2024/03/29 更新

写真a

ハシモト シュウジ
橋本 周司
所属
理工学術院
職名
名誉教授
学位
工学博士(早稲田大学)
プロフィール
早稲田大学先進理工学部応用物理学科。研究室には、画像処理、音楽・音響処理、ロボティックス、ケミカルロボティックス、メタアルゴリズムのグループがある。

研究分野

  • 制御、システム工学
 

共同研究・競争的資金等の研究課題

  • ペーパーメカトロニクスの基礎研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 挑戦的萌芽研究

    研究期間:

    2016年04月
    -
    2018年03月
     

    橋本 周司, 前田 真吾

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    本研究は,紙に印刷するだけで,立体構造,回路,アクチュエータ,電源のすべてを製作する『ペーパーメカトロニクス』という新技術を確立するための基礎研究である.我々は,これまでに,紙に高揮発性インクと有機アクチュエータを印刷して,自律的に立体構造を形成することに成功している.本研究ではさらに駆動部分の印刷による製作に挑戦した.機械系の連続的な駆動には繰り返し伸縮など周期的な運動の生成が不可欠である.
    そこで、電鈴に着想を得た電気機械式の自励振動機構,および,電気流体現象による非線形自励振動による周期的な運動の生成を試み,紙に印刷するだけで運動するメカニズムの作製が可能であることを示した.

  • 口腔インタフェースとタクタイルフィードバックによる身体拡張(第3の腕)の研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)

    研究期間:

    2013年04月
    -
    2016年03月
     

    橋本 周司, 松本 友実, 酒井 幸仁, 山口 友之, 中村 真吾, 中村 真吾

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    本研究は,身体に新たな動作自由度を付加するための技術的基盤を確立することを目的とする.身体拡張には,付加された自由度を操作する手段ばかりでなく,拡張された身体のイメージをユーザが獲得する必要がある.そこで,両腕の自由を失わずロボットアームを第3の腕として自在に操ることを例題として研究を行なった.アームの制御には繊細な運動が可能な舌を用いる口腔インタフェースを開発し,また,アームの姿勢と動きのイメージを身体に提示するために背面に装着するタクタイルディスプレイを開発し,実験によりそれぞれの有効性を確認した.また、運動制限機構を用いた新たな原理のロボットアームの試作と評価を行った。

  • 近年成長が著しい国における学術政策、大学政策、学校教育を通じた人材育成政策に関する調査研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 特別研究促進費

    研究期間:

    2014年04月
    -
    2015年03月
     

    松本 洋一郎, 德永 保, 吉川 潔, 辰巳 敬, 真壁 利明, 橋本 周司, 松尾 豊, 坂田 一郎, 上山 隆大, 浦島 邦子

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    シンガポールは一人当たりGDPではわが国を超え、大学ランキングでも台頭しているが、わが国における政策研究は限られていた。本研究では、シンガポールの科学技術政策(特にバイオメディカル推進策)について、文献調査や現地での専門家への聞き取り等によって明らかにした。シンガポールでは産業政策のために科学技術政策が実施されているといっても過言ではない。著名研究者を大量に誘致するなどし、旧来から行われてきた多国籍企業誘致を先端科学分野の研究開発へ拡充する形で、成功を収めてきている。大学政策においては、テニュア制度や会計、財務など、モデルとする米国の事例から徹底的に学ぶ姿勢が見られた。

  • ゲルロボットの自己複製に関する研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 挑戦的萌芽研究

    研究期間:

    2012年04月
    -
    2014年03月
     

    橋本 周司, 前田 真吾

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    正と負に帯電した2種類のゲル部品を水中に分散させ,水中撹拌下で確率的に出会わせ,静電相互作用により自動的に組み上げる自己組織化の実験的研究を行い,ゲルロボットの自己複製の見通しを得た.
    まず,ゲル表面にシリカ微粒子を塗布することにより接着性能が向上することを確認するとともに,pHによって接着を制御できることを確認した.次に,ゲル部品の組み立てでは特に,1)接着方向に選択性を持たせるために,特定の面のみ接着させること.および,2)部品同士を正確な位置で接着させるために,接着面に幾何学形状を導入し,凹凸を利用して噛み合わせることを検討し,部品の選択的接着による自己組み立てに成功した.

  • 階層的一時記憶の移動ロボットへの応用

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 特別研究員奨励費

    研究期間:

    2008年
    -
    2010年
     

    橋本 周司, BUNDZEL M., BUNDZEL Marek

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    階層的一時記憶(Hierarchical Temporal Memory : HTM)はNumentaのJeff HawkinsとDileep Georgeによって開発された機械学習モデルであり、ベイジアンネットワークに似た大脳皮質の構造的特性をモデル化したものであるが、具体的なシステム化の研究はほとんどない。本研究において、ロボットの環境認識の具体的な問題を解決するために、HTMをベースとしたロボットの視覚系の構築を目指した。
    研究目標は人間の指示なしに、モバイルロボットに環境を探索させ、複数の異なった物体を認識させることである。システムは最終的にオペレーターが人間に解読可能な名前をオブジェクトに割り当てる。構築したシステムはロボットの取得した画像の時系列順に処理を行い、HTMと同様に計算ノードを連結した木構造を使用する。それぞれの計算ノードは2つのモード(学習と推定)において同じ演算を行う。まずはじめに、入力された画像データの空間構造は、比較的少ない分類クラスを用いたクラスタリングアルゴリズムによって、部分画面毎の特徴の集積として分類される。
    次に、時間的な構造は、空間的構造の内で出現頻度の高い特徴に基づいてデータマイニングの手法で分類される。最後に、これらの分類結果を総合して画像中の物体の識別が行われる。提案システムの有効性を実験によって検証した。実験では2つの並列カメラによって一連の画像を取得した。一連の画像はロボットの障害物回避運動に用いられることを想定し、単一視およびとステレオ視のそれぞれについて有効性を確認した。これら一連の成果は、論文「Object Identification in Dynamic Images Based on the Memory-Prediction Theory of Brain Function,」として、Journal of Intelligent Learning Systems and Applicationsに採択された。また、ハードウェアの汎用接続方式については、試作を完了し基礎的な評価実験まで行なった。

  • α次エントロピーなど拡張形エントロピーによる近代的信号・画像解析

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)

    研究期間:

    2007年
    -
    2010年
     

    吉川 昭, 吉田 久, 中迫 昇, 橋本 周司, 橋本 周司

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    (1)相互情報量基準による、隠れ変数を用いた混合分布推定と閾値決定法を提案した。(2)RenyiのエントロピーをICAの周辺分布の「幅」評価基準として提案し、直観的かつ簡易なICA法を得た。(3)正値時間-周波数解析のため、ペリオドグラム不等間隔平滑化法を提案した。また、インパルス列の時間-周波数解析のため、逆関数領域IPFMの復調法と、客観的復調精度評価法を提案した。さらに、信号の時間-周波数的特徴を考慮した、移動体間距離推定法を提案した。

  • 遠隔地におけるロボットの操作および動作の安全性向上に関する研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)

    研究期間:

    2007年
    -
    2008年
     

    冨永 将史, 橋本 周司, 大田 紘高, 橋本 周司, 大田 紘高

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    ロボットの活動の安全性向上を目指している。全方位カメラを用い、映像の伝送タイムラグに対して、仮想的に画像を補間することで遠隔地からの操縦性の向上を図った。レーザ式測域センサを併用し、距離に応じた補完や路面状態の視覚的な提示を行うことで、より違和感の少ない操縦インタフェースを構築した。更に、RFIDタグや環境の3次元図面データを用い、周囲環境の把握・自己位置推定精度の向上を行うことで、安全性の向上が可能になった。

  • ロボット構造材料応用を目指したカーボンナノチューブベース知的骨構造システムの検討

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)

    研究期間:

    2006年
    -
    2007年
     

    奥川 雅之, 橋本 周司, 新谷 紀雄, 増田 千利, 安積 欣志, 高木 賢太郎

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    本研究課題の目的は,スマート構造・材料システムの概念をロボット構造材料に応用することを目指し,カーボンナノチューブ(CNT)複合材料の創成方法確立,機械・電気特性,およびセンサ機能評価を行うとともに,応用例を示すことである.具体的に実施した内容は,次の三点である.
    1.CNT複合材料の試作と特性評価
    センサ特性を有する構造材料の創成を目指し,CNT複合材料の試作を行った.CNTをPVDFに分散させることにより,曲げ変形等の伸縮(ひずみ)に対して,母材に分散したCNT間距離が変化するため,抵抗率変化として扱うことができる.試料をもとに,センサ特性評価を行った結果,歪みに対する反応は見られたが,その再現性,相関性に関して実用的なレベルを得るには至らなかった.
    2.ボルト締結部の緩み検知方法の改善
    スマートワッシャによるボルト緩み検知手法を2リンクロボットアームにおける異常検知問題に適用するため,改善を検討した.複数オブザーバによるスーパーバイザ手法を適用することにより,従来法と比較し,緩み検知精度の改善に成功した.
    3.スマート構造・材料システム導入の利点を示すために試作した2リンクロボットアーム実験装置において,リンク固定部に対する緩み検知手法の適用を試みた.数値計算結果から実現可能性を示すことはできたが,実験結果からは,期待された結果を得ることができなかった.

  • 超3次元顔画像CGシステムによる感性の研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)

    研究期間:

    2004年
    -
    2007年
     

    大関 和夫, 大倉 典子, 青木 義満, 原島 博, 橋本 周司, 高木 幹雄

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    顔画像合成システム(FaceTool)を基にモデルを使用して顔の動きを合成するため、ワイヤーフレームモデルの拡張と特徴点の増加,3次元のモデルの拡張、表情の動きデータの改善、瞬きの動き解析と検出、テクスチャの増加などの項目を検討、スローモーション再生への対応、合成画像と実動画像の比較による感性評価などを行なってきた。
    高速カメラによる瞬き検出では、300ms程度で閉眼と開眼が完了する瞬き動作を検出した。瞬きの閉開の動き全体にわたるパターンの定義ができ、その動きパターンとの類似性を評価することにより、瞬き検出を確実に行なうことができる。他に類似の動きが無いため誤検出は全くなかった。
    高精細化を図ることを目的とし、本研究では、世界的にもあまり行なわれていない、空間解像度と時間解像度の向上の向上を共に達成するため、方式開発と合成実験を行なって来た。空間解像度の向上では、特徴点の増加とともに、テクスチャの取得を高解像度で行なった。
    時間解像度の向上では、高速カメラによる瞬き画像の取得を行なった。ここでは安価な民生用の30Hzのビデオカメラを多数使用し、画像合成により高速度カメラと同等の画像の取得を図ることをめざした。確率的高速カメラシステムを構築し、良好な取得を行なうことができた。これにより解像度ではハイビジョンクラスのもので、時間的には、60-90Hzの再生の情報量を生成でき、従って数倍のスローモーション表現を行なうことのできる顔画像の合成が可能となった。
    感性評価では、FaceToolで合成した画像と、実動画像から得られた表情ごとの差異を主観評価し、統計的処理によって有意な差異があることが示された。FaceToolでは6基本表情に加え、30種ほどの顔の基本的表情が生成できるが、実画像との距離があり、リアリティにおいては今後改善する要素があることが分かった。

  • 歯科治療による発語動作と表情変化の研究-頭部三次元物理モデルを用いた解析-

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)

    研究期間:

    2001年
    -
    2003年
     

    中島 昭彦, 沖本 公繪, 青木 義満, 橋本 周司

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    歯科治療は従来より疼痛の除去や咀嚼機能の回復に主眼がおかれてきた。これらが重要であることは論を待たないが、顔の構成要素であるとくに口は、情報伝達の主要な手段である言語を発する器官であるだけでなく、言語自体がもつ意味とともにその話し方、口腔周囲軟組織の動きによって微妙な感情をともなった情報を相手に伝える機能をもっている。歯科治療の意義が生理的な領域だけでなく、顔の表情生成の重要な部分を担っている「口もと」の動きにどのように関わっているかを解析し、治療による発語動作や表情の変化予想をパーソナルコンピユータ画面上にコンピュータグラフィックスでディスプレーして、患者説明のために臨床応用しようとすることを本研究の目的とした。
    まず顔表面の動きを三次元で捉えるシステムを構築するため、三次元動作解析装置Winanalyseと2台の高速度カメラを購入し、顔表面に計測点を設定し計測誤差の検定を行った。その結果、額と鼻根部に設定した3点で構成される三角形の重心を基準点として、スマイルや発語動作に伴う頬点、上下口唇点、口角点などの動きを正確に捉えることができることが分かった。この計測システムを用いて、以下のような知見を得ることができた。
    1,顔の各器官の動きは、スマイル、発語動作いずれにおいても個人において一定のパターンが存在した。
    2,「チー」スマイルは自然なスマイルと表情開始時においてわずかな違いがあるが、再現性が高く、表情の研究における試験動作として使用できることが分かった。
    3,前歯のかみ合わせとスマイルや発語動作は強く関係しており、上顎前突では下唇、反対咬合では上唇が形態異常を保証した動きを示していることが分かった。
    4,表情を視覚的に確認することを目的として各計測点の動きを三次元的に再現するプログラムを開発した。

  • 正・側面頭部X線および顔面写真を用いた立体画像構築システムの開発とその応用

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)

    研究期間:

    2000年
    -
    2002年
     

    中島 昭彦, 徳森 謙二, 青木 義満, 橋本 周司

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    顎顔面頭部の形態異常を取り扱う分野にとって、診断のためには同部位の構造を立体的に把握することが必須である。そのためにComputed Tomography (CT)画像を三次元構築した3D-CTが用いられているが、先天異常や大がかりな手術を行う症例を除いてすべての形態異常の患者にCTを撮影することは被爆線量が大きいため許されることではない。本研究は通常の臨床で撮影されるX線や顔面写真や歯列印象模型から三次元画像を構築し、診断や治療方針の決定などに役立たせることを目的として開始した。
    本学倫理委員会の許可のもと、本研究について説明を行い承諾が得られた成人男子11名、成人女子10名を対象としてCTと歯列印象模型を採得した。まず構築した3D-CT画像上に硬組織36個、軟組織80個の解剖学的特徴点を設定してその三次元座標値を求め、男女別に平均座標を算出した。そして既成の頭部モデル(Viewpoint社、USA)の該当する特徴点を標準モデルの平均座標に合わせて適合、変形させて日本人成人の男女標準頭部モデルを作成した。ついで個人の頭部モデル作成のため、正・側頭部X線規格写真(セファロ)上に同じ特徴点を設定して拡大率などの補正のあとそれぞれの三次元座標値を算出し、標準モデルを適合・変形させて個人の三次元頭部モデルを作成した。同様に歯列については非接触型三次元形状読み取り装置を用いて被験者の歯列上の特徴点で既成モデルを変形し、頭部モデルに組み込んだ。構築された硬・軟組織・歯列統合頭部個人モデルとその構築システムは、パーソナルコンピュータに回転表示し、あらゆる方向から観察できる特徴を備えさせた。また、頭部を、上顎脳頭蓋、上顎歯列、下顎骨、下顎歯列、および顔軟組織とに分轄表示する機能を持たせ、広範囲な臨床応用ができるようにした。
    開発した本システムの臨床応用として、下顎前突症患者の下顎枝矢状分割術による手術後シミュレーションを試みた。その結果、手術後の実際の形状を比較的正確かつ三次元的に予測でき、このシステムが患者への説明やインフォームドコンセントを確立するために有用であることが確認された。
    これまでの研究は遂時、西日本矯正歯科学会、日本矯正歯科学会、日本顎変形症学会、日本顔学会、日本情報通信学会、計測自動制御学会などの国内学会に発表し、計測自動制御学会の発表は優秀発表賞が授与された。また、Automatic Face and Gesture Rcognition (2000)、19^<th> International Society for Photometry and Remote Sencing (2000)、International Orthodontic Congress (2001)などの国際学会に発表し、それらをまとめて別紙の通り国内、国際学会誌に投稿した。そのうち日本顎変形症学会誌に掲載された論文は学会賞が授与された。
    これら一連の研究から、研究代表者の中島が西日本歯科矯正学会から依頼を受けて特別講演を行った。そのほか、いくつかの雑誌から研究の紹介記事の要請があり、またNHKの特別番組(NHKスペシャル)「日本人のルーツを探る」において、頭部三次元構造の紹介で取材を受け、その一部が放映された。

  • 人間共存型ロボットに関する研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(A)

    研究期間:

    1999年
    -
    2002年
     

    橋本 周司, 小林 哲則, 白井 克彦, 成田 誠之助, 菅野 重樹, 高西 淳夫

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    主な研究実績は以下のとおりである。また、本年度は最終年度であるため、個別テーマの他に、これまでの研究結果の統合を行った。
    1)情報系の研究の研究結果
    -ロボット搭載の環境認識系の開発とロボットの周囲にいる人間の顔を認識する新しい手法の開発を行った。
    -聴覚システムでは、マイクロフォンアレーによる音源同定と音源分離方法の開発を行い、有効性を実験で確認できた。
    -学習システムに関しては、人間の主観的評価を基にロボット制御の方法を提案し、ヒューマノイドロボットによって有効性を確認することができた。
    -遠隔操作の研究では、ネットワークを通じて実環境でのロボット制御による遠隔エージェントの実証実験を行った。
    2)機械系の研究
    -メンタルモデルに基づいて自然な表情や仕草を提示できる頭部ロボットを開発し、人間と自然なコミュニケーションを実現することができた。
    -2足歩行システムに関しては、パレレルリンクメカニズムを用いた汎用2足方向ロボットを実現し、実環境での人間運搬に成功した。
    -ロボットアームシステムに関しては、環境適応能力の高い統合的ハンド・アイシステムを製作し、人間の生活環境内での実験を行った。
    2)統合システム
    -人間型ロボットWABIAN-2の開発を行い、以前のロボットに比べてより人間らしい動作と多様な感覚器を装備した。
    -人間とロボットの間のコミュニケーションに関する研究のプラットホームとしてコミュニケーションロボットiSHAを開発を行い、マルチモーダルなインタラクション実験を行った。
    -音声対話にマルチモダリティの要素を持たせた自律ロボットROBISUKEを開発し、音声と画像を統合した個人認証、ハンズフリー音声認識などに関して実験を行った。

  • 感性情報通信に向けた顔の分析合成処理共通プラットホームの構築

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)

    研究期間:

    1999年
    -
    2001年
     

    原島 博, 橋本 周司, 原 文雄, 谷内田 正彦, 山田 寛, 森島 繁生

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    現在までに、多くの研究機関や大学において、顔の認識や顔画像合成に関する様々な研究が行われ、コンピュータの処理能力の向上と共に実用化の直前レベルまでに達している。
    しかし、これらの要素技術は、個別の要求に対して研究開発された場合が殆どで、他のシステムとのインタフェースを含む拡張性や統一性を持たないものが多い。このような背景において、本研究では、顔画像を対象として汎用性のある構造化された基本ソフトウェアシステムの構築を目指した。
    このソフトウェアシステムの中心は、顔画像の認識と合成技術を統一して扱える汎用的な顔情報処理ライブラリが中心となっている。顔の認識技術としては、顔と顔部品の抽出、記述、ならびに動画像中でのそれらの追跡、さらに個人照合や表情認識のための基本ツールの開発を行った。また汎用化のためのAPI開発も行った。顔画像合成では、自然さとリアルさを併せ持つ顔、顔部品の3次元モデルと顔の表情、動きの合成が可能な顔画像合成ルールの構築を行った。顔形状の標準モデルを用意し、認識システムの出力から得られた顔特徴点に基づいて個人の顔写真に整合して、個人の顔形状に合ったモデルを作成する手法を確立した。
    各研究機関で開発された基本アルゴリズムを相互に結合し、さらに汎用化を目指す工夫を行ったこと。個々の表情変形ルールに対して大幅なクオリティ向上を目指したこと。またインタラクション技術として、感情の取り扱い方法や、ネットワークを経由したコミュニケーションについて具体的に検討したこと。またWEB上でのコミュニケーションを汎用的に記述する方法を実現した点が新しい成果である。また心理的な分析により顔表情アニメーションの時間的な変化について検討した点も全く新しい成果である。

  • マルチモーダルコミュニケーションにおける音声とジェスチャの統合についての研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)

    研究期間:

    1998年
    -
    2000年
     

    白井 克彦, 山崎 芳男, 橋本 周司, 小林 哲則, 大川 茂樹

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    本研究では、人間が自然に発する音声およびジェスチャを認識し、統合して理解・生成するモデルを設計し、それら複数の情報伝達手段を用いたマルチモーダルコミュニケーションが可能な人間-機械対話システムを構築することを目的としている。
    円滑なコミュニケーションを行う上で重要なジェスチャ情報と人間の音声が、どのように統合されて理解・生成されるかを明確にするため、まず人間同士の対話を大量に収集して音声やジェスチャの役割を分析した。特に、人間同士の対話に頻出する繋ぎ語の音響的特徴分析と、頭部動作等のジェスチャの情報の分析を行った。
    次に、マルチモーダルコミュニケーションの統合理解モデルの基本となる音声およびジェスチャの認識アルゴリズムを検討した。雑音環境下においても頑健な複合周波数帯域型の音声認識手法を検討し、複数話者の音声認識アルゴリズムとして、統計的な話者モデルもしくは話者適応モデルと、発話交代を考慮した言語モデルをデコーダに組み込む手法を提案・評価した。ジェスチャ認識においては、確率過程モデルを精密に表現する部分隠れマルコフモデル(PHMM)を適用し、自由背景から安定した頭部動作認識を行うための顔領域抽出と顔方向認識手法に関して検討を行った。
    最後に、マルチモーダルコミュニケーション統合理解・生成モデルに基づいた人間-機械対話システムを実装した。まず、タスクに依存しないマルチモーダルコミュニケーションモデルとして、対話の多様性とシステム制御規則記述容易性のトレードオフを考慮した、規則の階層的表現手法を提案した。さらに、対話効率の向上を目的とした音声対話制御のモデル化と、音声対話システムの誤解検出を目的とした対話管理モデルの構築を行い、その上で音声やジェスチャの理解・生成を可能にする音声対話システム汎用プラットフォームを構築した。

  • 顔の感性情報処理の体系化と顔学への展開

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)

    研究期間:

    1999年
     
     
     

    原島 博, 橋本 周司, 谷内田 正彦, 原 文雄, 島田 和幸, 馬場 悠男

     概要を見る

    本研究では、当初の計画に従って下記のような研究を実施した。
    1 コンピュータによる顔の感性情報処理の体系化
    各班員は、それぞれに従来より顔の感性情報処理の技術開発に携わってきた。そこで、各班員がこれまでに開発してきた技術を開示し合うとともに、さらに他の研究者が開発している技術の動向を調査した。次いで、各技術を整理・統合し、特に顔画像の認識系、合成系の観点から、各技術の位置づけや関連性が他分野の研究者にも把握できるような体系化を試みた。
    2 様々な学問領域における「顔」関連の研究方法の調査
    各班員は、それぞれに異なる分野で従来より顔関連の研究に携わってきた。ここではそうした各班員のこれまでの研究員の蓄積を生かしながら、まず各自の専門領域ならびに近接領域での「顔」に関連する研究での方法論を調査した。次いで、学問領域の枠を取り外し、顔関連研究の方法論の整理を試みた。また、調査された研究の理論および方法論を整理した「顔学」研究のデータベースの作成も試みた。
    3 顔学研究への顔の感性情報処理技術の適用可能性と問題点の検討
    感性情報処理に関する調査と顔学研究の調査を基に、様々な「顔」研究における現在の感性情報処理技術の適用可能性と、それに基づく新たな共同研究の可能性、さらに、新たな技術開発が求められるとすれば、それは何かについての検討を行った。
    以上の研究を踏まえ、最終的に特定領域申請に向けた全体計画の取り纏めを行い、報告書の作成を行った。このように、本研究では、当初計画した研究の目的を予定通り達成することができたと考えられる。

  • マルチモーダルな対話機能を有し人間と共同作業をする次世代ロボットの基礎研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(A)

    研究期間:

    1995年
    -
    1997年
     

    橋本 周司, 菅野 重樹, 高西 淳夫, 笠原 博徳, 白井 克彦, 成田 誠之助

     概要を見る

    本年度は、本計画の最終年度である。前年度末に試作した2体のヒューマノイド型ロボットをプラットホームとして、以下のような研究を行い、全員で統合システムとしての取りまとめを行なった。
    1)環境モデルと実画像の対応付けによる自己位置認識システムの精度向上を図るとともに、環境変化に応じたモデル変更の方式を検討し試作ロボットでの確認を行なった。
    2)音声と画像を手がかりとしたシーン中での対話相手の検出、およびカラー画像とロボット視覚系を用いた人間の顔表情とジェスチャー認識の実験を行なった。
    3)連続音声認識の精度向上を図ると共に、並列処理系による高速化を試み、ジェスチャー、表情を合わせた、人間型ロボットによるマルチモーダル対話の実験に成功した。
    4)試作ロボットをネットワークに接続し、遠隔地からの相互制御の実験を行い、情報ネットワークにおけるインターフェース端末としてロボットを使用する可能性を検討した。
    5)完成した2足歩行系の自由度を増やし、方向変化等をより自在にできるようにすると共に、頭部、腕部などとの協調制御方式を検討し、実験的に検証した。
    6)コンプライアンス制御による柔軟な腕機構の制御方式を改良すると共に、人間との共同作業とジェスチャー生成を行う安全な腕として、外装を含めた総合的な設計基準を検討した。

  • 仮想音楽空間の構築に関する研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 重点領域研究

    研究期間:

    1995年
    -
    1997年
     

    橋本 周司, 松島 俊明

     概要を見る

    本研究は、参加して楽しむことのできる音楽的仮想世界の生成と演出の技術を確立することを目的としている。今年度の研究成果の概要は以下の通りである。
    1.2個の3次元加速度センサとデータグローブにより、手および腕の動作情報を取得し、ジェスチャーを認識して、音楽演奏を実時間で制御する次の2種類のシステムが完成した。
    a)仮想指揮システム(ジェスチャーによる演奏制御):楽曲のデータをあらかじめ計算機に登録しておき、指揮のルールに基づいて演奏を制御するシステムである。これにより、使用者はあたかもオ-ケストラを指揮しているような仮想的な現実感が得られる。
    b)仮想楽器システム(ジェスチャーによる楽音生成):ジェスチャーと音響出力の関係を使用者が任意に定義できる"動作-音響 変換器"の実現を目指すものである。製作システムでは、音源波形として、身体運動波形を用い、種々のフィルタリングが実時間で制御できる。
    2.動画像からシーンの特徴パラメータを抽出して自動作曲システムと結び付けることにより、実時間でバックグランドミュージックを生成する実験に成功した。このシステムは、通常のパーソナルコンピュータに画像キャプチャボードを取り付けるだけで、その他はすべてソフトウエアのみで実現できる。
    3.歌声のピッチおよび母音の実時間認識を行い、楽譜と照合することにより、歌唱のテンポを推定し、自動的に追従する自動伴奏を生成することに成功した。さらに、歌い手の個人的な声特徴を保存したまま、歌の音程を補正する歌声の実時間分析合成手法を検討し、実験により動作を確認した。
    4.音響をキ-として、音色データベースを検索するシステムを製作し、有効性を実験により確認した。このシステムは、音響データの時間的および周波数的特徴を抽出して、検索キ-として与える音響と比較するものであり、非言語的なデータベースとして、音楽の生成や音響的演出の効率化を目指すものである。
    最終年度には、これらの成果を統合した音楽のための仮想空間を実現して、技術面ばかりでなく芸術的な面からの評価も試みる予定である。

  • 仮想音楽空間の構築に関する研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 重点領域研究

    研究期間:

    1995年
    -
    1997年
     

    橋本 周司, 松島 俊明

     概要を見る

    本年度は、次のような研究を行なった。
    1.仮想共鳴管による音色変換
    入力された音響のスペクトル包絡を手の形で実時間で制御するために、仮想音響管をもちいた音色変換システムを構築した。システムは、マイク、データグローブユニット、スピーカ、パーソナルコンピュータから構成されている。仮想共鳴管は、10次のPARCOR合成フィルタによって・夕現されている。仮想共鳴管の断面積は、両手10指の第一、第二関節の曲げ角より実時間制御される。
    2.ジェスチャーデバイス GraspMIDI
    センサ部(P-Unit)には、直径30[mm]に膨らませた風船に圧力センサ(FUJIKURA FPM-15PA)が取り付けられており、風船の内圧をブリッジ回路によって測定している。このP-Unit6個をシリコンボール内に埋め込むことによってハンドジェスチャーセンシングデバイスを構成している・Bハンドジェスチャーにともなう圧力値に従ってMIDIイベントを生成し、把持動作による音楽の演奏が可能である。
    3.音声認識を用いた歌声の自動伴奏
    歌声と楽譜データを照合しながらテンポ追従する伴奏システムを製作した。標準の“Sound-Input-Device"で歌声をAD変換し、それに対しケプストラム法を用いリアルタイムで母音認識とピッチ検出の両方を行う。得られた母音、ピッチの情報から歌唱の位置を判定し、歌い手のテン・|を割り出し、MIDI音源により伴奏を出力することで人のテンポに合わせた伴奏が可能になる。

  • 仮想音楽空間の構築に関する研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 重点領域研究

    研究期間:

    1995年
     
     
     

    橋本 周司, 松島 俊明

     概要を見る

    本研究は、通常の人工現実感のような物理的なリアリティよりも、むしろ音楽的にリアリティのある仮想空間を構築することを目的としている。
    本研究の第1年度である平成7年度は、人間の動作による音楽演奏の制御、動画像からの音楽生成、歌声の信号処理について研究を行った。具体的な研究経過および成果は以下の通りである。
    1.おもりの変位をピエゾ素子で検出する3軸の加速度センサを用いたジェスチャの認識手法を確立して、演奏システムの入力手段として利用するシステムを試作した。加速度センサを手先に装着して、演奏の開始、停止、継続、強度、テンポなどが実時間で自由に制御することができた。また、音源のパラメータと動作パラメータをニューラルネットワークで接続することにより、電子音源の音色をジェスチャーに応じて変化させる試みも行った。
    2.動画像からRGBの色成分の平均、エッジの密度などを領域毎に実時間で抽出し、それらのフレーム間相関からシーンチェンジを検出する動画像処理系を作製するとともに、これらの画像特徴のパラメータを用いて音楽を自動作曲するアルゴリズムを考案して、任意の動画像に対して実時間で背景音楽を生成するシステムを試作した。このシステムは画像の意味内容の解釈は行わないが、ニューラルネットワークにより利用者の好みに生成音楽を合わせることができる。
    3.歌声からピッチ情報と声色情報を実時間で安定に抽出する手法として、線形予測符号化方式を検討した。この手法によりピッチ情報と声色情報の分離が可能となり、声色を保存したままピッチの変更が可能となった。応用として音程はずれの自動補正を試み、従来のピッチチェンジャーによる結果と音質の比較を行った。その結果、予測区間の切り替わり点で雑音が生ずるという問題があるものの、声質保存に関しては大幅に改善できることが判った。

  • ジェスチャーからの感性情報抽出と演奏制御

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 重点領域研究

    研究期間:

    1994年
     
     
     

    橋本 周司, 松島 俊明

     概要を見る

    過去2年間の研究により、右手による指揮棒の動きおよびデータグローブにより入力される右手の動きによって、音楽演奏を制御するシステムはほぼ完成している。また、発生する音響の音色をジェスチャーのよって実時間で制御する基礎実験を終了している。
    本年度の主な成果は以下のとおりである。
    1.これまでに開発した音響制御システムを改良し、基本周波数、振幅、倍音の振幅、スペクトル分布などを任意に実時間で指定できる音響発生システムを作成し、ジェスチャーによりこれを制御するシステムを感性させた。
    2.FM音源のパラメーターを遺伝的アルゴリズムで最適化する対話型の音色生成システムを作製し、喜び、悲しみ、怒り、嫌悪などを表す音色の音源パラメータの主成分分析を行い、2次元感性空間での関係を調べた。
    3.画像処理でのジェスチャー解析を行うと共に、新たに加速度センサーを用いた手振りの自動解析を試み、指揮の動作および音楽演奏における感情表現の自動認識についての知見を得た。
    4.ニューラルネットを用いて、ジェスチャーと音響の対応付けを行い、接続係数によってジェスチャーと音響の感性的な意味での変換関係の定式化を試みた。
    5.作製したシステムの演奏家および作曲家による評価については、現在予備的な実験を終了し、本格的な実験を計画中である。

  • ジェスチャーからの感性情報抽出と演奏制御

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 重点領域研究

    研究期間:

    1993年
     
     
     

    橋本 周司, 松島 俊明, 大照 完

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    前年度は、ジェスチャーの認識とその結果を用いた演奏制御の基礎研究を行い、データグローブを用いて、5本の指の形状、掌の傾き、手の位置など、11個のパラメータと、ジェスチャーの意味を結び付ける関数を、数回の学習で作成し、ジェスチャーの実時間認識に成功した。また、これを用いて、既存の楽器の演奏ジェスチャーを認識して、MIDI音源を制御することにより、仮想的な楽器演奏を行うシステムを作成した。今年度は、音響/動作の間を感性的に"納得のゆく"ように結び付けるインターフェースの実現を目的とした研究を行い、以下のような結果を得た。これにより次年度に予定している研究のまとめの方向が固まった。
    1.実際の運動データおよび動画像サンプルの解析によって音楽表現と身体運動の関係を解明すると共に、この結果を前年度作成したシステムに知識ベースとして持たせたジェスチャーによる音楽演奏システムを完成させた。また、これを実際に音楽家の使用に供して芸術的観点からの評価を試みた。その成果は新作の曲としてコンサートで演奏され好評を得た。
    2.基本周波数、強度、スペクトル分布、エンベロープなどを任意に実時間で指定できる音響発生システムをMIDI音源とエフェクタを用いて作成し、前年度作成した身体運動解析システムと5層ニューラルネットを介して接続し学習実験を行った。この結果、使用者の納得の行く動作/音響の対応付けが行える見通しを得るとともに、中間層の出力から感性情報を抽出する可能性を見い出した。

  • あいまいな特徴記述による顔画像検索

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 一般研究(C)

    研究期間:

    1992年
    -
    1993年
     

    橋本 周司, 松島 俊明

     概要を見る

    あいまいな特徴を表す言葉で顔画像検索を行うことを目的として,顔画像の自動特徴抽出についての研究と,3層ニューラルネットワークによる顔画像検索システム作成のための基礎的研究を行った.
    顔画像の自動特徴抽出では,開眼と閉眼の2枚の顔画像の差分画像と部分的パターンマッチングによりまず目の位置を決定し,これを元に口,鼻等他の部分の抽出を行った.2枚の画像間に多少のづれがあっても,約85%で目の検出を行うことができ,目が検出できた画像では口や鼻の検出をほぼ完全に行うことができた.
    顔画像検索では,約50名の正面顔画像データを標準・幸福・驚き・嫌悪の4表情ずつ写真で収集し,これらの顔画像をスプリングフレームによりモデル化した.さらに,平均的な特徴を持つ顔モデルを生成し,個々の顔のモデルの偏差により顔の物理的な特徴を記述した.また,収集した顔画像について,物理的特徴を表す言葉と,感性的・感覚的特徴を表す言葉,45項目について評価アンケートを実施した.以上で求めた顔の物理特徴量を入力,アンケートの回答を目標関数とした学習を行い,学習に用いなかった顔を入力した時の出力とアンケート結果との比較による評価実験を行った.その結果,物理的特徴を表す言葉については,アンケート結果とほぼ一致した出力が得られ,本方式の有効性が確認できたが,感性的・感覚的特徴を表す言葉では,全く反対の出力となるものもあり不安定であった.顔画像検索に用いる印象語には,1つの顔についてのアンケート結果の分散は小さく,異なる顔間ではアンケート結果のばらつきが大きくなるものが望ましいと考えられるが,実際には標準的あるいは好意的な印象に回答が片寄る傾向が見られたため,目標関数の設定方法について,更に検討が必要と思われる.また,今回のワイヤーフレームモデルでは表現しきれなかった顔の特徴についても,検討が必要である.

  • ジェスチャーからの感性情報抽出と演奏制御

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 重点領域研究

    研究期間:

    1992年
     
     
     

    橋本 周司, 松島 俊明, 大照 完

     概要を見る

    本研究の目的は、身体運動の実時間解析結果による楽曲演奏の制御および音響発生制御のシステムを開発し、情緒的な意味で人間が満足できるジェスチャー=音響の変換を実現することである。
    本年度は、ジェスチャーの認識とその結果を用いた演奏制御の基礎研究を行い、以下のような成果を得た。
    1.データグローブを用いて、5本の指の曲げ形状、掌の傾き、手の位置など、11個のパラメータと、ジェスチャーの意味を結び付ける関数を、数回の学習で作成し、ジェスチャーの実時間認識を可能にすることに成功した。この認識関数の生成には統計操作を用いているため、ある程度曖昧な動作の認識もできる。
    2.既存の楽器の演奏ジェスチャーを認識して、MIDI音源のパラメータを制御することにより、仮想的に楽器演奏を行うシステムを作成した。このシステムの音程・テンポの入力は楽譜データでもよいが、音声による実時間入力も可能である。また、特定の楽器を指定した場合は和音の発生制御も可能である。
    3.音響=動作の間を感性的に"納得のゆく"ように結び付けるインターフェースの実現を目的とした基礎研究を行った。ここで、音響生成のパラメータとジェスチャーのパラメータの関係設定には、ニューラルネットワークを用いているため、対応に柔軟性を持たせることができた。

  • 音楽情報科学に関する総合的研究

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 総合研究(B)

    研究期間:

    1992年
     
     
     

    田口 友康, 橋本 周司, 村尾 忠広, 大串 健語, 嶋津 武仁, 中村 滋延

     概要を見る

    1993年にわが国で関催される国際計算機音楽会議ICMC1993の企画立案を目的として次の協動を行った。これにより、本組識は当初の目的を十分果たした。
    1.プレICMC1993シンポジウムの開催支援。例年夏に開催される音楽情報科学研究会のシンポジウムを、プレICMC1993の名を冠し9月1日から3日、早稲田大学井深ホールにおいて、通常の論文セッションのほか音楽セッションを充実させた形で開催支援した。本番のICMC1993のための予行として、特に音楽セッションのための機材準備と設定、ホール使用等に習熟する目的を兼ねた開催であった。当シンポジウムの記録として論文、音楽両セッションの会議録を刊行した(下記資料[1]、[2])。
    2.調査活動。計算機音楽の技術的、音楽的歴史と潮流を総合的に把握する目的をもって、論文部会と音楽部会を随時開催し、研究協力者の協力を得て、関連資料の収集を行ってその結果を調査報告としてとりまとめた(下記資料[3])。
    3.ICMC1993プログラムの立案。ICMC1993の組織委員会に協力する形で、プログラムの原案を策定した。概要は次の通り。
    (日時)1993年9月10日〜15日;(場所)早稲田大学井深ホール他;(構成)基調構演1、特別講演1、論文セッション7、コンサートセッション8、特別セッション3、チュートリアル3、パネル討論会1。
    なおICMC1993の開催準備は、組織委員会のもとに論文委員会、音楽委員会を構成してそれぞれ論文および音楽の募集とその査読、審査等の作業を開始しており、その運営はほぼ順調に進んでいる。
    刊行資料:[1]プレICMC1993論文セッション会議録。[2]同音楽セッション会議録。[3]調査報告「音楽情報処理の技術的基盤」。

  • 画素濃度の時間変化に注目した動画像処理

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 一般研究(C)

    研究期間:

    1983年
    -
    1984年
     

    橋本 周司

  • 振幅分布解析による非線形システムの同定

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 奨励研究(A)

    研究期間:

    1982年
     
     
     

    橋本 周司

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特定課題制度(学内資金)

  • 古文書の文字認識に関する研究

    2016年   三輪貴信

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     本研究は,早稲田大学SGU拠点の一つである文学学術院を中心とする「国際日本学」グループの協力を得て早稲田大学の保有する古典籍を例として,古文書の文字認識の方法論の確立を目指すものである. 手書き文字認識の多くは,文章画像内の文書を文字単位に切り出せることを前提としている.そのため,古典籍のようなくずし字や続け字で書かれた文書の認識には不向きであった.これに対し本研究では,翻刻の自動化を目標に,文字切り出しを必要とせず書体の変化の影響を受けにくい文字認識手法として, 2次元連続DPマッチングを用いたくずし字・変体仮名検出手法を伝三条西実枝筆「源氏物語」桐壷巻の第1頁を対象に検討した.

  • ペーパーメカトロニクスの基礎研究

    2015年   前田真吾, 重宗宏毅

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    Low cost, easy design and rapid fabricationare the features of the paper robot created by printing. Paper has usefulcharacteristics for paper electronics. For example, it is low cost, lightweight, thin, strong and high absorbability. These features are applied inpaper electronics to make devices fabricated on paper that are inexpensive andflexible. “Paper mechatronics” that merges printed robotics and paperelectronics, is expected to achieve those advantages not only in electronicsbut also in mechanical systems. In this research, we developed a method toprint a structure and an actuator on a sheet of paper.&nbsp;&nbsp; &nbsp;The paper self-folded along the printed pattern to form the 3Dstructure of the robot body. The robot structures were printed by using acommercial ink-jet printer with a water-based ink. A tri-layer thermal actuatorwas developed by printing a resin and conductive inks onto a paper. Theactuator was driven with a low voltage compared with the electrostatic actuators.We succeeded in improving the locomotive ability of a small printed robot. Therobot could move at 10 mm per step.

  • 機械システムの自己増殖に関する研究

    2014年   片山翔子

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     機械的な自己増殖あるいは自己組織化を実現するために、部品をゲルによって作り,モデル形状を複製するための原理的な研究を行っている.本年度は,正もしくは負に帯電したゲル部品を水中で撹拌することで,ゲル部品をセルフアセンブリする手法を提案した.透過率測定や元素分析の結果から,ゲル同士は静電相互作用によって接着している可能性が高いと結論付けた.また,接着したゲル部品を食塩水に浸漬すると部品間の静電相互作用が弱まり剥離できることを確認した.今後は,ゲル部品の形状等を検討することで,より複雑な形状への組立を実現したいと考えている.

  • 物理化学的ロボットアクチュエータの研究

    2014年   重宗宏毅

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      In this research we developped a new type of electrothermal actuator consist of a paper and an ink pattern to realize "printed mechatronics".&nbsp; Much&nbsp; attention hasrecently been given to printing&nbsp;because they are easily designable, have a low cost, and can be massproduced. Numerous electronic devices are fabricated using printing solutionsbecause of these advantages. In paper mechatronics, attempts have been made to fabricate robotsby printing on papersubstrates. The robots are given structures through self-folding and functionsusing printed actuators. We developed a new system and device to fabricate moresophisticated printed robots. First, we successfully fabricated complex self-foldingstructures by applying an automatic cutting. Second, a rapidly created andlow-voltage electrothermal actuator was developed using an inkjet printedcircuit. Finally, a printed robot was fabricated by combining two techniques fromtwo types of paper; a structure design paper and a circuit design paper. Gripperand conveyor robots were fabricated, and their functions were verified. Theseworks demonstrate the possibility of paper mechatronics for rapid and low-costprototyping as well as of printed robots using physico-chemical actuator. &nbsp;

  • ゲル構造体の自己複製のためのゲル接着制御に関する研究

    2011年   前田真吾, 原雄介

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    ゲル構造体の自己複製のためのゲル接着制御対象として、ナノファイバーゲルおよびチューブ型ゲルアクチュエータの開発を行うとともに、自走するゲルの設計と走行試験を行った。特に、可逆的な接着制御可能な物理ゲルに着目して、アルギン酸を金属架橋したゲル構造体によるカプセル型のゲルロボットを検討した。脂肪酸無水物である無水オレイン酸と,水よりも比重が大きいニトロベンゼンを混合した油滴を塩基性水溶液中に浸漬し、油滴内部に含まれる無水オレイン酸が加水分解のエネルギーで自走することが知られている.本研究では,この反応系を膜で包みこみカプセル化することで、カプセル内で油滴が自走し,その結果カプセル全体が回転し,移動させることに成功した.具体的には,反応系を膜で覆う手法として,アルギン酸のゲル化技術を採用する.アルギン酸のゲル化とは,アルギン酸ナトリウム水溶液を,カルシウムイオンを含む水溶液に滴下することで架橋されゲル化する手法である.滴下方法として,三重ノズルを用いることで,アルギン酸ゲルのカプセル内部に油滴と塩基性溶液を閉じ込めることができる.三重ノズルにおいて,中心のノズルに無水オレイン酸とニトロベンゼンを混合した油,二番目のノズルに塩基性溶液,外側のノズルにアルギン酸ナトリウム水溶液を,各々チューブを介しポンプにより注入する.そして各溶液を同時に塩化カルシウム水溶液へ滴下する.以上により,油滴が塩基性溶液中で自走する反応系をアルギン酸のゲルで包みこんだカプセルとなる.塩基性溶液は水酸化ナトリウムを用いてpH11に調整した.創製したカプセルを水中に静置させ,ゲルの駆動を観察した.無水オレイン酸の加水分解反応によるエネルギーが,カプセルの回転駆動のエネルギーに変換されたと考えることができる.実験結果の駆動の様子について,カプセルは一様の速度ではなく,運動したり停止したりする.この理由として,カプセル内部において油滴が直線運動をしておらず,直線運動と振動運動をしているためである.カプセル内部では油滴が加水分解反応を起こす過程で,生成したオレイン酸を進行方向に対して尾部から排出している.そのため油滴の駆動範囲が狭まり自走を阻害していると考えている.この問題はカプセル内部の油滴の駆動範囲,すなわち塩基性水溶液の容量を大きくすることにより解決可能である.今後は,これらの知見をもとに,自己複製の系について適応していきたいと考えている.

  • ケミカルロボットの基礎研究

    2010年   前田真吾

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    外部環境に応答して膨潤・収縮変化する刺激応答性ゲルは, 基礎から応用まで数多くの研究が推進されている.例えば,マイクロ流体素子,細胞の接着制御,アクチュエータなどが挙げられる.一方,近年では電気的な刺激に応答する高分子が盛んに研究され,アクチュエータやデバイスへの応用展開が行われている.特にIPMC(Ionic Polymer Metal Composite)を用いた アクチュエータは小型デバイス化に成功し,既に商品化されている.しかしながら,刺激応答性高分子からなるアクチュエータを駆動するためには,温度や電場などの刺激を制御する何らかの外部装置や電気回路が必要となる.一方生命体は,生体内部で起こる多段かつ並行的な多数の生化学反応を巧みに利用することで,自律的な情報処理やアクチュエーションを行う非平衡開放系の分子システムである.もし,このような生命体の優れた分子システムを人工的に合成することが可能になれば,従来とは全く異なるロボットが実現される.そこで、振動反応に代表されるBZ反応とカップルした高分子ゲルアクチュエータやpH振動とカップルしたナノファイバー構造を有する高分子ゲルアクチュエータなどを実現した。特に、BZ反応とのカップリンにより振動的な反応によるゲルの周期的な収縮に基づいて尺取虫のようにゲルを補講させることに世界で初めて成功したばかりでなく、pH振動による運動生成の見込みも立ち、ケミカルロボット実現へ大きな前進を見た。今後は、これらの成果を統合する形で自己組織型のゲルロボットの完成を目指して研究を続けたいと考えている。そのための課題は、1.機械的な強度の確保、2.選択的な部品配置、3.部品間の接着制御などが挙げられるが、これらについても、各種ゲル素材の比較検討、部品形状制御、pHおよび温度による接着制御の予備的な研究を進めることができているため、科学研究費補助金の萌芽研究として申請を行った。

  • ユーザの意図を伝えるマルチチャンネルインタフェースの研究

    2010年   阿部友実, 中村真吾, 山口友之, スワナラチャタマニイ キティ

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    本研究は,ユーザとシステムによる共創関係を確立するための新しいインタフェース(postGUI)に関する実践的な研究である.人間-機械インタフェースの有り方は,人間と人間のコミュニケーションをモデルとして考えるべきである,という考えの下に,コマンド(意図)の入力を複数の情報チャンネルで行え,また,同じ情報を複数の表現様式で出力すること,および,ユーザの自由な表現から意図を適応的に理解する学習機能を備えたインタフェースの原理と設計手法を確立することを目的としている. 本年度は口腔内動作を用いた新しいインタフェースの提案,従来のインタフェースによるユーザとシステムのコミュニケーションをより快適なものとするための音響処理システムの開発,ユーザの感性を学習することによりユーザにストレスを与えることなくユーザの好みに合う商品を提案するシステムの考案等を行い,基礎的な検討を行った. まず,口腔内における舌の自由な動きや噛み締める動きを利用し,手を用いることなく様々な機器の操作が可能なインタフェースの開発を行った.従来主に用いられていた手や足を用いた機械への意図伝達に加え、多彩な入力を行うことが可能となった.また,感性学習を用いた商品提案システムの評価実験では,ユーザがより簡易かつ低負担で目的の商品を探し出せることが可能であることが示された.さらに、ボール型の把持インタフェースをあらたに開発して、身体運動による音響生成のデモンストレーションを行った。音響処理系では,音声を用いた入力を行う際に致命的な問題となる突発的な雑音を抑制するための手法を見出した. さらに,狭隘部を移動するロボットの支持方法と遠隔制御、圧力センサーシステムの開発とそれによるロボットの安定性確保、RFIDおよびワイヤレスセンサネットワークによる自己位置推定法の検討とロボットナビゲーションの実験を行った。これらの成果は、今後の大型プロジェクト計画へ事前研究成果として組み込む予定である。

  • 自己複製に向けた高分子ゲルの接着制御に関する研究

    2009年   前田 真吾, 原 雄介

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    近年、高い生体適合性や刺激応答性を有する機能性ゲルの研究が盛んに行われている。しかしながら、異なった機能を持つゲル同士を物理的に自在に組み合わせる(接着させる)ことによって、多機能化を図る試みはあまり行われていない。我々はこれまで、リニアポリマーによるゲルの表面改質手法を用いることによって、ゲル同士の接着制御に関する検討を行ってきたが、高強度Semi-IPNゲル同士を無機微粒子による表面改質手法を用いることで、接着制御可能なことを新たに見出した。実験に用いたSemi-IPNゲルは、MAPTACを用いてファーストネットワークをUV照射により調整した後に、AAmモノマーを含浸させてセカンドネットワークを調整した。Semi-IPNゲルのファーストネットワークはMAPTACで構成されているため、表面電荷はプラスに帯電している。そのため、Semi-IPNゲル同士の接着は、静電反発効果により困難である。このような静電反発効果を回避するため、負に帯電したシリカ微粒子をゲル表面に塗布することでゲル同士を強固に接着させる手法を見出した。この接着手法の利点は、シリカ微粒子を塗布した部分のみ、接着性の改質が行える点にある【接着面の選択性】。また、ゲル表面のみを改質するため、ゲルが持つ機能を変化させることなく、物理的な接着が可能である【機能性の維持】。SEM画像より、ゲル網目上にシリカ微粒子がプレート状に積層する形で、数多く並んでいることが確認できた。これより、マイナスに帯電したシリカ微粒子によるゲル同士の接着は、シリカ微粒子が単層ではなく、多層化することで接着に寄与していることが明らかとなった。ゲルとシリカ微粒子の相互作用、また多層構造を形成しているシリカ微粒子同士の相互作用が本接着手法に大きく寄与していることが考えられる。

  • 自然と共生する知能情報機械系に関する基盤的研究

    2008年   山口 友之, 酒井幸仁, 前田真吾, 中村真吾

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    人工物に比べてはるかに規模が大きく,季節,天候により大きく様相の変化する山林などの自然と共生する機械システムには,単なる個別目標を達成する機能だけでなく,自然を大きく捉えて理解する知能が求められる.そのためには情報ネットワークとの結合が不可欠であるばかりでなく,人間共存ロボットとは異なる視点からの研究が必要である.本研究は,フィールドセンサネットワーク,情報認識,ロボット制御,屋外ロボットに関する研究を有機的に結合することにより,自然と機械とのインタフェース技術の学術基盤を構築し,ロボットとネットワークの活用に関する新しい分野を開くことを目的としている. 本年度は,ロボットシステムを構築する上で重要な新しいセンサネットワークの構築手法,自然画像等を高精細に解析するための高画質化手法,及びナビゲーションロボットや搬送ロボット等を開発し,基礎的な検討を行った. まず、アクチュエータ,センサ,情報処理系等の様々なIRT(Information & Robot Technology)要素間でやり取りする情報を“意味”に統一してモジュール化し,意味を伝達するネットワークを構成することで,機能の追加や変更に柔軟に対応できるIRT システム構築法を提案した.外界の気温や人間の有無等の入力に対して出力機器のアクチュエータ等を容易に実装することが可能である.これは,農業用ロボットや既存の草刈りロボット等を容易に統合制御できると期待できる.また,RFIDおよびセンサネットワークモジュールの両方を用いて,移動ロボットの自己位置認識の高精度化を試み,狭隘部の通過が容易になることを実験的に確認した.さらに、ランダムに配置したRFIDタグから、自己位置の推定を可能にするアルゴリズムの開発も行った.画像処理系では,複数画像からの高階調化の新しい手法を検討し,従来に比べて良好な画像を合成することができた.人間とロボットのインタフェースの研究では,積荷をインタフェースとする搬送ロボットおよび口中動作によるロボットハンドの制御を実現した.

  • 自然と共存する屋外知能機械とそのネットワーク化に関する研究

    2007年   松本光春, 酒井幸仁, 中村真吾

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    本研究の目的は、農地、自然公園あるいは山林などといった大規模環境下において、移動するロボットを導入した動的なフィールドネットワークにより環境情報を収集すると共に、自律作業を実現する知能情報機械系の基盤技術を確立することにある。この目的を実現するためには、様々な要素技術を開発し統合する必要がある。そこで、本年度では以下の3つの要素技術の研究に注力した。(i)フィールドネットワークによるロボット制御技術受動型のRFIDタグ及び、アドホックな無線センサを環境に埋め込みことで環境ネットワークを構成し、ロボットの移動制御を行った。RFIDで環境を構成した場合では、無電源・無線の特徴により多様な環境に埋める込めることができるため、屋外等の環境に容易に適用できる。移動無線センサではセンサ同士が通信し、ロボットへ位置の提示・移動方法を提示する。これにより、環境内で安定したロボットの移動が行えた。(ii)学習能力を有するロボットの制御技術ロボットの環境への柔軟な対応を実現する為に、実機とシミュレータの双方を同時に利用した機械学習手法の開発と、ロボットの自律的な故障診断技術の確立を行った。前者では、ニューラルネットワークを用いて実機の情報からシミュレータを作成し機械学習を行った。これにより物理モデルを立てずにシミュレータを構築し、機械学習における学習コストを軽減することができた。故障診断では、強化学習における内部パラメータを利用することにより、不要なセンサを必要とせずに、故障診断及び故障箇所の特定が行えた。(iii)汎用なコミュニケーション・インタフェース技術 ロボット同士、及び、人との柔軟なコミュニケーションを実現するために、ロボットのインタフェース技術の開発を行った。ロボットへの命令送信を、可視光を用いたインタフェースに統一することで、単純かつ明確な制御が行える。また、“意味”を媒介とするセンサデバイスの開発も行った。様々なセンサの出力を“意味”に統一することで、頑健なセンシング技術を容易に実現することができた。今後はこれらの要素技術を統合したプラットフォームを作成し、屋外大規模環境での実験を行う予定である。

  • 壁面移動ロボットによる大規模構造物の安全性診断

    2007年   山口友之

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     本研究課題は,「人間が検査困難である高所なコンクリート壁面,及び,足場設置が不可能なコンクリート壁面」に対する壁面の安全性を自動的に検査する技術を確立することである.そのために,(1)人間が検査困難である高所な場所や,検査のための足場設置が不可能な危険箇所に対して,アクセス・移動が可能な壁面移動ロボットの開発,(2)壁面移動ロボットの移動を安全に実現するための壁面移動支援ロボットの開発,(3)壁面移動ロボットが取得したコンクリート壁面像から,汚れ,染みや型枠などの模様が浮き出ている場合でも,計測対象である「ひび割れ」のみを高精度に検出・計測可能な画像検査技術の確立,の3つを具体的な研究目標として掲げた. まず,近年の壁面移動ロボットは磁力吸着や真空吸着等の機構を用いたロボットが開発されており,独創的な機構を開発することが注目されている.一方,本研究では,実応用を考慮し,エネルギー効率を重視した壁面移動ロボットを開発した.開発したロボットは吸引型の機構を持ち,車体に接触センサを取り付けることによって壁面との吸着力を計測する.吸着力が十分な場合は吸引を弱くし,落下の可能性がある際に吸引力を強くする.この制御により,常に最大出力で吸引する必要のない効率的な制御を実現した. 次に,壁面移動ロボットのさらなる安定した移動を実現するため,壁面移動ロボットを支える伸縮アーム型壁面移動支援ロボットを試作した.このロボットは壁面移動ロボットの壁面移動に追従し,移動を妨げることなく常に下から安全に支えることが可能である. 最後に,画像検査技術として,ひび割れ検出・計測を高精度に行える手法を提案した.パーコレーションモデルによるひび割れの画像検査手法として独自の理論を構築し,実用で必要な0.2mmのひび割れを検出・計測することが可能である. また,これらの研究成果は国内会議で4件発表し,今後は論文誌,国際会議等で報告を行う予定である.

  • 建造物の狭隘壁面のヒビと変形の高精度画像計測に関する研究

    2005年   山口 友之

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    本研究課題の目的は,原子炉など,安全のために常時監視を必要とし,しかも,人間が侵入不可能な建造物に対して,より安全に検査が行えるような自動計測技術を確立することにある.この目的を実現するためには,次の二つの具体的な研究が必要となる.1つは,建造物の安全性,危険性を的確に診断可能な高度の画像計測技術を確立すること,もう1つは,実際に人間が進入不可能であるような場所に侵入できる自動制御ロボット技術を確立することである.そこで,本年度は前者の画像計測技術の研究に注力した. 建造物診断の一般的な指標には,コンクリート表面の「ヒビ」がある.実建造物のコンクリート表面像には,光ムラ,気泡,染み等の多くの雑音を含むため,通常の画像処理手法ではヒビのみを検出することが困難であるため,多くの課題が残っていた.そこで,本研究ではコンクリート壁面画像中に存在する「ヒビ」のような特徴には,近傍画素間で,画素同士が連結するような固有の特徴が「ヒビ」に存在すると考え,固体に液体が染み込む現象であるパーコレーション過程を画像処理としてモデル化した.このパーコレーションモデルをヒビ検出に適用することで,従来研究されているヒビ検出手法よりも,高精度なヒビ検出手法を実現した.また,本研究はメディアにも注目され,2005年7月29日の日本経済新聞にも採り上げられた.また,ヒビのみならず,提案したパーコレーションモデルは様々な画像処理として適用することができ,画像修復,エッジ検出,ノイズ除去,さらにはガラスの欠陥検出にも応用することが可能になった.今後は,人間が入れない狭隘部へ進入でき,精度良く位置決めが可能な壁面撮像用の移動ロボットを開発・製作し,実建造物の垂直なコンクリート壁面をも巡回検査可能なロボットへその技術を適用する.

  • 機械システムの自己複製に関する研究

    2004年  

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     今年度は、機械による自己増殖の具体的な問題として、環境制御による自動組立をとりあげて、複数種類の微小部品から閉じた三次元構造を自動組立するために、以下のような前提条件を考えた。まず、Whitesidesらの方法と同様に、組み立てる部品として5mm角のアクリルキューブを複数用意し、結合面に低融点のはんだで覆われた銅箔パターンを貼付する。それらのコンポーネントを55℃に保った酢酸水溶液中に入れ、攪拌し、組立を行うことを検討した。また、ランダムな初期状態にあるコンポーネントから8つのコンポーネントからなる、閉じた立方構造を自動組立によって実現することを目標とした。このようなシステムで設計すべき点は、自由エネルギー最小状態は8つのコンポーネントからなる閉じた立方構造、エネルギー障壁はコンポーネントデザイン、自動組立のための環境は水溶液の攪拌となる。そこで、実験では自動組立による目的の構造の形成とともに、攪拌の強さ(外力)や時間、コンポーネントデザインを変えることによってどの程度選択性(収率)を制御することができるかについて調査した。 複数種類の部品から三次元的な閉じた構造を自動組立するには、部品は「どの部品と、どのような姿勢で結合する」というように、より選択的に結合を行わなければならない。そこで、複数種類の部品からより高度な構造を自動組立するには部品の選択性(質と量)を改善する必要がある。ここで、選択性の質は「その選択的な結合がどの程度再現性をもって起こりうるか」という選択的な結合の確率を意味し、選択性の量は「どの部品とどの部品がどのような状態で結合するという数」、つまり選択的な結合の多様さを表す。そこで、このような部品の選択性を実現するためのコンポーネントのデザインについて実験的に検討した。部品表面のはんだ融着面の形を適切にデザインすることでランダムな初期状態にある2種類のコンポーネントから確率的に目的の三次元閉構造を得ることができた。しかし、まだその収率は低く、完全な立方体構造が得られることは多くない。今後、途中まで正しく組み立てられている集合体を再度組立に使うようなサイクルを考えることによってさらに収率を高めることが望まれる。

  • コンクリート構造部材の変形とヒビの自動計測に関する研究

    2004年   山口友之

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    土木・建築分野において,画像検査は建築物や構造物の安全性を検査・診断するための手法として期待されている.特に,コンクリート表面のひび割れを検出することは,地震による影響や構造物の劣化を診断する上で重要である.我々はこれまでにデジタルカメラにより得られた画像を用いて画像検査を自動化するシステムを製作した.このシステムはシェーディング補正や2値化処理を含む種々の画像処理を組み合わせることにより,ひび割れを抽出・解析するシステムであり,実際の土木・建築の検査に既に利用されている.しかし,ひび割れ検出・解析の高精細化を実現する上で,従来手法のままではひび割れが途切れ途切れに検出される問題があるため,ひび割れ幅の計測が行えない場合があるという課題が残っていた.そこで本研究では,ひび割れ固有の特徴を考慮したひび割れ検出手法を検討した.ここで,ひび割れ固有の特徴とは,ひび割れの方向性や連続性を指す.提案手法では,まずコンクリート表面を撮影したデジタル画像からひび割れを検出するために,前処理としてひび割れの存在する領域(ひび割れ領域)を検出する.次に,検出されたひび割れ領域にのみひび割れ検出処理を施す.ひび割れ領域の検出には,2値画像を対象とするHough変換をグレースケール画像に拡張したGray-scale Hough変換を適用する.Gray-scale Hough変換を用いることにより,ひび割れの直線性と方向性を考慮した検出が可能になる.また,ひび割れ検出には,2次元正方格子のサイトパーコレーションのモデルによるインベージョンパーコレーションを利用する.通常のサイトパーコレーションは4近傍モデルであるのに対し,提案モデルはひび割れの繋がりを表現するため,対角成分を考慮した8近傍モデルとした.局所領域でインベージョンパーコレーションを行い,注目画素がひび割れの一部であるか否かを評価した.これにより,ひび割れが途切れ途切れにならずに検出することが可能となった.さらに,インベージョンパーコレーションをノイズ除去フィルタとして利用することにより,検出精度の向上も可能である.

  • ハードウェアの自己増殖のメカニズムと環境条件に関する研究

    2002年  

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     ソフトウエアによる自己複製や自己増殖については、すでに多くの研究があるが、ハードウエアの自己増殖についての報告は少ない。ここでは、実世界でのハードウエア自己増殖の可能性を理論的に検討するとともに、自己増殖の基本となるハードウエアの自己組織化について実験的な研究を行った。特に、詳細な個別制御ではなく環境パラメータによる全体的な制御のみで自己組織化を実現する具体的なメカニズムの検討と実験を行った。  自己組織化が実現するには次の条件が必要である。ⅰ)希望する最終状態が系のフリーエネルギが最小の状態となるようにしなければならない。ⅱ)適度な時間内に組立が完了するために、何らかのエネルギを外部から供給しなければならない。そこで、構成パーツの自己集合加振することによってランダムな運動エネルギーを与え、パーツをストック台に自己配列させ、パーツを部分的に正負に帯電させ、その後パーツを自己集合させる実験を行った。さらに、その応用として、円柱パーツを穴のあいた基板に自己配列させ、穴の下に交差するように電流を流して、回転磁場によって選択的に駆動する分布型のマイクロモータの作製を試みた。 まず、単純な形状のパーツを多数の穴を明けた板の上に散布して、部品を穴にはめ込み配列させる実験を行った。スピーカまたは振動モータを用いて振動を徐々に収束させてはめ込みの成功率(収率)を調べた。部品はセラミック球(φ;0.2、0.5、1.0、2.0mm)と鉄柱(h;1.0mm、φ;0.2mm)としたが、セラミック球はサイズが小さくなるにつれて表面力の影響が大きくなり穴に入り難くなった。鉄柱は球ほど収率はよくないが比較的よく配列した。しかし部品同士が付着して同じ穴にはいってしまうものもあり改良の余地があると思われる。次に、鉄柱部品をはめ込んだまま磁化して、外部からの電流磁場によりこれを回転させる分布型モータを試作した。その結果、穴の中の摩擦を減ずるために水を注入し表面張力によって支持すれば、電流1A程度で回転することが確認できた。また、電流の周期を変えることにより回転数の制御も可能であった。 以上の実験から、系のエネルギーが最小になる方向に結合が進むことを利用して目的の構造を組み立てることが可能であることが判った。実際のシステムは多種多様な部品からなる複雑な構造をしていることから、結合の選択性の量と質が重要と考えられる。選択性の量とは選択的に結合する組の数であり、質というのは選択的に結合する確率である。そこで、複雑な構造の形成を実現する前段階として、限られた種類のパーツを用いた自律的な組立の研究を現在行っている。具体的には多面体のコンポーネントを部品と見立て、結合部分に低融点半田を付着させ、それらのパーツを外部からのランダムな力で揺動することによって半田の表面張力で目的の構造に組み立てる実験を行っている。また、その中で選択性を高めるためにコンポーネントや結合部分のデザインによる選択性の向上やその他の選択的結合力についても検討している。この手法では、半田によって機械的、電気的な結合が実現し、通常のマニピュレータによる組立では為し得ない3次元的な電気回路の作製等に応用できると考えられる。

  • 人間共存型ロボットに関する研究

    2000年   成田 誠之助, 白井 克彦, 高西 淳夫, 菅野 重樹

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     本年度は、情報系4グループと、機械系2グループでそれぞれの分野での、要素技術の研究開発と統合システムへの準備を行った。研究項目は、画像処理、音声処理、力覚情報処理、感性情報処理、ロボットの腕、手、脚の機構と制御方式および遠隔操作など多岐にわたっているが、昨年度までの成果を部分的に統合する試みも行った。また、国際会議で積極的に成果を報告するばかりでなく、ロボフェスタ神奈川プレ大会をはじめいくつかのロボット展覧会への参加と海外でのデモンストレーションも行った。主な成果は以下のとおりである。 情報系では、1)画像処理に関しては、能動的な視覚系により環境地図の自動作成の研究を進め、局所的な地図を作成すると同時にその地図を手掛かりにオープンスペースへの移動を行う情報収集戦略を検討した。2)人物認識では、オプティカルフローを解析して背景の動きと人物の動きを分離する手法を検討した。3)音声対話に関しては、マルチモーダル対話システムにおけるサブモジュール間の情報共有の方法について検討し、音声認識と話者認識を同時並行的に行う機能を実現した。4)遠隔操作システムNAVIGATEの開発を行い、環境を自律的に先行認識し、目的地に遠隔操作および自走で到達するロボットのプロトタイプも試作した。 一方、機械系では、1)感覚に関しては、頭部ロボットの眼瞼部に新たにロール軸方向の自由度を付加し、目尻の上げ下げを実現した。また、顔色表出機構および発声機構を搭載した。2)歩行に関しては、上下肢・体幹・頭部を有する2足歩行型ヒューマノイドロボットWABIANの新しい制御アルゴリズムを考案し、キー入力・音声入力・視覚の3種類の入力に対する継続的な追従運動を実現した。3)マニピュレーションの研究では、作業性と安定性を両立した姿勢決定アルゴリズムを構築し、シュミレーションによってその有効性を確認すると同時に、人間との物理的インタラクションが可能な、4指13自由度からなる人間形のハンドを製作した。4)生物と機械の相互作用に関する研究では、目標を自動追従することのできるロボットシステムを開発し、それを用いてラットのにおいをつけたロボットがラットの行動にどのような影響を与えるのかを調べた。

  • International Symposium on Humanoid Robots(ヒューマノイドロボットに関する国際シンポジウム)

    1995年   成田 誠之助, 白井 克彦, 笠原 博徳, 高西 淳夫, 菅野 重樹, 小林 哲則, 谷江 和雄, Paolo Dario

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    本研究は,人間と接触しながら作業を行う人間形共同作業ロボットの基礎技術を確立することを目的とし,さらに,人間の生活空間で人間と共生する次世代情報機械としての“ヒューマノイドロボット”の本学における研究を国際的に広め,この分野の発展に寄与するために国際会議の開催をめざしたものである。 計画年度内に,いくつかの研究会を開催し国内外の研究者との交流を行うとともに,研究活動として,機械系,視聴覚系,頭脳系の個別サブシステムの技術開発に力を注いだ。また,これらを部分的に統合する試みも行った。具体的な研究経過および成果は以下の通りである。1. 機械系では,人間の手と腕をリンクモデルとして扱った力学解析を行うとともに,実際の人間の3次元動作の直接計測を試みた。また,歩行軌道の計画を支援する対話型の2足歩行パターン作成システムを構築した。これにより,人間形ロボットハンドと2足歩行系の設計基準が得られた。2. 視覚系では,顔面筋シミュレーションシステムによる表現合成と音声駆動による発話動画像の生成を試みた。また,音声と口唇運動の同期を手がかりとしてシーンから発話者を発見する手法を検討し,集団の中で対話相手を認識することに成功した。3. 音声系では,通常の室内環境での音声の実時間認識システムを作製すると同時に,実際の対話データの収集および分析を行い,構内案内の音声対話系を作成した。その結果,対話のシナリオによって音声認識の信頼度を上げ得ることが判った。4. 頭脳系では,サブシステムの接続を行うロボット内ネットワークの設計とその実験を行うと同時に,ロボットシステムで能率の良い通信プロトコルを検討した。5. CCDカメラの眼球と頭部が独立に動くロボット上体と,簡単なジェスチャーの提示ができる腕を製作し,これに視覚系と音声系を結合して校内案内ロボットの試作実験を行った。試作した構内案内ロボットは移動しないものであるが,動作速度の著しくことなるサブシステム間の同期処理を円滑に行うためには,並列処理系にロボット全体の状態を監視する機構が有効であることが判った。 これらの成果の一部は,日本ロボット学会,機械学会,情報処理学会などで発表されるとともに,1995年7月に早稲田大学で開催された,ロボットと人間の対話に関する国際会議(ROMAN'95)の特別セッションで公開された。現在,以上の成果に基づき,統合システムの製作が行われている。また,本グループが本年10月に開催を計画している国際シンポジウム“HURO '96”では,内外の研究者とのパネルディスカッションも計画している。

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