2022/12/09 更新

写真a

イシイ ススム
石居 進
所属
教育・総合科学学術院
職名
名誉教授
 

学内研究費(特定課題)

  • 下等脊椎動物の脳下垂体ホルモンとその遺伝子についての研究

    1998年   菊山 栄, 輪古 博

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    我々は脳下垂体ホルモンのうちの糖タンパク質ホルモンである3種のホルモンの共通サブユニット、すなわちαサブユニットは脊椎動物のなかで構造が比較的よく保存されていることから、このホルモンの構造を比較することによって進化距離の離れた色々な脊椎動物間の関係を調べるのにはよいのではないかと考えた。そこで色々な脊椎動物の中でも、両生類の祖先に近いといわれている肺魚のαサブユニットの分子をコードするcDNAをクローンニングして、その塩基配列を決定し、アミノ酸配列の推定を行った。その結果、肺魚のαサブユニットは硬骨魚類の多くの種よりもはるかに哺乳類や鳥類に近いことが明らかとなった。そこで我々はこれまでクローン化されてなかった3種類の両生類(ヒキガエル、ウシガエル、アカハライモリ)のαサブユニットと肺魚それとの間の違いは、意外にも肺魚と哺乳類。鳥類との間の違いよりも大きいという結果となった。アカハライモリについても似たような傾向があった。 このことから我々は両生類、ことに無尾両生類のαサブユニットは他の脊椎動物よりも進化速度が速かったと考えた。硬骨魚類の中でも大きなグループを占める条鰭類より(普通の魚類はほとんどこれに入る)でも同じようにαサブユニットの進化速度は速かったと考えた。この考えが正しいとすると、魚類の中でも下等な軟骨魚類のαサブユニットと肺魚のそれとの違いは、条鰭類と肺魚との違いよりも小さくなるはずである。そこでドチザメのαサブユニットのcDNAをクローニングして調べたところ、期待通りの結果となって、上の仮定が正しいと判断された。

  • 生殖行動の内分泌調節とその統計学的解析

    1996年   菊山 栄, 石垣 春夫, 高橋 則行

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     繁殖期のヒキガエルの雌は、産卵の前には雄の抱接を受け入れるが、産卵後は受け入れなくなる。これは産卵前の雌は胸部腹面に触られると体を振動させる反射運動を示し、これが雄への拒否の信号となることによる。雌のこの反射運動はよく知られているが、この反射の周年変化については詳しい研究はなく、またホルモン調節の有無についても全く分かっていなかった。我々はまずこの雌の反射運動が産卵後から秋の終わり頃まで存在し、秋の終わり頃から徐々に出現することを明らかにした。ついで、この反射の消えている繁殖期の産卵前の雌でも、捕獲するなどのストレスを与えると、この反射が現れることを見つけた。また、繁殖期の雌では、神経性脳下垂体ホルモンであるバソトシンがこの反射を促進することを見つけた。さらにこの反射の存在する非繁殖期の9月頃の雌では、プロスタグランディンというホルモンがこの反射を抑制することも明らかにした。すなわち、繁殖期の産卵前の雌ではプロスタグランディンが多量に分泌されている可能性が示唆された。そこで、我々は繁殖期の色々な時期に捕獲した雌の血液中のプロスタグランディンの濃度を調べたところ、産卵前にはその濃度が高いことが証明された。すなわち、この雌の反射運動はホルモンによって支配されていることがほぼ確かめられた。また、この研究では雌のこの反射運動(体の振動)の単位時間当たりの頻度を指標としたが、この指標の個体間の変動は、平均値が高いほど大きいという傾向を示す上に、正規分布をしないことが分かった。そこで、この研究のデータ解析には等分散と正規性を前提条件としたt検定法や、分散分析法の適用は困難であった。そこで我々は、無作為化検定法などの非母数的方法を用いて解析を行った。またその為のBASICによるプログラムも作成した。