2022/12/09 更新

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コイズミ ヒロシ
小泉 博
所属
教育・総合科学学術院
職名
名誉教授
 

共同研究・競争的資金等の研究課題

  • バイオチャーを用いた森林における炭素隔離効果と生態系応答機構の解明

    研究期間:

    2015年04月
    -
    2019年03月
     

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    バイオチャーに対する森林生態系の応答解析においては、バイオチャー散布区で引き続き生態系純生産、純一次生産、従属栄養生物呼吸の測定を行った。特に従属栄養生物呼吸については新たにトレンチ法を用いることで、バイオチャー散布が従属栄養生物呼吸の土壌呼吸に対する寄与を変化させ、生態系純生産に影響を与えていることが明らかになった。また、新たに幼齢林にバイオチャーを散布し、室内実験とともに植物の光合成に対する影響を評価した。その結果、バイオチャーの一部の成分が間接的に肥料として働き、光合成活性を高め、それと同時に植物バイオマスの増加を引き起こしていることが示された。バイオチャーの特性と動態解明においては、散布直前から継続してサンプルを採取し、バイオチャー層、有機物層、鉱質土層の物理化学、微生物特性を測定した。その結果、有機物堆積層においては昨年度に認められた差は小さくなりつつあるが、新たに硬質土層の微生

  • 森林生態系における土壌炭素放出に対する根圏滲出物の量的寄与と環境応答特性の解明

    研究期間:

    2015年04月
    -
    2018年03月
     

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    植物は光合成によって同化した炭素の一部を根圏滲出物として土壌中へ滲出させている。森林生態系の炭素収支を正確に評価するために滲出物の定量は重要であるが、従来の研究において滲出物は無視されており、その季節変化を考慮した研究例は少ない。本研究では、同一環境下における2樹種の滲出物を測定することで、滲出物の季節変化を明らかにし、異なる2樹種の滲出量を比較した。調査は暖温帯の近接したコナラ(落葉広葉樹)とアカマツ(常緑針葉樹)がそれぞれ優占する2林分で行われた。滲出量を推定するにあたって、土壌中から露出させた樹木の細根(直径2 mm未満の根)をバーミキュライトと栄養液で満たした容器(100 ml)に入れ、土壌中へ埋め戻した。それを一定期間(24時間)後に回収し、容器内の炭素量の変化をNCアナライザーで測定することで炭素ベースの滲出速度を算出した。さらに細根バイオマスを測定することで、滲出された炭素量を生態系スケールに換算

  • 木曽三川のエコロジカル流域管理計画

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    時空間流域環境の評価:流域環境を評価するための新しい手法として、木村は衛星搭載マイクロ波レーダSARを使い、レーダ画像の差分干渉法を適用することで地表変異を捉える方法を示した。また、市橋は無農薬茶園と慣行農法茶園の昆虫相を比較することにより茶園環境を評価する方法を検討した。一方、藤原・菊池は古地図や航空写真から植生を判読し、約100年間の景観構造変化を表す手法を開発した。リモートセンシングによる流域環境の評価のうち、航空機によるものとして、小見山は岐阜大演習林(553ha)の空中写真から、森林バイオマスを樹冠面積から推定した。また宮坂は同演習林のMSS画像により樹種や造林年度の判別を試みた。人工衛星利用分野では、秋山は衛星による植生分類法を改良し長良川流域の土地利用別の窒素吸収量を推定した。また、長澤は衛星情報に加え、太陽入射角補正やDEM情報などGISデータを用いて揖斐川流域粕川の土地被覆分類を高める方法を編み出した

  • 農林地および草原の持続的生産性評価のための指標作成

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    本研究では農林生態系の持続的生産性を表現しうる指標作りを行った。手法として、(1)生態系への炭素蓄積量やその動態によって判断する方法、(2)生態系を構成する種の多様性や不均一性を数学モデルで指標化する方法、そして、(3)物質循環の連続性を表す数学モデルや分光放射値から植生指数を作成して系の安定性判定に適用する方法について、森林、草原、農地に当てはめて検討した。(1)炭素収支から推定する方法:小泉は、水田、一毛作畑地、二毛作畑地を対象に炭素の動態と収支を測定した結果、水田作が最も持続性の高い農法で、次いで二毛作畑、一毛作畑の順に持続性が高いと判定した。一方、秋山らは1haの冷温帯落葉広葉樹林の炭素貯留量と動態を、100地点で生態系構成要素別に測定する詳細現地調査法で計測した。7つの構成要素の現存量と炭素含有率を調べた結果、土壌圏が炭素の巨大なプールになっていることが判明した。(2)種多様性から推定する方法:草原生態系の安定

  • 森林の破壊と再生に伴う炭素シーケストレーション機能の評価

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    遷移段階の異なる森林生態系(落葉広葉樹林;伐採直後・50年生・110年生の森林さらに伐採後森林を再生せずススキ草原として利用している 4段階)を対象に、標準化された生態学的測定手法を用いてCO2の循環と収支を計測し、落葉広葉樹林のCO2吸収能を各遷移レベルで明らかにした。さらに、既に報告されている農業生態系(水田、畑地)と比較することにより、各生態系における年間の炭素固定量、土壌呼吸量および生態系純生産量(NEP)を評価した。年間の炭素固定量(NPP)は草原生態系(ススキ草原)で最も高く、50年生・110年生の落葉広葉樹林の3倍近い値を示した。また、土壌呼吸量も草原生態系が最も高く森林生態系の2倍以上であった。一方、伐採直後の落葉樹林の炭素固定能は最も低く、落葉樹林の1/3〜1/5を示したが、土壌呼吸量は落葉樹林の値と大きく違わなかった。さらに、水田生態系は比較的高い炭素固定能を持っているにもかかわらず、土壌呼吸量は最も低い値を示した。また、畑

  • 青海・チベット草原生態系における炭素循環のプロセスとメカニズムの解明

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    本研究の最終年度では、青海草原の炭素循環のプロセスとメカニズムを解明するため、中国青海省海北地区のKobresia草原において、引き続きCO_2・H_2Oと熱フラックスの長期観測、草原植物の光合成・呼吸特性測定を行うと同時に、モデリングによって草原の炭素動態(炭素吸収と放出の時間変動)に関するシミューレーションを行なった。本年度の主な研究結果として、(1)冬季蘚苔類の光合成と生態系合成がなかったことが判明した。また、生態系呼吸の変化は土壌温度に依存し、とくに土壌温度が0度前後にその依存関係が大きく変化することを示した。その結果をSoil Biology and Biochemistry誌に公表した。(2)一方、2005年3月に現地蘚苔類を採集し、光合成に及ぼす温度と湿度の影響についての測定を行なった。その結果では、チャンバー内温度が10℃前後で湿度が40%であると明らかな光合成反応を示すことがわかった。一方、光の急激な変動に対して蘚苔類が「速やかな」光合成速度の変化を示し

  • 各種陸上生態系における炭素・水・熱フラックスの相互関係の微気象生態学的解析

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    本研究は日本列島を中心として炭素循環の課題に下記の3つの分担課題を立ち上げて,森林や草原などの陸上生態系を対象として、これらの生態系が大気との間で大規模に行っている二酸化炭素、水、熱の交換の実態を実験的に明らかにする(分担課題1)とともに、それを支配している各種要因を植物生理学、生態学、微気象学的に解析する(分担課題2)ことを目指す。さらには個々に得られた結果を数学モデルの形で定式化し(分担課題3)、全体の因果関係を明白にする。1)各種陸上生態系における炭素・水・熱フラックスの長期連続観測2)各種陸上生態系における物質循環特性の解明3)生物圏-大気圏相互作用モデルの開発本研究は限られた研究資金を最大限に活用するため,フラックスタワーが整備されている5地点(うち3地点は常緑針葉樹林,落葉針葉樹林,落葉広葉樹林,残り2地点はC3/C4混生草原と水田)を中心にデータの蓄積と整備を行った。これらの生態系において,生態系の特性を反映したそれぞ

  • 樹木バイオマス相対成長式の統合と生態系純生産量の試算

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    本研究では、季節変化や空間変動を考慮した地下部バイオマスの推定と生態系純生産量の年次変動を明らかにすることを目的とした。岐阜県高山市荘川町六厩の地下部細根量を把握するため、5m×5mの調査地に、30cm間隔の格子をとり、2週間毎にランダム地点20箇所で、土壌コアにより細根と土壌を採取した。2mm以下の根を細根とした。研究室に土壌コアの内容物を持ち帰り、肉眼で生根と死根を選別し、それらの乾燥重量を測定した。細根の生産量と枯死量を求める方法(Fairley & Alexander 1985)によると、4月23日〜6月15日の期間、生産量=0.22t/ha・10cm/53days、枯死量=0.62t/ha・10cm/53days、6月15日〜8月4日の期間、生産量=0.75t/ha・10cm/50days、枯死量=0.17t/ha・10cm/50daysであった。この103日間の細根にまわる純生産量は、NPP=0.97t/ha・10cm/103daysであった。以上の研究期間のデータより、一次純生産量NPPを最終的に推定した。2000年から2004年の5年間の平均値で、この110年生落葉広葉樹二次林では、地上部についてNPP=9

  • 流域スケールでの土壌圏炭素シーケストレーション機能の評価

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    冷温帯の流域圏に分布する様々な陸上生態系を対象に生態学的手法を用いて炭素蓄積量と炭素動態を測定した。具体的には、(1)高山試験地(岐阜大学)と菅平試験地(筑波大学)における二次遷移過程にある伐採直後の草本群落から100年生の落葉広葉樹林と、(2)富士山北麓の一次遷移過程にあるマツ若齢林(植生形成後12年)、マツ壮齢林、針葉樹林および極相の落葉樹林(植生成立後2850年)を研究の対象とした。長野県及び岐阜県の冷温帯地域に分布する二次遷移の各遷移段階の植生で実測されたSOC(土壌有機炭素)と炭素フラックスの変動を時系列的に比較した。その結果、二次遷移では、土壌炭素の動態は遷移に伴う、はっきりとした傾向は見られなかった。強調すべき点として、特に草原-森林移行期における土壌炭素動態に着目すると、草本から木本のステージへの移行期において土壌炭素が減少することが明らかとなった。これは草本植物と木本植物の生活形の違いが原因と考えられた。つま

  • 生態系温暖化ポテンシャルによる生態系の温暖化影響力の総合評価

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    本研究は、生態系が温暖化に及ぼす影響力を総合的に評価するために生態系温暖化ポテンシャル(EGWP)を提案し、限定した地域(都道府県レベル)における主要な生態系(森林、草原、農地)を対象としてその有効性を検討することを目的としている。生態系温暖化ポテンシャルは、各生態系におけるCO_2、CH_4、N_2Oの収支データから計算される。そこで、本年度は森林・草地・農地生態系を主たる研究対象地域として以下のような調査研究を行った。1.各種生態系における生態系温暖化ポテンシャルの解明森林・草原・湿地・農地生態系において、CO_2、CH_4、N_2Oガスフラックスの測定を行った。この測定に必要な消耗品等を購入した。その結果、CO2は吸収、CH4は湿地を除いて吸収、N2Oは農地が放出で外はニュートラルな生態系であることが明らかとなった。また,各生態系の生態系温暖化ポテンシャルを計算したところ,湿地が温暖化に対して最も悪影響をもたらす生態系であると評価された。また、

  • 高緯度北極域陸上生態系における炭素循環の時空間的変動の機構解明と将来予測

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    本研究は、高緯度北極スバールバールの陸上生態系を主な調査地とし、遷移段階ごとに炭素吸収系と放出系に対する環境要因の影響を調べ、それをもとに炭素循環モデルを構築し、炭素循環に与える環境変動の影響を予測することを目的とした。主な成果は以下のとおりである(1)氷河末端から海岸まで2.6kmの3本のラインに沿って植生、バイオマス、土壌炭素の分布を調査し、植生と土壌要因との関係を明らかにした。(2)遷移後期における秋期の生態系純生産量(NEP)を測定し、環境要因との関係を検討した。(3)地衣類1種の光合成・呼吸活性と環境要因との関係を調べ、それをもとにモデルを作成し、過去9年間にわたる生産量の変動と温暖化の影響について検討した。(4)遷移段階ごとの光合成生産を調べる目的で、調査地を代表する3種の維管束植物の光合成、呼吸特性を光合成・蒸散測定装置を用いて調べた。(5)調査地におけるメタンの発生状況とそれに与える環境要因の影響を調査し、その

  • 陸上生態系の炭素シンク能力における長期持続性の検証

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    菅平調査により、二次遷移に伴いバイオマスや土壌有機炭素は増加傾向を示し,草原期から木本期への移行時に土壌有機炭素量の減少が明らかとなった。その原因は,草本期では土壌へ供給されていた枯死有機物の多くが樹木体内に残るようになったためであると考えられた。遷移/炭素動態モデルによるシミュレーションは実測値と同様の結果を示す。一次遷移に伴う土壌有機炭素の増加は極相に至るまで継続することが三宅島調査で明らかとなった

  • 新たな土壌呼吸速度モデルの開発を目指した生理生態学的研究

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    平成21年度は土壌呼吸に対するリター呼吸の寄与率を明らかにするために、冷温帯放牧草原において以下の実験を行った。陸域生態系は地球規模の炭素循環の中核を担っている。土壌からの土壌CO2フラックスは68~77×1015gC/yrと推定されており、これは植物の推定NPP量(50~60×1015gC/yr)を上回る。したがって、土壌呼吸の量的評価及び発生機構の解明なしに地球規模の炭素循環系を理解することはできない。その中でも草原生態系は陸域生態系においてその面積と炭素貯蓄量の30-40%を占めている主要な生態系の一つでありながら、その土壌呼吸の量的評価についての研究は少なく、とりわけ地上部リター呼吸の土壌呼吸に対する寄与率についての報告は少ない。しかしながら、リターは分解が遅いため地上に多くが蓄積されており、また、地下部と異なって周囲の環境要因の変動を受けやすく、その動態を知ることは重要である。本研究は岐阜県高山市のシバ型放牧草原にて行なった。2007年4月か

  • 森林・草原生態系の群落構造と相互作用機構およびその時間変動性の解明

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    平成21年度は管理放棄されたカラマツ林において炭素動態に関する研究を行った。1997年の京都議定書において日本の温室効果ガスの削減目標が決定され、2002年にはマケラシュ合意によりその削減目標内において森林の炭素蓄積増加による吸収量が認められることとなった。日本においては人工カラマツ林の炭素固定能が高いことが認められ、今後炭素吸収林としての役割を含めた人工林の増加が予想される。一方で、日本林業の現状として放棄人工林の面積は増大し人工林の約40%は管理放棄されているとの報告もある。しかし管理放棄された森林の炭素循環に関する情報は不足している。そこで本研究では「管理放棄されたカラマツ林」という一つの生態系に着目し、炭素の動態と収支の解明を行うことを目的とした。調査は岐阜県高山市、樹齢平均約50年の管理放棄されたカラマツ林を対象に2007年から2009年の3年間にわたり行われた。植生はカラマツと林床のクマイザサの2種で構成され

  • 小型MRI装置による森林土壌の非破壊計測研究のための技術的基礎の確立

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学内研究費(特定課題)

  • 地球温暖化が放牧草地における温室効果ガス収支に与える影響―フィールドにおける昇温操作実験を基礎として―

    2009年  

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    IPCCの報告書によると、CO2濃度の上昇に伴う地球温暖化により、過去100年で地球の平均気温は0.74℃上昇し、今後100年でさらに1.1~6.4℃の気温上昇が予測されている。温暖化の影響を調査するために、様々な生態系で温暖化操作実験が行われてきた。しかし、温暖化が草原生態系の炭素収支にどのようにして影響を及ぼすのかを研究している例は未だ十分とは言えない状況にある。そこで本研究では、昇温により炭素収支を評価する指標である生態系純生産量(NEP)がどのように変化するのかと、それにどのような要因が関わっているかを調査することを目的とした。岐阜県の乗鞍岳にある冷温帯シバ草原において、赤外線ヒーターを用いて野外温暖化操作実験を実施し、地下2cmの地温を2℃上昇させた。1.2m×0.8mのシバを10区画設置し、その半分について5月から12月にかけて昇温を行った。NEPの測定を密閉法で行い、それに影響を与えうる要因として、生態系呼吸量(Re)、 光合成量(GPP)、シバの地上部現存量(AGB)、栄養塩類としてアンモニア態窒素と硝酸態窒素の2項目、微生物現存量を測定した。その結果、NEPは昇温により増加する事が確認された。Re、GPP、AGB、アンモニア態窒素、硝酸態窒素は実験期間を通じて昇温した区画で増加し、微生物現存量は昇温した区画で減少する傾向が見られた。また、Reと温度、GPPと温度の間には正の相関が見られた。NEPが増加したのは、GPPの増加量がReの増加量よりも大きかったためである。GPPの増加は植物体が増えたことによるものと考えられ、これは豊富な栄養塩類と温度上昇に伴う光合成速度の増加による影響と考えられる。また、栄養塩類が増加したのは、昇温により微生物の代謝が向上し、窒素無機化速度が速まったためと考えられる。以上のことから、冷温帯シバ草原において温暖化が生じると、窒素無機化速度の増加や光合成速度の増加により植物体の成長が促進され、NEPが増加することが示唆された。