2024/12/21 更新

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ササキ トモアキ
佐々木 智章
所属
附属機関・学校 高等学院
職名
教諭

所属学協会

  •  
     
     

    日本移民学会

  •  
     
     

    日本地理教育学会

  •  
     
     

    日本地理学会

研究分野

  • 地理学   地理教育 / 人文地理学
 

論文

書籍等出版物

  • 地理探究(高校教科書)

    ( 担当: その他)

    東京書籍  2023年

  • 地理総合(高校教科書)

    ( 担当: その他)

    東京書籍  2022年

  • 新しい社会 地理(中学校教科書)

    ( 担当: 共編者(共編著者))

    東京書籍  2021年

  • 新しい社会 地図(中学校教科書)

    ( 担当: 共編者(共編著者))

    東京書籍  2021年

共同研究・競争的資金等の研究課題

  • ブエノスアイレス近郊の日系農家による花卉栽培の展開

    日本地理学会  斎藤功研究助成

    研究期間:

    2019年04月
    -
    2020年03月
     

  • アルゼンチンの日本人移住地における農業の展開とその教材化

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 奨励研究

    研究期間:

    2018年
     
     
     

    佐々木 智章

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    【研究目的】
    花卉栽培が盛んに行われているブエノスアイレス近郊のラプラタ、ウルキッサの日本人移住地を対象に日系人の活動を調査し、その結果を高等学校地理Bの地誌学習に活用するための方法を検討した。
    【研究方法】
    ブエノスアイレス市の日系団体、ラプラタ・ウルキッサ移住地の日系農家を対象に農業を中心とした活動の変遷について聞き取り調査や資料収集を行った。なお、現地調査は2018年8月15日から8月25日に行った。また、現地調査で得られた成果をもとに教材を作成し、2018年11月に高校地理Bのラテンアメリカの地誌学習に利用し、その効果を検討した。
    【研究成果】
    現在、ラプラタ・ウルキッサ移住地の周辺には約300世帯1000名の日系人が生活している。1960年代が移住者の多い時期であり、花卉栽培の景気の良さからパラグアイやボリビアなど他の国から再移住した人も多く含まれている。聞き取り対象者には、日本や他国において花卉栽培を経験していた人は皆無で、先に移住していた農家に従業員として入ることでそのノウハウを身に付けた人ばかりであった。品種は、1970年代後半まではカーネーションが主だったが、その後カーネーションの病気が流行したため、各農家の戦略で多様な品種を栽培するようになった。1990年代には日系人が中心となり花卉市場を設立し、現在130軒の会員がその市場で花卉や鉢で栽培している観葉植物などを販売している。市場を訪れるのはラプラタ市周辺で小売業を営む非日系の業者である。また、日系の販売戦略によりバレンタインデーに花を贈る習慣が定着した。これは、日系人の取り組みがホスト社会の文化や習慣に影響を与えた事例であり、ブラジルやパラグアイとの共通点とも言える。高校の授業においては、移住や花卉栽培の変遷、経営戦略などに関する聞き取りの様子を動画で紹介したり、写真で説明したりした。生徒の感想からは、日本との意外なつながりに興味を示すものが多く、学習における興味付けに効果があることを示唆する結果となった。

  • 南米の日本人移住地における持続的農牧業の展開とその教材化

    日本学術振興会  科学研究費助成事業 奨励研究

    研究期間:

    2017年
     
     
     

    佐々木 智章

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    【研究目的】
    世界有数の生産量を誇るパラグアイ共和国の大豆栽培は、1980年代に日本人移民が「不耕起栽培」と呼ばれる農法を導入してから拡大・発展してきた。一方、大豆栽培の拡大は森林伐採の一因にもなり、パラグアイにおいても森林保護に対する視線は厳しくなっている。このような中、日本人がどのような対策を講じているのかを調査し、そこから得られた成果を中等教育段階の南アメリカ州の地誌学習に活用し、効果的な教材のあり方について検討することが本研究の目的である。
    【研究方法】
    不耕起栽培発祥の地で、環境保護対策において新しい動きがみられる南部のイグアス移住地、開設時期や高知出身者が多いなどイグアス移住地と複数の共通点がみられる南部のピラポ移住地を訪問し、日本人会・農業協同組合・各農家などからの資料収集や聞き取り調査を行なった。なお現地調査は2017年8月25日から9月4日に行った。
    また、2018年2月に中学地理の南アメリカ州の学習において、作成した教材を利用した授業を行なった。
    【研究成果】
    イグアス移住地では、植林活動のほか、肉牛の処理施設の運営など日本人会や農業協同組合による大豆栽培以外の動きがみられた。ピラポ移住地でも農業経営の中心は大豆栽培であったが、環境保護政策等においてイグアス移住地ほどの顕著な取り組みは見られなかった。以上のようなパラグアイ国内の日本人移住地の共通点や相違点の一部が明らかになった。
    中学の授業では、森林を保護するための政策を考えさせた後に、実例としてイグアス移住地の取り組みを紹介した。政策として「植林」を挙げる生徒が多かったが、それらが実際に行なわれていることを知り、自分たちの考えが実際の政策と乖離したものではないことを実感させる一助となった。

Misc

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特定課題制度(学内資金)

  • 地理的事象の複雑なつながりを理解するための学習方法の検討~農業遺産を事例にして~

    2023年  

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    地理学習で取り扱う事象は、自然事象から人文事象までと幅広い。またそれらが有機的につながることで地域的な特徴を見出すことができる。一方で複雑な事象のつながりをいかに理解するかは中等教育段階の地理学習における大きな課題である。そこで本研究では様々な事象のつながりを理解させるための方法について農業遺産を事例にして検討した。検討のために現地調査を行った宮崎県宮崎市の「干し野菜と露地畑作の高度利用システム」を教材として利用した。実践では、この農業遺産の概要について農業遺産の登録に関わった行政の方からご説明いただき、その後にさまざまな事象のつながりについて補足説明した後、生徒がまとめた文章を計量テキスト分析のソフトである「KH Coder」で数値化、視覚化した。その結果は以下の通りである。 まず、成果としては多くの生徒が「大根」を中心にまとめる中で、「環境」や「循環」とかかわっていることに気付いていた。また、農業遺産を構成している「ツバメ」や「竹」に言及する生徒も多かった。このことから、農業遺産と自然環境とのつながりについてはある程度理解させることには成功した。反対に人文事象について言及が少なかったことが重要な課題として挙げられる。特にこの地域の農業遺産の構成要素の中でも「畜産」は極めて重要なものであるが、出現の回数は非常に少なかった。同時に「文化」への言及もほとんど見られなかった。農業と強くかかわるのは自然事象であるという意識が生徒にもとよりあることがこの要因として推察される。したがって、今後地理学習において複雑なつながりを理解させるためには、中心となる事象から離れた、一見関係がないように思えるような周辺の事象を強調したり、丁寧に説明したりすることが重要になると考えられる。 こうした点を今後の教材作成に活用していく予定である。さらに、所属の研究会や学会等で報告することで助言を賜っていきたい。

  • 地理総合の「地球的課題と国際協力」単元における農業遺産の活用に関する研究

    2022年  

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    地理総合において農業遺産をどう活用するか検討する土台として、九州地方の2つの地域の農業遺産の中核となる循環型農業の現状と課題について現地調査を行った。阿蘇地域では、カルデラ斜面の草地から得られた堆肥を利用し、低地で畑作が行われている。この堆肥を利用した農作物には「草原再生シール」を貼って販売しているが、活動に参加する組合員は20件程度と少なく、知名度は高くない。宮崎市の田野・清武地域では、農家の平均年齢は60歳弱であるが、農家にとっては農業遺産からの大きなメリットはなく、個々の農家の努力によるところが大きいと言える。以上のことから、両地域では現地において循環型農業を担う人々にどう農業遺産のメリットを還元していくかが重要な課題と言える。この点を次年度の教材作成に活用し、所属学会等において助言を賜る予定である。

  • 地理総合の生活文化の単元における農業遺産の活用に関する研究

    2021年  

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     本研究では、農業遺産を新課程である地理総合の「生活・文化の多様性と国際理解」においてどう活用するかを、2021年の5月に公開された教科書の分析をもとに検討した。 教科書分析では、中項目「地球的課題と国際協力」における農業についての記述から、農業遺産を扱う際の重要な示唆を得ることができた。地理的な見方・考え方の一つである「人間と自然環境の相互依存作用」が重視されている点である。農業ではなく、伝統文化を切り口に「伝統行事は、自然環境からどのような影響を受けているだろうか」等の問いを設定する。その上で農業については、関連付けて考察することで、農業遺産を構成している複雑な要素について理解することが可能になる。

  • 地域資源を活かした地域づくりの高等学校新課程「地理探究」への活用法に関する研究

    2020年  

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    沖縄県国頭郡国頭村内にある共同売店の機能を明らかにし、それらを授業に生かす方法を検討した。   国頭村内に現存している共同売店は12件で、この5~6年の間に閉鎖した店舗が5件で減少傾向にある。12件中11店舗は、共通して食料品や日用品などを扱っており、一部では、字費の徴収、茶の製造、宅配物預かりなど、販売以外の機能もみられ、区内の住民が集まりやすいよう椅子やテーブルを設置する店舗もみられた。経営に着目すると、多くが個人への委託となり、村外からの移住者が運営している店舗もみられた。  こうした共同売店をどう運営していくか、地域内にある他の資源とどう結びつけるかなどを高校生に考えさせることも可能である。

  • 新科目「地理探究」における日本の国土像学習に関する教材開発

    2019年  

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      高等学校の新学習指導要領の「地理探究」における「持続可能な国土像の探究」(以下、国土像学習)単元を充実させるための授業展開および教材のありかたについて検討を行った。 検討のために、過疎化や地域づくりをテーマとし、高校3年生を対象とした自由選択科目において、受講者それぞれが地域資源を掘り起こす授業を展開した。 全員の発表が終了した段階で、多くの地域資源に共通する点を問い、この質問を分析すると「地域にとって一見デメリットだと思われるもの」という趣旨の回答を多く得ることができた。高齢化率が世界一で、自然災害も頻発する日本では大変重要な点であり、国土像学習を行う上で重要な素材となり得ると推察される。

  • 過疎を主題とした高校地理B日本地誌学習の開発

    2018年  

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    次期高等学校学習指導要領地理探究における「現代日本における国土像」の単元を念頭に、高校の日本地誌学習の展開を検討することを目的とした。検討のため、島根県奥出雲町での現地調査をもとに教材作成を行った。奥出雲町は近世以降「たたら製鉄」で発展した地域で、これらを活用するための様々な取り組みを行っている。それらは、地域住民の誇りや観光客を集めるための要素にもなっている。一方で、観光客を呼び込むために十分な案内や、駐車場などが確保できていないことなどが明らかになった。現地調査での成果を基に、奥出雲町の地域資源を構成する要素は何かを考察させるための教材を作成した。実践は2019年度に行う予定である。

  • 地域資源を活用した中学校日本地誌学習の教材開発

    2017年  

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     過疎地域における様々な取り組みの実態を調査し、中学校社会科地理的分野の日本地誌学習に活用することを目的に研究を行なった。 現地調査では、深刻な人口減少の問題を抱える高知県大川村と同県馬路村を訪れた。大川村では農産物の販売・学校給食の供給・観光発信・住民の暮らしの支援などを行なう「集落活動センター結いの里」と、地鶏の飼育・販売を行なう「むらびと本舗」で聞き取り調査を、馬路村では、ゆずの加工・販売を行なう馬路農業協同組合と、魚梁瀬杉の間伐材を利用した製品の加工を行なう「エコアス馬路村」で聞き取り調査を行なった。いずれも地域のブランド化や、地域住民の誇りの醸成にもつながる取り組みであり、移住者によって支えられているという共通点も見出すことができた。 調査で収集した動画を含めた資料については、中学校の日本地誌の“中国・四国地方”の単元に位置づけることを意識し教材化を試みた。実践は2018年度中に行なう予定である。

  • パラグアイ共和国イグアス移住地における持続可能な農業の展開

    2015年  

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     2014年、2015年の現地調査をもとに、パラグアイ共和国のイグアス移住地における日本人移民の農業経営を教材にして授業を展開し、研究成果の少ない南アメリカの地誌学習の展開について検討を行なった。 大豆の大規模栽培を中心に発展してきたイグアス移住地でも、環境保護意識の高まりによって農地の拡大は難しくなっている。こうした状況に対して、日本人農家は組織的に植林活動を行い、営農と環境保護の両立に努めている。高校3年生における南アメリカの地誌学習の一部として、現地調査で得られたインタビュー動画、写真、図などを教材とし、2時間の授業を構成した。その結果、南アメリカと日本との関係を意識させることができ、地球的課題であるブラジルの熱帯雨林伐採についてより深く考えることが可能になったと思われる。 一方、授業は南アメリカの地誌学習の一部として構成したが、事例はパラグアイのイグアス移住地である。ブラジル、ペルー、ボリビアなど他の日本人移住地等での調査も行い、より広いスケールでの日本人移民の役割について検討すべきであり、こちらは今後の課題としたい。

  • パラグアイ共和国イグアス移住地における持続的農業とその教材化

    2014年  

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    パラグアイ共和国の日本人移住地の一つであるイグアス移住地では、1960年代の入植開始以降、農地面積を広げ大豆中心の大規模な農業経営を行ってきた。環境保全に対する意識がパラグアイにおいても強くなっている中で、日本人移住者の農業経営が近年どのように変化しているのかを明らかにし、中等教育段階での南アメリカ学習を充実させるための考察を行うことが本研究の目的である。現地調査では、農地の拡大が望めない中で、畑作に加えて牧畜を行なったり、新しい農法に挑戦したりする農家があらわれ始めていることが分かった。こうした取り組みは、環境保護という外圧の影響も大きく受けているといえるが、移住者の開拓精神によるものとも考えられる。授業では、森林と農地が混在する土地利用の状況から、粗放的な農業について理解させるとともに、環境問題と私たちとの関わりについて考えさせ、日本人移住者のこれまでと新しい取り組みに関して今回の調査で撮影した動画を用いて理解させたい。日本からは物理的にも精神的にも遠い地域であるが、こうした内容によって関心の高まる、また知識だけでなく、地理的な見方や考え方・公民的な資質を養うことの可能な授業が期待できる。一方、本研究では、実際に授業を行いその結果を明らかにすることはできなかった。来年度の課題としたい。

  • パラグアイ共和国イグアス移住地における日本人農業社会の地域との関わり

    2013年  

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    申請者は、2000年代前半にパラグアイ東部のイグアス移住地における現地調査から、日本人移民による大規模な大豆の不耕起栽培がパラグアイの大豆増産に貢献したこと、このために他の地域への転住者から取得した土地が大きな役割を果たしたことを明らかにした。しかし、その後のおよそ10年間で世界的な環境保全に対する意識はますます高まり、パラグアイ人による日本人所有の土地の不法占拠問題もあり、日本人移民を取り巻く状況は変化している。こうした中で、移住地の日本人農業社会がホスト社会とどのような関係を保ち存続しているのかを明らかにするのが本研究の目的である。 現地調査では、以前の調査で得られた資料をもとにし、日本人農家への聞き取りを行なった。不耕起栽培による大豆栽培中心の経営は継続されていたが、環境保全を目的に森林伐採が厳しく規制されており、土地の拡大が難しくなっているのが現状であった。しかし、植林を進めている農家や、大豆の他に肉牛の肥育を行なう農家も増加していた。日本人会やその一機関である地域振興協会では、ホスト社会との関係を中心に聞き取りを行なった。それによると、農家レベルでの取り組みと同様に、植林活動が活発になっていた。この活動では、日系企業との連携で整備された育苗場で育てられた苗を使用し、一部は移住地内に居住するパラグアイ人にも提供し、森林育成や木炭をつくるための指導も行なわれている。環境保護や単純な収入だけではなく、長期的な視野で収入を得る意識も育てたいということも活動のねらいである。このようにして、経済格差が大きいことによるホスト社会との摩擦回避の努力が行なわれていた。 農家・日本人組織に共通していえることは、植林活動が活発になってきたことである。こうした活動には、環境保全への対策、ホスト社会との摩擦回避など多様な意味が含まれているが、イグアス移住地の日本人農業社会を取り巻く外圧によって生まれてきたものに他ならない。今回の調査で行うことのできなかった、植林面積の変化については今後の課題とし、中等教育段階の地理における地域学習への活用の可能性を探っていく予定である。 なお、本研究の成果は、地理教育関係の学会や中等教育段階の地理に携わっている教員の研究会で発表する予定である。

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