2024/03/28 更新

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ハタ ケイコ
畑 惠子
所属
社会科学総合学術院
職名
名誉教授
学位
国際学修士

研究分野

  • 政治学 / ヨーロッパ史、アメリカ史

研究キーワード

  • ラテンアメリカ研究

 

論文

  • メキシコの福祉制度ー新たな社会扶助政策と社会権の確立

    畑 惠子

    海外社会保障研究   ( 193 ) 33 - 42  2016年02月  [招待有り]

  • メキシコの労働運動ー組織再編と労働法改正(世界の労働運動15)

    Int'lecowk 国際経済労働研究   16 ( 11/12 ) 32 - 36  2014年12月

  • メキシコの条件付現金給付政策ープログレサ・オポルトゥニダデスの17年を考える

    アジ研ワールド・トレンド   ( 229 ) 8 - 12  2014年11月

  • メキシコの条件つき現金給付政策ーProgresa-Oportunidades

    畑惠子

    宇佐見・牧野編『現金給付政策の政治経済学(中間報告)』調査研究報告書     29 - 43  2013年03月

  • メキシコと環太平洋ー新たな経済連携に向けて

    畑惠子

    ラテンアメリカ時報   No.1366   16 - 20  2012年07月

  • メキシコの労働運動にみる民主主義の課題

    畑惠子

    ラテンアメリカレポート   24 ( 1 ) 1 - 1  2007年07月

  • メキシコの社会保障制度−その特徴と90年代の改革

    畑惠子

    海外社会保障研究   ( 153 ) 40 - 50  2005年12月

    CiNii

  • メキシコの政治変革と市民組織(2)

    畑惠子

    早稲田大学社会科学総合   6 ( 1 ) 17 - 37  2005年07月

  • メキシコの福祉レジームと貧困削減政策

    畑惠子

    日本比較政治学会2004年度研究大会(法政大学市ヶ谷キャンパス)    2004年06月

  • メキシコの福祉レジームと貧困削減政策

    畑惠子

    日本比較政治学会2004年度研究大会報告論文集     131 - 140  2004年06月

  • 現代メキシコの政治変革と市民組織(1)

    畑惠子

    早稲田社会科学総合研究   4 ( 3 ) 91 - 106  2004年03月

     概要を見る

    論文

    CiNii

  • キューバにおけるジェンダーと政治参加

    畑惠子

    日本ラテンアメリカ学会(上智大学)    1999年06月

  • 社会主義国家と女性ー1975年以降のキューバ

    畑惠子

    日本ラテンアメリカ学会第19回定期大会 神戸大学    1998年08月

  • Roberto Segre, Mario Coyula, and Joseph L.Scarpaci, Havana : Two Faces of Antillean Metropolis, Chichester : John Wiley & Sons, 1997

    畑惠子

    アジア経済   39 ( 6 ) 102 - 106  1998年06月

  • 官僚主義的権威主義体制とラテンアメリカ女性-1970年代半〜1980年代半の民衆女性運動とフェミニズム

    畑惠子

    早稲田社会科学研究   ( 55 ) 145 - 171  1997年

     概要を見る

    論文

    CiNii

  • ロペス・ポルティーリョ政権における農業政策-メキシコ食糧計画(SAM)

    畑惠子

    早稲田社会科学研究   ( 52 ) 145 - 173  1996年03月

  • エチェベリア政権下の農地改革

    畑惠子

    アジア経済   33 ( 11 ) 42 - 59  1992年06月

    CiNii

  • 1960年代メキシコにおける農業生産の停滞と農民の終焉化

    畑惠子

    国際研究(中部大学)   ( 8 ) 81 - 107  1992年01月

  • メキシコPRI体制の危機と農業政策−1970年代を中心に

    畑惠子

    日本国際政治学会大会(中部大学)    1991年10月

  • F.J.Schryer, Ethnicity and Class Conflict in Lartin America

    畑惠子

    アジア経済   32 ( 9 ) 102 - 106  1991年09月

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書籍等出版物

  • ラテンアメリカ 地球規模課題の実践

    畑惠子( 担当: 共編者(共編著者))

    新評論  2021年02月

  • 新型コロナ感染症の拡大と社会への影響(『世界の社会福祉年鑑2020』所収)

    畑惠子( 担当: 分担執筆)

    旬報社  2020年12月

  • メキシコ (『新世界の社会福祉10中南米 所収)

    畑惠子( 担当: 分担執筆)

    旬報社  2020年02月

  • 性的マイノリティと人権 (『福祉社会へのアプローチ』 下巻 所収)

    畑惠子( 担当: 分担執筆)

    成文堂  2019年03月

  • メキシコにおける民主化と「クイア革命」(追悼論文集編集委員会編 『グスタボ・アンドラーデ先生追悼論文集』 所収)

    畑 惠子( 担当: 分担執筆)

    2017年08月

  • 「死者の日」にみるメキシコの死生観と祈り 『祈りと再生のコスモロジ-ー比較基層文化論序説』所収

    滝澤雅彦, 柑本英雄編( 担当: 分担執筆)

    成文堂  2016年10月

  • メキシコの貧困削減政策「プログレサーオポルトゥニダデス」と母性主義(小林冨久子他編『ジェンダー研究/教育の深化のために」所収)

    畑 惠子

    彩流社  2016年03月

  • キューバー平等主義と自由化の狭間を生きる女性たち(国本伊代編『ラテンアメリカ21世紀の社会と女性 所収)

    畑 惠子

    新評論  2015年12月

  • 分断化された社会におけるメキシコ福祉レジーム(新川敏光編『福祉レジーム』福祉+α8所収)

    畑 惠子

    ミネルヴァ書房  2015年11月

  • 世界の福祉年間2012(メキシコの章を執筆)

    宇佐見耕一, 小谷眞男等編集代表

    旬報社  2012年12月

  • ラテンアメリカ・オセアニア(世界政治叢書6)第1章 民主化・市場経済化と新しい地域主義、終章 周縁地域における連携の模索を執筆

    畑惠子, 菊池努との

    ミネルヴァ書房  2012年04月

  • メキシコの高齢者福祉政策における照準化と普遍主義(宇佐見耕一編『新興諸国における高齢者生活保障制度』所収)

    畑恵子

    IDE=JETROアジア経済研究所  2011年03月

  • "Labor and Social Security Reforms in Mexico" in Non-Standard Employment under Globalization, ed. by K.Usami pp.18-46

    Keiko Hata

    Palgrave Macmillan and IDE-JERO  2010年01月

  • ラテンアメリカ世界のことばと文化

    畑惠子, 山崎眞次編著

    成文堂  2009年07月

  • 女性のエンパワーメントと開発(篠田・宇佐見編『安心社会を創る』所収)

    畑惠子

    新評論  2009年07月

  • メキシコの高齢者と連邦政府の政策(「新興諸国における高齢者の生活保障システム」研究会『新興諸国における高齢者をめぐる問題と現状』所収)

    畑惠子

    日本貿易振興機構アジア経済研究所 pp.99-116  2009年03月

  • メキシコの労働・社会保障改革−国家・労働関係の視点から(宇佐見耕一編『新興工業国における雇用と社会保障』所収)

    畑惠子

    アジア経済研究所  2007年12月

  • メキシコ(萩原康生他編『世界の社会福祉年間2006年』

    畑惠子

    旬報社  2006年12月

  • メキシコにおける労働関係と労働組織の再編(宇佐見・牧野編『新興工業国における雇用と社会政策:資料編』所収)

    畑惠子

    アジア経済研究所  2006年03月

  • メキシコ−民主化の担い手としての市民組織(久塚純一・岡沢憲芙編『世界のNPO』 所収)

    畑惠子

    早稲田大学出版部  2006年03月

  • メキシコの社会扶助ー家族の変容と家族支援政策(宇佐見耕一編『新興工業国の社会福祉』所収)

    畑惠子

    日本貿易振興会・アジア経済研究所  2005年11月

  • イベロアメリカ・サミットの項目(川田・大畠編『国際政治経済辞典(新版改訂版)所収』

    畑惠子

    東京書籍  2003年

  • メキシコ (仲村優一他編『世界の社会福祉年鑑2001』所収)

    畑惠子

    旬報社  2001年12月

  • メキシコ低所得層における女性労働の変容と社会政策(宇佐見耕一編『ラテンアメリカ福祉国家論序説』所収 )

    畑惠子

    日本貿易振興会・アジア経済研究所  2001年03月

  • メキシコの官僚制度、メキシコの議会などメキシコに関する11項目

    畑惠子

    政治学事典/弘文堂  2000年11月

  • キューバの新しい社会と女性-フェミニズムなき社会の女性たち(国本伊代編『ラテンアメリカの新しい社会と女性』所収)

    畑惠子

    新評論  2000年03月

  • メキシコにおける経済構造の再編と女性労働(宇佐見耕一編『ラテンアメリカの雇用と社会保障政策』所収)

    畑惠子

    日本貿易振興会・アジア経済研究所  2000年03月

  • ラテンアメリカ・カリブ社会のアンペイドワーク (川崎賢子他編『アンペイドワークとは何か』所収)

    畑惠子

    藤原書店  2000年02月

  • エミリアーノ・サパタ/フランシスコ・ビリャ/ラサロ・カルデナス/オマール・トリホスの項目(『人物20世紀』所収)

    畑惠子

    講談社  1998年11月

  • イスパノの世界の政治・外交関係 (川成洋他編『スペインの政治』所収)

    畑惠子

    早稲田大学出版部  1998年05月

  • メキシコ・メキシコシティの項目(『ブリタニカ国際大百科事典(新版改訂版)』所収)

    畑惠子

    TBSブリタニカ  1995年

  • カルデナスとPRI体制の構築 (歴史学研究会編『南北アメリカの500年 第4巻危機と改革 』所収)

    畑惠子

    青木書店  1993年06月

  • 国際関係からみたラテンアメリカの500年 (細野昭雄・畑惠子共編『ラテンアメリカの国際関係』所収)

    畑惠子

    新評論  1993年06月

  • ハバナ−カリブの真珠の翳りと輝き (国本伊代編『ラテンアメリカの都市と社会』所収)

    畑惠子

    新評論  1991年09月

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講演・口頭発表等

  • 110th out of 149: Japan's Ongoing Struggle with Gender Equality

    Keiko Hata  [招待有り]

    Japan-America Society of Oregon  

    発表年月: 2019年10月

  • Welfare System in Mexico/ Bienestar en Mexico

    Keiko Hata  [招待有り]

    Comparing Policy Agendas in Emerging Economies, Growth Strategy, Re-distribution and Social Security System in East Asia, Latin America and East Europe - Russia   (Kyoto)  Center for Southeast Asian Studies, Kyoto Univerisity  

    発表年月: 2017年03月

共同研究・競争的資金等の研究課題

  • LGBTの権利保障に関するラテンアメリカ主要6カ国の比較研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2019年04月
    -
    2022年03月
     

    畑 恵子, 渡部 奈々, 近田 亮平, 松久 玲子, 尾尻 希和, 磯田 沙織

     概要を見る

    初年度に設定した研究課題は、1.担当国のLGBT権利保障の今日までの経緯と現状の把握、2. 主要アクターへのアクセスを可能とするネットワーク構築、3.促進/阻害要因に関する仮説構築もしくは各国で特に注視すべきテーマの洗い出しの3点である。
    研究会は3回開催し、毎回、各自の進捗状況を報告し、知見の共有と意見交換を行った。第2回研究会では谷口洋幸氏(金沢大学准教授)を招聘し、「国際人権法における性的マイノリティの権利保障」と題して、国際社会における議題化、人権保障の具体的な項目等についてお話しいただいた。先行研究の欧州中心主義と米州人権条約体制研究の不足の指摘を受けて、本研究の意義と課題を再確認した。第3回研究会にあわせて、3月末には他の科研グループとの共催で、海外から2名を招きミニシンポジウムを開く予定であった。だが新型コロナ感染によってアルゼンチンからの来日が中止となり、メキシコ・首都自治大学(UAM)M・トレス教授のみを囲み、「メキシコにおける同性愛解放運動と同性婚」に関して、他国との比較も交えて意見交換を行った。
    代表者・分担者は5カ国(アルゼンチン、ブラジル、コスタリカ、メキシコ、ペルー)で現地調査を実施した。研究者、政党・政治家、教会関係者、当事者、支援団体等から聞き取りを行い、2020年度以降の調査に向けてのネットワークを築いた。ニカラグアに関しては現地の事情から調査を見送り、メキシコで関連資料・情報を収集した。
    LGBTの権利保障そのものを論じた論文発表は畑(代表者)「性的マイノリティと人権」(『福祉社会へのアプローチ』所収)、上村(協力者)「現代メキシコにおける性文化の混淆実態」、学会発表は磯田(分担者)「ペルーにおけるマイノリティ議員の誕生とその課題」の3本であったが、関連領域での学会発表、論文・書籍の刊行等、積極的な発信にも努めた。

  • 福祉社会・政策デザインにおける次世代人材育成の国際比較

    科学研究費助成事業(早稲田大学)  科学研究費助成事業(基盤研究(B))

    研究期間:

    2008年
    -
    2010年
     

    久塚 純一, 岡澤 憲芙, 坪郷 實, 畑 惠子, 篠田 徹, 早田 宰

     概要を見る

    福祉社会・政策デザインにおける次世代人材育成を研究し、その国際比較をおこなった。いずれの国においても移民など国家レベルを超えたグローバルな社会問題を、地域レベル、コミュニティレベルで扱う社会福祉専門職の仕事の重要性が高まり、その養成が急務になっていることが明らかになった。

  • 公共・市場・NPOの相互関係とその政策形成へ及ぼす影響に関する国際比較研究

    科学研究費助成事業(早稲田大学)  科学研究費助成事業(基盤研究(B))

    研究期間:

    2002年
    -
    2004年
     

     概要を見る

    各国のNPOの概念規定について検証しつつ、3年間の調査・研究をまとめた。久塚は、主に、日本とフランスにっいて研究した。(1)日本については、事実上存在している法人格を有しない市民団体から、法人格を有するNP0にまでについてヒアリングを行い、さらに、NPOを管轄している行政にもヒアリングを行った。結果として、日本においては、NPOが政策形成に及ぼす影響は、法人の制度や税制がネックとなり、まだ大きなものとなっていないものの、キーパーソンやネットワーク機能を有するプラザなどが存在している場合は、NPOの機能が発揮され、行政とのパートナーシップが形成されつつあることがわかった。(2)フランスについては、Associationが活動しやすい土壌・制度が整っており、国民の意識調査からも、消費者保護の問題や老親の問題などはAssociationへの期待が高く、公的セクターとの役割の住み分けが形成されていること、Associationが政策形成に大きな役割を果たしていることが

 

社会貢献活動

  • メキシコ社会の変容と現在

    一般社団法人国際女性教育振興会  (国立オリンピック記念青少年総合センター) 

    2018年09月
    -
     

  • ジェンダーからみるメキシコ社会

    東京都町田市教育委員会  まちだ市民国際学講座「拡大・成長する新興国」第8回 

    2012年11月
    -
     

  • 現代メキシコ社会の諸相

    町田市教育委員会  まちだ市民国際学ーラテンアメリカが問いかけるものー  (町田市森野分庁舎) 

    2007年06月
    -
     

  • 歴史でみる世界 クーデターから選挙へ−ラテンアメリカの民主化への挑戦

    NHK教育テレビ 

    2003年01月
    -
     

     概要を見る

    歴史でみる世界 クーデターから選挙へ−ラテンアメリカの民主化への挑戦 2004.1 再放送

  • 歴史でみる世界 メキシコ・キューバ二つの革命−アメリカ支配からの脱却

    NHK教育テレビ 

    2001年12月
    -
     

     概要を見る

    歴史でみる世界 メキシコ・キューバ二つの革命−アメリカ支配からの脱却

  • 歴史でみる世界 孤立から接触へ−ラテンアメリカの古代文明

    NHK教育テレビ 

    2001年07月
    -
     

     概要を見る

    歴史でみる世界 孤立から接触へ−ラテンアメリカの古代文明2002.7、2003.7 再放送

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特別研究期間制度(学内資金)

  • 1980年代後半以降のメキシコ社会の変容-新自由主義経済下の国家と社会-

    2002年03月
    -
    2004年03月

    メキシコ   メキシコ大学院大学、アジア・アフリカ研究センター

特定課題制度(学内資金)

  • LGBTの権利保障に関するラテンアメリカ主要国の比較研究

    2018年   渡部奈々, 近田亮平

     概要を見る

    アルゼンチン、ブラジル、メキシコはLGBTの権利保障(同性婚、養子縁組等)において先進的であり、国連を舞台に国際世論をリードしてきた。本研究では、その一因が80年代の民主化過程とその後の国際基準を優先する政治姿勢にあるとの仮説のもとで、3か国の法整備の経緯を比較検討した。2018年には同性婚を人権とする米州人権裁判所裁定、コスタリカ、キューバにおける同性婚承認への動きなど、権利保障の進展があった一方、ブラジルを筆頭に「ジェンダーイデオロギー」批判というバックラッシュも始まった。このような保守的新潮流、エバンジェリカルズなどのカトリック以外の宗教の影響を加えた考察の必要性が明らかになった。

  • 現代ラテンアメリカの政治体制と女性-民主主義・新自由主義とジェンダー・階級-

    1999年  

     概要を見る

     本年度は基本的資料の収集にあたった。分析は始めたばかりであるが、1980年代からの民主化および民主主義の確立に向けての動きは、一国内、もしくはラテンアメリカという地域レベルでとらえるだけでは、あるいは政治制度の問題としてとらえるだけでは不十分であり、民主主義と新自由主義的経済政策を唯一の選択肢とする国際的な圧力をも視野に入れるべきことを強く認識するにいたった。もとより、私が民主主義として考える範疇には、経済・社会的側面が含まれており、経済・社会的視点から民主主義を問いなおすことを主眼としているが、今日のラテンアメリカ民主主義の特徴はまさに新自由主義経済政策との抱き合せにあり、そこを出発点とする必要と改めて確認した。 そのような視点にたって、キューバ、メキシコに関する研究を始めた。キューバについては社会主義体制であるが、同時に、限定的かつ特殊であっても、90年代に入り、国際的な変動に呼応して、政治の「民主化」(直接選挙の導入など)や経済の選択的自由化(外資導入、ドル所持の自由化、個人営業の解禁など)が進んでいることから、ラテンアメリカ全域で進行中の大きな流れのなかでとらえることも可能である。ラテンアメリカ学会定期大会の「ラテンアメリカにおけるジェンダー-女性の政治参加を中心に」というパネルで92年の選挙法の改正と女性の政治参加について報告し、「キューバの新しい社会と女性」においては、選挙法の改正が女性の政治参加に及ぼしている影響と90年代の経済政策の変更が女性労働にもたらす変化についても言及した。また、新自由主義的経済政策は輸出加工工業で安価な女性労働需要を高める一方で、女性をフォーマルセクターからインフォーマルセクターに追いやる傾向があること、また福祉政策の切り捨てによって人々の生存を保障するための家庭の役割を拡大させることが指摘されるが、効率性と競争力の向上を目指す新自由主義的政策が、ペイドワーク・アンペイドワークを含めて女性労働にどのような変化を生じせしめているのか、労働や家庭のジェンダー関係にどのような変化をもたらしているのかについても、ラテンアメリカ・カリブ地域全体について概観し、メキシコを中心にした分析を開始した。このような視点から、メキシコ・キューバを中心にした分析を継続する予定である。

  • 現代ラテンアメリカの政治体制と女性―キューバを中心とする社会主義体制下のジェンダーと階級―

    1998年  

     概要を見る

     この研究の目的は、70年代半ば以降のキューバを中心に、あらゆる問題の解決が階級闘争に収斂される社会主義イデオロギーにおけるジェンダーの位置付けと、 政治的制度化や経済政策の変化が女性に及ぼした影響を明らかにすることにある。70年代半ばというのは、政府の政策が公的領域における平等(生産労働への参加と政治参加)から私的領域(家庭・家族)での平等へと拡大された時期であると同時に、ラテンアメリカ主要国ではフェミニズム運動や民衆女性運動の台頭をみた時期でもある。しかし、キューバでは外部から思想的影響を受けることなく、女性たちの下からの自発的働きかけもないまま、カストロら指導層のアンビヴァレントな女性観や経済情勢に左右される女性政策が、キューバ女性連盟(FMC)を通してトップダウンで実施されてきた。キューバでは医療・教育、家事・育児の社会化など、さまざまなサーヴィスを国家が保障し、女性の生産労働への参加を促進してきた。しかし参加率は他のラテンアメリカ諸国と比べてとりわけ高いわけではない。加えて、70年代後半からの生産性・効率性重視政策、80年代後半の矯正政策(道徳的・精神的刺激重視、自主性の期待)、さらにソ連・東欧社会主義圏崩壊による90年代の極度の経済危機は、女性に労働強化を強いたり、女性を生産から再生産の場へと追い戻すなど、女性の生活を大きく左右してきた。政治参加についても、人民権議会代表は全国レベルよりも市町村レベルでの女性の選出率が低い。また家庭では、1975年家族法に描かれた理想とはかけ離れた問題、例えば10代の出産、中絶、シングルマザー、離婚の増加などが深刻化している。このような現象は公的領域でも私的領域でも伝統的性別役割分業意識が再生産され続け、国家主導の女性問題の解決には偏りと限界があることを示唆している。