2024/03/28 更新

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エイズミ ヨシノブ
江泉 芳信
所属
法学学術院
職名
名誉教授
学位
法学修士 ( 早稲田大学 )

所属学協会

  •  
     
     

    国際私法学会

  •  
     
     

    国際法学会

研究分野

  • 国際法学

研究キーワード

  • 国際取引電子商取引

 

共同研究・競争的資金等の研究課題

  • インターネット環境の下での国際的名誉毀損事案の解決-国際裁判管轄と準拠法の検討-

    研究期間:

    2014年04月
    -
    2017年03月
     

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    インターネットを経由してなされる名誉毀損は、広く拡散して世界中に被害を生じさせる可能性がある。その解決にあたっては、救済を求める地を決定し(裁判管轄権)、準拠法を明らかにする必要がある。しかし、裁判管轄ルール、準拠法指定ルールも、必ずしも各国で統一されているわけでなく、また実質法としての名誉毀損に関わる規定も内容が統一されているわけではない。Ehrenfeld判決を契機に英米での対応の違いが鮮明となり、その後両国の間では、アメリカ合衆国が主導する方向での統一が進んでいる。わが国では、国際私法の観点からこれに対処することになるが、統一的な快傑という点では、アメリカにならった解決に帰着する

  • 電子商取引に伴う法律問題―国際私法的解決の有効性と限界―

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2005年
    -
    2007年
     

    江泉 芳信, 木棚 照一, 矢澤 昇治, 伊藤 敬也

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    本研究に関して、平成20年5月20日、早稲田大学における国際取引法研究会で「インターネット商取引における裁判管轄問題」として報告し、平成21年7月15日、同研究会で「電子商取引紛争解決とODR」として報告を行った。同研究会は、早稲田大学木棚研究員が主催する、同大学の国際私法/国際取引法担当者を中心として院生も参加する研究会である。「インターネット商取引における裁判管轄問題は」は現在青山法学論集の掲載のために最終的なチェック段階にある。「電子商取引紛争解決とODR」は、早稲田法学に掲載を予定している。裁判管轄については、電子商取引が増大しつつある中で、必ずしも明確な基準の定立に至っていない中で、アメリカ合衆国の判例を検討し、インターネット先進国である同国では、従来の管轄理論を修正し、Zippo Manufacturing Co.v.Zippo Dot Com, Inc.(952 F.Supp.1119(W.D.Pa.1997))がいわゆるスライディング・スケールと呼ばれる基準を採用して以来、侵害の原因となった被告のウェブサイトの性質を下に管轄権を判断する方法論が採られてきたが、このスライディング・スケールでは基準が曖昧であるため、Calder v.Jones(465 U.S.783(1984))が採用する「効果」説がより多くの支持を得るに至ってきたこと、さらに、効果説に対して一定の制約を加えるターゲット・アプローチが出現してきたことを明らかにした。研究において得られた各種の情報は大学院における授業用の資料集としてまとめ、平成21年度から早稲田大学法学研究科における「国際取引法」の教材として使用している。この資料は、扱う問題が発展課程にあるため、順次改訂し、最新の資料集としている。平成22年に出版された木棚照一編「国際取引法(第2版)」の「インターネット取引に関する法律」も研究成果を反映する形で改訂した

  • 世紀転換期の国際商取引に見る紛争解決制度の現状と課題

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2001年
    -
    2004年
     

    木棚 照一, 矢澤 昇治, 江泉 芳信, 根本 洋一, 芳賀 雅顕

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    2002年3月の韓国における国際取引紛争の解決制度の実地調査についで、研究代表者木棚は、2004年9月7日から16日までにシンガポール、タイのバンコックにおいて、2005年2月24日から3月4日までメキシコのグラダラハラとメキシコ市において研究補助者を同行して、それぞれ実地調査を行った(この費用については、一部サントリー文化財団の補助を受けた)。この成果は、一部既に論文等の中で著されているが、今後さらに具体的にしていく所存である。また、本年は、この研究会のこれまでの総まとめに意味を持つ国際取引法の体系書を成文堂より出版すべく7月17日、8月10日、10月30日それぞれ2時から6時まで研究会を重ね、各自の担当部分の報告、討論、修正を行なった。2005年5月7日に原稿が漸く全て揃ったので、最終的な調整を終えて、現在印刷の段階に入っている。この本は、本研究グループのこれまでの成果を体系化して、国際取引法の本格的体系書を作成することを目指したものであり、研究代表者が編者になり、研究分担者、研究補助者全員が執筆している。第一部国際取引法総論は、第一章国際取引法の意義、第二章国際取引法の法源、第三章国際取引法の当事者、第四章国際契約、第五章国際取引の客体からなる。また、第二部国際取引法各論は、第一章国際物品売買、第二章国際物品売買に付随する契約、第三章プラント輸出と国際技術移転、第四章国際投資、第五章国際取引と課税、第六章インターネット取引にかかわる法からなっている。巻末には、関連条約、法律、統一規則等の抜粋のほか、為替手形、船荷証券、信用状などのフォームを掲載した。この本が、わが国の国際取引法教育の発展に役立つよう改訂を進めていきたい

  • 世紀転換期における国際取引法の展望と課題

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    1998年
    -
    2000年
     

    木棚 照一, 廣江 健司, 江泉 芳信, 矢澤 昇治, 芳賀 雅顕, 根本 洋一

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    国際取引の現状をみると,一方では,WTOなどの国際機関を中心に国際取引の自由化に向けた施策が講じられ,物に関する貿易だけではなく,知的財産権やサービスなどの分野をも含めて総合的に,必要とされる国内法の統一や国際的原則の確立を目指した新しい動きがみられている。しかし、他方では,EU, NAFTAなどが先進的な側面を持つと同時にブロック経済化の危険性をはらむことが指摘され,また、NGOを中心として環境問題等貿易外関心事項への取り組みが強められる必要性が強調されている。世紀転換期の国際取引法は、ブロック経済化への危険性を回避しながら,消費者,一般市民が安心して生活することができるような物,技術、サービス,環境を供給できる法秩序をどのようにして国際的に構築するかという困難にして,重要な課題を担っている。新しい取引形態として重要となっているのは,インターネットの普及に伴うサイバースペイスにおける取引,いわゆるE-Commerceとそれに付随する諸問題である。インターネット、という新しい取引手段の出現の中で、これまで国際取引、国際的な情報交換の当事者として登場することのなかった人達が新しく当事者として登場し、十分な自覚もなく国境を越えた交流が可能となり,国際取引に参加することができることになる。このようなサイバースペイスにおける取引や情報交換に従来形成されてきた伝統的な法原則がどの程度,どのようにして、どこまで妥当するかを検討することも重要な現代的な問題である。木研究は,このような共通認識のちとで、それぞれの研究者がこれまで主として研究してきた分野から課題を見山して研究会で報告し、議論することを通じて,自らの研究を広げ,深めたものである。木棚研究代表者は,主として知的財産権の保護に関する属地主義の原則が市場のグローバル化,WTOのもとにおけるTRIP s協定によってどのような影響が生じるかを国際取引の側面から考察し、属地主義の概念の見直しを主張した。廣江研究分担者は,主として国際企業法との関係からこの問題を検討し、設立準拠法主義の修正を主張する。芳賀研究分担者は,国際民事訴訟法の観点から外国判決承認理論として訴訟管轄に関する鏡像理論の柔軟化の必要性を主張した。江泉研究分担者は,インターネットの普及に伴うサイバースペイス上で生じる問題をドメインネーム紛争に絞って検討し、セルフ・ガバナンス論の意義と限界を明確にした。矢澤研究分担者は,国際取引と環境保護の問題を「有害廃棄物の国境を越える移動およびその処分の規制に関するバーゼル条約」における紛争解決メカニズムから考察することにした

 

特定課題制度(学内資金)

  • インターネット環境下における国際的名誉毀損事案の解決

    2013年  

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     文書によって名誉を毀損されたと主張する者(被害者)が、文書を作成・公表した者(加害者)に対して損害賠償等の救済を求めるにあたり、救済を容易に認定する法律を有する国に出かけて訴えを提起する。これはLibel Tourismと呼ばれ、法廷地漁り(forum shopping)の一例である。近年、この問題が着目されたのは、インターネットの発展により、いわゆる名誉毀損文書が、ひとたびインターネットの載ったときには、インターネットにアクセスすることができる環境があれば、世界中で公表されたことになり、名誉毀損の結果が様々な地で発生したと観念されて、原告は自らに有利な結果を期待できる国で訴えを提起することができることになる。 この現象は、イングランドとアメリカ合衆国との間で大きな問題となった。イングランドは名誉毀損の成立を比較的容易に認めるのに対し、アメリカ合衆国は表現の自由を強く保護し、名誉毀損の成立に厳しい要件を課している。その結果、名誉毀損にあたる文書が刊行されたのが合衆国であっても、その文書の一部がインターネットによってイングランドにおいて閲覧できる状態にあったときには、原告(被害者)は名誉毀損の一部がイングランドにおいても行われたと主張して、イングランド法のもとで救済を受けることができることになる。イングランドで提訴するためには、原告はイングランドでの訴訟提起に必要な経済的負担を賄えるだけの資力を有していることが必要になる。 しかし、経済力がある原告は、イングランドにおける提訴をほのめかすことによって、アメリカ合衆国における出版、表現を抑制することが可能になる。 Libel Tourism問題の根底には、文書による名誉毀損の問題の処理に当たって、両国の法律に顕著な相違があることを指摘することができる。すなわち、イングランドにおいては、multiple publication ruleがあり、公表はそれが行われた国ごとに別個に存在すると考えられている。その結果、アメリカ合衆国で出版された書籍によって名誉毀損が行われたという場合であっても、インターネットに搭載されたことによってその一部がイングランドでも閲覧できるときには、イングランドでも公表が行われたとされるのである。アメリカ合衆国では、最初に公表がなされた地が公表の地であり、公表は1回と観念される。このような実体法の相違が解決されない限り、Libel Tourismの抜本的な解決につながらない。 また、両国に見られる国際裁判管轄ルールの相違によっても、両国間で生じる訴訟の解決がむずかしくなっており、この点の統一も検討しなければならない。