Updated on 2024/10/03

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USAMI, Shoji
 
Affiliation
Faculty of Science and Engineering
Job title
Professor Emeritus
 

Internal Special Research Projects

  • 進化分子工学を利用した新規戦略に基づく制限酵素の耐熱化

    2000  

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     遺伝子工学を利用したタンパク質の機能改変は広く行われており、温度安定性や基質特異性の改良にも既に多くの実例がある。しかし、DNA関連の酵素に関する知見は少なく、とくに制限酵素に関しては耐熱化が実現された例はない。これは、自己の生体防御機能としての制限修飾系が異種DNAを排除する役割を果たすことから、細胞の基本的機構であるがゆえに改変が困難なことを意味するものかもしれない。本研究においては、新規な方法として進化分子工学を利用して、制限酵素の機能改変を行うことを目的とする。とくに、部分的なアミノ酸置換などの「小さな進化」とドメインあるいは機能領域の大幅な改変などの「大きな進化」を自由に組み合わせて、従来は不可能であった制限酵素の改良を実現したことに大きな意義がある。本研究においてモデル酵素としてはBamHIを使用した。当該酵素は6塩基認識で遺伝子工学の試薬として広く一般に使用されているが、たとえば60度、5分間の放置で活性がほとんど消失する。そこで、当該酵素をコードする遺伝子の塩基配列をもとにしてしてコンピュータシミュレーションによる人工進化を行い、宿主による制約や選択圧から開放された系での改良を試みた。とくに、耐熱化を目標とした研究においては、41P、 E101W、 I136P、などの変異導入とこれらの組み合わせによって、耐熱性が向上した改変型BamHIを生成かつ選択することが可能であった。

  • 新規育種糸状菌による植物系バイオマスを原料としたクエン酸生産技術の開発

    1998  

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     クエン酸は生体に安全な酸味料として食品や医薬品に広く使用されている。この工業的生産は、糸状菌Aspergillus niger(クロコウジカビ)を使用した発酵によって行われており、世界的生産量は年間約50万トンである。しかし、クエン酸は製品としては安価であり、低価格な原料からの生産方法が求められている。筆者らは、安価かつ未利用な資源である植物系バイオマス(主成分はセルロース)からのクエン酸生産について検討しており、すでにセロビオースやキシランからのクエン酸生産に成功している。本研究においては、セルロース加水分解物からのクエン酸生産試験を行い、高収率の生産に成功した。 供試菌としては,Aspergillus niger Yang no. 2 およびこれを親株として誘導した2-デオキシグルコース耐性変異株C192を使用した。原料となる液体培地としては、セルロース加水分解物およびこれを適宜濃縮して糖濃度を調節したものを使用した。クエン酸の生産試験は、サトウキビ搾り粕であるバガスを担体として液体培地を染み込ませて行う半固体培養法により行った。緩衝液中に100 g/lのセルロース粉末を分散させ、セルラーゼ製剤(Meicelase P-1,明治製菓)を添加し72時間処理して、還元糖60 g/l(主成分としてグルコース54g/l)を含む加水分解物を得た。これを還元糖量が150 g/lとなるように濃縮したものを液体培地として使用しクエン酸生産試験を行ったところ、3日間でYang no. 2 およびC192はそれぞれ92 g/l、102 g/lのクエン酸を生産した。C192についての結果では、供与還元糖当たりの収率が68.2%に達しており、セルロース原料を使用したクエン酸生産でこれまでの最高値を達成した。

  • 植物系バイオマスの有効利用を目的としたキシランからのクエン酸生産技術の開発

    1997  

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    筆者らは安価な原料からのクエン酸生産を目的として、植物系バイオマス資源の利用について検討しており、すでにセロビオースやセルロース加水分解物からのクエン生産に成功している。一方、セルロース系バイオマスにはヘミセルロースが20~35%含まれており、その主要成分としてキシランがある。本研究においては、キシランおよびキシラン加水分解物からのクエン酸生産試験を行った。 供試菌としてはAspergillus niger Yang no.2 を使用し、サトウキビ搾り粕であるバガスを担体として液体培地を染み込ませて行う半固体培養法により発酵試験を行った。まず、キシランの加水分解により生じる単糖キシロース、アラビノースをそれぞれ唯一の炭素源とした試験を行い、供与糖140 g/l から5日間の培養でそれぞれ72.4 g/l, 52.6g/l のクエン酸が生産されることを確認した。つぎに、市販のセルラーゼ製剤によりキシランを加水分解し、その加水分解物からの発酵試験を行った。還元糖量として100 g/l のキシラン加水分解物を供与した場合には、3日間で51.6 g/lのクエン酸が生産された。以上の結果より、キシランの構成成分からの生産が可能であることが判明したため、キシランを直接炭素源とした生産試験を行った。キシラン粉末を培地溶液当たり140 g/lとなるように懸濁してバガスと混合した培地を使用した場合、培地中へのキシラナーゼ生産が確認され、3日間で39.6 g/l のクエン酸が生産された。本研究結果は、キシランからのクエン酸生産に関する初めての成功例であり、供試菌のキシラナーゼ生産性を向上させてキシラン分解を効率的に行うなどの方法によりクエン酸生産性を改良することが可能と考えられる。研究成果の発表:1999年1月、kohtaro kirimura, Taisei Watanabe, Tadahiro Sunagawa, and Shoji Usami, Citric Acid Production from Xylan and Xylan Hydrolysate by Semi-Solid Culture of Aspergillus niger, Biosci. Biotech. Biochem., 63, 226-228(1999).

  • 植物系バイオマスの有効利用を目的としたデンプンからのクエン酸生産技術の開発

    1996  

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     バイオマス資源の有効利用技術開発の重要性については広く認識されているが、バイオマス系原料からの有用物質生産技術は定着していない。そこで本研究においては、植物バイオマスに多量に含まれるデンプンからのクエン酸生産について検討し、高収率の生産方法を確立した。さらにバイオマス中のキシランの利用と、イタコン酸生産に関する研究を合せておこなった。 まず、アミラーゼ生産性を高めることを目的として、クエン酸生産性の高いAspergillus nigerより2-デオキ・シグルコース耐性変異株を誘導した。優良株C192を選択し、140g/lの可溶性デンプンを含む培地で液内振とう培養を行い69.5g/lのクエン酸生産に成功した。これは原株の1.54倍の生産量であった。つぎにトウモロコシデンプンとバレイショデンプンをそのまま炭素源とした半固体培養のようるクエン酸の発酵試験を行った。諸条件を検討して最適化し、200g/lのデンプンにより107.4g/l(トウモロコシ)または92.9g/l(バレイショ)のクエン酸が3日間で生産可能となった。これは従来の報告を凌ぐ最高の生産性である。なお、クエン酸生産菌A.nigerとデンプン分解酵素生産菌A.awamoriの種間プロトプラスト融合によっても新規な雑種株を作成することに成功した。当該雑種株もデンプンを炭素源とした半固体培養によって、収率50%以上の生産性を示した。同様の方法をA.terreusとA.usamijに適用した場合には、10-5~10-4の融合率で雑種株が得られた。安定な生育を示す雑種株より選択したF-112株は、可溶性デンプン120g/lから35.9g/lのイタコン酸を生産した。従来、デンプンから直接イタコン酸を生産可能な菌株は存在しなかったため、細胞融合法により新規かつ有用な生産菌が作成可能なことを示すことができた。植物バイオマスからのクエン酸生産には、デンプンの他にキシラン等の分解も必要であるが、キシランからのクエン酸生産も可能であった。

  • 硫黄酸化細菌を利用した二酸化炭素固定バイオリアクターの開発

    1995   平沢 泉, 桐村 光太郎

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    自然界には,少数ではあるが二酸化炭素固定能力を有する微生物も存在する。硫黄酸化細菌や鉄酸化細菌もこの能力を示し,さらに重金属イオン耐性,pH1付近の酸性条件下における生育など特異的生育能力を示す。本研究は,硫黄酸化細菌を利用した新規な二酸化炭素固定バイオリアクターを開発することを目的とした。 供試菌の通常の培養には元素硫黄がエネルギー源として使用されるが,代替エネルギー源としてチオ硫酸ナトリウムの使用が可能であることを見出した。制御条件を検討し最適化した場合,pH5.0に調節した場合に20mMチオ硫酸ナトリウムを添加し,水酸化カリウムを適宜添加するのが良好な生育量を確保するための基礎的因子であることが判明した。さらに二酸化炭素の溶存濃度を検討し,0.5~0.7%(v/v)として通気することが効率的な二酸化炭素固定の条件であることを発見した。これらの最適制御条件下で供試菌を培養した場合には細胞濃度が4.5×1010 cells/mlに達した。これは従来の約4倍の細胞濃度で,培養期間も14日間から7日間に短縮されたことから,実効率として約8倍になった。細胞量は固定した二酸化炭素量に比例するが,実際の二酸化炭素固定量(通気量からの減少量)を測定した場合にも一致した結果が得られた。以上の検討により,工場等の煤煙処理水からの硫黄化合物と二酸化炭素の同時除去が期待されたため,数種の処理水を用いた検討を行い結果を比較した。有機化合物を含まない完全燃焼後の処理水では良好な結果が得られたが,有機化合物が2mg/l以上含まれる場合には二酸化炭素固定が充分には進行しなかった。したがって,完全燃焼後煤煙溶液の後処理に実効のあるシステムが開発されたことになる。 本研究を通じて,二酸化炭素と硫黄含有化合物の除去システム構築に成功した。