2024/03/28 更新

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ヒバラ ノブヒコ
樋原 伸彦
所属
商学学術院 大学院経営管理研究科
職名
准教授
学位
博士
 

論文

  • 1H07 事業化支援を担うテクノロジーインキュベータ創出のための政策対応 : イスラエル,シンガポールでの経験(研究・イノベーション政策(1),一般講演)

    竹岡 紫陽, 樋原 伸彦

    年次学術大会講演要旨集   30   218 - 224  2015年10月

    CiNii

共同研究・競争的資金等の研究課題

  • イノベーション・エコシステムにおけるハイブリッド・ファンド政策の機能及び効果

    研究期間:

    2019年04月
    -
    2022年03月
     

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    科学技術イノベーションの創出のプロセスにおいて、どのように資金提供・配分するかは極めて大きな課題である。科学技術への資金提供の最初段階では純粋な研究プロジェクトへの資金提供の機会が用意されており、より進んだ開発の段階ではR&D、更にはPOCへの資金提供が行われる。この段階になると、公的資金だけではイノベーション・プロセスが円滑に回らなくなり「死の谷」に直面する。これを克服する可能性のあるのが「ハイブリッド・ファンド政策」だ。本研究では、「ハイブリッド・ファンド政策」のパフォーマンスを国際比較も交えながら数量的に測定し、本政策の機能及び効果を明らかにし、政策的含意も明確にする。本研究は、日本語で言う「官民ファンド」が、特にテクノロジー・スタートアップ企業の設立、成長、その後のパフォーマンス、にどのような影響を与えるのかを国際比較を交え実証的に明らかにしようとする試みである。「官民ファンド」と言うと多義的であるため、本研究では、公的資金と民間資金が意味のある割合で拠出され、テクノロジー・スタートアップのみが資金提供の対象となる、狭義の「ハイブリッド・ファンド」を研究対象とする。ハイブリッド・ファンドがこれまで最も成功したのはイスラエルであることから、本研究では、まずはイスラエルとの関係構築を進めている。イスラエル政府で科学技術及びイノベーション政策を担当するInnovation Authorityの官僚及びヘブライ大学の研究者と2019年9月にテレコンファレンスを行い、問題意識の共有とイスラエルでの経験が日本に輸出可能なのかの議論を行った。また、2019年12月にはイスラエルを研究訪問し、イスラエルのスタートアップ企業とVCファンドのデータの更なる入手に関して、テルアビブ大学の研究者、企業ミクロデータ及びテクノロジー・シーズ・データを蓄積しているStart-up Nation Centralという機関の担当者と協議を行うことが出来た。その時の助言をもとに、イスラエルのスタートアップ企業関連のデータの整備が現在進んでいる。また、ハイブリッド・ファンドが置かれているエコシステム(Entrepreneurial Ecosystem)の状況が制約要因となるのか促進要因となるのか、も把握する必要がある。本年度は、特にライフサイエンス・セクターのエコシステムに関する知見が蓄積し、更に、その内容を発信をする場にも恵まれた。エジンバラ大学、政策研究大学院大学(GRIPS)、早稲田大学イノベーション・ファイナンス国際研究所などで、情報発信を行うことが出来た。研究初年度として、日本及びイスラエルのスタートアップ企業及びVC のデータ・セットの整備を進めている。研究計画にある通り、イスラエルについてはIVC Research、日本についてはentrepedia(現initail)からのデータ抽出から始めたが、2019年12月のイスラエル訪問によって関係が出来たStart-up Nation Centralが運営するStart-up Nation Finderに蓄積されているデータへのアクセスを現在協議中である。また、日本の企業データについても、initail以外のデータ・ソースについても探索している。まだ数量的な分析結果は出ていないため、論文等の形での成果発信には至っていないが、コンファレンス等での発信は初年度ながらいくつか行うことが出来た。エジンバラ大学では、日本の製薬セクターのエコシステムについて発表。またエジンバラ大学と政策研究大学院大学(GRIPS)共催の国際ワークショップに招聘され、”Emerging Life Science Ecosystem in Tokyo”と題して研究発表、及びパネル討議に参加した。イスラエルのヘブライ大学及びInnovation Authorityとは”Israel-Japan Biomedical R&D Policy and Program”と題したテレコンファレンスを実施。2019年12月にはテルアビブ大学及びヘブライ大学の研究者と共同研究及びデータ収集の議論を行った他、現地のVC、Start-up Nation Central、KPMG等々からも情報収集を行った。この訪問の成果を中心に、早稲田大学イノベーション・ファイナンス国際研究所で「イスラエル・エコシステム~Start-up Nationの最前線」というタイトルのコンファレンスで講演した。引き続きデータ整備に注力し、できれば今年度中にPreliminaryであっても数量的分析結果を得たいと考えている。データ整備については、イスラエル及び日本双方の企業データのソースを少し拡充することを計画している。コロナ渦の影響で、現在(2020年6月)時点では海外出張はままならない状況ではある。コロナ渦以前はイスラエルでの学会発表及び研究滞在を本年度は計画していたが、少しずれ込みそうである。もちろんコロナ渦の今後の状況によるが、2021年1月ぐらいからはイスラエルに研究滞在できればと考えている

  • CVC投資と事業会社の内部資本市場の効率性との関連性について

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2014年04月
    -
    2017年03月
     

    樋原 伸彦

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    本研究では、日本企業のCVC投資活動に関して、定量的及び定性的な分析を行った。定性的な分析では、日本企業の様々な組織特性及び行動特性がCVC投資のありように影響を与えていることが確認された。また、定量的な分析では、日本企業の内部資本市場の効率性とCVC投資の関連性を分析したが、CVC投資は内部資本市場の効率性以上に、Tobin's Qによる影響が大きいことが示唆された。次のステップとして、日本企業のイノベーション度の変数も加えて、今回示唆されている結果を確認したい。また、CVC投資活動の影響はその企業自身にとどまらず、その企業が活動するエコシステムとの相互作用の可能性も示唆された

  • 関西バイオクラスターにおける研究開発ネットワークの構造進化と事業化能力の国際比較

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2010年04月
    -
    2013年03月
     

    若林 直樹, 金井 一頼, 西澤 昭夫, 依田 高典, 山田 仁一郎, 陳 韻如, 仙石 慎太郎, 仙石 慎太郎, 稲垣 京輔, 樋原 伸彦

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    日本のバイオクラスターは、その成長に積極的な産学連携政策がとられてきたものの、欧米に比べると研究成果を地域で事業化する能力が低いとされる。本研究は、関西バイオクラスターを対象にしてこの問題を検討した。共同特許に見られる研究開発ネットワークの構造は、経時的なネットワーク分析によると有力な大学・研究機関をハブとするものに転換していた。だが、国際比較すると、中央政府を中心とする産官連携が発達していたが、地域内での横の大手企業、 有力大学=中小企業間の連携が弱く、地域的な事業化の仕組みの発達が順調ではない面が見られる

  • 日本の資本市場の変革に伴う企業価値評手法の再検討

    日本学術振興会  科学研究費助成事業

    研究期間:

    2007年
    -
    2010年
     

    堀 敬一, 赤堀 次郎, 小川 重義, 秦 劼, 樋原 伸彦, 山田 俊雄

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    本研究課題では、日本の金融市場の制度的特徴を考慮しながら、企業価値の評価手法に関する再検討を行った。理論的な側面からは、制度改革によって、より適切なリスク・マネージメントやコーポレート・ガバナンスが企業価値を改善しうることを示した。また実証的な側面からは、1990年代の経験を踏まえ、2000 年代には日本の企業や銀行が企業価値を高めるような財務上の意思決定を行っていることも明らかにした

 

現在担当している科目

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他学部・他研究科等兼任情報

  • 附属機関・学校   グローバルエデュケーションセンター

特定課題制度(学内資金)

  • CVC投資とエフェクチュエーション・ロジック

    2022年  

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    エフェクチュエーション・ロジックとCVCについて研究を進め、2022年11月14日、15日にイタリアのナポリで開催された国際学会(Effectuation 2022)で研究成果を発表した。この国際学会は年に一回、全世界のエフェクチュエーションの研究者が一堂に会し、エフェクチュエーションに関連する研究発表を行うものである。今回の本研究者の発表タイトル は、"Theorizing Effectuation Principles by Case-based Decision Theory"で、エフェクチュエーションの行動5原則を、意思決定理論の一つであるCase-based Decision Theoryから説明を試みるものであった。それに加えて、企業のCVC活動をエフェクチュエーション・ロジックから説明する研究も進め、2023年には研究成果が著書として刊行される予定になっている。

  • イスラエルにおけるVCの創出及びそれに伴う企業セクターのミクロ行動の変化の分析

    2012年  

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     2013年2月にイスラエルを訪問しベンチャーキャピタリスト、起業家、政府関係者、研究者などにインタビューを実施。特に、1990年代初頭に政府の資金サポートによるVC育成ファンド・プログラム(Yozumaプログラム)がITCセクターの発展に大きく寄与したことを踏まえ、類似の政府プログラムが、バイオ、製薬などのLife Sciences Sectorのセクターでも今後の発展に寄与できるかどうか、が一番重要なインタビューでの質問となった。Life Sciences向けの政府ファンドも、Yozumaファンドとその構造は似通っているものの、そのバイオ向けの政策イニシアティブはまだ実施されて日が浅い。その政府サポートの対象として認証されたファンド会社3社のうち、まだ1社しか民間LP(民間のファンドへの出資者)から、必要とされる最低水準のファンド額を調達できておらず、これら3社の投資ファンド(政府サポートのついたいわゆる「ハイブリッド・ファンド」)のLife Sciences セクター創出に向けての影響はまだ不透明である。しかしながら、インタビューでは、多くの関係者が、ICTセクターとLife Sciencesセクターの差異をよく認識しており、Life Sciences向けの新たなファイナンス手法の開発に非常に積極的だったことが印象に強く残った。 インタビューと並行して、イスラエルの企業データの入手も開始することができた。特にITCセクターにおける、グローバル企業とイスラエルのITCベンチャー企業の関係性に焦点をしぼり、Yozumaプログラムを契機としたITCセクターのイスラエルにおける急速な発展が、ミクロ的にどう進んでいったのかについてのフォーマルな研究成果が期待される。また、そのITCセクターでの企業間関係がLife Sciencesセクターでも発生しうるのかという点も、極めて大きな実際的な課題である。それに関連して、大企業がこのようなemerging eco-systemにおいてどのような役割を求められるべきなのかの考察も行っている。特に、大企業の外部への新規投資機能(いわゆる、コーポレート・ベンチャー・キャピタルなど)についても考察中である。