2024/04/19 更新

写真a

ヒジカタ マサオ
土方 正夫
所属
社会科学総合学術院
職名
名誉教授

学歴

  •  
    -
    1976年

    早稲田大学   工学研究科   機械工学  

  •  
    -
    1976年

    早稲田大学   工学部   機械工学専攻生産工学専修  

所属学協会

  •  
     
     

    人工知能学会

  •  
     
     

    都市計画学会

  •  
     
     

    日本ゲーミングシミュレーション学会

  •  
     
     

    日本経営工学会

  •  
     
     

    日本オペレーションズ・リサーチ学会

研究キーワード

  • 情報システム学(含情報図書館学)、経営工学

受賞

  • 優秀論文賞

    2011年02月  

  • 生存科学研究所(財団法人) 研究奨励賞(共同)

    1992年06月  

 

論文

  • A communication-based planning system for a modern information society: An innovative approach to city management

    Masao Hijikata, Akiyoshi Takagi

    International Journal of Urban Sciences   14 ( 2 ) 176 - 190  2010年

     概要を見る

    This paper analyzes the present state and problems of the modern Japanese city planning system from a social information theory perspective, and proposes a theoretical framework for a new city planning system for a culture adapted to information society. First “communication-based” means taking account of human behaviors to express thoughts, feelings, or information as resources for city planning. All of these together, in addition to values chosen with respect to the future, can be considered the source of the city's dynamism. Furthermore while the nature of active social communication has an effect on behavioral patterns in a modem information society, it also has a large effect on the city planning method itself, due to the pervasion of communication systems. This paper considers changes in both directions in order to extract the issues in modem city planning. In order to survey these broad trends in city planning, this study summarizes the main values that city planning around the world has focused on in each era, and investigate and summarize current issues in and the state of modem city planning in an information society. Additionally we discuss the use of an information support system as a new method in city planning. Using the approach taken by Yamato City in Kanagawa Prefecture in Japan as an advanced example, the development of a paradigm shift in city planning is discussed. In conclusion, this research presents a model of the communication process in collaborative city planning based on an open information system, and propose a plan-making support model based on communication and participation. © 2010 Taylor &amp
    Francis Group, LLC.

    DOI

  • 地域情報コンテンツ二次利用促進モデルに関する基本要件分析

    土方 正夫

    電気普及通信財団研究調査報告書   No.23 p206〜p213  2008年10月

  • デジタルコンテンツの二次利用(n次利用)と著作権保護

    土方正夫

    オペレーションズ・リサーチ   Vol.52 No.8 p.474~p.478  2007年08月

  • 二次利用を促進するコンテンツ管理システムの研究開発

    土方正夫

    Scope 第三回成果発表会要旨   p.6~p.7  2007年06月

  • 二次利用を促進するコンテンツ管理システムの研究開発

    土方正夫

    戦略的情報通信研究開発推進制度(SCOPE) 研究成果報告書    2007年03月

  • 二次利用を促進するコンテンツ管理システムの開発

    土方 正夫, 芦田 良貴他

    情報システム学会秋季発表会   (情報システム学会Webページ参照)  2005年11月

  • 計画システムの構造転換-新しいコミュニティー・ベースト・プランニング-

    早稲田都市計画フォーラム    2002年04月

  • Project Management and Project Oriented Information System for Regional Planning

    16th International Conference on Production Research    2001年08月

  • A Project Oriented Data Base for Collaborative Regional Planning

    Inter Sympo'01, International Institute Advanced Systems Research and Cybernetics    2001年08月

  • いま日本のまちづくりを検証する

    WasedaまちづくりSympojium2001、早稲田大学まちづくりシンポジウム実行委員会    2001年07月

  • 環境資産の社会的共通認識に関するマルチメディア情報ネットワーク支援システムの開発

    電気通信普及財団調査研究報告書   No.16, p.186-p.195  2001年05月

  • 環境情報化の具体的取組み

    石川県 いしかわマルチメディア推進プロジェクト情報化検討委員会    2000年03月

  • 「環境立県くまもと」の推進に関する提言

    熊本県環境立県くまもと検討委員会    2000年03月

  • Teleworking and Sustainable Placemaking in Information Cities

    The Fourth International Telework Workshop "Telework Strategies for the New Workforce"   p.336-p.345  1999年08月

  • デンマークにおける大規模開発?大規模開発を巡る参加型計画について?

    早稲田大学国際共同研究“参加のまちづくりに関する国際比較研究、早稲田大学参加のまちづくり国際比較研究会   p.86-p.92  1999年03月

  • マルチメディアコンテンツ市場予測

    マルチメディアの現状と展望’98、日本マルチメディアフォーラム   p.1174-p.1189  1998年03月

  • Information Technology and Designing for Social Usage

       1998年02月

  • Information Technology and Designing for Social Usage

    BUSINESS INFORMATION TECHNOLOGY MANAGEMENT /HAR-ANAND PUBLICATION PVD LTD, NEW DELHI   P477-489  1998年02月

  • Group Decision Process Support System for Regional Planning

    Skill and Technological Change, HARANAND PUBLICATION PVT LTD., New Delhi   p.253-p.275  1997年11月

  • Public Information Market for Regional Planning

    The Third Asean Inter-University Seminar On Social Development    1997年06月

  • パソコン通信による高齢化社会諸問題の解決

    月刊シニアプラン/財団法人シニアプラン開発機構   1997年3月号  1997年03月

  • パソコン通信活用による高齢社会諸問題の解決

    平成8年度研究助成報告書/財団法人シニアプラン開発機構    1996年12月

  • A Project Oriented Data Base for Collaborative Regional Planning(InterSypm'96"

    Annual Meeting of the International Institute in Systems Research and Cybernetics,Decon'96 Design-Synergy-Collaboration)    1996年08月

  • 地域計画と地域情報システム

    地方自治コンピュ−タ/地方自治情報センタ−   26;6  1996年06月

  • 地域総合計画の為のプロジェクトオリエンティッド・マルチメディア・ネットワーク情報支援システムの基本設計に関する研究

    研究調査報告書/電気通信普及財団   10  1996年04月

  • Group Decision Process Support System for Regional Planning

    AI&Society/Springer Internationa   9;2&3  1996年04月

  • Group Decision Process Support System for Regional Planning

    AI & Society/Springer International   Vol.9 No.2,3  1996年03月

  • Decision Process Support System for Regional Planning: Project Oriented Data Base

    The First Nordic Summer School on Design Methodologies in the Urban Context /Nordic Academy for Advanced Study    1995年08月

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講演・口頭発表等

  • Cultural Based Planning System in Modern Information Society 〜An Innovative Approach on City Management〜 (Invited)

    発表年月: 2008年10月

  • The Gaps between City Planning and Policy Making (Invited)

    発表年月: 2007年12月

  • 行政組織における集団意思決定過程の分析と政策形成の課題 (共同発表)

    発表年月: 2006年12月

  • The Planning Context Formulation in Information Society (Invited)

    発表年月: 2006年07月

  • Public Information Market for Regional Planning

    発表年月: 1997年06月

  • Decision Process Support System for Regional Planning (Invited Lecture)

    発表年月: 1995年08月

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共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 多主体連携による地域まちづくりのための社会実験手法と支援システムの開発

    科学研究費助成事業(早稲田大学)  科学研究費助成事業(基盤研究(A))

    研究期間:

    2006年
    -
    2008年
     

    佐藤 滋, 真野 洋介, 土方 正夫, 早田 宰, 有賀 隆, 野嶋 慎二, 饗庭 伸, 川原 晋, 内田 奈芳美, 土方 正夫, 早田 宰, 有賀 隆, 饗庭 伸, 野嶋 慎二

     概要を見る

    本研究の成果は主に次の二点である。1)まちづくりを考えるためのワークショップや社会実験と支援データベースの運動 2)まちづくり支援データベースの完成 1)はまちづくりの協議のプロセスをシナリオ化することで擬似的に体験し、データを蓄積するための社会実験や、ワークショップのコンテンツを蓄積することでまちづくりの支援管理システムとしてのデータベースの活用を行った。2)については、まちづくりアイディアやデータを地図のポイントとリンクする、flashなどを用いたインターフェースのデータベースと、GISを活用したデータベースを作成した。さらに完成したデータベースについてまちづくりデータベースとGISの専門家と意見交換を行い、データベースの今後の可能性と方向性を明らかにした。

  • 環境ソフト資産としてのメルチメディア情報ネットワーク

    科学研究費助成事業(早稲田大学)  科学研究費助成事業(基盤研究(C))

    研究期間:

    2002年
    -
    2004年
     

    土方 正夫

     概要を見る

    環境の変化は人間の環境認識と意思決定によって引き起こされる。環境認識は千差万別であり、それは人が部分情報しか持ち得ないだけではなく、環境に対する認識の違いによる。更に情報化社会に移行し人々の環境に対する認識内容は一層多様になってきている。
    本研究の対象問題は地域計画であるが、情報化社会移行後、計画システム自体の再構成が重要な課題となっている。従来の地域計画では専門家が地域の在り方を定め、その具体化の段階で、地域主体とのネゴシエーションプロセスを通して環境認識の共通基盤が形成されることが一般的であった。環境問題が計画システムの中で主要課題になってからは、計画段階から地域主体の環境認識を計画に組み込む必要性が生じ、計画システム自体が大きく変化してきている。また、その実験的な取りも世界的に行われている。これらの事例を見る限り、多様なデータや情報を累積的に蓄積し,活用してゆく方法については試行錯誤の段階といえる。
    本研究では、情報化社会に於ける地域情報システムの理論モデルを構築し、これを具現化するモデルとしてWebを前提としたプロジェクト・オリエンティッド・マルチメディア情報ネットワークの概念を地域計画の方法と対比させながらその要件を整理し、プロトタイプの開発を行い、実験を行った。その結果、地域計画の底流にある複数の地域文脈を明らかにすることと計画内容として何を吸収すべきであるかという計画に関わる意思決定の関わりを明示的に示すことができた。更に情報化社会に適応したオープンな計画システムの在り方の指針を得ることができた。計画づくりのプロセスで集約される膨大なデータや情報そのものが地域の環境資産となりうること、これを確立する方法論の基盤が明らかになった。また、地域情報システムの運用主体の問題等々今後の課題も整理することができた。

  • 事前復興を前提とした住民・地権者主体による市街地更新のための支援技術の開発

    科学研究費助成事業(早稲田大学)  科学研究費助成事業(基盤研究(A))

    研究期間:

    1999年
    -
    2001年
     

    佐藤 滋, 早田 宰, 卯月 盛夫, 土方 正夫, 真野 洋介, 饗庭 伸

     概要を見る

    3年間に及んだまちづくりの現場における実地的な調査と実践的な研究開発により、以下の成果を得た。
    1)自律更新シミュレーションゲーム・システムの開発
    視覚的にシミュレーションされた環境や景観情報を用いて、計画づくりの検討や具体的なデザインの立案を、ゲーム形式に置き換えたまちづくりのプロセスの中で行い、まちづくりの目標像の合意形成を支援する「自律更新シミュレーションゲーム・システム」を開発した。このシステムは「視覚的メディアによるデザインシミュレーション」と「まちづくりプロセスのゲーミング」の2つの技術から組み立てられている。「視覚的メディアによるデザインシミュレーション」とは、建築模型によって表現したまちの将来像を小型CCDカメラを通して見ることにより、専門的な知識をもたない一般市民でも視覚的に空間を認識し環境を評価できる方法のことである。「まちづくりプロセスのゲーミング」とは、カードやパネルといったツールを一定の手順で使用して意見交換を効果的に進行する技術のことである。
    2)都市建築類型データベースの作成
    6つの研究対象地区において実地的な調査を行い、5つの評価条件(街路基盤の特性、土地利用、空地の特性、雪などの気象との関係、居住者の生活スタイル)によりダイヤグラム化を行いデータベース化した。
    3)自律更新シミュレーションゲーム・システムによるまちづくりプロセスの設計
    開発した自律更新シミュレーションゲーム・システムを具体的なまちづくりの現場において実施し、その一連のシステムの効果を分析することで、まちづくりプロセスを明らかにした。「視覚的メディアによるデザインシミュレーション」と「まちづくりプロセスのゲーミング」を2つの軸とするマトリックスを用いることで、まちづくりプロセスの設計を可能にした。

  • 地域計画のためのプロジェクト・オリエンティッド・マルチメディア情報システムの開発

    科学研究費助成事業(早稲田大学)  科学研究費助成事業(基盤研究(C))

    研究期間:

    1996年
    -
    1997年
     

    土方 正夫, 常田 稔, 佐藤 滋

     概要を見る

    本研究の目的は参加型の地域計画形成過程における情報システムとその運営に関わる理論的基礎を構築することである。近年、まちづくりの名の下に数多くの事例が積み重ねられてきているが、その理論的基礎は必ずしも確立されているとは言い難い。そこで、本研究では地域計画過程を様々な生活主体が関わる集団問題解決過程ととらえ、情報論の視点から分析し、集団意思決定を支援する情報システムの要件を明らかにすると共にプロトタイプを開発し情報システム運用の要件を明らかにした。
    その結果、地域計画に供される多種多様な情報は計画の文脈構成によってスクリーニングされる。また、計画に関わる各主体の関心はデータそのものではなく、計画の文脈そのものにあることが明らかにされた。そこで、インターネット上で地域計画専門家、地方公共団体計画担当者、地域住民が協働し、コミュニケーションを通して計画の文脈形成を可能にする情報システムを開発し、これをProject Oriented Data Base(PODB)と呼ぶことにした。その特徴は地域計画プロジェクトの進行と並行して計画の文脈が参加者の間で共有され、蓄積されてゆく点にある。更に、この過程で文脈と事実データの相互関連が明示されてゆく。ここでは、地域の文脈形成に関わる質的な情報をデータとしてとらえている。更に応用面についても研究を進め、具体例を基にした実験的な試みを行い、これを基にシステムの運用要件を纏めた。今後はマルチメディア技術を活かした文脈表現方法をより洗練されたものにすると同時により使いやすく、ファシリテイターに情報技術の負担をかけないヒューマンインターフェイスの開発を目指し、更に研究を進める予定である。

  • 大規模災害への復元力のある新たなグローバル社会システムの再構築

    科学研究費助成事業(早稲田大学)  科学研究費助成事業(挑戦的萌芽研究)

  • 総務省先端技術研究開発資金”二次利用を促進するコンテンツ管理システム”の研究開発

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特定課題制度(学内資金)

  • 震災復興における住民と行政の情報プラットフォーム形成

    2016年  

     概要を見る

    @font-face { font-family: "MS 明朝";}@font-face { font-family: "Century";}@font-face { font-family: "Century";}@font-face { font-family: "@MS 明朝";}p.MsoNormal, li.MsoNormal, div.MsoNormal { margin: 0mm 0mm 0.0001pt; text-align: justify; font-size: 12pt; font-family: Century; }.MsoChpDefault { font-family: Century; }div.WordSection1 { page: WordSection1; } 本研究は昨年に引き続き、宮城県気仙沼市階上地区を対象に地域震災復興計画について、行政と住民のコミュニケーションプロセスのデザインをアクションリサーチの方法によりその課題を明らかにする目的で実施した。 既に階上地区全体の住民によるいわゆる「まちづくり大綱」は2014年に市役所に提出され、市役所もこれに対して公共的な立場からのフィードバックは行った。その後まちづくり大綱にも記載されている様に向洋高校が市によって震災遺構に指定され、階上地区では震災遺構を含むセントラルパーク構想の実現に向かって市とのコミュニケーションが活発に行われた。震災遺構は気仙沼市全体の遺構という位置づけをしており、階上地区の復興計画との相互調整が必要であった。市は階上地区まちづくり協議会運営委員を含む地元有識者による震災遺構委員会を設置し、階上地区のセントラルパーク構想との調整が図られた。ここで階上地区は“階上地区全体が震災遺構である”という立場から、震災の記憶を留め、全国の震災教育の拠点として位置づけるのみならず、産業までを含め復興の姿を示すという意向を打ち出し、具体的には地域活動の拠点としての位置づけも明確にし、プロムナードセンターの併設、グランドの有効利用案までが基本計画に盛り込まれた。このコミュニケーションプロセスは市の担当者が階上地区のまちづくり協議会に参加するなどを通して、実質的なコミュニケーションプラットフォームが形成されていった。一方でこれらの動向を見据えながらまちづくり大綱の見直しも進められ、コミュニケーションのチャンネルは継続的に確保され、階上地区の住民へも全戸に配布されるまちづくり新聞等を通して復興計画の進捗状況が知らされていった。これらの中でまちづくり継続的なプラットフォームの運営主体を担うべき組織は、まちづくり協議会では手に余ることも明らかになってきた。復興のプロセスで力を発揮した地元のNPO団体といった公式組織がその役割を担うことが望ましいが、財政面での問題が残されている。また、これまでの市と階上地区の復興まちづくり計画作りの文脈を蓄積し、また、内外の組織との連携も含めたシフトな資産を今後の復興計画にどの組織が主体となってこれを活かしてゆくことは重要な課題であるといえる。これらの課題も含め、今後は復興まちづくりの計画の継続性とその条件についても研究を継続してゆく予定である。

  • まちづくり文脈形成を巡るコミュニケーションとメタガバナンス

    2015年   藤原 整

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     本研究では地域主体の東日本大震災復興計画を対象問題とし、宮城県気仙沼市階上地区における復興計画にアドバイザーという立場で関わり、情報論的立場からアクションリサーチの方法でまちづくりを支援するとともに、復興まちづくりが抱える課題を分析した。特に分散して存在する住民の生活に関わる地域の意味的情報を集約し、住民の発意による主体的まちづくり復興計画の文脈形成過程とその維持管理について研究を進め、現場では文脈形成と地域の組織特性が相互に深く結びついていることを明らかにした。また、地域復興に関する行政施策の機能展開と住民の意味世界の価値的な齟齬問題に着目し、定常的な両者のコミュニケーション・チャンネルを形成し、コミュニケーションを基礎とする新たな地域ガバナンスの在り方の実践活動を通して復興まちづくりの一つのモデルを形成することができた。また、これらの一連の研究活動を通して内在するコンフリクトコントロールの在り方とアウトサイダーが果たすべき役割について、新たな知見を得ることができた。 これまで2012年から3年半に亘り階上地区の復興まちづくりにアドバイザーという立場で関わってきたが、2013年度にまちづくり協議会が立ち上がり、数回に及ぶ漁協、農協、社協等々の地元組織の復興への取り組みに関する報告会や住民の数回に及ぶワークショップを経て、2014年2月に地元住民による「街づくり大綱」が纏められ、市役所に提出された。2014年4月には市役所もこの大綱に対し、公共予算の制約条件の中で、各種の施策の実施可能性を地域にフィードバックした。つまり、地域自体が縦割りの壁を越えて、地域計画づくりに積極的に関わっていったことになる。これらを基盤とし、階上地域のまちづくり復興計画は着実に前進し、実施計画の局面に入ってきている。更に2015年4月には旧向洋高校跡地が気仙沼市の震災遺構に指定され、地域ではこれをセントラルパーク構想として位置づけている。今後は実施計画レベルでの文脈形成過程について継続的に研究を進めてゆく予定である。

  • 地域計画文脈形成方法の開発

    2014年  

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     過去三年間気仙沼市階上地区の震災復興まちづくり計画にアドバイザ−の立場で関わってきたが、行政施策も予算の裏付けがなされた具体的な施策が出揃う時期を迎え、階上地区が2014年1月に住民の手で創り上げた地域文脈といえる「まちづくり大綱」と行政施策のすり合わせが本格的に行われた。ややもすると行政への要望に終始してしまう住民のまちづくり計画であるが、階上地区「まちづくり大綱」は復興後の地域の姿を住民自らが模索し、行政とのコミュニケーションチャンネルを開き、継続的に住民自らが計画の維持・管理を行うことを目指している点に特徴がある。気仙沼市は地域のセルフガバナンスへの試みとしてこれを評価し、気仙沼市の一つのモデルとなっている。

  • コミュニケーションベースの復興まちづくり計画文脈形成のシステム化

    2013年  

     概要を見る

    本研究の目的は、地域計画において常に問題となる縦割り行政(行政の機能分化施策)と地域形成の横割り論理(まちづくりに代表される住民による意味世界の構築)の間で生じる計画ギャップ問題に対して、情報論の立場から計画プロセスを地域文脈形成プロセスとしてとらえ、行政と地域住民の創発的なオープンコミュニケーションシステムを形成することで、問題の解決を図ってゆくことである。本研究では気仙沼市階上地区の震災復興まちづくり計画にアドバイザーという立場で参与観察による方法で、本研究目的の達成を目指した。この計画は地域住民自らが、被災以前から抱えていた、人口減少、地域経済の低迷等を含めて、被災後の地域の将来像を自ら形成し、同時に地域の問題を解決するという自律的活動ということができる。すなわち、公共的な課題に対して行政への要望を纏めることに留まらず、自らの手でやるべきことがらをあぶり出してゆくという試みでもあった。計画主体は自治会、漁協、農協、気仙沼みなみ商工ネット等の地域組織をとりまとめる階上地区振興協議会である。その中に各種の地域組織の意見を集約し、実質的に計画作りを推進する階上まちづくり協議会が新たにを設置された。アドバイザーとしては他に議員、震災後地域で活動を続けてきたボランティアの代表者が加わった。地域計画の文脈を創り上げるには、それぞれの地域組織の中で断片化している地域情報を共有すると共に、地域の固有性を含む意味情報の相互関係をシステマティックに組み上げてゆくことが必要とされる。そのために地域各組織が抱える課題の報告会を9月より計4回開催し、各回毎に参加者全員で、報告内容を中心とするワークショップを開催し、地域課題の共有を行うと共に、他組織の活動と関連組織の関係性を明らかにしてゆくことが行われた。更にその結果をまちづくり新聞として取り纏め、地域全体にフィードバックすることで、地域情報の共有化を図った。更に、議論された内容を具体的に地図に落とし込み、データと情報の蓄積を図った。また、報告会とは別に、個別課題の相互関係性を検討するために2回のワークショップが行われ、住宅整備を含む地域基盤の形成、地域の基盤産業でもある農業、漁業産業振興、地域教育等の個別課題に対する将来像の議論が行われ、その結果もまちづくり新聞を通して地域全体での共有化を図った。この間、行政側の復興計画づくりも時々刻々進んでいたが、階上地区に関する施策に関しては、議員を中心にワークショップで説明がなされた。これらの活動を通して、2014年2月に住民の手による階上地区復興計画書が取り纏められ、行政施策に反映すべく気仙沼市に提出された。このプロセスに参加することを通して以下のことが明らかになった。1 地域の生活者は地域について誰しもが断片的情報しか持っていない。2 また、この断片的情報は地域住民の生活と深く関わる意味情報でもある。3 この断片的な意味情報の関係性を整理し、地域情報として文脈を形成するプロセスは大学やボランティア組織等の外部者及び市会議員の役割が大きい。特に住宅建設・整備事業、地域基盤整備事業等、行政の縦割り機能を中心とした行政施策に関する行政とのコミュニケーションについては市会議員の役割が大きい。4 断片化された地域情報を継続的に蓄積する組織主体が居ない5 まちづくりのプロセスでデータ(過去の行動記録)・情報(意思決定の素材)・知識(構造化されたデータ)の区別は重要である。6 社会的文脈と地理的な意味での地区独自の課題の接点を明示することは、計画文脈の形成という点で地区間の関係性を強化する。7 共有化の方法まちづくりのプロセスではコンフリクトを含む課題解決が困難な課題も数多くあることも確かである。計画作りのプロセスの中で成長してゆく地域文脈の形成に対して文脈の成長を阻む制約要因は何であるかを記録に留めておくことは重要である。今後の課題としては時々刻々変わってゆく計画文脈を管理し、地域情報共有化を推進するメディアの在り方を明らかにしてゆく必要がある。

  • 社会科学を基盤とした学際的な社会デザインアプローチによる都市・地域再生手法の構築

    2011年  

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    本研究は、都市計画のプロセスはその大部分が、数多くの主体、或いは組織間のコミュニケーションと公共的意思決定から成り立っており、また、従来の社会科学モデルは扱う対象問題と空間の特性との関連づけが弱いという問題意識に立ち、具体的な地域の将来像を構築するための学際的社会デザインの在り方のモデル開発を目指した研究である。特に少子高齢化といった基本的社会構造の変化、地方都市に見られる長期的経済状態の停滞或いは自然災害による被災といった社会的課題を克服するための、都市や地域の自律再生モデルとその手法の開発を具体的目的としている。近年、世界的にも地域再生の研究が活発になり、基本モデルが提案されている。本研究ではこれらの既存モデルの検討を行い、特に地域の時間的変動を意識したパナーキーモデルを取り上げ、日本の社会文化特性を前提とした地域再生モデルとしての適応可能性について検討を行った。更に地域再生の手法開発は、以下の研究分担で研究を進めた。地域再生の組織の相互関連については早田が中心になり、近年活発な活動が注目されているNPO,NGOの分析が行われ、これらが満たすべき機能要件についての分析が行われた。再生のためのコミュニケーションの在り方や特に地域課題への共通理解を深めるためのコミュニケーション・プラットフォームの在り方については卯月が分析を行い、その機能要件について分析が実施された。更にコミュニケーションの媒体及び地域への歴史的、文化的背景については佐藤が映像メディアの創造と蓄積について研究を展開し、関連各主体が自律的にデータや情報を収集し、読み解くための方法論の開発を行った。また、これらの研究の相互関連と位置づけを地域情報システムの構築という観点から、土方が全体の総括を行うと同時にインターネットを中心とする情報技術の応用について検討を加えた。本研究は東日本大震災の復興計画策定に関わる研究メンバーの実証的研究を背景に、社会科学を基盤とし、学際的アプローチにより地域再生モデルの構築を目指したものであるが、地域学、計画学、情報学の枠を超えて更に経済学、経営学、法学等々の諸分野との融合を図ってゆくことが今後の課題といえる。

  • インターネットによる環境計画立案の方法論開発及び支援情報システムの運用

    2001年  

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     本研究は環境計画を策定する際に、その内容として盛り込むべきことがらを、日常 的に運用されるコミュニケーションシステムから抽出することを目指した研究であ る。 個別の具体的地域特性に基づく問題発生機構への理解無しには、問題解決策として の環境計画は機能しない。また、環境問題は基本的にリスクを伴う問題であり、ダイ ナミックに変化する不確定な状況の中で意思決定を行わざるをえない問題である。従 来、環境計画策定の問題解決意思決定システムは主として国や地方公共団体の中で閉 じていたが、近年、インターネットの普及等により、社会的にオープンなシステムの 中で、地域の構成主体である住民、企業、地方公共団体の相互コミュニケーションに 基づく相互カップリングを目指した計画づくりの試みが始まっている。 本研究では、環境計画づくりの方法論として、インターネットを活用し、意思決定 と情報の乖離という問題を解決すべく、計画づくりのプロセス分析を行い、情報シス テムを活用した方法論の開発を行った。具体的には、データと情報を峻別し、Web上 で問題意識情報から仮説をまとめ、この情報に基づくデータをインプットとし、文脈 形成をアウトプットとするWeb上でのヒューマンコミュニケーションインターフェイ スといえるProject Oriented Multi Media Information Systemの開発を行い、実験 的な運用を行った。 この情報システムの公開範囲、アクセス権等実際のシステム運用に関しては、問題 が残されているが、実験的には一応の成果を挙げることができた。

  • 地域計画のためのフロジェクト・オリエンティッド・ネットワーク情報支援システムの基礎研究

    1996年  

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     近年、”まちづくり”の名の基に地域計画に対して様々なアプローチが試みられている。その中で、共通するキーとなるコンセプトは地域特性に基づく自律性であり、方法論としては参加あるいは参画が中心テーマとして掲げられている。参画型のまちづくりも、現在は参加による計画内容の質的向上をいかにして実現できるかが大きな課題であり、地域における情報通信基盤を視野に入れた新たなまちづくりの方法論が問われている。そこで本研究では集団問題解決過程におけるコミュニケーションという観点から地域計画の理論的基礎を構築することを第一の目的とした。 まず、具体的な再開発事例をとりあげ、これを計画過程における情報とコミュニケーションという観点から改めて分析した。その結果、地域計画の分析段階と設計段階を繋げているものは文脈であり、地域の文脈は参加段階を通してはじめて具体的、明示的にとらえられるものであることが明確になった。更に、分析、設計、参加の機能を問題解決過程の中で位置づけ、各段階におけるコミュニケーションスタイルとその特性について分析を行った。この成果を基礎にして、第二の目的であるプロトタイプシステムの設計と実験を行った。このシステムはインターネット上で地域計画専門家、地方公共団体計画担当者、地域住民等が共働きしながら地域の文脈を形成することを前提にしたもので、文脈形成の基礎となるファクトデータの関連づけも可能となっている。このシステムをProject Oriented Data Base(PODB)と定義した。その特徴は、地域計画プロジェクト進行と同時並行で、地域計画の文脈が参加者の間で共有され、蓄積されてゆくことである。ここでは、地域の文脈形成に関わる質的な情報をデータとしてとらえている。 また、既存の地域計画プロジェクトを対象にし、プロトタイプを用いた実験を行い、その結果を国際学会及び早稲田大学まちづくりフォーラム研究会等で発表した。情報公開の範囲や運営管理者の条件等今後研究すべきシステムの利用、運営上の問題点を中心に幾つかの課題が指摘されたが、国内外の研究者、地域計画専門家から一応の評価を受けることができた。来年度は、今年度の研究成果を基に実際の計画プロジェクトへの応用及びシステム運用上の課題について研究を進める予定である。

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