2024/04/18 更新

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コバヤシ フクコ
小林 富久子
所属
教育・総合科学学術院
職名
名誉教授

学歴

  •  
    -
    1968年

    大阪外国語大学   外国語学部   英語学科  

  •  
    -
    1968年

    大阪外国語大学  

  •  
    -
    1967年

    ノース・カロライナ大学(チャペル・ヒル校)   英文学部   英語英文学  

  •  
    -
    1967年

    University of North Carolina at Chapel Hill   Department of English   English Language and Literature  

  •  
     
     

    早稲田大学   文学研究科   英文学専攻  

  •  
     
     

    早稲田大学  

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委員歴

  • 2013年
    -
     

    アジア系アメリカ文学研究会(AALA)  代表

  • 2013年
    -
     

    Asian American Literature Association of Japan  President

  • 2001年
    -
    2006年

    日本女性学会  幹事、紀要編集委員

  • 2001年
    -
    2006年

    Japan Association of Women's Studies  Editorial Board

  • 2001年
    -
     

    日本アメリカ学会  評議員、紀要編集委員

  • 2001年
    -
     

    American Studies Association  Editorial Board

  • 1999年
    -
    2001年

    日本アメリカ文学会  幹事、編集委員(東京支部)

  • 1999年
    -
    2001年

    American Literature Association of Japan  Excecutive Committee, Editorial Board(Tokyo Chapter)

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所属学協会

  •  
     
     

    現代言語学会(MLA)

  •  
     
     

    日本英文学会

  •  
     
     

    アジア系アメリカ文学研究会(AALA)

  •  
     
     

    日本女性学会

  •  
     
     

    日本アメリカ学会

  •  
     
     

    日本アメリカ文学会

  •  
     
     

    Modern Language Association

  •  
     
     

    English LiteratureAssociation of Japan

  •  
     
     

    Asian American Literature Association of Japan

  •  
     
     

    Japan Association of Women's Studies

  •  
     
     

    American Studies Association

  •  
     
     

    American Literature Association of Japan

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研究キーワード

  • 国文学

  • 文学一般(含文学論・比較文学)・西洋古典

  • 英語・英米文学

 

書籍等出版物

  • 『フェミニズム文学批評』 (「山姥は笑っている―円地文子と津島佑子」の章)

    岩波書店  2009年

  • 日系アメリカ人コミュニティに見るオリエンタリズムとジェンダー』平成18-19年度文部省科学研究補助金報告書

    2008年

  • 『英語文学とフォークロア』(「現代の伝承文学としての日系人強制収容ナラティヴ」の章)

    南雲堂フェニックス  2008年

  • ジェンダーとエスニシティで読むアメリカ女性作家―周縁から境界へ

    學藝書林  2006年

  • 円地文子―ジェンダーで読む作家の生と作品

    新典社  2005年

  • 『文化アイデンティティの行方』(「抵抗の言説としての韓国・朝鮮系アメリカ文学」の章)

    彩流社  2004年

  • 『国際フェミニズムと中国』 (タニ・バーロウ「ナショナルでないフェミニズムの主体とは何か」へのコメント)

    お茶の水書房  2003年

  • 『共和国の振子―アメリカ文学のダイナミズム』

    英宝社  2003年

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講演・口頭発表等

  • 『ジェンダーから世界を読む―表象されるアイデンティティ』へのコメント

    一橋大学ジェンダー社会科学センター合評会  

    発表年月: 2009年

  • 高良f留美子著『恋する女』へのコメント

    新フェミニズム批評の会  

    発表年月: 2009年

  • 合州国の公共的ディスコースへの参入/挑戦―9.11前後の日系人強制収容語り

    アメリカ学会第41回年次大会シンポジウム「アメリカにおける公を問い直す」  

    発表年月: 2007年

  • In Response to Mishima Yukio's Self-destructive Masculinity: Enchi Fumiko's Man-eating Woman in Her Later Works

    Modern Language Association Annual Meeting  

    発表年月: 2006年

  • トリン・ミンハ「Love Crystal」について

    お茶の水ジェンダー研究センター講演会  

    発表年月: 2003年

  • 映像と文学における戦時/非常時における女性の描き方

    JAC主催シンポジウム「メディアは何を伝えるのか」  

    発表年月: 2003年

  • Frontiers and Margins of Sexuality in Postwar Japanese Fiction

    Seventh Annual Asian Studies Conference Japan at Sophia University  

    発表年月: 2003年

  • Comment on Elaine Kim's "Korean American Literature and Culture

    Hitotsubashi Univi. International Symposiumu "The Future of Civilization: Hybridization or Purification?  

    発表年月: 2002年

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共同研究・競争的資金等の研究課題

  • 近現代日本女性作家

  • ジェンダー/フェミニズム批評

  • アジア系アメリカ文学、ジェンダー批評

  • modern and contemporary Japanese women wrirters

  • gender/feminist criticism

  • Asian American Literature, gender criticism

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Misc

  • 「ナショナルな物語を超えて―最近のアジア系アメリカ女性作家のナラティヴ

    小林富久子

    社会文学    2009年

  • 高野フミ編『『アンクル・トムの小屋』を読む―反奴隷制小説の多様性と文化的衝撃』、常山菜穂子『アンクル・トムとメロドラマー19世紀アメリカにおける演劇・人種・社会』

    小林富久子

    英語青年/研究社   153 ( 7 ) 439 - 440  2007年

  • 宮本百合子『婦人と文学』―米国のフェミニズム批評の観点から

    小林富久子

    国文学解釈と鑑賞   71 ( 4 ) 131 - 139  2006年

  • 池内靖子・西成彦『異教の身体 テレサ・ハッキョン・チャをめぐって』

    小林富久子

    研究社/『英語青年』   152 ( 48 ) 48  2006年

  • Embracing the East: White Women and American Orientalism by Mari Yoshihara

    Studies in English Literature/The English Literary Society of Japan(英文学研究英語版)   44  2004年

  • Embracing the East: White Women and American Orientalism by Mari Yoshihara

    Studies in English Literature/The English Literary Society of Japan(英文学研究英語版)   44  2004年

  • 江種満子『大庭みな子の世界』

    週間読書人   2421号  2002年

  • リンダ・カーヴァー、ジェーン・ドゥハート『ウィメンズ・アメリカ論文編』

    ドメス出版     95 - 98  2002年

  • 山姥たちの物語-女性の原型と語り直し

    山姥は笑っている-円地文子と津島佑子/学芸書林   pp.269-289   269 - 289  2002年

  • ワカコ・ヤマウチ―ニ世の語り部

    CPAS Newsletter(東京大学総合文化研究科アメリカ太平洋地域研究センターニューズレター)   2 ( 2 )  2002年

  • 2001年秋、Mario Savio Steps にて

    アメリカ学会会報   No.145  2002年

  • 円地文子『南支の女』

    ゆまに書房    2002年

  • 岩波女性学事典

    岩波書店    2002年

  • Producing Asian American Spaces: From Cultural Nation to the Space of Hybridity

    The Japanese Journal of American Studies/日本アメリカ学会   13  2002年

  • New Waves in Japanese Women's Writing during the 1990s: Resident Korean Women Writers' Fiction and the Fiction of "Eating Disorders"

    文化論集/早稲田商学同攻会   21  2002年

  • 黒人女性の自立への闘い――『カラーパープル』を読む

    ゆうまつど    2001年

  • Routledge International Encyclopedia of Women ed. Chris Kamarae and Dale Spender "Literature: Japan" (coauthored with Mary Knighton

    Routledge     1264 - 1267  2001年

  • アジア系アメリカ文学―記憶と創造―(「移動・越境・混血―最近の日系女性作家たち」)

    大阪教育図書     437 - 459  2001年

  • 文部省検定済高校英語教科書 Polestar Reading Course

    数研出版    2000年

  • "Histriographical Metafiction"作家としての円地文子

    新フェミニズム批評の会    2000年

  • 名作にみるロマンスと友情―『ジェーン・エア』を読む

    ゆうまつど女性センター    2000年

  • 長谷川啓編『高橋たか子の風景』

    男も女も/労働教育センター   春号  2000年

  • リンダ・カーヴァー編『ウィメンズ・アメリカ 資料編』

    ドメス出版    2000年

  • ジャニーン・バイチマン「『みだれ髪』の構成」

    ユリイカ/青土社    2000年

  • 比較思想事典

    大修館    2000年

  • 円地文子『日本の山』

    ゆまに書房    2000年

  • アジア系アメリカ文学の興隆

    週刊朝日百科世界の文学/朝日新聞社   48:7  2000年

  • Gender,Body and Ethnicity in Contemporary Japanese Fiction

    "Women's Studies in Asia 2000" 韓国梨花女子大学    2000年

  • 移動・越境・混血―最近の日系女性作家たち

    アメリカ文学会東京部会/慶応大学    1999年

  • 新フェミニズム批評の会編『青鞜を読む』

    図書新聞   2421  1999年

  • 水田宗子『ことばで紡ぐ羽衣』

    図書新聞   41 ( 12 )  1999年

  • ヒサエ・ヤマモト「十七文字」

    みすず/みすず書房    1999年

  • Muggie HummによるDavid Cronenburg論について

    女性と映像表現研究会(お茶の水女子大学ジェンダー教育センター)    1999年

  • 円地文子と津島佑子における「山姥」的女性

    日中女性会議(城西国際大学)    1999年

  • 日本英文学会大会シンポジウム「アメリカ文学とナショナリズム」

    日本英文学会(松山大学)    1999年

  • 円地文子『天の幸・地の幸』

    ゆまに書房    1999年

  • 20-21世紀をつなぐ女性表現―アジア系女性作家の自伝的作品を巡って

    女性学/日本女性学会   7  1999年

  • ジェンダー概念がもたらしたもの―女性学での位置付けとその意義および問題点を考える

    早稲田フォーラム   pp.4-18  1999年

  • 多文化主義で読む英米文学

    ミネルヴァ書房   pp.172-191  1999年

  • Transnational Asia Pacific: Gender, Culture, and the Public Sphere

    University of Illinois Press   pp.134-144  1999年

  • アジア系アメリカ文学―hybridなアイデンティティへの道筋

    英語青年/研究社   1  1998年

  • 日本におけるアジア系アメリカ文学研究

    アメリカ学会第32回年次大会/千葉大学    1998年

  • The New Multicultural Sense of Subjectivity Shown in Texts by Three Recent Japaness American Writers

    European Assosiation of American Studiea Biennial Conference at the Uninersity of Lisbon, Portugal    1998年

  • Lynne Pearce & Jackie Stacey (ed): Romance Revisited

    英文学研究/日本英文学会   LXXXV/2  1998年

  • 作家の自伝 円地文子

    日本図書センター    1998年

  • ジェンダー概念はフェミニズム文学批評に何をもたらしたか?

    学術の動向/日本学術協力財団   3;4,pp.27-29  1998年

  • トリン・T・ミンハ著「音楽で描かれた絵」

    現代詩手帖/思潮社   40;3  1997年

  • 差異と連帯を考える

    社会文学/社会文学会   11  1997年

  • カレン・テイ・ヤマシタ『熱帯雨林の彼方へ』

    ユリイカ/青土社    1997年

  • フェミニズム文学批評

    ワードマップ フェミニズム/新曜社   114-145  1997年

  • アジア系アメリカ文学ならびに映像作品におけるTransgenderの表象―戯曲と映像にみるM. Butterfly

    AALA Journal/アジア系アメリカ文学研究会   4  1997年

  • Towards the Multiculturalist Family: Transformation in the Representation of the Family in Postwar Japanese American Fiction

    文化論集/早稲田商学同攻会   11  1997年

  • 日本におけるアメリカのエスニシティ研究-アジア系アメリカ文学に関する研究

    東京大学アメリカ研究資料センター年報/東大教養学部アメリカ研究資料センター   17  1996年

  • Towards the Multicuituralist Family:Transformation in the Representation of the family in Postwar Japanese American Fiction

    アメリカ学会第30回年次大会英語ワークショップ;Transformation of the Family in Postwar America/於東京大学本郷校舎    1996年

  • Ann E.Goldman:Take My word: Autobiographical writing of Ethnic American Working Women

    英語青年/研究社   142;9  1996年

  • 日本マラマッド協会編 アメリカ短編小説を読み直す-女性・家族・エスニシティ

    アメリカ学会会報/アメリカ学会   123  1996年

  • 詩=批評の多声的な場:交差する社会と私 トリン・T・ミンハ

    図書新聞    1996年

  • トリン・ミンハのプロフィール

    イマーゴ/青土社   7;13  1996年

  • トリン・T・ミンハ著『月が赤く満ちる時』

    みすず書房    1996年

  • 日本におけるエスニシティ研究

    於東京大学アメリカ研究資料センター    1995年

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特別研究期間制度(学内資金)

  • 日系アメリカ女性文学における多文化主義と混血

    2001年04月
    -
    2002年03月

    アメリカ   カリフォルニア大学バークレー校

特定課題制度(学内資金)

  • 米国のアジア系コミュニティにおける「オリエンタル」なるものへの眼差しの研究

    2006年  

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     本年の研究活動で最も特筆すべきは、3度の海外出張を通して表記の研究課題に関して多くの有益な資料を集めたり、現地の研究者たちと刺激的な意見を交換しえたことである。まず5月末には、中国の北京外国語大学で行われたアジア系アメリカ文学会に参加し、そこで集中的にアジア系に関する研究発表を聞くことができた。中国で行われただけあって中国系文学関係の発表が充実していたが、かなりの数が映画におけるアジア人表象を扱っており、中には最近の韓流ドラマや映画に関するものもかなりあり、興味深かった。近年はアジア内で完結する映画やドラマによる文化圏のようなものが形成されており、それが従来の西洋白人の側からのオリエンタリズム的アジア人への眼差しにどう影響するかは、興味深い問題である。 次いで12月には、フィラデルフィアで行われた全米言語学会(MLA)大会に円地文子と三島由紀夫に関する研究発表を行うことを第一の目的として参加した。私が一員であったパネルは、アジア文化における性の越境をテーマとするもので、パネリストの一人で現在アメリカの大学で教えている台湾出身の女性研究者はいまだアメリカなどではよく知られてはいないが、まさに越境の問題を扱うには格好の存在として満州映画のスターとして一世を風靡した山口淑子を扱い、刺激的な論を展開した。昨今の傾向として、植民地における表象の問題を扱うものが多いようだが、これも移動と越境の時代の賜物ともみられ、当然ながらアジア系がもはや単一の人種や民族の文化に収斂されない何層もの文化を背後に担う存在であることが確認された。これは、これまでの西洋人たちによる単純化されたステレオタイプ的見方を覆すことにも繋がるだろう。 最後に3月初めの一週間には、カリフォルニアのロサンゼルスに一週間滞在し、主にUCLAのアジア系研究者たちと有益な意見や情報交換をすることができた。バークレーと並んでアジア系研究のメッカであるUCLAにはアジア系の有力な教授が多く、その中心的存在であるキンコク・チャン教授は、アジア系の新旧のステレオタイプを調べているという私のために、授業を特別に開放し、学生たちにこの問題を語リ会うよう仕向けてくれた。中で面白かったのは、アジア系というと今でも「数学が得意」とみらわれることで、文学を特に学んでいるというと、どこかおかしいのではないかと思われるなどといっていたこと。この他、より若手のレイチェル・リー助教授からは、新しい日系文化のメッカとして、リトル東京ならぬ、ソウテル地区に行くよういわれ、そこで日本のアニメや漫画などいわゆるオタク的文化を扱う「ジャイアント・ロボット」と呼ばれる店が、一部のアメリカの若者の間でも人気を博していることを知った。日本人=ロボット、アニメといった新しいステレオタイプの形成にも関わるものとして今後も注意する価値があると考えた次第だ。

  • 米国のアジア系コミュニティにおける「オリエンタル」なるものへの眼差しの研究

    2005年  

     概要を見る

     本研究の目的は、米国の主流社会において長らく神秘的でエキゾチックといった「オリエンタル」としてのステレオタイプを負わされてきた中国系・日系・韓国系等のアジア系アメリカ人たちが、そうしたイメージに抗すべく、どのような自己表現を近年行いつつあるかを、とりわけアジア系作家自身の文学および映像作品を通して探ろうとするものである。当然、従来のように、主流社会に迎合すべく、白人の抱くイメージ通りに自己演出を行うといった屈辱的アプローチとは無縁の、多元的かつ流動的な存在としてのアジア系表象が現れているのだが、同時に西欧的価値規準に完全に埋没することなく、各々の民族的・文化的遺産をいかに自らの独自性として活かしうるかといった困難な探求にも関わっており、それが具体的に文学・映像作品にどのように反映されているかはきわめて興味深い問題である。必然的に本研究は、アメリカ国内にとどまらず、今日のグローバルな欧米中心的文化において日本・中国・韓国といったアジアの国々およびアジア人たちが以下に表象されているかにも目を向ける必要がある。 そこで本年に行った具体的研究活動としてはまず、四年毎の世界女性学会議として2005年6月にソウルの梨花女子大学で開かれた"Women's World 2005"会議に参加した。そこにはアジアおよびアメリカからのアジア系アメリカ文学研究者が多数参加しており、多くの貴重な意見並びに情報交換を行った。 さらに、12月末にはカリフォルニア大学バークレー校を訪問、現在同地でハリウッド映画を含む映像作品内でアジア人並びにアジア系人がいかに表象されているかのドキュメンタリー映画を製作しているエスニック学部教授エレーン・キム氏にインタヴューを行った。次いでワシントンDCに足を延ばし、そこで開催中であったModern Language Association(MLA)の年次大会にも参加、主にアジア系アメリカ文学関連のセッションに出た。特に興味深かったのは、昨今日本でもブームになっている「韓流ドラマ」に関するパネルが開かれていたことである。未だアメリカでは殆ど話題にはなっていないが、日本だけでなくアジア各国に広がっているこの「韓流」ブームが今後アジア人並びにアジア系人のイメージにどのように影響するかは、見守ってゆくべき問題と考えている次第である。  

  • ジェンダー教育および研究に多文化主義を導入することについて

    2003年  

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     本年度はアメリカの大学のジェンダー研究において多文化主義がいかに取り入れられているかを調査すべく、8月の約2週間、西海岸と中西部の大学を訪問して資料を集めた。西海岸の大学はカリフォルニア大学バークレー校、中西部の大学はミシガン大学アナーバー校である。両校ともアメリカを代表する州立大学で、各々進歩的校風で知られている。 まず、カリフォルニア大では、ジェンダー研究のメッカであるビアトリス・ベイン研究所を訪ね、その所長やメンバーにインタヴューした。多文化の取り入れに関しては、アジア系、メキシコ系、そしてアフリカ系ときわめて多文化的な学生および教員スタッフの構成を反映して、当然、さまざまな人種やエスニシティの個別性を重視したジェンダー教育を実践しているとのことであった。とりわけ全米でも高い評価を誇るエスニック研究学部との連携のもと、アジア系女性作家、アフリカ系のセクシュアリティ研究などの多様なテーマの授業がジェンダー関係のプログラムに取り入れているとのことであった。 一方のミシガン大学は、丁度本年度に有名なdiversity(多様性)裁判が行われ、判決が下されたとのことで、この話題で持ちきりであった。その内容を説明すると、まず、発端は、ミシガン大の入試に不合格となり、現在テキサス大の学生である複数の女子学生が、その結果を不満とし、自分たちが白人種であるがゆえに、黒人をはじめとする少数民族の受験生に有利なアファーマティヴアクション的入学者選抜により不当に不合格にされたとの訴えを起したことに始まる。その後、ブッシュ大統領自らがアファーマティヴアクションを憲法違反とみなすといった声明を出すなど、さまざまな側から意見が闘わされたが、結局、裁判の判決は、大学当局に対してそれまでの入学選抜法を改めるようにとのことであった。これに対して大学側は、今後は明白なアファーマティヴアクション的選抜方法はとらないが、代わりに受験生にエッセイなどを課することで、学生の出自や出身環境を考慮に入れ、辛うじてそれまで大学側が重視してきた、被抑圧グループ出身の受験生に保護的であり続ける意図を確認し、よって大学内の多様性を引き続き守るという立場を鮮明にしたのである。ここに至るまでの裁判関係の資料や記録は膨大なもので、今後それらを調査することで、アメリカにおける多文化主義教育の実態ーーすなわち、その限界、矛盾、そして当然利点などをさらに詳しく調査したいと考えている。また、当然、この裁判がジェンダー教育といかなる関係を取り結ぶかも調査・分析したい。

  • ジェンダー教育および研究に多文化主義を導入することについて

    2002年  

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     本研究の全体的趣旨は、従来の日本におけるジェンダー研究及び教育で無視されがちであったマイノリティの視点がどのようなものでありえるかを主として米国での例を参考にしつつ探り、それを日本のジェンダー教育にいかに活かすかを考察することにある。 元来、本研究は、本研究者が所長を務める早稲田大学ジェンダー研究所の有志メンバーをも加えた共同研究として始められたものだが、本研究は個人研究であるため、主として次の内容に焦点を絞ることとした。 1)日本におけるマイノリティ女性、とりわけ在日韓国・朝鮮人女性の見方や価値観を、近年活躍が著しいいわゆる「在日」女性作家の作品を分析することで、主流の日本女性とは異なる立場や視点を浮かび上がらせる。 2)1)で得た知見や情報をもとに本研究者個人の報告ないし論文として発表する。 実際にこの1年間行いえたこととしては、在日女性作家、具体的には柳美里、梨良枝、鷺沢萌等の作品を、背後の社会的・文化的要因にも注目しつつ検討、結果として以下の洞察を得た。 1)日本社会・文化に巣食う在日への差別・偏見、あるいは異質なものへの不寛容さ等を明らかにしかつ批判している点では、すでに長い歴史をもつ伝統的在日文学およびそれを中心的に支えてきた男性作家たちの作品と共通している。 2)従来の男性中心的在日文学と違う点は、民族意識がより希薄な点である。従来の在日文学を特徴づけてきたエスノセントリック的傾向――祖国の伝統や文化等を理想化する傾向――がより希薄で、むしろそれ自体に潜む偏狭さや固定観念をも批判する傾向にある。特に在日や韓国コミュニティにも存在する家父長的傾向には鋭い批判を示しがちである。 以上のように、近年活躍著しい在日女性作家たちは、日本,韓国、男性、女性等の、1つ立場に固執せず、複数の見方や視点が交差する境界にとどまり、多様さに開かれた立場から表現するという共通点が認められる。そうしたいわばハイブリッドで境界的な姿勢は彼女たちの異種混交的な立場ゆえに醸成されたものといえるだろう。 上に述べた本年度の研究の一端は、商学部の紀要において英文論文として明らかにした。また関連する業績としては、アメリカのマイノリティたる韓国系を含むアジア系女性作家に焦点をあて、類似する結論を導き出した、別の英文論文も存在する。 

  • ジェンダー教育および研究に多分化主義を導入することについて

    2001年  

     概要を見る

    2001年4月から2002年度3月まで本研究者は、特別研究期間にあたっており、2001年4月、8-9月、および、2002年2月の計3回に亙ってカリフォルニア大学バークレー校を訪問、表記の課題について資料収集を行った。また、2002年2月にはUCLAでも資料収集を行った。最初の計画ではスタンフォードも訪問する予定であったが、バークレーはジェンダーと多文化主義教育に関してきわめて優れたプログラムをもっており、また資料的にも十分なものを有しているので、今回はほぼバークレーに絞ることにした次第である。特に2001年8月から9月にかけてはバークレーで正式な訪問研究員として滞在。エスニック・スタディーズ学部のエレーン・キム教授を指導教授として、さまざまな示唆を受け、かつ、Women's Studies Departmentで旧知のトリン・T・ミンハ教授の指導も得た。両学部で調査・研究ができたことはきわめて有意義なことであった。というのも、アフリカ系、ヒスパニック系、アジア系等の多様な少数民族の文化研究を主目的とするエスニック・スタディーズを通して、アメリカでの多文化主義教育の実態を掴むことができ、同時にWomen's Studies Department を通して同校でジェンダー研究並びに女性学がいかに教えられ、かつ、研究成果をあげているかがわかったからである。さらに重要な点は、両学部がしばしば強力し合って、ジェンダー研究にいかに多文化主義の視点を導入するかに感して腐心していることが判明したことである。 翻って、早稲田大学をみる時、ジェンダー関連の講座こそ増加し、かなりの充実が実現されているが、日本のさまざまなマイノリティの視点が取り入れられているかというと、まだまだの感が強いことが痛感される。例えば、私自身が所長をしているジェンダー研究所のメンバーは、現在、法、教育、文学、社学等、各学部でジェンダー関連教育の任を担っている者が所属しているのだが、その専門は、米、英、独文学あるいは歴史等、かなりの率が欧米系である。但し、勇気付けられる点は、例えば、専門が米文学でも沖縄女性の調査をしている者、日本文学が専門だが元ハンセン病患者の文学研究に携わっている者等が含まれる点である。私自身も専門は米文学、特にアジア系米文学だが、現在、在日韓国人女性文学の研究に着手しており、去る4月26日に一橋大学で開かれた国際シンポジウムで、たまたまバークレーから招かれたエレーン・キム教授や韓国出身の言語学者イ・ヨンスク教授らと一緒のパネルでアジア系アメリカ女性文学と在日女性文学を比較する発表を行う機会を得た。なお、今回のアメリカ滞在の成果でもあるこの口頭発表は、近く、論文の形でまとめるつもりである。今後も引き続き、私自身の専門分野であるアジア系アメリカ研究と日本での在日文学研究をドッキングする形の研究を続け、さらに、ジェンダー研究所内で日本のマイノリティ女性の研究を行っているメンバーとの協力の基に、ジェンダー教育並びに研究に多文化主義を取り入れる方法を模索すると共に、それを実践する努力をしてゆきたい。  

  • 最近の日系女性作家における多文化主義と混血

    2000年  

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     近年アメリカの少数民族文学の一環としてのアジア系文学の進展には目覚ましいものがみられる。その一因として、1965年の改正移民法以降、中国,韓国、インド、ヴェトナム等、かつてなく多様なアジアの国々からの新移民の大量の流入があげられよう。そうした中で、新移民が極端に少ない日系人のコミュニティが現在どこか閉塞感を漂わせているとみられても致し方ないことといえる。事実、ごく最近までの日系人文学においては、そうした傾向を反映するかのように、家族やコミュニティ、および、そこでの日系人としてのアイデンティティ追求といった、ごく狭いテーマを扱う作品が大半を占めている。だが、ここ10年ばかりの間に発表された日系人文学、とくに女性作家たちの作品には、これまでの日系人文学の枠を大きく踏み超えるものが急増しており、新たな活力をもたらしている。本研究では、その中からとくに3人の若い世代の日系女性作家の作品――シンシア・カドハタの『七つの月』、ヴェリナ・ヒューストンの『ティー』、カレン・テイ・ヤマシタの『熱帯雨林を越えて』――を取り上げ、それぞれにおいて、移動・越境・混血というテーマがどのように追及されているかを考察することを狙いとした。まず,『七つの月』をみると、作者カドハタは、戦後の日系家族を扱いながら、収容所体験はおろか、コミュニティの問題にも触れておらず、この点が日系人読者の間で物議をかもすことになった。職を求めて州から州へと車で移動する日系家族を扱うこの作品は、日本の江戸時代の「浮世」を想わせつつ、アメリカ文学に伝統的な移動のテーマをも探求するという具合に、従来の日本対アメリカ、旧世代対新世代といった二項対立的構図を越える越境的作品となっている。一方、戦後米軍兵士と結婚し、海を越えて米国にやってきた4人の「戦争花嫁」を扱う戯曲『ティー』では、作者ヒューストンは自らの母親が戦争花嫁であったという背景をいかし、これまで問題にされなかった日系人間の多様性と葛藤を浮き彫りにするとともに、そうした多様性、あるいは、そこからくる混血への動きから生み出される豊かさの可能性をも示唆している。最後の『熱帯雨林の彼方へ』は、移動、越境、混血のテーマを極限にまで推し進めた作品である。舞台に関しては、日本の寒村からニューヨークのビジネス街、さらにはブラジルの熱帯雨林へと跳ぶといった具合に広大な範囲を覆い、また登場人物も、主人公の日系男性移民をはじめ、ニューヨークのビジネスマン、フランスの女性鳥類学者、ブラジルの新興宗教教祖といった具合に、きわめて多国籍的である。熱帯雨林に突如出現した「マタカン」という新種のプラスチック様の物質から一攫千金を求めて集まってきた奇人変人によるドタバタ悲喜劇を描くこの破天荒な近未来小説がもはや日系文学の枠を大きく踏み出し、「トランスナショナル文学」ないしは「世界文学」の域に達していることは明らかである。このように進化を続ける日系女性作家の作品は今後も目を離すことができない。

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