浅井 博 (アサイ ヒロシ)

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所属

理工学術院

職名

名誉教授

 

特定課題研究 【 表示 / 非表示

  • 原生動物の運動・行動のビデオ映像化と解析

    1995年  

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    (1)我々はゾウリムシを好んで哺食するディディニウムのTriton-100(界面活性剤の一種)処理モデルを作り,種々のカルシウムイオン存在下でのMgATP添加での運動再活性化の様子を高速ビデオ(秒1000フレーム,イーストマンコッダク社製)で撮影し,ガードル状の2本の繊毛束の運動を解析した。カルシウムイオンにより調節された特異的な繊毛ビート運動をすることが分った。カルシウムイオンのある濃度の範囲内で,右周りまたは左周りの定常的運動をすることから,ガードル状に生えた繊毛の隣同士のあいだに情報伝達の構造があることが示唆された。(2)我々はカルシウムイオンのみで収縮することが分っているツリガネムシのストークの運動を高速ビデオ(最大秒1000フレームまたは45000フレームの装置,後者はホトロン社製)で撮影し,運動状態を解析した。研究材料としては,生きたボルチセラと2種のズーサムニウム(一方は巨大ズーサムニウムで,デンマークの水蓮池の水蓮の葉の裏側に付着,もう一方のは真鶴半島の沖の海で漂流)を用いた。ボルチセラのストークは約8ミリ秒で収縮を完了するのに対して,ズーサムニウムの場合には,約3ミリ秒で収縮を完了する。したがって,イーストマンコッダク社製の高速ビデオでは運動を追跡できないことが分った。ホトロン社製の秒1当たり4500フレームまたは,9000フレームの高速において,ボルチセラのストークの収縮を録画した。画像を解析した結果,ボルチセラのストークの収縮は虫体にストークスの摩擦があるスプリングの運動方程式にうまく一致した。スプリング定数は2ミリ秒まで増加し,その後は一定となった。この結果は虫体の膜興奮によって,カルシウムイオンがストーク中の収縮性繊維スパズモネームに拡散し,虫体に近い部分のスパズモネームが活性化収縮を起こし,2ミリ秒後にはスパズモネーム全体が収縮可能状態になるとして説明できる。