Updated on 2024/04/19

Affiliation
Affiliated organization, Waseda University Senior High School
Job title
Teacher (Affiliated Senior High School)
 

Syllabus

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Sub-affiliation

  • Faculty of Education and Integrated Arts and Sciences   School of Education

  • Faculty of Letters, Arts and Sciences   School of Humanities and Social Sciences

Internal Special Research Projects

  • イタリア北部の産地構造研究における産地地図の作成

    2014  

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    日本とイタリアの地場産業産地の産地構造の比較研究のために、今年度はToscana州の産地に関わる統計データの整理を行い、特にPratoの繊維産地に関するデータを整理した。繊維産地であるPratoは1990年代以降中国系移民が急増し、経営部門への進出が注目されている。欧米研究者による移民経営者に関する研究蓄積を参考に統計データを整理し、今後の再開予定の実態調査の基礎資料として一定の成果をあげた。

  • イタリア産地構造研究における産地地図の作成

    2013  

     View Summary

     本研究はイタリアの地場産業地域における産地構造の実証研究のために、統計のデータの整備とその地図化を目的とする。申請者はこれまでに地場産業地域の産地構造研究を重ね、産業の発生と存続に関する地域的特性に着目してきた。製造業がグローバル化するなか、日本においては産業の空洞化など、製造業現場の海外移転が続き、地域経済を支えてきた地場産業の行方が注目されている。特に伝統的工芸品産地や高度成長期に発展した地場産業産地は、職人や工業従業者の高齢化や後継者問題を抱え、存続の危機に瀕している産地も少なくない。一方、海外では日本と同じような現象がヨーロッパの工業国イタリアで生起している。地域の独自性が強いイタリアでは、全国的に伝統的工芸品産地や地場産業産地が分布し、地域経済を支えてきた。しかし、1990年代以降、ヨーロッパ経済の東西融合により、イタリア製造業は東ヨーロッパ諸国への進出が盛んとなり、日本と同じく産業の空洞化現象が問題視されている。 申請者は2000年よりイタリアと日本の地場産業産地の比較研究を進め、現地調査を重ね一定の成果を収めてきた。これまでの研究対象地域は、Lombardia州 Lumezzaneの金属製品産地、Comoの絹織物産地、Emilia-Romagna州Carpiのニット産地、Sassuoloのタイル産地、Toscana州Pratoの繊維産地、Piemonte州Biellaの毛織物産地、Furiuli-Venezia州Pordenoneの家具産地等であり、研究成果の一部は学会等において発表してきた。今後はイタリアの繊維産地と家具産地の実態研究をさらに進め、グローバル経済下における、日本とイタリアの地場産業産地の比較研究を計画している。イタリアの地場産業地域の実証研究を行うにあたり、地域的な統計データを活用してきたが、イタリアの工業統計は地域区分が細分化されており、地域的な動向が読みとりやすい。イタリアでは産業に対して行政単位での支援は一般的でないため、産地は行政単位の地名を冠していても行政単位の地名と空間範囲は一致していない。申請者は実態調査により、地場産業の空間的範囲は行政単位のよりも広範囲に構成されていることがわかっている。このことによりイタリアの地場産業産地の特定は曖昧のものとなり、実態把握が正確なものとはなっていない。そこで本研究ではイタリアの地場産業産地に関わる工業地域データを、産地単位で整備し、今後の研究基盤を築くこととした。本年度は主にFuriuli-Venezia州の産地に関する統計データを整備し、その一部を地図化した。

  • イタリア産業地域における統計基礎データの整備と地図化

    2012  

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    近年ヨーロッパ経済が不安定となり、EU圏内における地域的経済格差の問題化は、ヨーロッパ経済のみならず、世界経済へも影響を与えている。ヨーロッパ諸国の経済において製造業が占める割合の高い国、つまり、「ものづくり」が盛んな国は限られている。なかでも産地を形成し、地域経済の循環システムを構築している国としては、ドイツとイタリアがあげられる。特にイタリアは全土にわたって産地が分布し、産業分野の多様性と生産量の様子はドイツのそれとは異なる。かつて、成長著しいイタリアの産業集積地域が「第三のイタリア(サードイタリー)」として注目され、日本の高校地理教科書にも、その語と実態について記述されるようになった。しかし、イタリア全土における産業集積地域の分布状況や、地域的特徴について日本国内ではあまり詳細が伝えられていない。本研究者は2000年から継続してきた現地調査から得た知見をもとに、イタリア産地の地域構造を明らかにすることを研究の目的としている。そこで、ここ数年はイタリアの産業地域研究を進めるための統計基礎データの整備と地図化の作業を進めてき。本年はイタリア全土をベースとした製造業に関する統計の整備と地図化に努め、いくつかの分布図を完成させた。分布図は州レベルだけでなく、市郡レベルでイタリア全土分布図を作成した。その結果、よく知られたイタリア経済の南北格差の様子は、二極対立の単純な構造ではないことがわかった。また、製造業だけでなく農業に関する地図も作成してみると、農業の地域構造と工業の地域構造に関連性があることが鮮明となった。なお、地図の一部を使用して、日本地理教育学会大会において「イタリア産業集積地域の構造」として発表を行った。また、統計の整備はこれまでのデータ蓄積と合わせることで、一部ではあるが製造業の基本数値に関して経年変化を追えるようになった。今後は統計の未完部分、特に経年変化の欠落部分の補充と市郡レベルでの製造業地図の精緻化を課題としたい。

  • 海外産地研究における基礎データの整備と地図化

    2011  

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    本研究は海外産業地域における産地構造の実証研究の成果をふまえて、今後の研究のために基礎データを整備することと、学校教育の地理学習における基礎資料を提供することを目的とする。海外産業地域の産地構造分析の研究蓄積は様々な分野からなされているが、成長地域や成功企業の事例紹介にとどまる一過性の研究が多く、継続的に産業地域の発生メカニズムや発展要因、衰退要因を実証的に研究したものは少ない。申請者はヨーロッパのなかでも多様に地場産業が発展しているイタリアを対象に、2000年より現地調査を重ね実証研究を蓄積してきた。その成果の一部は学会において発表し、高等学校地理教科書にも海外産業集積地域の教材資料を提供してきた。 今後、不安定なヨーロッパ経済における産業地域の動向を観察し報告することは、混迷する日本の産業地域の動向を考察する上でも重要と考える。そのためにも産業に関する統計データの整備は、重要な作業となる。イタリアでは産地は行政単位の地名を冠していても行政単位の地名と空間範囲は一致せず、産地はそれよりも広範囲に構成されている。このことによりイタリアの製造業産地の特定は曖昧のものとなっている。特に近年イタリアの産地はThird Itary(第三のイタリア)と呼ばれる、成長地域が注目され、日本の高等学校地理の教科書にも記述されるほどではあるが、学術的研究においてThird Itaryの地域的範囲については明確にされないまま、おおよそイタリア北部から中部にかけての一部の地域としてか認識されていない。そこで本申請ではイタリアの工業地域データを産地単位で整備し、今後の研究基盤を築くことを目的とした。具体的にはイタリア国立統計研究所 (Istituto Nazionale di Statistica)の統計データを地場産業の産地ごとに再集計し統計データを整理した。さらにその一部を地図化して地理教育に関わる学会等で公表する予定である。

  • イタリア地場産業地域に関する統計データの整備と地図化

    2010  

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    イタリアの地場産業地域の実証研究を行う際に、地域的な統計データの活用は当然であるが、イタリアでは日本の工業統計のような産業データは精密に整備されていない。それは基準となる統計調査が10年に1回しか行われておらず、データの更新頻度が先進諸国の中でも少ないことが最大の理由である。一方、統計は細かく地域区分をしてデータが公開されているので、地域的な動向が読みとりやすい。イタリアでは産業に対して行政単位での支援は一般的でないため、産地は行政単位の地名を冠していても行政単位の地名と空間範囲は一致せず、それよりも広範囲に産地が構成されている。このことによりイタリアの製造業産地の特定は曖昧のものとなり、各々のイタリア企業の姿は日本ではいくらか伝えられているが、それらの地域的な基盤については詳細に報告されていないのが実態である。 そこで本研究ではイタリアの工業地域データを産地単位で整備し、今後の研究基盤を築くことを目的とした。具体的にはイタリア国立統計研究所 (Istituto Nazionale di Statistica)において製造業に関する詳細な統計データを入手し、地場産業の産地ごとに再集計し統計データを整理した。さらにそれを地図化して「イタリア産地地図」作成し、イタリア研究者に広く提供することを試みたい。本年度は産業地域が集中するイタリア北部の各州のうち、主にLonbardia州の産地統計の整理を行った。

  • イタリアの地場産業地域における技術継承に関する実態調査研究

    2008  

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     これまで地域経済を支えてきた、いわゆる地場産業の縮小は日本のみにならず、先進諸国においても深刻化している。とりわけ、後継者問題をはじめ産地の将来を担う人材の欠落が顕在化し、生産工程の欠落を免れない産地も少なくない。また、後継人材の絶対量不足による技術継承の困難も同時に顕在化している。今後も技術者の高齢化かは明白であり、産地と技術の存続のために、いかに技術の継承を行うか、打開策が模索されている。 そこで本研究では地場産業地域における技術継承の持続性について、実態調査をもとに明らかにする。調査対象地域はイタリア中北部の地場産業地域とした。イタリアはヨーロッパにおいても有数の製造業が盛んな国であり、とりわけ地域に定着した産地が全国的に多数存在している。そのなかからFriuli-Venezia Giulia州、Pordenoneの家具産地を調査した。イタリアには主な家具産地が3つあり、対象産地は価格と品質で中級品から高級品の製品群を供給する産地に位置いちづけられ、近年ではロシアなどの新興国への輸出が堅調となっている。技術継承に関しては、産地内の技術継承システムと企業内の技術継承システムが並存して機能していることが明らかになった。イタリアでは行政による産業支援は、州によりそのレベルが異なり、政権交代によりその内容も変化するため、もともと行政へ期待が薄い。そのため、産地内では労働力の教育機関を企業が資金を出し合い運営する産地内技術継承システムが多くの産地ににみられる。また、企業内におていても技術継承のシステムはかなり整備され、効率的に行われるようになり、その実態が本調査によって明らかになった。

  • 重工業地域における循環型工業地域システムの構築に関する研究

    2007  

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     本研究の目的は、鉄鋼業地域における循環型工業地域システムの構築に関して、事例研究を蓄積することにより21世紀の工業地域の姿を明らかにすることにある。具体的には、製鉄所を中心とした工業地域における工業振興の先進地域を調査し、その国際比較を行うことである。 申請者はすでに日本国内における重工業地域の循環型工業地域システムの構築に関して、川崎と北九州の調査を行い、その成果は国際学会(International Geographical Union Commission on the Organization of Industrial Space)にて発表し、この研究論文は学会誌(New Economic Geographies)に掲載された。これは両地域の製鉄所遊休地にリサイクル型の工場が集積することより、いわゆる静脈産業を成立させ、循環型工業地域システムの構築について考察したものである。そこで本研究はヨーロッパの工業国であるイタリアにおける、循環型工業地域システムの構築について実態調査を行い、日本の循環型工業地域システムとの比較を行った。 調査対象地域はプーリア(Puglia)州ターラント(Taranto)の鉄鋼業地域である。実態調査の結果、ターラントは製鉄所を中心とした工業地区と市街地地区は隣接しており、公害問題は大分改善されたものの、住と工の共存にはまだ多くの課題を残していることが明らかになった。地域にとって製鉄所は未だに地域経済の重要な柱であり、共存環境の整備には製鉄所に依存する地域住民の複雑な立場が反映されている。また循環型工業地域システムの構築はあまり進展しておらず、製鉄所の所有者が変更されたことも影響している。イタリア南北経済格差是正の柱の一つとして操業したターラントの製鉄所は、現在でも格差是正という課題解決の期待を担っているものの、循環型工業地域の構築という今世紀工業地域の課題に対しては、日本に比べると多くの課題が未着手であることが明らかになった。

  • イタリア産業集積地域におけるネットワーク形成に関する実態調査研究

    2006  

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     本研究はイタリアの産業集積地において実態調査を行うことにより、いわゆる産地の形成過程をネットワークの構築に着目して明らかにしようとした。地域産業の持続的成長のためにはイノベーションが必要であり、このことが指摘されながらもイノベーションの形成過程を明らかにした実態調査研究は形成過程の検証が難しく、困難なものとされてきた。そこで本研究では、産業集積地域におけるイノベーションがどのようなプロセスで形成されるのか、資本蓄積の異なるイタリアにて実態調査を行うことにより、日本国内の調査研究では困難であったイノベーションの形成過程分析を行い、日本の産業集積研究に新たな視点を提示することを目的とした。 現地実態調査によって、次のことが明らかになった。イタリアの多くの産業集積地は中小企業形態の家族的経営による企業が多く、それら中小企業のネットワークが地域的に完結して産業集積を支えている。集積地の拡大成長期にはこうしたネットワークの形成は、コストパフォーマンスを発揮して、合理的に機能した。しかし、縮小調整期には新たなイノベーションとネットワークの形成が求められ、家族的経営から派生するネットワークは、イノベーションを生む要因としては機能しなくなった。この段階におけるイノベーションには外部知識の導入が不可欠と考えられるが、家族的経営に依存する中小企業においては地域外から導入される外部知識には排他的な傾向をみせた。つまり、企業家が個人的に構築してきた生産ネットワークは、イノベーションの創出機会においては阻害要因となったのである。今日、縮小調整期を乗り越えた企業に共通することは、家業的経営から企業的経営への転換したことにより外部知識の導入を図り、イノベーションを創出できた企業であることが明らかになった。 翻って日本の産業集積地にこの成果を照らし合わせると、日本の産業集積地における中小企業の経営形態は、イタリアと同様に家族的経営に依存する企業が多く、イノベーションが創出されにくいことを指摘できる。

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