/日本実業出版社    1996年

  • 北陸地方の直播栽培-良質米の直播

    水稲直播による経営革新/農林統計協会    1996年

  • Reform of Japanese Farm Polict Following Agreement on Agricuture,the Act of the Uruguay Round,and Its Implications for Development of regional Agriculture

    Iwanami-shoten, Journal of Rural Economics   67/2,64-76  1995年

  • ウルグアイラウンド合意後の日本農政と地域農業

    堀口健治

    農業経済研究/日本農業経済学会   67 ( 2 )  1995年

  • ウルグアイラウンド合意後の日本農政と地域農業

    堀口健治

    農業経済研究   67 ( 2 ) 64 - 76  1995年

  • Reform of Japanese Farm Polict Following Agreement on Agricuture,the Act of the Uruguay Round,and Its Implications for Development of regional Agriculture

    Iwanami-shoten, Journal of Rural Economics   67/2,64-76  1995年

  • 土地関連融資と信用連鎖の弱い環(上)

    堀口健治

    早稲田政治経済学雑誌   314   311 - 333  1993年

  • Land Issues : Constraints on American Agriculture

    Waseda University, The Waseda Journal of Political Science and Economics   307-308  1992年

  • 米国農業における土地問題の顕在化

    堀口健治

    合併号 早稲田政治経済学雑誌   307-308  1992年

  • Land Issues : Constraints on American Agriculture

    Waseda University, The Waseda Journal of Political Science and Economics   307-308  1992年

  • Quality Preferences of Corn and Soybean Processors in Western Europe and Japan

    University of Illinois, Bulletin, College of Agriculture, University of Illinois, U. S. A.   801  1990年

  • Quality Preferences of Corn and Soybean Processors in Western Europe and Japan

    University of Illinois, Bulletin, College of Agriculture, University of Illinois, U. S. A.   801  1990年

  • コーン・ベルトにおける土地所有圧力の増大と借地形態の変化

    堀口健治

    農業経済研究   56 ( 4 )  1985年

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特別研究期間制度(学内資金)

  • 土地所有と土地利用の制度的・経済的関係に関する研究

    2011年04月
    -
    2012年03月

    アメリカ   カリフォルニア大学デイビス校

特定課題制度(学内資金)

  • 北東アジア地域の農地所有と企業的経営展開の対応過程

    2006年  

     概要を見る

    調査地・中国山東省莱う市房干村からみた地域の土地に関する権利関係と村企業農業は日一日と衰退し土地面積は10年の間に半分に減っている。一方、観光業の発展は、農民の就業を保障し、農民の生活水準を大幅に上昇させた。村幹部の指導は30年の長きに渡っている。今、房干村農民の生活は日一日と豊かになっている。しかし房干村に貧しい家庭もいくつか存在し、その家庭は村から補助金を受けている。冬に、村は無料で村民に暖房を提供し、房干村の農民は、すべて、国家補助の医療保険に加入し、一部の人は年金にも加入している。観光業のおかげである。村幹部の給料は普通の農民より高い、また、彼らは公共資源を支配する権力があるから、目に見えない収入がある。(たとえば、事務用の車、招待費、出張費など)。房干村には集団所有の会社が存在しているが、十分には規範化されていない。資本金は7920万元で登録されたが、実際は、登録資金に対する検査は厳しくない。集団所有の会社は、全村の流動資産と固定資産をもとに、評価し登録されている。理論的には全村のすべての農民は株主になるわけだ。しかし、今の農村土地の集団所有制は財産権を明確にしていない。房干村の農民は、土地、山林に対して、使用権があることをわかるが所有権があることは知らない。集団所有の会社における農民の権利関係は、明確には規定なされていない。彼らは、小農の考え方で、目に見える利益をもらえる村幹部を支持し、年末の利益配当に満足している。われわれは、村に別荘を持っている人について調べた。2006年に、130戸の地域外の人が別荘を建てている。リーダーの話によると、ここに、別荘を建てるのは、すべて、房干村に貢献した人あるいは会社である。電力会社は房干村の観光事業に協力したから、房干村に研修センターを建設した。別荘を持っている個人に、私有企業の経営者もいるし、大学から定年退職した人もいる。マスコミで働いている人もいる。しかし多くは、莱う市と済南市から来た人である。いずれにしても、この人たちの中にはここに、投資したい人もいる。房干村に農地は163.72畝しか残っていない。経済環境が不安定になれば、観光業に悪い影響を及ぼすはずである。観光業の収入が減少すれば、房干村の農民は、農業に戻らなければならないが、それにしては面積はすでに戻るには割り込んでいる。90年代より、今の房干村農民の生活は大きく変わってきた。豊かな生活へのあこがれは、その変化の動力でもあった。以前は受動的に集団の力で貧窮を変わるための選択であったが、今は違う。

  • 地域を単位とした農業の多面的機能の把握と経済計算

    2005年  

     概要を見る

    ①評価方法:ヘドニック法の問題点としては、理論的条件と統計的条件が挙げられる。理論的条件としては、キャピタルゼーション仮説の基本的前提自体が問題となる。そこでは移動コストがゼロである社会における均衡状態を想定しているが、実際には土地利用規制など公的規制により移動は制限されうるうえに、商業地・住宅地といった用途規制により選択も制約されうる。統計的問題としては、地価の選択、推定式の特定化そしてデータの集計レベルが上げられる。地価は一物百価ともいわれるが、ヘドニック法では地価に利回りを乗じることによって理論地代を求め、この地代を回帰することによって環境要因の地価への影響を検証する。この際に、公示地価、路線価など、どの地価データを利用するかが問題となる。そして、ヘドニック回帰式の推定の際には、説明変数としてどのような要因を含めるか、どのような特定化を行うのかにより推定結果は大きく異なる。多くのヘドニック回帰式において、説明変数として選択されるのは、自治体レベルの集計データでは、農林地面積、人口規模、さまざまな社会インフラの整備水準、財政状況などである。どれをモデルに組み入れるかは事前に理論的に選択できるわけではない。このうえ、重要と思われる変数の利用が困難であることもありうる。このため利用可能なできる限り多くの土地属性に影響を与える変数を含めたモデルを推定しがちであるが、その場合には、多重共線性の問題が発生しやすくなる。近隣環境の良好な地域では,優れた公共施設や社会資本を持つ傾向がありうるため、特性間の相関が非常に高い場合が多い。このように多重共線性が深刻な場合には主成分分析などにより対応する必要がある。②山梨県道志村と神奈川県横浜市:具体的には両自治体の明治以来の関係を明らかにし、そこでの具体的な横浜市による支援の歴史を検討した。まだ歴史的な検討であり、①の推定方法の適用については、入り口に立ったばかりであるが、これを更に充実すべく、文科省科研費等に応募し、更なる研究の継続を予定している。

  • 東北アジア地域における農地所有の公的性格の変化と企業的経営展開の対応過程

    2005年  

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    ①公有・国家計画的な経済の中国における農地転用中国は、都市の土地は国有、農村は農地を含めて土地は集団所有である。そして農地を転用し造成した宅地や工場用地の土地使用権を売却できるのは、国に所有権が移管されてからである。外資を含めて企業等に長期の土地使用権を売却するには、集団所有から国有に移し変えねばならない。だが国家の計画の下、農地転用が計画的に進むと理解すると大間違いである。上海の哺東地区は、今では金融、商業の一大拠点だが、もともとは狭い旧上海地区の限界を悟った上海市政府が、哺東地区の集団からすべての土地を買収(集団の構成員である農民は農業上の補償金と移転費で強制的に立ち退かされた)し、転用・造成して、国の内外の企業等に売却したことでできあがった。成功例である。立ち退かされた農民の不満を除けば、団地的な商業用地を造成し、計画的に農地を転用したのである。しかし注意すべきは、実施者は上海市政府という地方政府であること、そして集団所有の農地を「社会主義的に接収」し、市場経済の仕組みで「資本主義的に高く売却」したことである。各地の農民の不満は、この格差と都市にのみ集積される利益、集団幹部の立ち退き費用の未配分などに向かっている。地方政府にとって、財政上のメリットが大きいこの仕組みは流行し、今では北京の中央政府が強硬に引き締めに入らざるを得ないほどに、開発区を作り農地を転用する地方政府が増加したのである。今は中央政府の引き締めが強いが、それならば、ということで、集団内で農地を転用し、リースで集団外に貸し出すケースが出てきている。従来も、集団内で村有企業に農地を転用し、工場(郷鎮企業もその一環)を作ることは奨励されてきたし、今も問題はない。だがその転用後の利用を集団の外に貸し出す事例が出てきているのである。調査した北京市郊外の集団には、農地は全くなく、構成員の「農民」家族とアパートとして借りている北京への通勤者の家族が住むマンション群と、工場群で、土地は利用されている。工場は長期の土地使用権方式を購入した者が建てるのではなく、自ら集団が建てた工場を外部者が数年契約で借り利用する仕組みである。外部者にとって北京市内の土地使用権購入と比べれば安い。ひとつの工場では外国の製薬企業が稼動し、村人が働いていた。ここでは、市場経済の仕組みで「資本主義的に高く貸し付」け、メリットを集団が得ているのである。都市と農村の対立を、うまく解決している。周りの集団がそれを真似しないから成功例なので、真似すれば、更なる虫食い・無計画転用が展開する。②こうした個別の転用事例について積極的に評価する国務院の研究者の論文(翻訳して報告書に載せた)もあるが、国全体の農地管理の上では、簡単には容認できないはずである。企業展開が進む中で、計画的な土地利用をどう考えるか、同じ問題はベトナムでも発生している。

  • 中国・合併企業にみる土地出資の評価と問題点

    1998年  

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     中国の土地使用権は、①譲渡可能な払下土地使用権(有償払下げを経た国有地使用権)と、②現在の市街地のほとんどを占める割当方式による国有地使用権、そして③農地を主とする集団所有地の土地使用権の三種に大別できる。②、③は譲渡、賃貸、抵当に当てることができず、そのため土地出資として提供された②、③は精算時の競売にかけることもできない。しかし比較的早く中国に進出し、中国側から土地を現物出資でうけた日本側企業のなかに、多くのケースがそうだが②に該当する出資形態がかなりみられる。この点は未解決の問題として、その意味が認識されないまま、時間が経過している。一方、期限つきの土地使用権が最近時の合併会社の土地出資に多くみられるが、この評価額が第三者的に確定されるシステムは未だなく、多くはかなり高めに設定されているものと思われる。しかも①の場合、土地使用権なるものが提供されている場合と、中国側パートナーが土地使用権を持ち合併企業が土地使用料を払って使用するレンタルの権利のみにすぎない場合とがある。 多くの訪問、聴取した合併企業でわかったことだが、事業がうまくいっている場合に問題はうかびあがらない。この問題を認識していず、指摘をうけて始めて検討する会社が多い。住宅政策を含めて中国の土地政策は変更も突然であることが多く、さらなる調査、分析が必要である。

  • 中国・莱蕪市にみる土地所有・使用権の実態と村有企業の資本蓄積

    1997年  

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    中国憲法は、都市は国有、農村は集団所有と規定している。しかし、都市の国有は、実際は地方政府有の性格が強いことはすでにあきらかにしてきた(土地使用権の売却収入は地方政府に主に入いることを指摘してきた―例えば西川編『開放中国・国際化のゆくえ』有信堂、1995)。だが集団所有は多くは村所有と理解されているが、その村による土地配分、再割当などの原理、原則は不明な部分が多い。莱蕪市でここ数年間の継続調査によると、房幹村の村民委員会による村有企業のための農地転用は、その転用された農地の元利用者の優先雇用を工場で約束することで、農民の了解をえているとしている。しかし村外からの雇用者もあるくらいに多くの雇用を行っているので、転用された農民と、工場に雇われているものの転用をうけず従来の農地利用面積のままの農民も同時に存在し、この不平等の解決は数年に1回行われる1人当たりの口糧田の面積を調整することでなされているようである。村有企業は村出資の企業であるために、農民の農地および住宅利用と同様に土地使用料を払っていない。しかし経営権を任せて村営企業から村有企業に転換して以降は、企業自身の資本蓄積を奨励している以上、企業自身及び幹部の出資という形の内部留保も認めざるをえない。一方で、赤字企業については請負幹部の経営責任の追求も行われている。だが村の出資への配当と請負料に外に、税金、さらには優良な土地の使用についての地代徴取も検討されてよい。というのは山村の房幹村ではこれ以上の工場敷地が確保できないために、隣村から農地を購入している。この購入した土地の代金を村が負担しているが、立地させたセメント工場にも負担させるべきだという考え方もありうるのである。なおこの購入した農地は、房幹村では所有権の購入(村境の移動・拡大)と理解しているが、上級機関の莱蕪市土地管理局は永久使用権の購入だと説明する。この違いの意義についてはさらに検討が必要であろう。研究成果の発表1999年12月 月刊雑誌『農村統計』ないし早大『政治経済学雑誌』を予定。予定題目「中国・土地制度の実際とその問題点」

  • 過疎地の地域資源活用と公的負担に関する研究

    1996年  

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     新潟県下一の過疎、日本一の豪雪地帯にある松之山町、その町内で最も過疎化・高齢化が進んでいる黒倉集落に、補助金を使って建てられた町の行政財産である温泉つき宿泊施設「おふくろ館」がある。定員40人の小規模なものだが、特徴はこの施設を黒倉集落の集落請負にしたことである。 使用料は無料、ただし労賃、食材費用、光熱費等は収入からまかなうこととし、これを上回れば黒字となって請負った集落の利益となる。なお減価償却費はみないこととしている。 結果としては黒字である。町直営にしなかったために「高給取り」役場職員が経営に参加しなかったこともあるが、なによりも集落請負制にしたおかげで、高齢者なりに分業体制が組むことができ、しかもそれが村民の生きがいともなったことである。そしてさらにこのシステムが地域産の農産物の供給、村民らしい心のこもったサービスともなり、関東および近くの地方都市の宿泊客の高評につながってリピーターが多い好結果を生んでいる。 調理、接客、経営の主体は50~60歳台の婦人方であり、1日2直体制をとっている。寝具のあげおろし、掃除はより高齢の婦人の仕事であり、宿直は高齢の男性の仕事である。 そして1995年1年間の宿泊客2,291人、このうち500名を抽出し、郵送アンケート調査を行ったが、64%の高回収率であった。利用者の年齢は40代と50代で半数以上を占め、リピーター利用者が4割近くを占める。ここを宿泊先に選んだ理由は、適当な料金、温泉、自然を楽しむことがあげられるているが、集落請負型のおふくろ館らしい食事、従業員のサービスもあげている。 公的負担の温泉つき宿泊施設はかくして都市との交流施設になると同時に、高齢化した集落にその労働力にあわせた就業機会と稼得の機会を与えているといえよう。

  • 日本社会における農村地域の役割と発展方向に関する研究

    1995年   筑波 常治, 楜澤 能生, 中島 峰広, 朝倉 征夫, 大塚 勝夫, 弦間 正彦, 柿崎 京一, 店田 廣文

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    農村,農業,農民,地域に視点をおき,実態調査も分担・参加できる早大内の教員で組織された本グループ(事情で参加できなかった教員も複数いたが)は,水稲と果樹・有機農業の実践グループが多く活躍する山形県高畠町,共有・共同利用の温泉と山林の活用で地元開発型の成功例としての長野県野沢温泉村,同じく入会林を畜産用に高度に利用する若き担い手たちで組織された農業生産法人がサービス施設も経営する大分県玖珠町の3か所を,共同調査した。 農業経済学,技術論,法社会学,地理学,社会教育,開発経済論,農村社会学等,多様な分析視角から,共同で農村調査を実施するのは,問題点や展望を明らかにするうえで有効だった。共同調査地以外にも,参加者が単独ないし複数で実施した調査もあり,共同調査地とは異なるタイプの農村も対象にした。 また学外者から農村の開発のあり方や実例も聴取し,議論して内容を深めた。 開発の視点で農村地域をみると,外部資本による転用も含めた開発型に対して,地元民が共有・共同利用のストックを持つ地域はその使い方が共有者の理解をえられるならば,就業機会の安定的確保,投資効果が地元に所得増やインフラ整備の源資として残るなど,メリットを地元に定着させる開発型としてとらえることができる。スキーリフトを経営しかなりの剰余金を町財政に入れることのできる野沢温泉村は,共有財産の存在とそれを支持する住民があればこその成功例である。高畠町も,共有財産ではないが,有機農業の運動が多数の農民の支持をえられて始めて,農産物の差別化の効果が大きくあらわれている。多くの入会牧野が遊休地化する大分・熊本にあって,玖珠町は特定法人に共有財産の利用を任せた形式が活きている。都市と異なる機能をもつ農村の発展方向を示唆する開発事例である。

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