2024/12/26 更新

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トキタ ミノル
常田 稔
所属
社会科学総合学術院
職名
名誉教授
学位
工学修士 ( 早稲田大学 )

経歴

  • 1982年
    -
     

    - 早稲田大学教授

  • 1982年
    -
     

    - Professsor, Waseda University

  • 1977年
    -
    1982年

    早稲田大学助教授

  • 1977年
    -
    1982年

    Associate Professsor, Waseda University

  • 1975年
    -
    1977年

    早稲田大学専任講師

  • 1975年
    -
    1977年

    Lecturer, Waseda University

  • 1974年
    -
    1975年

    芝浦工業大学専任講師

  • 1974年
    -
    1975年

    Lecturer, Shibaura Institute of Technology

  • 1972年
    -
    1974年

    芝浦工業大学助手

  • 1972年
    -
    1974年

    Instructor, Shibaura Institute of Technology

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学歴

  •  
    -
    1972年

    早稲田大学   理工学研究科  

  •  
    -
    1972年

    Wasda University   Graduate School, Division of Science and Engineering  

  •  
    -
    1967年

    大阪府立大学   工学部   経営工学  

  •  
    -
    1967年

    大阪府立大学  

委員歴

  • 2004年
    -
     

    日本経営システム学会  理事

  • 2004年
    -
     

    Japn Association for Management Systems  Director

所属学協会

  •  
     
     

    経営行動研究学会

  •  
     
     

    日本経営工学会

  •  
     
     

    日本オペレーションズ・リサーチ学会

  •  
     
     

    工業経営研究学会

  •  
     
     

    日本経営システム学会

  •  
     
     

    Japan Academy of Management

  •  
     
     

    Japan Industrial Management Association

  •  
     
     

    The Operations research Society of Japan

  •  
     
     

    Association for the Study of Industrial Management

  •  
     
     

    Japn Association for Management Systems

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研究分野

  • 安全工学 / 社会システム工学

研究キーワード

  • 経営工学

  • 経営科学

  • Industrial Engineering

  • Management Science

 

書籍等出版物

  • Symbiosis of Government and Market: The private, the public and bureaucracy (jointly worked)

    Routledge Curzon, London, UK  2004年

  • Symbiosis of Government and Market: The private, the public and bureaucracy (jointly worked)

    Routledge Curzon, London, UK  2004年

共同研究・競争的資金等の研究課題

  • ニュー・パブリック・マネジメント

  • 問題構造化法

  • 意思決定支援システム

  • 意思決定モデル

  • 管理技術論

  • New Public Management

  • Problem Structuring Method

  • Decision Support System

  • Decision Making Model

  • Management Technology

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Misc

  • 日本的経営技術の国際移転

    常田稔

    経営行動研究年報   第18号   22 - 27  2009年

  • アフリカ諸国に対する生産性向上支援事業

    常田稔

    工業経営研究学会第24回     112 - 116  2009年

  • アフリカにおける生産性運動の展開

    常田稔

    生産性新聞   第2,275号   1  2009年

  • 日本的経営技術の国際移転

    常田稔

    経営行動研究学会第18回全国大会報告要旨     25 - 28  2008年

  • 顧客志向経営に有効な企業行動構造

    森下俊一郎, 常田稔

    工業経営研究   22   104 - 111  2008年

  • アンケート調査を用いた顧客志向経営に関する企業行動の定量分析と指標化

    森下俊一郎, 常田稔

    工業経営研究学会第23回全国大会予稿集     105 - 108  2008年

  • プロジェクト方式による管理技術の国際移転~コスタ・リカ生産性向上プロジェクトを通じて~

    常田稔

    工業経営研究   21   106 - 114  2007年

  • 顧客志向経営における理念の共有化と具現化

    森下俊一郎, 常田稔

    工業経営研究学会第22回全国大会予稿集     89 - 92  2007年

  • 科学におけるモデルの理論的基盤

    常田稔

    工業経営研究   20   57 - 65  2006年

    CiNii

  • プレ意思決定への支援方法の開発

    緒方太郎, 常田稔

    工業経営研究学会第21回大会予稿集     99 - 102  2006年

  • プロジェクト方式による管理技術の国際移転

    常田稔

    工業経営研究学会第21回大会予稿集     93 - 96  2006年

  • 企業倒産の判別分析と倒産予測の研究

    松丸正延, 成田徹, 常田稔

    日本経営システム学会誌   21 ( 2 ) 9 - 16  2005年

    CiNii

  • 中小企業のロボット生産における生産管理システムの改善

    野村高城, 松丸正延, 常田稔

    第34回日本経営システム学会全国研究発表大会講演論文集     88 - 89  2005年

  • 多属性代替案に対する新しい意思決定ルール

    常田 稔, 細田貴明

    工業経営研究/工業経営研究学会   19   50 - 57  2005年

    CiNii

  • 科学におけるモデルの理論的基盤

    常田稔

    工業経営研究学会第20回全国大会予稿集     53 - 56  2005年

  • 建築技術者の特質と能力の評価

    山本雅人, 常田稔

    工業経営研究/工業経営研究学会   18   95 - 100  2004年

    CiNii

  • 多属性代替案に対する新しい意思決定ルール

    常田稔, 細田貴明

    工業経営研究学会第19回全国大会予稿集     76 - 79  2004年

  • マネジメントにおける意思決定支援の統合的なフレームワーク

    常田稔

    AURORA/道都大学国際経営文化研究所機関誌   第7号   33 - 41  2003年

  • 医療事故における問題状況の構造化

    常田稔, 伊部崇生

    工業経営研究/工業経営研究学会   第17巻   153 - 158  2003年

    CiNii

  • 環境管理システムの構造的諸様相

    常田稔

    工業経営研究/工業経営研究学会   第17巻   106 - 112  2003年

    CiNii

  • 建築技術者の本質と能力の評価

    山本雅人, 常田稔

    工業経営研究学会第18回全国大会予稿集     115 - 119  2003年

  • ニューラルネットワークを用いた日経225株価予測

    陳剣, 松丸正延, 常田稔

    第31回日本経営システム学会全国研究発表大会講演論文集     63 - 66  2003年

  • 組織事故とヒューマン・エラー~イルストラクチャー意思決定問題のひとつの側面~

    常田稔

    工業経営研究/工業経営研究学会   第16巻   75 - 81  2002年

    CiNii

  • 医療事故に対する問題構造化モデル

    常田稔, 伊部崇生

    工業経営研究学会第17回全国大会予稿集     166 - 170  2002年

  • 共生概念を軸とする環境管理システムの設計

    常田稔

    工業経営研究学会第17回全国大会予稿集     62 - 66  2002年

  • 意思決定支援におけるひとつの概念フレームワーク

    常田稔

    第26回日本経営システム学会全国研究発表大会講演論文集     67 - 70  2001年

  • 新規事業における意志決定の在り方

    古谷公, 常田稔

    工業経営研究/工業経営研究学会   15   56 - 62  2001年

    CiNii

  • 地方市町村における道路補修の最適化

    三瓶正明, 常田稔

    日本経営システム学会誌   18 ( 1 ) 19 - 24  2001年

    CiNii

  • 組織事故とヒューマン・エラー~組織的意思決定と個人的意思決定のはざまで~

    常田稔, 伊部崇生

    工業経営研究学会第16回全国大会予稿集     88 - 92  2001年

  • 悪構造意思決定問題に対する目標の階層的構造化の支援

    常田稔

    第27回日本経営システム学会全国研究発表大会講演論文集     143 - 146  2001年

  • Relationships within a University:From the Viewpoint of Management Science

    New Public Managementに関する学際的研究/早稲田大学共生研究会   pp.182-198  2000年

  • Fusing Brand Management: A Study on the Integration of Bussiness Strategy and Branding Decision

    Hisasi HURUYA, Minoru TOKITA

    Proceeding of WAM/ Western Academy of Management(アメリカ西部経営学会)     32 - 39  2000年

  • 地方市町村における道路補修の最適化

    三瓶正明, 常田稔

    第24回日本経営システム学会全国研究発表大会講演論文集     45 - 48  2000年

  • 経営における非構造的意思決定問題

    常田稔

    工業経営研究/工業経営工業経営研究学会   14   121 - 124  2000年

    CiNii

  • 新規事業における意思決定の在り方―ストラテジック・プロポジション・モニタリングの提案-

    古谷公, 常田稔

    工業経営研究学会第15回全国大会予稿集     72 - 78  2000年

  • 行政型ベンチマーキングの開発

    日本経営システム学会誌/日本経営システム学会   15;2,pp.39-44  1999年

  • イルストラクチャーなマネジメント問題への挑戦~NPMへの応用を目指して~

    工業経営研究学会東日本部会発表予行集/工業経営研究学会   No.3,pp.1-15  1999年

  • 銀行システムの開発における工数見積りのモデル化

    日本経営システム学会第22回全国研究発表大会講演論文集/日本経営システム学会   pp.125-128  1999年

  • ロバストな問題設定方法について

    早稲田社会科学研究/早稲田大学社会科学学会   54  1997年

  • 時間的制約を考慮にいれたゴミ箱モデル

    日本経営システム学会誌/日本経営システム学会   13;2  1997年

  • 行政型ベンチマーキングの開発

    日本経営システム学会第19回全国研究発表大会講演論文集/日本経営システム学会    1997年

  • 問題解決における代替案の概念形成について

    日本経営システム学会誌/日本経営システム学会   14;1,pp. 67-73  1997年

  • 問題解決における概念形成について

    日本経営システム学会第17回全国研究大学講演論文集/日本経営システム学会    1996年

  • ケース・メソッド経営教育における新しい教授法の開発

    日本経営教育学会第33回全国研究大会報告要旨/日本経営教育学会    1996年

  • 時間的制約を考慮にいれたゴミ箱モデル

    日本経営システム学会第16回全国研究発表大会講演論文集/日本経営システム学会    1996年

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特定課題制度(学内資金)

  • イルストラクチャー意思決定問題の構造化支援システムの開発

    2002年  

     概要を見る

    管理(マネジメント)の本質は意思決定にあるとするのが通説である。ところが,マネジメントにおける現実の意思決定問題の多くは,イルストラクチャーな(意思決定における目標・代替案・環境条件の一部または全部が不明なため問題が構造化されていない)状態にある。そのような問題に対しては,意思決定の規範理論を適用することはできない。 そこで,本研究では人間がイルストラクチャーな問題を構造化していく過程を支援するためのシステムの開発を行った。昨年度にパブリック・マネジメントに特化した場合の構造化支援の方法論についての研究を行っているので,今年度はその成果を発展・一般化させる方向で研究を進めた。 先ず,一般にマネジメントにおける意思決定を支援することとはどのようなことかを明らかにするために,支援の概念的なフレームワークを構築した。そこにおいては,現実の人間のマネジメント行為からの素直な仮定のもとにマネジメントにおける意思決定過程に対するひとつのモデルを導入し,そのモデル上であるべき支援行為とあるべき支援理論がどのように位置づけられるかを明らかにすることによって,支援を統合的に分析・評価することが可能となるようなフレームワークを得た。次に,マネジャーが自己の意思決定問題を構造化することを支援するシステムを開発した。それは,イルストラクチャーな意思決定問題に対して,意思決定者の真の意思決定目標は何であり複数の目標の目標間構造はどのようになっているかを意思決定者が自発的に気づきそこから自己の意思決定問題を構造化するべく,システムが意思決定者に適切な手続きを教示し意思決定者に目標階層図を半ば自動的半ば強制的に描かせることによって問題の構造化を促すというものである。最後に,環境管理システムにおける意思決定の構造的な特徴を分析した。それによって,環境管理システムを設計するためのいくつかの指針を得た。

  • パブリック・マネジメントにおける悪構造意思決定問題の構造化支援に関する研究

    2001年  

     概要を見る

     意思決定問題において,その目標をg,代替案の集合をX,環境状態の集合をYとするとき,(g,X,Y)があらかじめ与えられている場合その意思決定問題は良構造(ウェルストラクチャー)であると言われ,その一部もしくは全部が既知ではない場合それは悪構造(イルストラクチャー)であると言われる。悪構造意思決定問題に対しては,意思決定のいわゆる規範理論を適用することができない。そこで,意思決定者に対する支援が重要な問題解決手段となる。 この研究では,パブリック・マネジメントを中心として,マネジメントにおける悪構造意思決定問題の構造化に対する支援の研究を行なった。特に,本年度は支援の理論的基盤を固めることに焦点を当てた。 まず,「メタ意思決定」という概念を導入し,意思決定者が(g,X,Y)を構造化して行くプロセスを表現するモデルを開発した。これにより,従来よりも広い概念で統一的に人間の意思決定プロセスを把握することができ,そこから従来の支援の理論と技術が最適代替案の選択という狭義の意思決定フェーズに対するものに偏っていたのに対して,支援をより広く統一的に捉え,人間の意思決定プロセスの各フェーズに対する支援の適合性を客観的に評価することができるようになった。 次に,組織事故におけるヒューマン・エラーは人間の意思決定プロセスのあるフェーズからから生ずるとの新たな考えを導入し,ヒューマン・エラーを意思決定論的に捉え直すことにより,組織事故を分析しそれを予防するための支援に対するフレームワークを構築した。また,このフレームワークに従って実際のパブリック・マネジメントにおける組織事故例を分析し,組織改善への具体的な支援を与えることができた。

  • イルストラクチャー意思決定問題の最適化方法に関する研究

    2000年  

     概要を見る

     マネジメントにおける意思決定問題は、目標、制御変数(代替案)、非制御変数(環境要因)のすべてが完全に同定されている(well-structuredの)場合には、規範的アプローチによって最適化をはかることができる。しかし、その一部もしくは全部が同定できない(ill-structuredの)場合には、最適化の方法を適用することは不可能であり、記述的アプローチもしくは処方的アプローチによって研究することが普通である。 我々は、昨年度、意思決定の当事者に意思決定の支援者が一連の質問を発することによって当事者が漠然と懐いている目標・代替案・環境要因に対するイメージを構造化し規範的アプローチ適用への道をひらく方法を開発した。 本年度は、こうして構造化された意思決定問題に対して、当事者の経験的知識(ヒューリスティック)を用いることにより、効率的に最適解を求める方法を開発した。 たとえば、地方自治体が行うべき道路補修問題は本来イルストラクチャーな構造を有しているが、その目標、非制御変数にある種の制約を与えることにより構造化すると、マルコフ型意思決定問題に帰着せしめることができることが我々の研究で既に分かっている。するとこの問題は、たとえば最小費用流法などを使って最適解を求めることができる。しかし、道路補修の当事者のヒューリスティックを体系的に利用すれば、最小流法よりも効率的に最適解に到ることが明らかとなり、そのためのプログラムを開発した。 また、企業における新規事業に係わる意思決定も典型的なイルストラクチャー構造を持っているが、この問題に対しても、問題の当事者からのヒューリスティックを用いて、完全ではなく適度な数量化を行うことにより、完全な最適解ではないが、実用に供しうる解(満足解)は得られることが明らかとなり、そのための体系的方法を開発した。

  • イルストラクチャー意思決定問題の研究~パブリックマネジメントへの応用を目指して~

    1999年  

     概要を見る

     マネジメントにおける意思決定の問題は、その目標、制御変数(代替案)、非制御変数(環境要因)のすべてが完全に同定されている場合は良構造的である(well-structured)と言われ、その一部もしくは全部が同定できない場合には悪構造的もしくは非構造的である(ill-structured)と言われる。 本研究では、イルストラクチャーな意思決定問題に対する取扱いを研究した。 まず、イルストラクチャーであるとして認識された問題を構造化する方法を開発した。具体的には、意思決定の当事者に対して意思決定の支援者が予め理論的根拠に基づいて用意しておいた一連の質問を発することによって当事者が漠然と懐いている目標・代替案・環境要因に対するイメージを構造化し、これらを同定する方法である。特に、目標の設定に関しては、意思決定の当事者に目標階層図を順次作成・改良させて行くための効果的な質問体系を構築することができ、学生に対する実験および地方自治体の行政実務者に対する適用からその質問体系が有効であることが確かめられた。また、この実験および適用から、問題によっては、最初イルストラクチャーであると認識されたものでも、構造化して行く過程で良構造問題に変換できうるものがあることが明らかとなり、OR等の最適化方法を実用的に導入するための手掛かりが得られた。 次に、パブリック・マネジメントにおける意思決定を理論的に考察し、その多くの問題が本質的にイルストラクチャーであること、パブリック・マネジメントにあっては目標・代替案・環境要因を決定すること、すなわち、決定すべきことを決定することがその本質であることを明らかにした。これから、メタ意思決定なる概念を導入することによって、パブリック・マネジメントに対する新しいひとつの理論的枠組みを提案することができた。

  • 行政視察問題へ適用可能な問題解決ツールの開発

    1998年  

     概要を見る

     地方自治体における行政視察は、他自治体の先進事例を調査してその成功要因を学び自治体の政策策定に役立てようとする活動であるが、多くの場合伝統と慣習に頼り合理的な方法論に基づいているとは言いがたい。 そこで、本研究では、最初に実務担当者を対象とするインタビュー・アンケート調査を実施した。そこから、行政視察における問題点を抽出し、実務家が伝統と慣習に頼る原因を明らかにした。また、行政視察は政策形成的視察と政策研究的視察の2つのタイプに類型化でき、これらのタイプごとに異なるアプローチが必要であることを明らかにした。 以上を前提として、私企業で活用されているベンチマーキング手法を行政体に適用可能なものに改良することを試みた。先ず、地方自治体の視察活動における行政型ベンチマーキングのコンセプト・フレームを構築した。これは、私企業の活動では当然である利益最大化という目標を想定しえない自治体の活動において立脚すべきベンチマーキングの概念基盤を提示したものである。次いで、地方自治体における政策形成的視察・政策研究的視察のそれぞれに対応する行政型ベンチマーキング・プロセス・モデルを開発した。これは、視察活動全体をベンチマーキングに基づく問題解決過程と見做し、その過程をいくつかのフェーズに分割し、それぞれのフェーズにおける活動要素を具体的に同定したものである。最後に、プロセス・モデルにおけるそれぞれのフェーズ毎のキー・マップを作成した。これは、ベンチマーキング・プロセスの各フェーズにおいて、達成すべき目的、なすべき作業、注意すべき留意点、アウトプットすべき結果のフォーマットを具体的に指定したものである。 ここで開発されたものは、非構造的な問題に対して、問題をそれ自体ではなく、問題の解決過程を構造化して解決の支援を行うツールである。

  • 問題解決過程における概念形成のモデル化に関する研究

    1997年  

     概要を見る

    人間の概念形成に関しては、Johnson-Laird, Finke, 堀らの研究が知られている。 本研究では、これらの先行研究の成果を踏まえ、人間が問題解決過程においてアイデアの芽をいくつか思いつき、それらを問題解決の代替案として概念形成して行く過程をシナジェティックス理論に基づく非線形連立微分方程式で表現してシミュレートするためのモデルを構築し、その解析結果と学生を対象とする実験結果を比較することによって調べた。 特に、n個のアイデアの芽が2個の代替案に収束していく過程は、ある種の条件下では、モデル上2元2次の特殊な形をとる非線形連立微分方程式に帰結させることができるが、この場合の解の振る舞いはほぼ完全に把握することができた。 n個のアイデアがm個の代替案に収束していく過程は、モデル上一般に複雑であるが、様々な条件を仮定して多くのパラメータのもとにパソコンでシミュレーションすることを試み、解の振る舞いを調べた。その過程で多くの解の特徴を確認することができたが、解の一般的性質として提示できるような結論はまだ得られていない。 以上の解析結果は、問題解決行動の実験結果と少なくとも矛盾しないことが確認された。 n個のアイデアが3個(以上)の代替案に収束していく場合、パラメータの組み合わせによっては、解がいわゆるカオスとしての振る舞いを示すことが確認され、そのアトラクタ、リアプノフ指数を求めることができた。しかし、我々の実験においては、モデル上のカオスに対応するような実際の行動上のカオス的現象は観察されなかった。これは、モデルのパラメータに対応する実験場面をうまく構築することができなかったためと思われる。 多くの課題は残されたが、この研究によって問題解決過程をコンピュータ等によって支援するための支援システム設計のためのいくつかの手掛かりが得られたと言える。 研究成果については、追々発表していくつもりである。

  • 集団による問題解決過程のモデル化に関する研究

    1996年  

     概要を見る

     集団による問題解決過程のモデル化に関する一連の研究の一環として、本年度は問題解決に時間的制約が課せられた場合の過程をシミュレートするモデルの開発を目指した。 ワイナーはケース・スタディから時間的制約もしくは期限設定が集団の問題解決に与える影響を抽出し、実際の意思決定場面に応用可能な示唆を得た。筆者らも、学生を対象とする問題解決実験から問題と期限とを同時に与えた場合の観察的知見を得ている。 コーエンらは、集団を組織化された無秩序としてとらえ、ある選択機会で問題・解・参加者が偶然的に結びついたとき決定が行われるとして、問題に対する解決の他に見過ごし・やり過ごしの現象も起こりうるとしたゴミ箱モデルと称する一種のシミュレーション・モデルを開発した。また、高橋は選択機会を1つに限定し、やり過ごし現象をより鮮明に分析することができるシミュレーション・モデルを開発した。 そこで、本研究では設定された期限が切迫すると参加者の問題処理に対するエネルギーが増加する。設定された期限が到来すると蓄積されたエネルギーが小さくても決定に関する何らかの処理が行なわれるとの仮説のもとに高橋モデルを改良し、時間的制約が解決・見過ごし・やり過ごし現象に与える影響を調べることが可能なモデルを開発した。開発されたモデルによるシミュレーション結果と高橋によるものとを比較すると、高橋モデルでは負荷係数の増加とともに解決数が急激に減少しやり過ごし数が急激に増加するが、本モデルではそれらが抑制され、期限切迫状況下では参加者が問題に懸命に取り組み、むやみに問題をやり過ごさなくなるという現象が観察された。また、決定にかかる所要時間も期限設定によって抑制され、いたずらに決定に時間を費やさない場合があることが明らかとなった。これらは、ワイナーや筆者らによる実験の集団的問題解決過程の観察事実とよく一致している。さらに、決定までの期限をいたずらに長くもしくは短く設定するよりもある最適な長さに設定することによって、見過ごし・やり過ごしが抑制され解決が促進されるという現象がシミュレーション上にあらわれた。これは、我々の常識から推察されることと一致しており、人間に対する実験的検証をする価値のある課題を提供している。 以上から、開発されたモデルが時間的制約のもとでの集団の問題解決をシミュレーションするのに有効なものであることが示されたと言えよう。研究成果は、すでに学会で口頭発表し論文としても公表している。

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