2024/12/21 更新

写真a

クラモチ フミヤ
蔵持 不三也
所属
人間科学学術院
職名
名誉教授
学位
博士(人間科学) ( 早稲田大学 )

所属学協会

  •  
     
     

    早稲田文化人類学会

  •  
     
     

    ヨーロッパ民族学会

研究キーワード

  • 文化人類学(含民族学・民俗学)

受賞

  • 日本翻訳出版文化賞

    1986年04月  

 

論文

  • 秘密の文法

    蔵持不三也

    詩と思想   328-3   15 - 23  2014年05月

  • ワインの医食文化

    蔵持不三也

    酒史研究   29   9 - 24  2013年10月

  • ヨーロッパの民衆文化とスポーツ

    蔵持不三也

    スポーツ史研究   24   55 - 73  2011年03月

  • 写真と銃弾(巻頭言)

    蔵持不三也

    文化人類学研究   7  2006年01月

  • 歴史の慣性もしくは狂気の歴史

    蔵持不三也

    人間科学研究(早稲田大学人間科学学術院)   18 ( 1 ) 37 - 49  2005年03月

  • アンチ・ヒーローの創出もしくは民衆的想像力

    蔵持不三也

    人間科学研究(早稲田大学人間科学部)   Vol.17, No. 1  2004年03月

  • 墓地の風景

    蔵持不三也

    ヒューマンサイエンス(早稲田大学人間総合研究センター)   13 ( 1 )  2001年09月

  • フレーザーを探して—アルザスの火祭りより—

    (早大人類学会)文化人類学研究   1   22 - 38  2000年12月

  • シャルラタン考

    蔵持不三也

    人間科学研究(早稲田大学人間科学部)   14 No. 1 ( 1 )  2000年03月

  • 西欧怪物類従

    蔵持不三也

    武蔵野美術(武蔵野美術大学)   119  2000年01月

  • M・モースの「全体的調査法」

    蔵持不三也

    早大文化人類学会    2000年01月

  • Feux de la Saint-Jean en Moselle

    EURETHNO(アテネ)    1999年09月

  • 民衆文化の世界

    新しいヨーロッパ像を求めて(同文館)    1999年09月

  • カーニヴァル

    世界の文学1/朝日新聞社    1999年07月

  • 求愛の社会学

    communication/NTT   79  1999年06月

  • ゴンティエ:中世都市と暴力

    読書人    1999年04月

  • カーンリフ:ケルト文化誌

    原書房    1998年11月

  • 日本の民俗学

    雄山閣    1998年11月

  • 祝祭表象論Ⅰ

    人間科学研究/早稲田大学人間科学部   11:1pp.19-36  1998年09月

  • 民族遊戯大事典(寒川恒夫他編)

    大修館    1998年07月

  • モニカ・リュス『ペストのフランス史』

    週刊読書人    1998年03月

  • 社会学文献事典

    弘文堂    1998年02月

  • ニコル・ルメートル他:キリスト教誌文化事典

    原書房    1998年01月

  • 断想・人間科学

    ヒューマン・サイエンス/早大人総研   10-1  1997年11月

  • ヒメネス・オソ『世界魔女百科』(共訳)

    原書房    1997年10月

  • アルザスの祝祭とその表象

    EURETHNO(アテネ)    1997年09月

  • パロディック・リアリズム(単)

    体育の科学/杏林書院   47  1997年07月

  • 愚行のオントロジ(単)

    is/ポーラ文化研究所   76  1997年06月

  • 別れの作法−「メリュジーヌ物語」を巡って

    is   74  1996年12月

  • ヨーロッパの祝祭

    河出書房新社    1996年09月

  • 図説死刑物語

    読書人    1996年07月

  • 祝祭と模像

    蔵持不三也

    現代のエスプリ   347   104 - 113  1996年06月

  • 夜の中世史

    蔵持不三也

    読書人    1996年04月

  • キナ讃

    蔵持不三也

    is (ポーラ文化研究所)   30  1995年12月

  • ペスト余話

    蔵持不三也

    学燈/丸善   92 ( 12 )  1995年12月

  • 高校世界史

    蔵持不三也

    山川出版社    1995年04月

  • (多数ゆえ,省略)

    読書人ほか  

  • 神話の解体もしくは1755年の文化闘争

    蔵持不三也

    ヒューマンサイエンス・リサーチ(早稲田大学人間科学研究科)   13 ( 1 ) 87 - 105

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書籍等出版物

  • 神話で訪ねる世界遺産

    蔵持不三也

    ナツメ社  2015年07月

  • 世界の交易ルート図鑑

    フィリップ・パーカー, 蔵持不三也, 嶋内博愛共訳

    柊風舎  2015年05月

  • パリ歴史図鑑

    ドミニク・ブロス

    原書房  2015年04月

  • 世界の民族・国家興亡歴史地図年表

    ジョン・ヘイウッド, 蔵持不三也監修

    柊風舎  2013年10月

  • ヨーロッパ民衆文化の想像力

    蔵持不三也ほか

    言叢社  2013年09月

  • ラルース世界宗教大図鑑

    アンリ・タンクほか, 蔵持不三也訳

    原書房  2013年08月

  • 世界の文様歴史文化図鑑 I・II

    ダイアナ・ニューホール, クリスティナ・アンウィン共著, 蔵持不三也監訳

    柊風舎  2012年10月

  • 本の歴史文化図鑑

    マーティン・ライアンズ, 蔵持不三也監訳

    柊風舎  2012年05月

  • パリのメトロ歴史物語

    P=G=R・ミゲル著, 蔵持不三也編訳

    原書房  2011年11月

  • 世界の民族衣装文化図鑑 I・II

    パトリシア・ リーフ, アナワルト著, 蔵持不三也監訳

    柊風舎  2011年08月

  • 医食の文化学

    蔵持不三也, 松田俊介

    言叢社  2011年08月

  • 英雄の表徴

    蔵持不三也

    新評論  2011年07月

  • 世界の怪物・魔物文化図鑑

    クリストファー・デル著, 蔵持不三也監訳

    柊風舎  2010年11月

  • 医食文化の世界

    蔵持不三也

    早稲田大学国際医食文化研究所  2010年08月

  • パリの街路歴史物語(上・下)

    ベルナール・ステファヌ著, 蔵持不三也編訳

    原書房  2010年07月

  • 蛮族の歴史

    トマス・クローウェル著, 蔵持不三也監訳

    原書房  2009年07月

  • 翻訳『人類の起源と移住の歴史』

    ラッセル・キング著, 蔵持不三也訳

    柊風社  2008年09月

  • 「人間科学と文化の生態系」、中島義明・根ケ山光一編『「環境」人間科学』所収

    蔵持不三也

    朝倉書店  2008年09月

  • Patrimonialisation de la memoire, in "Le petit patrimoine des Europeens", pp. 139-148

    Fumiya Kuramochi

    L'Harmattan, Paris  2008年04月 ISBN: 9782296051843

  • 文化の見方に関する試論、蔵持監修『エコ・イマジネール』巻頭論文

    蔵持不三也

    言叢社  2007年06月 ISBN: 9784862090188

  • 翻訳『神話百科』

    フェルナン・コント著, 蔵持不三也訳

    原書房  2006年12月

  • 翻訳『世界秘儀秘教事典』

    エルヴェ・マソン著, 蔵持不三也訳

    原書房  2006年05月

  • 動物表現の起源−−ルロワ=グーランの仮説を巡って、『象徴図像研究』所収論文

    蔵持不三也

    言叢社  2006年03月

  • 中世怪物表象考、松平俊久『ヨーロッパ怪物文化誌事典』(巻頭論文)

    蔵持不三也

    原書房  2005年03月

  • Feux de la Saint-Jean en Alsace

    Fumiya KURAMOCHI

    Fetes et rites agraires en Europe (L'Harmattan, Paris)  2004年09月

  • リュスチュクリュ−−戯画の中の男と女、『女と男の人間科学』所収論文

    蔵持不三也

    コロナ社  2004年01月

  • 翻訳『中世のヨーロッパ』

    フランソワ・イシュ著, 蔵持不三也訳

    原書房  2003年12月

  • 『シャルラタン−−歴史と諧謔の仕掛け人たち』

    蔵持不三也

    新評論  2003年07月

  • 『神話・象徴・イメージ』

    蔵持不三也

    原書房  2003年03月

  • 翻訳『世界の神話百科(アメリカ編)』

    D・M・ジョーンズ&B・L, モリノー著, 蔵持不三也訳

    原書房  2002年08月

  • 翻訳『南仏ロマンの謝肉祭』

    E・ル・ロワ・ラデュリ著, 蔵持不三也訳

    新評論  2002年04月

  • 『巨石文化の謎』

    J・P・モモン著, 蔵持不三也監訳

    創元社  2000年07月

  • 日本民俗学体系Ⅰ(福田アジオ他編)

    蔵持不三也

    吉川弘文館  1999年12月

  • 翻訳『世界の神話百科』

    コートレル著, 蔵持不三也訳

    原書房  1999年10月

  • 日本民俗大辞典(I・II)

    蔵持不三也

    吉川弘文館  1999年10月

  • ヨーロッパの祝祭

    蔵持不三也

    河出書房新社  1996年03月

  • 『フランス史(1)』

    蔵持不三也

    山川出版社  1995年09月

  • 『ペストの文化誌』

    蔵持不三也

    朝日新聞社  1995年08月

  • 食と健康の文化人類学

    蔵持不三也

    学術図書出版社  1995年05月

  • 大衆長寿時代の死に方

    蔵持不三也

    ミネルヴァ書房  1995年05月

  • シャリヴァリ−−民衆文化の修辞学

    蔵持不三也

    同文館  1991年08月

  • フランス・国境の地アルザス

    蔵持不三也

    社会評論社  1990年10月

  • ワインの民族誌

    蔵持不三也

    筑摩書房  1988年04月

  • 異貌の中世—ヨーロッパの聖と俗

    蔵持不三也

    弘文堂  1986年10月

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講演・口頭発表等

  • ヨーロッパの民衆文化とスポーツ(シンポジウム基調講演)

    発表年月: 2009年11月

共同研究・競争的資金等の研究課題

  • フランス・アルザス地方における徴兵制廃止に伴う若者文化の変容研究

    科学研究費助成事業(早稲田大学)  科学研究費助成事業(基盤研究(C))

    研究期間:

    2007年
    -
    2008年
     

    蔵持 不三也

     概要を見る

    本研究はアルザス地方の若者文化が2001年の徴兵制の廃止に伴ってどのように変化をしたかを、2度の現地調査と文献渉猟を通して追究したものである。具体的には、徴兵対象者が伝統的に行ってきた夏至の「聖ヨハネの火祭り」と若者集団の文化活動の変容を対象として調査・検討し、これらの活動が、1996・1997年度の調査時と較べて劇的に衰退し、さらにアルザス語への理解と関心も著しく弱体化していることが明確となった。

  • 世界神話のコスモロジー

    科学研究費助成事業(広島市立大学)  科学研究費助成事業(基盤研究(A))

    研究期間:

    2005年
    -
    2008年
     

    篠田 知和基, 吉田 敦彦, 諏訪 春雄, 栗原 成郎, 三原 幸久, 中根 千絵, 鷹巣 純, 目崎 茂和, 後藤 明, 丸山 顕徳, 依田 千百子, 松村 一男, 岡本 久美子, 立川 武蔵, 小松 和彦, 百田 弥栄子, 小南 一郎, 鈴木 正崇, 門田 真知子, 蔵持 不三也, 不破 有理, 服部 等作, 広田 律子, 荻原 真子, 木村 武史, 宮本 正興, クネヒト ペトロ, 水野 知昭, 中堀 正洋, 松村 一男, 丸山 顕徳, 目崎 茂和, 不破 有理, 廣田 律子, 服部 等作, 荻原 真子, 栗原 成郎

     概要を見る

    「ユーラシアの神話の道」「海洋神話」につづき、主として天空の神話を世界神話においてしらべて比較し、そこから各文化の世界観、すなわちコスモロジーを究明した。天空神話としては日月、風、星辰、それに「天界」の神話をとりあげた。

  • 日本文化の普遍性と特殊性に関する文化人類学的比較研究

    科学研究費助成事業(筑波大学)  科学研究費助成事業(総合研究(A))

  • フランスの頭蓋変形慣行に関する歴史人類学的研究

    科学研究費助成事業(早稲田大学)  科学研究費助成事業(基盤研究(C))

 

特定課題制度(学内資金)

  • フランス民衆文化の「貧者の医学」に関する歴史人類学的研究

    2015年  

     概要を見る

    本研究は1727年にパリで他界したサン=メダール教会の助祭フランソワ・ド・パリスの墓地で、そして当局の命令によってその墓地が閉鎖されたのちは、教会や信者たちの家で起きた300件以上の「奇蹟的快癒」を、彼らが自らその経緯を語り、公証人が作成した膨大な資料から読み解くことを目的とするものである。と同時に、多くが無文字の民衆によって語られた、それだけにフランス史上稀有な一次史料から、当時の生活や医療行為の実態も探る。さらに、この助祭が反イエズス会のジャンセニスト=上訴派であったところから、一連の奇蹟は両派の権力闘争の渦に取り込まれていくが、その経緯についても数多くの一次資料や先行研究から解明する。

  • アルザス語パラドックスに関する歴史人類学的研究

    2015年  

     概要を見る

    本研究はフランス・アルザス地方におけるアルザス語の使用・理解状況を、現地調査(インタヴュー・アンケート)と文献渉猟に基づいて行われた。これら一連の作業を通して見えてきたのは、アルザス北部のドイツ国境に近い地域では、なおもアルザス語が「生きている」、つまり高齢者のみならず、若年層も使用あるいは理解できるのに対し、ドイツ国境から離れた南部地域では、一部の高齢者を除いてほぼ「死滅」した状態にあるということである。この乖離が何に由来するかは、これからの資料分析で明らかになるはずだが、現段階で明確になっているのは、アルザス語の母語ともいうべきドイツ語圏との交流度が基本的にかかわっているということである。

  • フランス・ブルターニュ地方における「キリスト受難群像碑」の造形人類学的研究

    2011年  

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     本研究は、フランス・ブルターニュ地方における「キリスト受難群像碑」、通称「カルヴェール」(calvaires)を造形人類学的視点から追究したものである。中心をなす研究方法は関連文献解析と現地調査である。このうち、当該住民たちへの聞き取りを含む現地調査は2010年11月および2011年9月に実施した。調査対象となった主なカルヴェールは以下のとおりである。 1.トロロエン(Tronoën):ブルターニュ地方最古のカルヴェールで、建立は1450-70年。キリストの磔刑を含む新約聖書の場面を、100人あまりの人物像で表わしている。 2.ギミリオー(Guimiliau):建立時期は1581-88年。ブルターニュ地方コルヌアイユの伝説王ミリオーの名を冠したカルヴェールで、200人以上の群像表現は、カルヴェール最多。 3.ゲヘンノ(Güéhenno):1550年に建立されたが、革命期に破壊され、19世紀中葉に再建されたカルヴェール。旧約・新約聖書のエピソードが主題。 4.サン・テゴネック(St. Thégonnec):1610年建立。モーセの十戒場面や4福音書記者の表現が特徴。 実際の調査対象はいずれも教会境内に建てられたこれら4か所のほか、さらに墓地や丘上の8か所、計12か所にのぼるが、これら現地調査や関連文献の解析、さらに住民たちへの聞き取り調査などにより、一連のカルヴェールがフランス国内において特に宗教心が篤いとされる住民たちの信仰表象やランドマークとしてのみならず、ケルト人の後継者をもって任じるブルターニュ人たちの集団的な記憶やローカル・アイデンティティ、「ブルターニュ復興運動」のシンボル、観光戦略(町・村おこし)のエンブレム、青少年のブルターニュ文化教育の資本などになっていることが確認できた。この成果は従来の宗教学的視点からのカルヴェール研究をかなり凌駕し得たものとなっているはずである。

  • アルザス地方における奉納慣行の歴史人類学的研究

    2009年  

     概要を見る

     奉納画とはさまざまな生活上の不安や困難から聖母や聖人たちが救ってくれたことに感謝して、信者が教会や聖堂に捧げるものである。本研究の目的は、アルザス地方南部(haut-Rhin)県の巡礼地テェイレンバック(Thierenbach)教会内壁に飾られた奉納画(ex-voto)の歴史人類学的調査・分析で、実地調査は2009年12月中旬、3回に分けて行われた。小村の外れに立つ同教会の奉納画は、地方にありながらその数の多さで知られ、地元新聞社によるVTRも制作されている。ただ、これに関する先行研究はまだ見つかっていない。本研究では、1890年代から1970年代までに描かれた約250点のこれら奉納画すべてを写真撮影し、以下のような基準で分類している。 ①奉納(製作)年代と点数 ②主題:疾病・事故・出征・出産・死亡・爆撃・火災・落雷など ③様式:奉納画サイズ・聖母の表現・画面構成 ④奉納者 ⑤奉納画に記された聖母への謝辞表現 分類・分析はまだ終わっていないが、興味深いことに、1950年頃を境にして、それまで画面の中央に描かれていた聖母(子)像の多くが、上端の左右いずれかに移り、中央部の主画面を奉納主題が占めるようになっている。また、やはりこの時期からはそれまでの疾病や出産・死亡などが中心だった主題に、事故、とくに交通事故が数多く登場するという変化がみられる。こうした変化が地域住民たちの生活と密接に結びついていることは疑いえないが、そこには同時に信仰のありようの一端もみてとれる。私は2010年2月に南仏マルセイユのノートル=ダム=ド=ラ=ガルド大聖堂の膨大な奉納画調査も行っており、双方の奉納画の比較研究によって、この分野での新たな貢献をしたいと念じている。  

  • フランス・アルザス地方における若者世代のアルザス語離れに関する文化人類学的研究

    2009年  

     概要を見る

    今日、アルザス地方を歩くと不思議な風景に出会う、たとえば街角のカフェ。そこでは若者たちと高齢者たちが同じアルザス人でありながら異なる言語を話しているのである。前者はフランス語、後者はアルザス語である。本研究はその実態を統計的に調べること尾を目的とするものである。そこで私は、2009年9月、アルザス地方南部(Haut-Rhin)の人口1万1000余のゲブヴィレ市(Guebwiller)とその隣接町村で、おもにリセ学生に対するアルザス語の理解に関するインタビューと質問票による調査を行った。対象者は15歳から17歳までの男子(31名)女子(12名)の計43名。そのうち、①両親がアルザス出身、②片親がアルザス出身、③両親ともアルザス以外の出身に分類し、③についてはアルザスにいつから住むようになったかもわかる限り調べた。周知のように、アルザス語はドイツ語と言語的関係が深く、一般フランス人の理解の外にある言語といえる。 調査の結果、①についてはわずか2名が日常会話に支障をきたさない程度でのアルザス語力を有し、②のリセ生は1名のみがいくつかのアルザス語表現を知っている程度、③にいたってはアルザス語をまったく解さないことが分かった。男女別に有意味的な偏差はみられなかったが、これからアルザス語を学びたい、もしくは関心があると答えたのは皆無であった。 その原因としてまず考えられるのは、リセの語学教育が英語一辺倒であることが考えられる。アルザス語習得を容易にするドイツ語学習を語学教育に組み込んでいるリセはアルザス地方全体で数校(いずれも私立)たらずであり、その受講者もこの数年減少傾向にあるという。さらに、今日のネット社会でアルザス語を習得する意義について、調査対象者からは何ら積極的な意見を聴くこともできなかった。しかし、文化人類学の知見からすれば、言語の消失は言語に表象される地域文化の衰退と密接に結びつく。これについては、すでに若者主体の伝統的な火祭りの衰退を調査した科研費の成果報告で提示しておいたが、こうした傾向がこれからどうなるか、一部にみられるアルザス語復興運動の行方とともに注目していくつもりである。

  • フランスにおける民衆的英雄像を巡る社会状況と出版文化の歴史人類学的研究

    2007年  

     概要を見る

    本研究は17世紀前葉に300余名からなる大盗賊団を率いてパリを震撼させ、1721年11月にパリ市庁舎前のグレーヴ広場で20代で車刑に処された頭領ルイ=ドミニク・カルトゥーシュが、その夥しい殺人や窃盗行為にもかかわらず、なぜ英雄になったか、こうした民衆的英雄化を仕掛けた出版文化がいかなるものであったか、そして当時の民衆文化のイマジネールが何でありえたかを、フランス国立図書館や国立古文書館、アルスナル図書館、パリ市立歴史図書館などに保管されている一味の手書き供述書や高等法院の裁判記録、カルトゥーシュ投獄中に上演されたル・グラン作カルトゥーシュ劇の台本、処刑翌年に刊行された著者不明の『高名なるルイ=ドミニク・カルトゥーシュの生涯と裁判の物語』などの一次資料、同時代のフランソワ・バルビエやジャン・ビュヴァらの年代記、さらに処刑後に次々と公刊・再刊・復刊されたカルトゥーシュ本などをもとに検討するものである。2007年の研究成果は、これらの基本的資料の収集を丹念に行い、数少ない先行研究も含めて、必要な史料・資料(図像データを含む)はほぼ網羅するところまでいった。また、パリの人類博物館に保管されているというカルトゥーシュのデスマスクと、パリ郊外サン=ジェルマン=アン=レイの市立図書館にあるというナダールが撮影したそのデスマスク写真については、なおもその行方を突き止めることができないままでいるが、その他のカルトゥーシュ関連箇所の写真撮影もほぼ終わっている。 現在はこれらの史料・資料の解析が終わり、その成果を公刊するべく、鋭意執筆中である。2008年3月末現在、その分量はカルトゥーシュ時代にフランスをバブル経済で狂わせた財務総監ジョン・ローのいわゆる「ロー・システム」の詳述(第3章)も含めて、400字詰原稿用紙換算ですでに1000枚を超えているが、最終的には本文だけで2000枚程度になる予定である。膨大な分量の著作だが、幸い出版社も見つかり、現在は年内刊行に向けて自らを叱咤激励しているところである。

  • 記憶の遺産化―文化表象とローカル・アイデンティティを巡って

    2006年  

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     本研究は歴史人類学の立場から文化表象とローカル・アイデンティティの問題を、とくに記憶の遺産化というキーワードから追究するものである。その具体的なフィールドとして、申請者は長年実地調査を行っているアルザス地方中部を選んだ。調査の経緯は以下の通りである。 2006年9月4日-9月8日  パリ(国立民衆芸術伝統博物館)にて資料収集 2006年9月9日-9月18日 アルザス地方コルマールおよびその周辺村落での伝統的な祝祭文化に関する現地調査 これら一連の調査を通して、申請者は社会的想像力(イマジネール)、示標性、文化の生態系(エコ・カルチャー)といった分析概念を創出し、集団的な記憶が地域住民の文化表象としていかにしてローカル・アイデンティティを構築するか、その理論モデルを、実際の調査法とからめて導き出すことができた。 

  • 「共生」の遺産化-フランス地域自然公園の試み

    2004年  

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     本研究は申請者が長年フィールドワークを実施しているフランス東部アルザス地方の「地域自然公園」地域で、人々が自然的・文化的環境とどのように共存しているかを、現地調査と文献調査とによって明らかにしようとしたものである。 実際の調査は、アルザス地方中部山間部の小都市で、「ヴォージュ地域自然」事務所が置かれている公園マンステール市を中心に行ったが、そこでは土地の名産マンステール・チーズとブレッツェル(パンの一種)を取り上げ、今日広域的に販路を拡大しているこれら「自然食品」のなかに、人々が土地の歴史(記憶)と共生の技術とをいかにして「遺産化」しているかを、関係者のインタヴューなどから明らかにした。これらの「特産品」を生産する過程では、もとよりアルザス地方山間部での酪農や農業(麦作)が重要な意味をもつが、本研究ではそうした産業が自然と住民との積極的な共生を目指す地域自然公園活動の中で、実際にどのように位置づけられているかをも調査した。 調査日程 2004年6月    文献調査開始      9月3日  渡仏      9月4日  パリ国立民衆伝統芸術博物館・国立図書館で資料収集      9月9日  マンステールでの調査開始      9月20日 パリにて追加資料収集      9月23日 帰国。資料整理      12月3日 調査報告書(仏文)、EUROETHNO(ヨーロッパ民族学会)提出 2005年5月10日 同報告書の論集掲載決定通知

  • 地中海島嶼部における祝祭と島民意識の歴史民族学的比較研究

    2002年   森原 隆

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     予定していた祝祭は諸般の事情で中止のやむなきに至ったため、今回の調査研究ではコルシカ島の島民意識、とくに「コルシカ・アイデンティティ」に関わる表象の問題を対象に取り上げた。具体的には、コルシカ島(とその南に位置するサルデーニャ島)のエンブレムとして有名な「ムーア人の頭」である。黒人若者が頭に鉢巻きをした図柄のこのエンブレムは、現在島内の町の通りや新聞、商店の看板、建物、さらには土産物などに刻まれ、描かれており、スポーツ(フットボールなど)の応援旗や独立運動の旗印にも必ずといってよいほど見ることができる。 このエンブレムは、18世紀末に登場したコルシカ独立の英雄パスカル・パオリが、それまで目に白布をかけた図柄(隷属の象徴的表現)から、今日見るような鉢巻き姿の頭部(覚醒の表現)に変えたものとされているが、歴史資料や紋章学、さらには歴史地図をはじめとする造形表現をクロノロジックに比較することによって、じつはこうした「ムーア人の頭」のエンブレムが、地中海沿岸部のみならず、東ローマ帝国内の都市や西ヨーロッパ各地の貴族の紋章としても用いられており、その起源伝承には①スペイン・アラゴン王家系統(アラゴン王が駆逐したムーア人=侵略者の指導者の首)、②十字軍系統(聖地を支配していた異教徒サラセン人の指導者の首)、③聖マウリシウス系統(スイスのサン=モリッツで殉教した聖人への信仰表現)の三通りがあることを確認することができた。つまり、パオリはこうした伝承系に位置する「ムーア人の頭」に、新たな意味を与え、これを独立を希求する島民の統合シンボルに仕立てあげたといえる。 だが、コルシカ島のエンブレムでありながら、なぜ「黒人の頭部」なのか。なおも完全には氷解しえぬ疑問だが、おそらくそれは「ムーア(モール)人」という呼称が「モーリタニア人」=「黒人」を意味していたという、語源的・歴史的背景が伝承といつしか分かちがたく結びついた結果と思われる。今後のさらなる調査が必要とされる所以である。

  • 遊びの文化誌―ヨーロッパ民衆文化の精神世界

    1997年  

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    蔵持はこれまでヨーロッパの民衆文化をさまざまな角度から追究してきたが、本研究もまた現地調査(=共時軸)と文献・資料収集(=通時軸)という、二通りの方法によってなされた。すなわち、1997年6月下旬から7月上旬にかけて、アルザス地方南部の小村スルツバック=レ=バンで実施した祝火慣行を初めとして、これまで調査してきたさまざまな祝祭に随伴する《遊び》の諸相を総括した。また、アルザス地方の県立古文書館や大学図書館などで収集した一次資料はもとより、研究誌所収の論文や研究書は、いずれもこれら遊びの歴史的形態や受容、社会的意味、さらに地理的分布などをあとづけ、解明する上で決定的に重要なものである。 現在、分析作業はなお進行中であるが、こうした一連の作業によって、《遊び》を通してヨーロッパ民衆文化の精神世界を解読するという、所期の目標がかなり達成できるものとの期待がある。いずれ本研究の成果は、単行書として上梓されることになっているが、すでにその一端は、各種研究誌や学術書(印刷中のものを含む)、さらには、1997年9月にアテネで開催された「ヨーロッパ民族学会」の基調講演でも発表されている。研究成果の発表1997年6月 「愚行のオントロジー」、《is》、vol.761997年7月 「パロディック・リアリズム」、《体育の科学》、47-71998年6月 「フランスの遊び」、『世界遊戯大事典』、大修館1998年11月 「ヨーロッパの民族学」、『日本民俗学大系』、雄山閣2000年5月 「カルナヴァルと祝祭空間」、『朝日世界の百科』、朝日新聞社(刊行予定)1997年9月 「アルザスの祝祭と遊び」、第10回ヨーロッパ民族学会(アテネ)               

  • 祝祭論-ヨーロッパ民衆世界の象徴と想像力-

    1996年  

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     1996年6月、アルザス地方南部の山林スールツバック=レ=バン及びラングドック地方のタラスコンにて、伝統的とされる祝祭の現地調査・VTR撮影・文献収集。 1996年11月、ヨーロッパ民族(俗)学を代表する研究者3名(ベルギー王立民族学会終身委員レオン・マルケ氏、シエナ大学民族学教授エンツォ・スペーラ氏、イギリス、ブーマス・スクール言語・民族学教授ジェニファー・ラス氏)と蔵持の共著になる『ヨーロッパの祝祭』を、河出書房新社により刊行。 1996年12月、再度渡仏し、アルザス地方南部一帯のクリスマス行事の現地調査と文献収集。さらに、ストラスブール大学民族学研究所にて意見交換を行う。 現在、これらの調査データや文献資料などの分類・整理作業中。今年度9月には、特別会員となっている「ヨーロッパ民族学会」(欧州議会後援)の第13会大会(於アテネ大学)にて、《祝祭と想像力》のテーマで講演し、併せてVTRの製作発表を行う予定。 さらに、本研究の成果を発表する場として上智大学ヨーロッパ文化研究所編『ヨーロッパの文化』(仮題、同文館)や、単著『祝祭論』(言叢社)などの刊行が予定されている。また、本研究で得た知見を基にした翻訳(『キリスト教事典』、原書房)なども、その刊行を急がされているところである。

  • 伝承の深層-民衆文化としての《メリュジーヌ》

    1995年  

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    本研究は,課題名にもあるように,ヨーロッパ最大の民族伝承の一つとされる《メリュジーヌ物語》を取り上げ,その内容的構成や地域的・時代的分布,歴史的変容などの分析を通じて,民衆文化のありようを考察しようとするものである。 研究者はすでに何年も前からこのテーマに取り組んできたが,今回本学の研究助成を受け,国内外の資料収集や研究者との意見交換を一層進めることができた。 むろん資料については,さらに入手検討すべきものが多少あり,最終的な執筆段階に入るには,なお少なからぬ時間を要するが,すでに論文の骨子はでき上がっており,これを基に,和光大学(象徴図像研究会)や名古屋大学(中世文学研究会)などで研究発表を行っている。幸い刊行を申し出ている出版社(言叢社)もあるゆえ,今年度中には資料の整理を終了して執筆を開始し,来年度内には何とか出版にこぎつけたいと考えている。

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