2024/04/24 更新

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トウゴウ カツミ
東郷 克美
所属
教育・総合科学学術院
職名
名誉教授

所属学協会

  •  
     
     

    日本文学協会

  •  
     
     

    日本近代文学会

研究キーワード

  • 国文学

 

共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 日本近代文学

  • 日本近代文学(泉鏡花、井伏鱒二、太宰治など)

Misc

  • 散策・地妖・音風景―「春昼」に夢の契はあったか―

    国語と国文学/至文堂   77;2 pp1~17  2000年

  • 井伏鱒二全集

    筑摩書房   別巻二  2000年

  • シンポジウム太宰治―その終戦を挟む思想の転位―

    双文社出版    1999年

  • 解説―太宰治のユートピア

    斜陽(集英社文庫)/集英社   pp232~254  1999年

  • 『人間合格』太宰治をもどく

    国文学解釈と鑑賞別冊/至文堂   pp248~253  1999年

  • 太宰治のトポス 甲府

    国文学/学燈社   44;7 pp58-60  1999年

  • 井伏鱒二全集

    筑摩書房   別巻一  1999年

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特定課題制度(学内資金)

  • 太宰治とその周辺に関する研究

    2000年  

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     太宰治とその周辺についての研究というテーマでは、すでに本助成費によって井伏鱒二研究にとりくみ、その成果は先に井伏鱒二全集全28巻別巻2として一応の完結をみた。井伏鱒二と併行しつつ研究して来た。太宰治に関しては、これまで50本以上の論文を発表しているが、2000年度の助成費によって既発表の論文のうちから一貫するテーマをもった10篇の論を選びあらためて改稿の上体系化して『太宰治という物語』(筑摩書房 2001年3月)をまとめた。太宰治はこの国の私小説的風土を逆利用し、いわば読者との共犯関係の中で、事実と虚構の境界を無化しつつ、自己=作者を物語化していった。つまり、太宰治は生涯をかけて「太宰治」という物語を書きついでいったと考えられる。その結果、物語内容だけでなく、それを語る語り手「太宰治」の声とでもいうべきものが生成されていき「太宰治という物語」をおびた作者の肉声があらゆる作品を薄い膜のように被うことになるというのが本研究の概要であり、結論である。 いわゆるテクスト論以後、「作者」は一種のイデオロギーとして、つねに負の記号つきで語られて来たが、それをもういちど反転してみること――実体としての「作者」ではなく、いわば機能としての「作者」という考え方は、いったんその死が宣告された「作者」のあらたなかたちでの蘇生と、それによる作品の読みかえの可能性を示唆するものと考えられる。つまり本研究は、文学研究における「作者」の位相めぐる考察でもある。

  • 井伏鱒二の基礎的研究

    1998年  

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     本研究はすでに五年余にわたるもので、井伏鱒二の全著作(初出誌紙・単行本を含む)を調査蒐集し、本格的な書誌を作成するとともに、テクスト間の異同を可能なかぎり明らかにし、かつ一定の方法に基づいた正確な本文を作成することを目的としている。コピーを含む実物の調査・蒐集と併行してすすめて来た全著作年表の作成は、しだいに最終段階に近づきつつあり、その成果はこれまで刊行された筑摩書房版「井伏鱒二全集」全28巻解題にも吸収されている。単行本については本学図書館所蔵のものと東郷架蔵のものによってその大略を把握しているが、文学全集類や児童ものに未確認のものをのこしている。これまでの中間報告としてはすでに「井伏鱒二書誌稿」(東郷編「井伏鱒二の風貌姿勢」〈別冊解釈と鑑賞〉)として発表した。本格的な著作年表、単行本解題は来春刊行を予定している「井伏鱒二全集」別巻2に収録する予定である。 本研究によって井伏鱒二はようやくその全貌をあらわしたといっても過言ではないと考えている。助成をいただいた大学当局に感謝したい。

  • 井伏鱒二の基礎的研究

    1996年  

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     昨年度にひきつづき、主として井伏鱒二の作品の文献的書誌的調査・研究を継続し、井伏文学の研究の前提であるテクストの蒐集と整備につとめた。井伏の場合特に戦前の活動に不明な部分が多かったが、現在までのところ戦前の作品については、その初出と収録の刊本の確認と蒐集をほぼ終えることができた。 平成八年十一月より筑摩書房から全二十八巻別巻二の新全集の刊行が開始され、その編集委員として、企画編纂、本文校訂、解題執筆の仕事を担当し、この特定課題研究助成による成果を集約することができたのは幸せであった。本全集は、井伏鱒二のはじめての本格的全集で、活字になった作品のすべてを収めることをめざしている。作品の蒐集、本文校訂、解題における書誌的事項の記述にあたっては、過去二年間にわたる本研究助成費による資料の調査・研究を有効に生かしえたと考えている。 名だたる改稿癖の持主であった井伏鱒二の場合、本文の決定が難題中の難題であるが、今回の全集では単行本収録の作品については、初収録の刊本を底本とし、初出と底本の間の異同を示した。その本文調査にあたっては、本大学の卒業生や大学院生の全面的な協力をあおいだが、彼らの研究、教育にとってもこの作業はきわめて有意義であった。 なお、全集は本年四月現在六冊を刊行したところであるが、今後の課題としては主として戦後作品の蒐集と本文校訂、さらには最終巻の研究資料編に収録を予定している著作年表、単行本書誌、年譜などの作成が残されている。できうれば来年度以降またこの研究助成費を申請して研究の完成を期したいと考えている。

  • 井伏鱒二について基礎的調査をふまえつつ,その文学的方法の特質を明らかにする。加えて周辺の作家との関係も考察したい。

    1995年  

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    上記の課題を実現するために,ひき続き井伏鱒二の作品の書誌的調査を実施した。すなわち著作目録(初出一覧)の作成にむけて,他の研究者の協力もえながら,初出雑誌・新聞の検索につとめた。また単行本書誌を作成すべく,初版本等の蒐集ないしはコピー化を行なった。さらに井伏文学にとって,とりわけ重要である作品の改稿過程を追求するために,大学院生の協力をえて初出と単行本の異同の調査にも着手した。 以上のような調査研究をする一方で,井伏文学の方法的特質を明らかにすべく,その歴史小説の方法,聞書き的方法,「黒い雨」の方法等について考察し,それぞれ別記のように論文化するとともに,他の研究者の参画をえて井伏鱒二に関する編著も刊行した。 また周辺作家については,主として太宰治との関係に着目して,太宰治に関する論文三篇を公表した。なお日本近代文学会,早稲田大学国語教育学会で,当該課題についての口頭発表も行なった。