2025/09/01 更新

写真a

オオタ ヨウヘイ
太田 洋平
所属
附属機関・学校 本庄高等学院
職名
教諭
 

特定課題制度(学内資金)

  • 準ホップ代数のハイゼンベルグダブルの五角関係式について

    2024年   鈴木 咲衣

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    2024年度は Heisenberg double が,Hopf algebroid 構造を持つことと,Lie-Rinehart代数の普遍包絡環がHopf algebroid 構造を持つことの関係に着目して研究を行った.結果として,sl_2 の borel 部分代数 b_+に標準的な Lie 双代数構造を入れたものから作られるHeisenberg double H(U_h(b_+)) の場合にこのHopf algebroid 構造を具体的に書き下すことができた.またあるLie-Rinehart 代数Hb+ に対してその普遍包絡環がH(U_h(b+)) の古典極限となることを示した.この結果を富山大学での研究集会で発表した.具体的な内容は以下のとおりである. Lie-Rinehart 代数に対して,Lie 代数と同様にその普遍包絡環が定義される.Lie 代数の普遍包絡環はHopf 代数となるが,Lie-Rinehart 代数の普遍包絡環は Hopf algebroid 構造を持つことが知られている.Lie 双代数gに対して,その普遍包絡環の量子化のDrinfel'd double はgから構成されるLie 双代数Dg の普遍包絡環の量子化と同型である.この構成のHeisenberg double における類似として,sl_2のborel 部分代数b_+に対して,Lie-Rinehart代数Hb_+を構成し,その普遍包絡環の量子化がb_+の普遍包絡環の量子化のHeisenberg double と同型となることを示した.この結果が一般のLie 双代数に拡張可能であるかどうかが次の課題である.

  • 準ホップ代数を用いた三次元閉多様体の量子不変量の構成

    2023年   鈴木 咲衣

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    2023年度は Hopf 代数HのDrinfel’d double D(H) において定義される様々な概念をHeisenberg double H(H) においても定義することを目標に研究を行った.Lie 双代数 g の普遍包絡環U(g) の量子変形であるU_h(g) のDrinfel’ddouble D(U_h(g)) は g のManin tripleDg の普遍包絡環 U(Dg) の量子変形となっている.D(U_h(g))の普遍R行列はQuantum Yang-Baxter equation(QYBE)を満たし,これを用いて量子不変量を構成できるが,この普遍R行列Rに対応するものとして,Dg に古典r行列rが定義でき,こちらはClassicalYang-Baxter equation(CYBE)を満たす.Heisenberg doubleH(U_h(g)) はQYBEの類似であるHopf equation(HE)を満たすが,H(U_h(g)) においてDg や rに対応するもの(これらをHg,sとする)は知られていない.これらの適切な定義を探すため,文献調査を行った.有限次元Hopf 代数 のHeisenberg double は一般にHopf algebroid 構造を持つ [Lu95] が,Lie 代数の一般化であるLie-Rinehart 代数Lに普遍包絡環U(L)が定義できるため,Lie双代数 g のHeisenberg double Hg をLie-Rinehart 代数として定義することが自然ではないかと考えた.Lie-Rinehart代数やHopf algebroidに関する知識が殆どなかったため,これらについて詳しく書いてある論文[CG15],[Ra22]を読み,これらの概念を吸収した.来年度は具体的なLie 双代数 g に対して Hg や s を構成することを目標としたい.[Lu95] Jiang-Hua Lu, “Hopf algebroids andquantum groupoids.” International Journal of Mathematics 07(1995), pp. 47-70.[CG15] Sophie Chemla, Fabio Gavarini, “Dualityfunctors for quantum groupoids.” J. Noncommut. Geom. 9 (2015), no. 2, pp.287–358[Ra22] Eslami Rad, A. “Lie Bialgebroid of Pseudo-differential Operators.” JNonlinear Math Phys 29(2022), pp. 869–895.