2024/04/19 更新

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イナガキ ジュンヤ
稲垣 淳哉
所属
附属機関・学校 芸術学校
職名
准教授(任期付)

経歴

  •  
     
     

    早稲田大学 理工学術院   助手

 

共同研究・競争的資金等の研究課題

  • -

 

現在担当している科目

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他学部・他研究科等兼任情報

  • 附属機関・学校   グローバルエデュケーションセンター

特定課題制度(学内資金)

  • 学校建築研究 先進的・都市型・脱施設的・ネットワーク型教育環境に関する学校制度・空間研究

    2007年  

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     本年度の研究活動は、島根県雲南市における、私が所属する古谷研究室が内閣府より受託した「全国都市再生モデル調査2007」と並行して進めたものである。この受託研究は、「島根県雲南市における公有施設等の有効活用にかかわる可能性調査」として、市全域において実施した。平成16年に6町村の対等合併を経て、少子高齢化の進行する中山間地域において、余剰する公有施設の利活用及び、利活用を前提とした公共施設計画は非常に切実なものとなっている。島根県雲南市役所政策推進課の協力の元、8月に実施した120公有施設の実地調査から、冬期まで数度に渡り追加調査を行った。 上述の雲南市での調査・研究は、公共施設全般を対象としているが、少子化の加速度的な進行により、小学校(閉校、廃校)の活用の検討は、非常に大きな部分を占めた。市内に25校ある小学校は全て調査対象であり、特に旧掛合町における今年度5校同時閉校、1校への統合化は、より重要な研究対象となった。 市町村合併以前に、少子化と教育水準の向上などのメリットから、既に決定していた統廃合について、今後閉校となる校舎の有効活用の検討のみならず、「統廃合」という現象による、児童から地域住民にまでの生活への変化に注目した。具体的には、児童の「校外活動」と呼ばれる、学校敷地外で実施される様々な活動や、児童数の少なさと多人数・多世代コミュニケーションの欠如から、行政区(旧町村)を超えて行われる学校間交流、児童の広域的な学習環境と同期し、広域化している地域住民の生活、一方小学校の存在を中心として担保されたローカルコミュニティなどである。 今年度は、閉校直前ということで、各小学校の児童とその父兄に対して、生活圏域のアンケート調査を実施した。これにより、市町村合併後から小学校統廃合前という過渡期に、広域に膨張する中山間地域の生活像と、ローカルなコミュニティの存在が辛うじて均衡している状態をみることができた。また、ここからは、統合後の変化などを想像することも可能であり、古谷研究室修士2年の田中亜矢子による、2007年度修士計画「拡張型小学校研究」において、一校への統合をせず、5校が一群として共存する新たな学校モデルが提案されており、現実に予想されるデメリットを払拭し、現況のローカリティの保存と、合理的な拡張型の生活の共存が目論まれている。 次年度以降は、いよいよ統合した雲南市掛合地区の小学校を対象に、統合後の児童の生活の変化と、その多世代への波及について調査を計画している。 また、閉校となった校舎等の具体的な活用の計画や実現についても、進めていく準備を整えているところである。