本研究は、高純度の擬多形結晶を選択的に回収するプロセスを確立することを目的として、結晶中への不純物の取り込み機構および最適な精製メカニズムについて検討したものである。対象結晶に擬多形を有する硝酸塩を選択し、精製プロセスとして冷却晶析と融解晶析を組み合わせることにより結晶の高純度化と不純物の分離挙動を検討した。不純物の選択は液体と固体の状態の異なる不純物を選択することで、結晶との分離性に及ぼす影響の相違を評価した。液体不純物は結晶内部に母液として取り込まれるもので、固体不純物は結晶表面に固体として存在するものである。研究により、溶解度と多成分の溶質との関連性、溶解度と溶媒との関連性が調査され、溶解度が不純物の状態に影響することが見出された。また、融解晶析による精製プロセスが無機水和物に適用可能であること、不純物の状態により結晶が精製される挙動が異なることをそれぞれ見出した。融解晶析操作における無機水和物中の不純物の分離挙動は、液体不純物が融液の接触に伴い除去され、固体不純物が攪拌操作と融液の流れにより除去されることを明らかにした。本年度の主な研究成果は、融解晶析による固体不純物の分離に重要な因子として融液の流れと攪拌操作および不純物の粒径を見出し、また固体不純物の晶析挙動について研究したことである。代表的な業績は、2010年度に開催された国際学会(International Workshop on Industrial Crystallization)および国内学会(化学工学会、分離技術会等)で発表され、査読付き学会誌に(Chemical Engineering and Technology等)において纏められた。
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